*

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/10 旅話, 旅話 2008年

鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜松駅、熱海駅(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線)
2008・7・21 8:11 松阪(まつさか)駅(紀勢本線/参宮線/近鉄山田線 三重県)
鳥羽へは近鉄で行く。

賢島行がやってくる。

部活の子供たちが乗降する。
若者の心配などいらない。
こうして自分と闘う子供が育っている。
列車内での風景として好むものだ。

伊勢方面に向かう者はごくわずかで、駅に用を持つ者はたいていが名古屋方面のホームにいる。
あるいは大阪か。

この線は名張、桜井、大和八木を通って上本町までいく大阪線へとつながるようだ。
JRで行くよりもはるかに大阪が近い。
本数も多い。
車内にもローカル線が持つ独特な雰囲気はない。

2年前の紀伊半島を思い出す。
あの頃から彼女に惚れていて、今よりもまだうまくやっていた。
雨の多い旅だった。

彼女の気持ちは当時も分からず、今も分からない。

伊勢で酒を購入して彼女に会いに行こう。

あれからもうひと月になる。

9:31 鳥羽(とば)駅(参宮線/近鉄鳥羽線/近鉄志摩線 三重県)
今日は鈍い青空。
ケータイのカメラは青を感じていない。

ミキモトの総本山、真珠の街。
風景には見覚えがある。

あの時はJRや近鉄は、オレの中で意味を持っていなかった。

鳥羽湾を眺める。
この駅が海に面していたという記憶は削がれていた分、新鮮な気持ちでいられた。

どれくらいそうしていたのか。
満ち足りた時間だった。

あんな気分になりたくて、生きて、またここまできた。

土産物屋のお姉さんと親しく話した。
気分よくあれこれ買い込んだ。

「気ぃつけて。お元気で。」と見送ってくれる。
人情のいい終着駅だった。

近鉄はまだこの先も延びている。
そっちにも行きたいが、いずれまた。

長く生きられるのなら、そのうちまた。

幸せな気持ちでいる。

彼女に会いたくて。

11:11 伊勢市(いせし)駅(参宮線/近鉄山田線 三重県)
お伊勢さんのお守りを買いに降りた。


恋人と彼女に。
想いに甲乙をつけたくない。

好きな色のを二つ買ったよ。
きっとオレの想いに神が宿るだろう。

オレの想いが成就することは頼んでいない。

2人が健康で、幸せであればそれでいい。
「最強の神様が君の味方についたよ」と言って、二人に渡すさ。

伊勢神宮外宮へ。

かつて散々迷ったあたりをよく覚えていたよ。
駅から参道を歩く道すがら、ロッド・スチュワートの「胸につのる想い」を口ずさんでいた。


宇治山田駅に寄った。

威厳のある立派な駅舎は健在で、便所では心許なげな外人を見かけた。
彼はティッシュの自販機に興味を示していた。

明倫商店街へ。

よかった。
あの頃のままだ。

伊勢に行くことを決めると、真っ先に浮かんだのがそこだった。

当時は時代に取り残された一角のように見受けたけど、今の感じ方は違う。
これこそが伊勢なのだろう。

あの日にこの片隅で笑い転げていた少女たちも大人になっている。
そして今も友達でいられるのなら、とても素敵なことだ。

宮川を渡る。

2年前の旅で車から眺めた風景が蘇る。
あの川辺に人々は出ていた。

いろいろなものがつながった。

田園地帯を往く参宮線に旅情を感じたあの日。
オレは今その列車に乗っている。

多気に着くと大勢乗り込んできた。
運動をやっている少年少女にどうしても目がいく。

去年の宇治山田商業の甲子園での健闘。
優勝校の佐賀北との延長再試合は忘れていない。

11:46徳和駅着。
たくましい足をした二人の少女と、イケメン少年が二人降りていった。

12:39 亀山(かめやま)駅(紀勢本線/関西本線 三重県)
紀勢本線最終路線では、松阪と津で多くの乗降があった。

亀山まで乗ってきた者は多くない。

これから名古屋まで約70分。
関西本線とのターミナル駅の亀山のかつての姿を知る由もないが、駅弁も「駅そば」もない。

駅を出ると大鳥居が迎えてくれるが、商店はごくわずか。
食堂も見えるが、営業しているかどうか判別がつかない。

時代は、ここをはじめ多くの町を一度見捨てたが、細々とでも生き残っている町も多くある。

人間世界などいい加減なもので、昨今は原油高で、いずれ枯渇する。

また時代が振り向くこともあるかもしれないよ。

14:24 名古屋(なごや)駅(東海道新幹線/東海道本線/中央本線/関西本線/名古屋臨海高速鉄道/名古屋市営地下鉄桜通線/名古屋市営地下鉄東山線 愛知県)
関西本線に乗ったのは去年の2月。
亀山からの車窓風景をよく覚えていたよ。

鉄でできた風景の先に揖斐川、長良川、木曽川を渡る。

大名古屋温泉という名古屋らしいセンスに微笑む。

15:25 豊橋(とよはし)駅(東海道新幹線/東海道本線/飯田線/名鉄本線 愛知県)
目が覚めたのは蒲郡の手前。
三河湾は目に収めた。

この先の道中も長いけど、ずいぶんと帰ってきたような気分にさせてくれる。

豊橋はオレにとってそういう距離感を持つ街になった。

16:10 浜松(はままつ)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
横に座っていた女性の優しい香りに気をよくしながら浜松へ。

次に乗るのは熱海行。

亀山からは5度の乗り継ぎで東京に着く。

18:50 熱海(あたみ)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊東線 静岡県)
戻ってきた。
明らかにそんな気分でいる。

靴擦れによる痛みがひどい。

「駅そば」は売り切れとのこと。
仕方がない。
飯は家で。

伊豆方面をはじめ、この連休の人出は多かったようで、たくさんの乗客に囲まれている。

これじゃビールは飲めない。

24:43 東京葛飾金町
足の痛みは明日になれば忘れるだろう。
心配ない。

それにしても東京は暑い。
関西じゃ暑い中でも涼しさを運んでくれた風が吹かない。

仕方がない。
これが東京。

恋人に帰京挨拶の長いメールを送る。

元気を出せ。
オレは元気だ。
これからはお伊勢さんがついてる。

この3日間で腕が細くなったように感じている。
明日から元に戻していこう。

そして彼女に会いにいこう。

関連記事

「車旅日記」1997年1月【空しい日々を振り払い、28年目の人生もまた旅。そんな年頭の姿でございます。】-町田、愛甲石田駅、御殿場駅、岩波駅、熱海駅、西湘パーキング、奈良北

車旅日記1997年1月4日 1997・1・4 1:01 東京町田 明かりをつけた部屋にストーンズ

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】3日目(函館-鹿角花輪)-函館、木古内、湯ノ岱、江差、津軽新城、川部、深浦、能代、東能代、十和田南(江差線/津軽海峡線/奥羽本線/五能線/花輪線)

鉄旅日記2011年8月15日・・・函館駅、木古内駅、湯ノ岱駅、江差駅、津軽新城駅、川部駅、深浦駅、能

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、みちのく・北海道途中下車旅】2日目(横手-室蘭)-横手、土崎、八郎潟、大館、弘前、青森、泉沢、久根別、七飯、仁山、渡島沼尻、森、八雲、長万部、伊達紋別(奥羽本線、江差線、函館本線、渡島砂原支線、室蘭本線、室蘭支線)

鉄旅日記2012年8月12日・・・横手駅、土崎駅、八郎潟駅、大館駅、弘前駅、青森駅、泉沢駅、久根別駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】初日(東京-高松)その2 ‐石山、京阪石山、石場、膳所、京阪膳所(京阪石山坂本線)/今井兼平之墓/義仲寺

鉄旅日記2020年9月19日・・・石山、京阪石山、石場、膳所、京阪膳所(京阪石山坂本線)/今井兼平

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】2日目(五所川原-北上)その2‐大館、大鰐温泉、大鰐、中央弘前、弘前(奥羽本線/弘南鉄道大鰐線)

鉄旅日記2019年11月3日・・・大館駅、大鰐温泉駅、大鰐駅、中央弘前駅、弘前駅(奥羽本線/弘南鉄道

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】3日目(柳井-徳島)-柳井、大畠、西条、岡山、高松、高松築港、オレンジタウン、引田、池谷、鳴門、徳島(山陽本線/本四備讃線/高徳本線/鳴門線)

鉄旅日記2008年5月4日・・・柳井駅、大畠駅、西条駅、岡山駅、高松駅、高松築港駅、オレンジタウン駅

記事を読む

「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】最終日(桑名-揖斐-樽見-金城ふ頭-東京)その1-桑名、養老、大垣、揖斐、垂井、美江寺、本巣、樽見(養老鉄道/東海道本線/樽見鉄道)

鉄旅日記2018年9月16日・・・桑名駅、養老駅、大垣駅、揖斐駅、垂井駅、美江寺駅、本巣駅、樽見駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】最終日-安房勝山、君津、木更津、上総亀山、蘇我(内房線/久留里線/京葉線)

鉄旅日記2006年2月5日・・・安房勝山駅、君津駅、木更津駅、上総亀山駅、蘇我駅(内房線/久留里線/

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】最終日(呉-東京)-呉、広、竹原、安芸幸崎、松永、東尾道、相生、西相生、比叡山坂本、用宗、富士、沼津(呉線/山陽本線/赤穂線/湖西線/東海道本線)

鉄旅日記2014年8月17日・・・呉駅、広駅、竹原駅、安芸幸崎駅、松永駅、東尾道駅、相生駅、西相生駅

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】初日(東京-名古屋)-根府川、島田、豊橋、岡崎、名古屋(東海道本線)

鉄旅日記2005年11月5日・・・根府川駅、島田駅、豊橋駅、岡崎駅、名古屋駅(東海道本線) 200

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その3‐羽咋、能登部、徳田、七尾、和倉温泉(七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・羽咋駅、能登部駅、徳田駅、七尾駅

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その2‐倶利伽羅、森本、宇野気、高松(IRいしかわ鉄道/七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・倶利伽羅駅、森本駅、宇野気駅、高

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その1 ‐砺波、戸出、新高岡、金沢(城端線/北陸新幹線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・砺波駅、戸出駅、新高岡駅、金沢駅

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏

鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社

鉄旅日記2020年11月21日・・・氷見駅、雨晴駅、越中国分駅、伏木

→もっと見る

    PAGE TOP ↑