*

「鉄旅日記」2014年夏 3日目(鳥取-米子)その1-鳥取、由良、下市、御来屋、名和、伯耆大山、東山公園、博労町、境港、木次、亀嵩、宍道(山陰本線/境線/木次線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/05 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年8月15日その1・・・鳥取駅、由良駅、下市駅、御来屋駅、名和駅、伯耆大山駅、東山公園駅、博労町駅、境港駅、木次駅、亀嵩駅、宍道駅(山陰本線/境線/木次線)

鳥取(とっとり)駅(山陰本線/因美線 鳥取県)にて

2014・8・15 6:32 由良(ゆら)駅(山陰本線 鳥取県)
数分の停車。

熱帯の朝を迎えた鳥取。
自動改札化はまだこの地域には至らず、かつてホームで食べた「砂丘そば」は駅ビルの1階に移り、規模を広げていた。
名残惜しく街を出る。

時に入江が見え、あとは特に何もなかったな。

由良は町だが駅前に商店などは見られず、ため息をつくように列車に戻ったら、美しい因州娘が二人オレの横に座った。

7:03 下市(しもいち)駅(山陰本線 鳥取県)
数分の停車。

鳥取市内の熱はここにはなく、駅前から見える日本海からの爽やかな風を浴びた。
気持ちいいとはこういうことを指す。

風力発電機が回る姿が見られ、煙草屋はまだ看板を下ろしていない。
このあたりは温泉地が続いていて、下市では中山温泉まで2kmと謳っている。

7:13 御来屋(みくりや)駅(山陰本線 鳥取県)
数分の停車。

ここでも駅前から日本海が見える。
清々しい。
定休日を除き「市」が立つ御来屋は山陰最古の駅舎を有し、ポストを従え古武士然としている。

7:33 名和(なわ)駅(山陰本線 鳥取県)
ぼんやりと海上に見えていたのが隠岐の島か。
忠臣名和一族への礼のため大正天皇は名和神社へ行幸したという。

名和長年は陽気な男だったらしい。
後醍醐天皇からの要請を迷惑に思いながらも、隠岐の島を脱走してきた彼をこの地に上陸させて船上山に御座所を置き、やがて南朝軍として京都での市街戦で死ぬまでの期間は3年あまり。
その後、一族の名は歴史から消えた。

駅から後醍醐天皇上陸地まではふらふら歩いたんじゃ行き着けない。

「安兵衛」という軽食屋が入居した名和駅は、名和神社へと上がる坂の途中にあり、ホームからは日本海が見渡せる。

8:02 伯耆大山(ほうきだいせん)駅(山陰本線/伯備線 鳥取県)
数分の停車。

駅前は住宅地で空き地が目立つ。
5年前に一度降りたが、何も変わっていない。
こんな空の下じゃ気持ちが重くなりそうな未完成の風景だ。

空は今厚い雲に覆われていて、大山のあるべき場所はもやっていて、その姿は見えない。

東山公園(ひがしやまこうえん)駅(山陰本線/伯備線 鳥取県)にて

8:31 博労町(ばくろうまち)駅(境線 鳥取県)
厚い雲だ。
南の風が街にたまり湿気もまたひどい。

東山公園駅で降りて、確かプロ野球も開催されたことがある米子市民球場を左に見て、米子東高校の前を横切り博労町駅まで徒歩約10分。
米子から一駅の距離という駅も周辺の町も想像からは大きく外れていなかった。

米子の繁華街に近い駅前通りには商店や読売支局が並び、人気のない朝を迎えることは稀で、おそらく今後も状況に変化はないだろう。

狭い待合室では黒人紳士がどっかりと腰を落ち着けて、オレと同じ境港行を待っている。
目が合うとなかなかチャーミングな笑みを見せてくれた。

9:29 境港(さかいみなと)駅(境線 鳥取県)
東京から大分まで一般国道だけを使って旅をした際、夕暮れ時に着いた町。

あの時は人気などなかったが、あれから妖怪列車と化した境線の人気は高いらしい。
各駅に愛称として妖怪の名がついている。
ぎゅうぎゅう詰めの車内だったが、終点までとても楽しむことができた。

米子空港まで一直線に延びる線路の先には富士のような美しい山が見えていた。
美保湾と中海をつなぐ境水道のさらに先だと思うが、何という山だろう。

終着駅に着いて、妖怪と新鮮な魚介類を求めて、人々が小雨の中を歩き出す。

11:58 木次(きすき)駅(木次線 島根県)
境線で米子に戻り、山陰本線下り列車に乗り換えて宍道へ。
宍道で木次線に乗り換える。

ここで数分の停車。

ヤマタノオロチほか大蛇、神にまつわる伝説が多く残る神話の地。
宍道からここまでは無人の森を這い進んでいくような区間で、たまに現れる集落はどこも心許なく見えた。
昔から人煙まれな土地なのだろう。
ただし出雲が近いこともあり、神々の言い伝えが残っている。

木次駅前は斐伊川の川辺に建った大型スーパーが景観を塞ぎ、広いロータリーには数台のタクシーがいるのみで、行き交う車の姿は見られなかった。

13:02 亀嵩(かめだけ)駅(木次線 島根県)
故松本清張さん原作の映画「砂の器」の舞台。
駅にこれだけの人がいるのは、手打ち蕎麦屋と小説の効力だ。

有名な蕎麦屋か喫茶店があることは知っていた。
ただしその蕎麦屋が駅にあるだけで、他に行くべき場所は見当たらない。
見当たらないというより存在しない。
駅を出て一目瞭然だった。

森に降る雨に閉じ込められ、ひとつ手前の出雲三成にはコンビニがあったことを恨めしく思う。
腹が減っている。

このまま備後落合に出て芸備線に乗り換えて備中神代、根雨を経て米子に戻るという計画を変更してここに降りることにしたのは、やはり「砂の器」と昼メシの問題と、この雨だ。

芸備線の備後落合東城間が未乗車区間だったことから生まれた計画だが、そこがどんな土地かはタクシーの車窓から眺めて知っている。
深い山の中だ。
そこで後悔するよりも出雲に行こうと決めた。

こんな雨の日に出雲、松江にいたいと思った。

今回で2度目の木次線は秘境路線と言ってよく、見応えがあった。
前回はぎゅうぎゅう詰めでろくに外も見れなかったんだ。

これから宍道に戻る。
乗り込んだのはオレただひとりで、乗り込んでみてもオレただひとりだった。

14:41 宍道(しんじ)駅(山陰本線/木次線 島根県)
出雲三成を過ぎて眼下に広がった棚田が美しかった。
風にさんざめく稲穂を愛でたのは昨日。
でもどこでのことだったかはもう忘れてしまった。

宍道に着くと激しい雨。
煙草で空腹を紛らす。
待ち時間は10分強。
宍道湖畔まで歩くだけの余裕はなく、この雨の中を歩く気にもならない。

これから出雲に行く。
下り列車は少しずつ遅れているようだ。

関連記事

「鉄旅日記」2017年秋 その3-腰越、江ノ島、湘南江の島、片瀬江ノ島、新宿(江ノ島電鉄/小田急電鉄江ノ島線)/龍ノ口寺 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】

鉄旅日記2017年11月12日・・・腰越駅、江ノ島駅、湘南江の島駅、片瀬江ノ島駅、新宿駅(江ノ島電鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2006年新春-馬橋、流山、幸谷、新松戸、佐貫、竜ケ崎(常磐線/総武流山電鉄/関東鉄道竜ヶ崎線)【雪の降った翌日。近くのローカル線に乗りに出かけました。】

鉄旅日記2006年1月22日・・・馬橋駅、流山駅、幸谷駅、新松戸駅、佐貫駅、竜ケ崎駅(常磐線/総武流

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その4-飯岡、東金、大網、蘇我、海浜幕張、船橋法典、市川大野、東松戸(総武本線/東金線/内房線/京葉線/武蔵野線) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月22日・・・飯岡駅、東金駅、大網駅、蘇我駅、海浜幕張駅、船橋法典駅、市川大野駅

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月 2日目(天王寺-奈良)その1-南霞町、浜寺駅前、浜寺公園、羽衣、春木、和泉大宮、岸和田、和歌山市、和歌山港、堺(阪堺電気軌道/南海電鉄南海線) 【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】

鉄旅日記2007年2月11日・・・南霞町駅、浜寺駅前駅、浜寺公園駅、羽衣駅、春木駅、和泉大宮駅、岸和

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 3日目(小樽-富良野)その1-小樽、発寒中央、琴似、石狩当別、石狩月形、新十津川、滝川、茶志内、美唄(函館本線/学園都市線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月12日・・・小樽駅、発寒中央駅、琴似駅、石狩当別駅、石狩月形駅、新十津川駅、滝

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏 最終日(新潟-長岡)走行距離246㎞ その1-新津駅、五泉駅、巻駅、弥彦駅、柏崎駅、笠島駅 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】

車旅日記2005年7月18日・・・新津駅、五泉駅、巻駅、弥彦駅、柏崎駅、笠島駅 2005・7・18

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常磐線/東北新幹線) 20

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 初日(東京-徳山)穂積、姫路、英賀保、金光、福山、天神川、徳山(東海道本線、山陽本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月10日・・・穂積駅、姫路駅、英賀保駅、金光駅、福山駅、天神川駅、徳山駅(東海道

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線) 2020・3・22 7:

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 5日目(青森-安達)その2-宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅、道の駅あだち 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月6日・・・宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その3 ‐尾盛、千頭、金谷、静岡(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/くれたけインプレミアム静岡駅前 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・尾盛駅、千頭駅、金谷駅、静岡駅(大井川鐡道

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その2 ‐奥大井湖上、接岨峡温泉(大井川鐡道井川線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・奥大井湖上駅、接岨峡温泉駅(大井川鐡道井川

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その1 ‐焼津、金谷、千頭、井川(東海道本線/大井川鐡道本線/大井川鐡道井川線)/焼津温泉やいづマリンパレス 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月20日・・・焼津駅、金谷駅、千頭駅、井川駅(東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その4 ‐アプトいちしろ、川根小山、千頭、金谷、焼津(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/焼津温泉やいづマリンパレス 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月19日・・・アプトいちしろ駅、川根小山駅、千頭

→もっと見る

    PAGE TOP ↑