*

「鉄旅日記」2018年卯月【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】その2-阿字ヶ浦、那珂湊、勝田、大津港、日立、常陸多賀(ひたちなか海浜鉄道湊線/常磐線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/12 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月25日・・・阿字ヶ浦駅、那珂湊駅、勝田駅、大津港駅、日立駅、常陸多賀駅(ひたちなか海浜鉄道湊線/常磐線)
13:17 阿字ヶ浦(あじがうら)駅(ひたちなか海浜鉄道湊線 茨城県)
今や海外からの観光客が年間2000万人を数える日本。
この路線にまでアジアの波は押し寄せ、肥満度の高い男たちが車内の温度を上げている。
隣には関西弁を話す若い男女までいる。

駅では食のイベントを開催中とのアナウンスが流れ、どれほどのものかと思ったがテントが4、5個。
たいして注意が払われることなく、人々は待っていたバスに乗り込んでいく。

ひとり歩きだし、ドンツキの神社を左に折れれば、そこは坂の上。
このあたりじゃ常に荒々しく見える太平洋。

かつては坂下まで下りていったけど、今日は時間がない。
駈けだしたくなる思いを抑えて途中の公園で停止。
やけに芝生がふかふかする公園だった。

14:04 那珂湊(なかみなと)駅(ひたちなか海浜鉄道湊線 茨城県)
待合室でギターを抱いた初老の男性が懐メロを奏でている。

ホームに移った今も松山千春さんの「恋」が聞こえてくる。

内外ともに多くが降りた那珂湊。
魚市場に向かう列の最後尾を歩き、本町通りで列から離れて地元道をしばし。
花屋のご主人を見て、余計なお世話だが那珂湊での花の需要はいかほどかと思う。

初夏の4月最終日。
魚市場に向けて車列もまた長い。

茨城空港がきっと努力したのだろう。
外国からの客はアジアの顔しか見られない。

那珂湊を出ると退屈な田園風景の中を走る。
かつて一度だけ乗って、その記憶が下り車中のオレを寝かせ、この上りでもうひと眠りと思っていたけど、今日は黄金週間前半最終日。

女性たちの楽しげな話し声が途切れることなく聞こえてくる。

14:38 勝田(かつた)駅(常磐線/ひたちなか海浜鉄道湊線 茨城県)
30年前にテレビカメラを従えたプロレス興行がやってきた町。
全日本プロレス×ジャパンプロレスの構図だった。

かつて乗った時は「茨城交通」と称していた鉄道は、覚えられないほど長い名称になり、終点勝田には鄙の中の都会を感じた。

ごくわずかな区間ではあったけど、形成された歓楽街を歩いて思いを強くした。
もっとも10分で回れるほどの規模でしかないが。

久慈川渡河へと至る開けた景観に新鮮さを感じた。
この区間でも以前は寝てばかりいたのだろう。

愛しきものを想えば、現在のオレがアホらしくなる。

でも他にできることは何もない。

15:39 大津港(おおつこう)駅(常磐線 茨城県)
向かいに座っていたサッカー少年たちが降りた頃、不意に眠りに落ちる。
未だ降りたことのない南中郷を目指していたが、気づくとひとつ先の磯原だった。

当初の計画では追憶の大津港で降りることも計画していた。
オレの中の潜在勢力がここへ導いたのだろう。
ここまで来れば海も見える。

小学生くらいの男児が父親に甘えていた。
あの光景は羨望でもあり救いでもあり、一月前の日曜日までは日常だった。

海鮮居酒屋、焼肉屋、セブンイレブンなどが並ぶ通りをひとめぐりして駅に戻る。
発車時刻よりも早く入線した水戸行きは、特急列車の通過待ちで数分の停車。

海岸には、太平洋を越えて北米大陸に達する風船爆弾を飛ばした跡地がある。

16:40 日立(ひたち)駅(常磐線 茨城県)
生まれ変わった日立駅。
そうなったことは6年前に知っていた。

計画の齟齬は10数年振りにオレをこの駅に近づけた。
世界的電機メーカーの城下町に相応しい造りと、硝子張りの近未来的な駅の造作に打たれた。


荒廃した景観だった海岸側には出口とロータリーが設けられていて、心の支えともいえる女性に送る写真が撮れた。



そこに行く前にローソンでビールと焼鳥を2本購入。
海岸口に下りて、バス停のベンチにどっかり腰を下ろして孤独を楽しみ、噛み締める。
愛しきものと彼女を想い焼鳥をかじる。

風はいつか冷たくなり、肌は「4月の終わりとはこんなもの」と防御体勢をとる。

大丈夫だよ。
ここは海辺だから風を感じるんだ。
次の町じゃ、たぶんそうはならない。

17:12 常陸多賀(ひたちたが)駅(常磐線 茨城県)
開業当時は下孫駅といったらしい。
昭和の初めに多賀町が誕生して、駅名は改められた。
風雨に晒された碑文の判読は困難らしいが、貴重な碑らしい。

かつて20年以上前の早朝、鳴子温泉に向かう途中に寄った駅。
明るい町だと当時感じ、海を見た気でいた。

海は幻だったけど、町はたいしたものだ。
勝田などよりよほど栄えている。

飲食店は充実し、町家を改良したシックなカフェがあり、ボーリング場がある。
町角で思わず立ち止まった。
横断歩道ではたいていの車が一時停車してくれる優しい町だった。

彼女に、今の孤独感をうまく伝えられるかやってみる。

そう言えば目覚めの時に晴れ渡っていた空は、すっかり灰色になっている。

関連記事

「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)

鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】初日(長岡-会津-福島-山形)走行距離388㎞ その1-長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅

車旅日記2005年7月16日 2005・7・16 9:38 長岡駅 MAXトキ307号で北越の街

記事を読む

2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その2-養老渓谷、上総中野、大多喜、国吉、大原(小湊鉄道/いすみ鉄道)

鉄旅日記2018年9月23日・・・養老渓谷駅、上総中野駅、大多喜駅、国吉駅、大原駅(小湊鉄道/いすみ

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その1-越前大野、南今庄、敦賀、武並(越美北線/北陸本線/東海道本線/中央本線)

鉄旅日記2018年10月7日・・・越前大野駅、南今庄駅、敦賀駅、武並駅(越美北線/北陸本線/東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】初日(東京-河口湖-新島々-長野-直江津)その2-三つ峠、塩山、酒折、塩尻、新島々、西松本、松本(富士急行/中央本線/アルピコ交通上高地線)

鉄旅日記2018年2月10日・・・三つ峠駅、塩山駅、酒折駅、塩尻駅、新島々駅、西松本駅、松本駅(富士

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】最終日(観音寺-東京)-観音寺、宇多津、岡山、瀬戸、高槻、山崎、名古屋、豊橋、掛川、熱海、金町(予讃本線/瀬戸大橋線/山陽本線/東海道本線)

鉄旅日記2009年5月6日・・・観音寺駅、宇多津駅、岡山駅、瀬戸駅、高槻駅、山崎駅、名古屋駅、豊橋駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】最終日(飯田-安曇野-木曽-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線)

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その2-武蔵から相模へ】-川口、浦和、深谷、倉賀野、寄居、東飯能、飯能、寒川、茅ヶ崎、辻堂、新橋(京浜東北線/高崎線/八高線/相模線/東海道本線)

鉄旅日記2009年10月27日・・・川口駅、浦和駅、深谷駅、倉賀野駅、寄居駅、東飯能駅、飯能駅、寒川

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】2日目(黒磯-郡山-いわき-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台

車旅日記2006年5月3日 13:26 末続駅(403㎞) 国道から見えたんだ。 こんな素

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】初日(東京-紀伊田辺)その3-周参見、椿、白浜、紀伊田辺(紀勢本線)

鉄旅日記2019年3月2日・・・周参見駅、椿駅、白浜駅、紀伊田辺駅(紀勢本線) 19:12 周参見(

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その3‐多治見、金山、豊橋、御厨(太多線/中央本線/東海道本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・多治見駅、金山駅、豊橋駅、御厨駅(太

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その2‐猪谷、高山、久々野、古井、美濃川合(高山本線/太多線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・猪谷駅、高山駅、久々野駅、古井駅、美

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その5‐府中鵜坂、西富山、速星(高山本線)

鉄旅日記2020年3月21日・・・府中鵜坂駅、西富山駅、速星駅(高山本

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その4‐富山大学前、丸ノ内、南富山駅前、南富山、電鉄富山駅前、富山(富山地方鉄道市内線)

鉄旅日記2020年3月21日・・・富山大学前電停、丸ノ内電停、南富山駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑