「鉄旅日記」2012年春 その2-猿田、旭、八日市場、八街、成東、本納、茂原、千倉、佐貫町、姉ヶ崎、市川(総武本線、東金線、内房線、外房線) 【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】
鉄旅日記2012年3月12日その2・・・猿田駅、旭駅、八日市場駅、八街駅、成東駅、本納駅、茂原駅、千倉駅、佐貫町駅、姉ヶ崎駅、市川駅(総武本線、東金線、内房線、外房線)
11:01 猿田(さるだ)駅(総武本線 千葉県)
お年寄りの話す言葉が聞き取りづらい。
そして概して東京のお年寄りより明らかに老けて見える。
ここから東京は遠い。
文化とは難しい言葉であり、表現だ。
猿田神社へと誘う矢印だけがある駅前だった。

12:07 旭(あさひ)駅(総武本線 千葉県)
ステキな名の町だ。
雨雲もまだ浮かんじゃいるが時折降り注ぐ日差しは春のものだ。
そう、オレは房総に春を探しにきたんだよ。
東日本大震災で被害を受けた海岸はここから遠い。
だだっ広い駅前に出て途方に暮れる予測も立ったが、古い商店が続く一郭を辿るうちに県道に出て、中華料理屋で昼食をとった。
かつての夜、銚子からの帰りに、思わず降りてみたいと惹かれた駅はここだったか、次の八日市場だったか。
答えは間もなく出る。
冷たい風は止まない。

13:00 八日市場(ようかいちば)駅(総武本線 千葉県)
さっきの答えは旭だったよ。
ここじゃない。
昼と夜の風景は当り前だが違うものだ。
八日市場は126号国道に沿った街道筋だった。
並走する県道は本町通りを名乗り、音楽が流れ、和菓子の老舗が並ぶちょっとした商店街になっている。
神社仏閣など市内の案内板もなかなか賑やかなものだった。
海が近いこともあって行きの成田線沿線風景とは違い、まるで気候帯も変わったかのように風が止むと春が訪れる。

14:15 八街(やちまた)駅(総武本線 千葉県)
落花生の街に下りると昔ながらの駅前商店街が迎える。
懐かしいとつぶやき、入口アーケードを潜るとすぐに通りは尽きてしまう。
しまいの角に洒落た美容室があった。
千葉以南地域は底が深い。
未だに千葉をうまく表現する言葉が浮かんでこない。
中央公園でボール遊びに興じる若者たちを見て、他の町との違いを探そうとするのは無駄だ。
品のいい団子屋があったな。
あったかくなってきたよ。

14:45 成東(なるとう)駅(総武本線/東金線 千葉県)
ふた駅戻る。
南の小さなターミナル駅にて。
以前の1月よりは長い時間をここで過ごした。
記憶と違ってきれいな駅舎だった。
また訪れることはあるだろうか。

15:29 本納(ほんのう)駅(内房線 千葉県)
大網で内房線に乗り換え、2駅。
思いがけず予定外の駅に下りた。
日本家屋風の立派な駅舎と鉄道員が出迎えてくれた町に娯楽の種はなく、新聞販売所で働く男、庭の芝を焼く老人、僅かな数の少年たちに向けて言葉を探そうとするが頭が拒む。
この国の地方都市はどうなっていくのだろう。
かつて泊まった白子海岸が近いらしい。

15:54 茂原(もばら)駅(内房線 千葉県)
街に着いた。
銚子以来の街だ。
イオンや百貨店のある街。
歩きがいのある街だけど、特急「くろしお」接続待ちの間に降りる時間しか用意していない。
少し疲れてしまった。
内房線唯一の高架駅で、山之内病院という大きな病院があった。

18:13 千倉(ちくら)駅(外房線 千葉県)
一ノ宮、興津、小湊、鴨川・・・・内房線所縁の地で下りて千倉。
日が暮れた。
朝には真冬で、今も肌寒いが立春の宵だ。
知らぬうちに春になっていたよ。
旅先ではいつもこんな時間帯が印象に残る。
最近じゃ五稜郭、かつては大津港。
テネシーワルツが流れ改装工事中だった千倉駅は、南の町にしてはやけに冷たい駅舎となって完成していた。
海へ出る道は知っていたけど、改札口を出て、いくアテもなければ、いく場所もない町だった。
Wさん。アテはその女性のみ。
お得意様でかつ同年齢ということもあって親しくしていた女性だった。
個人的な電話をもらったこともあった。
元気でいるだろうか。
千倉を知ったのは彼女と出会ったからだ。
3度目の南総行。
テネシーワルツの代わりに、さっき酒を買った店で流しているラジオの音が聞こえてくる。
車もたいして走っちゃいない。
寒くて指が思うように動かないが、でも南総に来ている。
確かに来ている。
列車の近づく音がする。

19:39 佐貫町(さぬきまち)駅(外房線 千葉県)
東京湾は見えない。
町の灯はすっかり消え、列車が近づくと送り迎えの車がやってきて闇の下りた駅前に光も下りる。
これも人の営み。
嫌いじゃない。
すでに一日が終わった静かな駅に下り立つこともまた好きだ。
クリーニング屋の大きな看板が駅前風景のすべてだったよ。
20:21 姉ヶ崎(あねがさき)駅(外房線 千葉県)
また何年か前の9月に戻れたよ。
貴乃花が復活を賭けて千秋楽で武蔵丸との大一番に臨み破れ、K1界にボブ・サップが衝撃的な登場を果たしたあの月、あの日だ。
翌日、車で金町に戻る途中でこの駅に立ち寄った。
あの時は海側に車を止め、今夜は繁華街に下りた。
停車時間が5、6分ある。
おそらく四街道あたりと変わらない造りだろうが、夜は大層なものを隠し、街を大きく見せる。
駅前のパチンコ屋がその役目を負っていた。
君津からはもう東京だったな。
東京方面から総武本線に乗って、千葉駅を過ぎたら本物の千葉が見えてきたけれど、その逆の話をしている。
21:23 市川(いちかわ)駅(総武本線 千葉県)
江戸川を渡れば東京。
金町で暮らしていた頃はこの高架下の河川敷をよく走ったものだ。
市川では友人として付き合っていた男と待ち合わせたことがある。
もう随分会っていない。
もう会うこともないだろう。
今日はいろんな記憶を辿る巡礼みたいな旅になった。
意識していなかったけど、硬かった気持ちがいつしか和んでいる。
多分あの風が止んで海が見え出した頃のことだろう。
それにしても、どれもこれもだいぶ昔の話だ。
市川の灯は眩しかった。
まるでクリスマスみたいで、房総には見られなかった華やかな灯だった。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 2日目(香住-東萩)その4‐出雲市、直江、五十猛、馬路(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2024年7月24日・・・出雲市駅、直江駅、五十猛駅、馬路駅(山陰本線) 15:19
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その4‐多治見、坂祝、美濃太田(太多線/高山本線)【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月20日・・・多治見駅、坂祝駅、美濃太田駅(太多線/高山本線) 14:19 多
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 5日目(松浦-若松)その2-宇美、西戸崎、香椎、福間、赤間、折尾、若松(鹿児島本線/香椎線/筑豊本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月22日・・・宇美駅、西戸崎駅、香椎駅、福間駅、赤間駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本
-
-
「鉄旅日記」2006年如月 最終日-安房勝山、君津、木更津、上総亀山、蘇我(内房線/久留里線/京葉線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】
鉄旅日記2006年2月5日・・・安房勝山駅、君津駅、木更津駅、上総亀山駅、蘇我駅(内房線/久留里線/
-
-
「鉄旅日記」2007年新春 2日目(高岡-金沢)-高岡駅前、越ノ潟、高岡、氷見、高岡、城端、金沢(万葉線/氷見線/城端線/北陸本線) 【本格的に鉄旅が始まりまして、まずは冬の北陸を目指したのでございます。】
鉄旅日記2007年1月7日・・・高岡駅前駅、越ノ潟駅、高岡駅、氷見駅、高岡駅、城端駅、金沢駅(万葉線
-
-
「車旅日記」2000年夏Part.2 3日目(福山-宇部)尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】
車旅日記2000年8月14日 3日目(福山-宇部)尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA 200
-
-
「鉄旅日記」2014年冬 最終日(桐生-東京)-間藤、足尾、通洞、神戸、水沼、大間々、相老、桐生、西桐生、新里、膳、大胡、江木、中央前橋、治良門橋、三枚橋、太田(わたらせ渓谷鐵道/上毛電鉄/東武伊勢崎線) 【フリー切符で行く、両毛ローカル旅】
鉄旅日記2014年12月29日・・・間藤駅、足尾駅、通洞駅、神戸駅、水沼駅、大間々駅、相老駅、桐生駅
-
-
「鉄旅日記」2014年春 最終日(紀伊勝浦-東京)その1-紀伊勝浦、太地、湯川、那智、三輪崎、新宮、鵜殿(紀勢本線)/丹鶴城公園 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】
鉄旅日記2014年3月9日その1・・・紀伊勝浦駅、太地駅、湯川駅、那智駅、三輪崎駅、新宮駅、鵜殿駅(
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その1‐新津、馬下、津川、喜多方(磐越西線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月5日・・・新津駅、馬下駅、津川駅、喜多方駅(磐越西線) 2020・4・5 5
-
-
「鉄旅日記」2021年皐月 初日-浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の家 【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】
鉄旅日記2021年5月22日・・・浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の
