*

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線)

公開日: : 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線)
16:34 浪江(なみえ)駅(常磐線 福島県)
四ツ倉から久ノ浜、そして末続と車窓に海がちらつく。

末続駅にもかつて立ち寄った。
古い駅舎は健在で、ホームからは海が見える。

高台にあるゆえ津波が到達することはないが、無事だったのかとの感慨は持つ。

広野にはホテルが進出し、またテナントを募る雑居ビルが建ち、過ぎてきた駅とは趣が異なる。
発展を願いたい。

16:19着。
原発事故による帰還困難区域の象徴とも言える浪江に降りた。

人の気配がない町の静けさとはこのようなものかと商圏をひと回りする。

オレのような物珍しげにうろつく男の姿が数人。
駅前に置かれた記念碑から「高原列車よさようなら」が鳴り響く。

町内地図を見ると多くの飲食店が日曜日を休みにしているようだ。
それで人の姿がないのか。

日差しが戻ったが、花冷えの冷気を溶かすには至らず、ここで考えたかったこと、感じるべきことをしっかり体に入れたかと反問しながら上り列車に乗る。

16:46発、いわき行。

17:55 いわき駅(常磐線/磐越東線 福島県)
浪江~富岡間が開通したことによって常磐線は品川~仙台が全通。
途中の双葉、大野、夜ノ森が駅として再開。

だが立入禁止区域を未だに含み、気ままな旅行者以外に歩く者はなく、双葉を過ぎると福島原発の姿が覗く。

海はいいな。
やっぱり海はいい。

沖を往く白い船。
それを遠くの車窓から眺める男がある。

偶々だが、奇跡とも言えそうだ。

17:55発、水戸行。

夕焼けを眺めている。
月には早くから気づいていた。

コロナ騒動の最中、そう言えば月に気づかなかった。

旅を楽しみ、孤独を感じ、オレを愛してくれる人を想い、そしてまた月を見上げた。

山の稜線が群青色に浮かび上がる。

勿来に着いた。

19:07 常陸多賀(ひたちたが)駅(常磐線 茨城県)
特急ひたち号との待ち合わせ6分の停車。

水戸に近づくにつれて乗客が増えて、マスク着用率も増えた。
またあの半狂乱の巷に戻ることにいくぶん気持ちが重たくなる。

この駅に降りるのも2年ぶりだ。

今後東北に向かうメインルートとなる常磐線。

そんなに昔のことなど思い出さずに済むようになる。

20:17 石岡(いしおか)駅(常磐線 茨城県)
特急ときわ号待ち合わせ7分の停車。

この駅の前世を知っている。

鉾田から霞ヶ浦に沿って進む鹿島鉄道に乗った日。
クリスマス・イブだった。
今も懐かしく思う。

鹿島鉄道は今やなく、10年以上の歳月が流れている。

石岡駅にとってもそれは大きな出来事だったのだろう。
多くの茨城県民も無念に思ったことだろう。

駅の改装により当時鹿島鉄道が到着していたホームも定かじゃなくなり、コーヒーを飲んだ待合室もない。

ここに着けば、そんな時代を思い出す。

そんなオレの歴史が数多の駅に存在する。
それを今オレは幸せにも感じ、誇りにも感じている。

関連記事

「車旅日記」2000年夏Part.1【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】初日(東京‐諏訪)葛飾金町、調布駅、高尾駅、桂川ドライブイン、甲府芸術の森公園、道の駅信州蔦木宿、上諏訪

車旅日記2000年7月20日 2000・7・20 8:10 東京葛飾金町 天気は良好。 やけに

記事を読む

「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】最終日(長井-東京)-長井、荒砥、赤湯、羽前千歳、作並、東照宮、槻木、角田、福島、飯坂温泉、本宮、宇都宮、雀宮(山形鉄道/仙山線/阿武隈急行/福島交通飯坂線/東北本線)

鉄旅日記2011年11月6日・・・長井駅、荒砥駅、赤湯駅、羽前千歳駅、作並駅、東照宮駅、槻木駅、角田

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】3日目(南宮崎-隼人)その2-宮崎、清武、田野、山之口、西都城、餅原、都城、京町温泉、えびの、吉松(日豊本線、吉都線)

鉄旅日記2013年8月12日その2・・・宮崎駅、清武駅、田野駅、山之口駅、西都城駅、餅原駅、都城駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2018年卯月【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】その2-阿字ヶ浦、那珂湊、勝田、大津港、日立、常陸多賀(ひたちなか海浜鉄道湊線/常磐線)

鉄旅日記2018年4月25日・・・阿字ヶ浦駅、那珂湊駅、勝田駅、大津港駅、日立駅、常陸多賀駅(ひたち

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】4日目(徳島-善通寺)その2-海部、桑野、阿南、穴吹、佃、琴平、善通寺(牟岐線/徳島本線/土讃本線)

鉄旅日記2008年5月5日・・・海部駅、桑野駅、阿南駅、穴吹駅、佃駅、琴平駅、善通寺駅(牟岐線/徳島

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】初日(東京-紀伊勝浦)その1-熱田、尾頭橋、八田、四日市、亀山、一身田、津、高茶屋、松阪(東海道本線、関西本線、紀勢本線)

鉄旅日記2014年3月8日その1・・・熱田駅、尾頭橋駅、八田駅、四日市駅、亀山駅、一身田駅、津駅、高

記事を読む

「鉄旅日記」2017年冬【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】最終日(喜多方-会津若松-会津高原尾瀬口-下今市-東京)その2-大塚山古墳群、会津若松、芦ノ牧温泉、大川ダム公園、芦ノ牧温泉南(会津鉄道)

鉄旅日記2017年12月3日・・・会津若松駅、芦ノ牧温泉駅、大川ダム公園駅、芦ノ牧温泉南駅(会津鉄道

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その3‐岩峅寺、立山、電鉄富山、富山(富山地方鉄道立山線/富山地方鉄道不二越・上滝線)

鉄旅日記2020年3月21日・・・岩峅寺駅、立山駅、電鉄富山駅、富山駅(富山地方鉄道立山線/富山地方

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】初日(東京-香住)その1‐東京、国府津、小田原、三島(東海道本線)

鉄旅日記2020年7月23日・・・東京駅、国府津駅、小田原駅、三島駅(東海道本線) 2020

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】初日(東京-防府)その3‐三滝、横川、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口、宮島口(可部線/山陽本線/JR西日本宮島フェリー)

鉄旅日記2020年8月13日・・・三滝駅、横川駅、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その6‐博多南、博多、鳥栖、佐賀、肥前鹿島(博多南線/鹿児島本線/長崎本線)

鉄旅日記2020年8月14日・・・博多南駅、博多駅、鳥栖駅、佐賀駅、

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その5‐筑豊直方、直方、筑前大分、城戸南蔵院前、柚須(筑豊電気鉄道/筑豊本線/篠栗線)

鉄旅日記2020年8月14日・・・筑豊直方駅、直方駅、筑前大分駅、城

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その4‐企救丘、志井公園、小倉、黒崎、黒崎駅前、筑豊中間(北九州モノレール/鹿児島本線/筑豊電気鉄道)

鉄旅日記2020年8月14日・・・企救丘駅、志井公園駅、小倉駅、黒崎

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その3‐阿川、小串、下関、小倉(山陰本線/鹿児島本線)

鉄旅日記2020年8月14日・・・阿川駅、小串駅、下関駅、小倉駅(山

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その2‐厚狭、美祢、長門湯本、長門市(美祢線)

鉄旅日記2020年8月14日・・・厚狭駅、美祢駅、長門湯本駅、長門市

→もっと見る

    PAGE TOP ↑