「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その3-海尻、八千穂、信濃川上、佐久海ノ口、甲斐小泉、小淵沢(小海線)/海尻城址 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
鉄旅日記2019年2月10日・・・海尻駅、八千穂駅、信濃川上駅、佐久海ノ口駅、甲斐小泉駅、小淵沢駅(小海線)/海尻城址
14:08 海尻(うみじり)駅(小海線 長野県)
今から約1時間前にひとつ手前の松原湖で降りる。
佐久海ノ口まで2駅歩くつもりで上り勾配を往く。
途中佐久の酒を購入して、海尻洞門を過ぎる。
徐々に下りに転じて、珍しく信号が現れるとそこは海尻城址。
仁王門が迎える脇の蛇行した雪道を上がっていくと、山頂に碑が立っている。



海尻合戦はリュックに入れた「甲陽軍鑑」にも載っているだろう。
いつ廃城になったのか案内板に記述はなかった。


神妙な気持ちで山を下りた。
国道に海尻駅の表示がなかなか現れない。
やがて川向こうに敷かれていた線路が川を渡ってくる。


そろそろかと思い前方に目をやれば、ポップな緑色の屋根が見える。
あれかと思い近づけば、線路はその建物を無視するように、一段高い場所で冷たく光りながら続いている。
そこで初めてGoogle地図を取り出した。
駅は城跡を下りた場所にあった。
引き返して到着。
おあつらえ向きにやって来た下り列車に乗って、どこで降りて引き返すかを考えている。

14:47 八千穂(やちほ)駅(小海線 長野県)
5駅を戻る。
行きに通り過ぎていく駅を確認していて、駅舎があるここに決めた。




浅間山はここからもよく見える。
何度かの噴火で山頂が吹き飛んだことがよく見てとれる。
そんなに昔からそこにあった存在を貴重だと思う。
上りホームに上がるとさらにきれいに見える。


列車を待っておられたお年寄に「浅間山がきれいですね」と話しかけると、東日本大震災で山も動いた話しや、八ヶ岳のことを教えてくれた。
千昌夫さんの流行歌「北国の春」の作詞者は佐久の出身で、あの歌には佐久の情景が盛り込まれているという。
再び上り列車。
八千穂から2駅目の馬流駅では、壁面に「秩父事件戦死者の墓」と大書されていた。
15:49 信濃川上(しなのかわかみ)駅(小海線 長野県)
この先を迷っていたら駅前の風情を見て、発作的に降りた。
民宿の案内が立つ駅前。
人気はなく、八ヶ岳を目指す人々への接待村なのだろうかと思う。
オレと一緒に降りた鉄道ファンの若者がいたが、あれからどこへ行ったのだろう。



「源流の里」を謳う川上村は寒風が吹きすさび、国道に出る前に引き返して、ストーブの炊かれた暖かい待合室で彼女への長い手紙を綴っていた。
まだ書き終えていない。
16:25 佐久海ノ口(さくうみのくち)駅(小海線 長野県)
今度は2駅を引き返す。
武田信玄初陣の伝説の地。
ここに降りてみたかった。

伝説の真偽は定かではないようだが、武田軍に討ち取られた豪傑平賀入道は実在の人物で、佐久は甲州軍における信州侵略の起点になったことは確かだ。
この信濃という山国に、たくさんの力自慢が播挙していた事情は、今に思えば涙ぐましい。
現代に生きるオレたちも、実は変わらず命のやりとりをしている。
源流の川辺に下りて、最近唱えるようになった言霊を口にして、天に両の掌を差し出した。

導きを感じた。
そして今日をこうして生きている。
17:20 甲斐小泉(かいこいずみ)駅(小海線 山梨県)
行き違い3分の停車。
どこかからか眠りに落ちて、喧騒に気づくと清里だった。
ふと車窓に目を移せば八ヶ岳が大きく見えている。
スマホを構えた。
この駅からも八ヶ岳は見えた。


高原地帯の道は大きく曲がりくねっていた。
17:34 小淵沢(こぶちざわ)駅(中央本線/小海線 山梨県)
何年か前から駅が生まれ変わっていたことは知っていた。
改札口は2階になり、各ホームからの移動距離は短縮されたが、独自の風情は失われてしまった。
八ヶ岳はすでに背後に回り、駅を降りると南アルプスが見えている。

ビルディングと言える新駅舎は、駅前通りからスマホを構えても収まりきらなかった。
【Facebookへの投稿より】
東信地域に根っこを持つ身に、浅間山とは格別な山でございます。
天明3年大噴火の折には、火山灰は天を覆い、世界的に異常気象が観測されたと漏れ聞いております。
本日気紛れで訪ねた身に、荒々しくも美しいその姿を見せてくれました。
高原列車に乗って小淵沢へと向かっておりますと、浅間山、八ヶ岳、南アルプスと名山が現れてまいります。
まさに神々しい。。
車窓から、そのように感じていたのでございます。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その4‐二条、大宮、四条大宮、北野白梅町、帷子ノ辻(山陰本線/京福電鉄嵐山本線/京福電鉄北野線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月26日・・・二条駅、大宮駅、四条大宮駅、北野白梅町駅、帷子ノ辻駅(山陰本線/
-
-
「鉄旅日記」2016年夏 4日目(富良野-大館)その1-富良野、滝川、岩見沢、白石、新札幌、北広島、恵庭、千歳、新千歳空港(根室本線/函館本線/千歳線/石勝線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】
鉄旅日記2016年8月13日・・・富良野駅、滝川駅、岩見沢駅、白石駅、新札幌駅、北広島駅、恵庭駅、千
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その2‐甲府、日野春、長坂、青柳(中央本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月20日・・・甲府駅、日野春駅、長坂駅、青柳駅(中央本線) 8:15 甲府(こ
-
-
「鉄旅日記」2016年春 最終日(石巻-東京)その1-石巻、西塩釜、下馬、塩釜、岩切、利府、伊達、郡山、白河(仙石線、東北本線、利府支線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】
鉄旅日記2016年3月21日その1・・・石巻駅、西塩釜駅、下馬駅、塩釜駅、岩切駅、利府駅、伊達駅、郡
-
-
「鉄旅日記」2018年弥生-小手指、西所沢、西武遊園地、小川、東村山、西武園、西武遊園地、萩山、小平(池袋線/狭山線/山口線/多摩湖線/国分寺線/拝島線/西武園線/新宿線)【西武線を楽しむ日。いくつかのターミナル駅に降りてみたかったのでございます。】
鉄旅日記2018年3月17日・・・小手指駅、西所沢駅、西武遊園地駅、小川駅、東村山駅、西武園駅、西武
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その6‐上川口、養父、豊岡、香住(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月23日・・・上川口駅、養父駅、豊岡駅、香住駅(山陰本線) 18:35&
-
-
「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その1‐金町、上野、古川、陸前谷地(常磐線/東北新幹線/陸羽東線) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】
鉄旅日記2021年4月17日・・・金町駅、上野駅、古川駅、陸前谷地駅(常磐線/東北新幹線/陸羽東線
-
-
「鉄旅日記」2008年初秋 2日目(羽咋-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】
鉄旅日記2008年9月14日・・・松任駅、小松駅、あわら湯のまち駅、三国港駅、福大前西福井駅、田原町
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青梅街道駅、北朝霞駅、朝霞台駅(
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜
