*

「車旅日記」1995年秋【恋に病んで・・・西へ。1号国道をひたすら、大阪の友に会いにいく。】その2-東寺、五条大橋、琵琶湖湖岸道路、米原、関ヶ原・・・・-

公開日: : 最終更新日:2025/06/17 旅話, 旅話 1995年

車旅日記1995年11月5日

1996・11・5 9:19 1号国道-東寺
京都乱入。

晴天。

風も穏やか。
心もまた。

五重塔が見える。

音楽はR&Rのボス。

堀川五条を過ぎて右手に京都タワーを見る。

9:30 1号国道-五条大橋
しばし音楽を止めて古都の音を聞く。

山科への坂にかかる。

都会の音には違いないけど、一服の風格あり。

26歳にして初めて見る荘厳なる古都。

幸多し旅と断定する。

10:25 琵琶湖畔
雄大でとても素晴らしい風景に出会っている。
目的はこれで済んだ。

あまり言葉が出てこない。
でもこれでいい。
ここにはオレが接したかった自然があふれている。

予定よりは少し早い。
ここまでの時間経過はオレに好意的だ。
湖上に架かる近江大橋はとても感動的だった。

さあ、帰ろう。
東京へ帰ろう。

11:25 湖岸道路-彦根市内
この旅の最後の思い出になるかな。

水の都に広がるこの湖は素晴らしい。
水もきれいだ。

さっきまでオレの隣では水鳥が数羽休んでいて、やがて湖上に出た。
数分後のオレのようだ。
思いを記したらオレも行く。

関西は友好的だった。
今朝ひとつ悲しいニュースに接したけど、概ね興奮していた。
神戸も元気そうだった。

水の音は心を落ち着かせる。
とても気分がいい。

旅も二度目なら息継ぎの仕方を覚えてくる。
ここらで一眠りもいいけど、ここは先を急いだ方がよさそうだ。
きっとまたどこかであの下らない行列に参加することになるだろうから。

彼女とのことを切実に考える機会は少なかったような気がする。
ひとりじゃなかったから。
友の愛妻は今朝オレに名残を惜しみながら梅田に向かった。

友とは相変わらずだ。
たまにどつき合い、最後に抱き合った。
最高の瞬間だったよ。

彼女や家族への土産は神戸で買ってある。
残すはハイウェイに乗るのみだ。

彼女を愛している。
そんな気がするだけかもしれない。
あまりにも離れてしまった。

悩みを解消したくて車に飛び乗ったけど、答えを導き出せない。
でも構わない。
その結果、こうしてこの素晴らしい場所に出会えた。

去りがたいよ。
風はなく水音が揺れている。
さっきの水鳥が岸に戻ってきた。
きっとオレは邪魔だろう。
待ってな。
すぐに行くから。
そしてまた来るよ。

仮にその時に彼女が横にいるような事態を迎えていたなら、、、そうなっていたら、今の悩みはもう消えているんだな。
名残惜しいもんじゃない。
さっさと消えてくれよ。

12:17 米原駅
ここが分岐点。
北陸と名古屋に道が分かれる。

北陸路は魅力的だ。
でも今日はそっちに行くわけにはいかない。
雪が溶ける頃に行ってみたい。

そんな思いに浸って・・・さあ、帰ろう。
インターチェンジが近い。
さあ、東京へ帰ろう。

12:50 関ヶ原駅
395年前にここで天下分け目の大決戦が行われた。

インターチェンジを通過してオレはまだ中仙道を走っている。
とても気分のいい道だ。
まだしばらく走る。
昭和シェルのGSになかなか出会えないんだ。

土地の人々は親切そうで、名古屋地区のように気持ちを尖らせずに済みそうでほっとしている。

全国の軍団が天下を夢見た決戦場にできた駅は穏やかな晴天の下、静かな人の流れを作っている。

13:13 21号国道-垂井
都市の匂いがしてきた。

そろそろハイウェイを目指そう。

都市には用がない。

13:39 21号国道-岐阜羽島
旅への思いがなかなか尽きない。

まだオレは国道を走り続けている。

木曽川を渡った。

14:39 21号国道-尾西市内
楽しくてたまらない。

国道から離れられずにいる。

ひとりがこんなにもいいものだって思えることはそうはないだろう。
今のオレは孤独という言葉とは無縁だ。

でもこれも春日井までだな。
諦めてハイウェイに乗るよ。

15:10 東名自動車道-東郷PA
ハイウェイに乗ったけど、旅の気持ちは継続している。

富士山が見えればうれしい。

16:43 東名自動車道-日本坂PA
走り続けて、やっぱり疲れを感じてきた。

幸いなのは、今のところ着実にオレを東へ運ぶ道路状況であることだ。

そろそろオレや彼女にとって見覚えのある土地にかかる。

暗くなる前に富士山が見えるように。

それにしても暖かい11月だ。

17:43 東名自動車道-駒門PA
この旅の最終章、東京乱入の段。

行く手は滞っているようだ。

国道に戻るかどうか、あと10Kmでの決断が必要だ。

左肩が痛みを訴えている。

情報を仕入れよう。

帰る心構えを固めよう。

あとしばらくで、この旅も終わる。

18:14 246国道-小山
国道に戻る。

でも、こっちもこの通りの渋滞だ。

この選択は誤っていたかもしれない。

筋金入りの渋滞なんだ。

町田がとても遠く感じる。

都心に向けてこんな山の中から渋滞しているなんて、笑い話にもならないな。

18:36 246国道-小山
東京はどこらあたりで口を閉ざしているのか。

小田原山中で大軍団が東京乱入の機を伺っている。

何のことはない。

他に手段もなく、並んでいるだけだよ。

18:58 246国道-小山
希望を述べられない状況はきつい。

目の前に赤いテールランプが地の果てまで続いている。

こうして山中に押し込められた軍団がそのまま霞ヶ関に向かい、無言の内に建設省を包囲すると面白い。
何らかの要因を連中は負っている。
たまには自覚すべきだ。

マスコミはどうしてこうした事態が引き起こされるのか把握しているのか。
きちんと書いてくれよ。
気が狂いそうだ。

19:57 246国道-松田
びくともしない。

月がとてもきれいだ。

オレには煙草を吸う以外の行為は与えられていない。

お月さま、どうにかしてくれよ。

何でこうなるんだ。

どうしてこんなどうしようもないことだけが予想通りになるんだ。

20:37 246国道-秦野
こんな行列をいつまで続けるつもりなのか。

この先に沢口靖子さんでも待っていてくれて労ってくれるなら我慢もするよ。

でも、どうせいつもの気に食わない街に着くだけじゃないか。

23:20 東京
帰り着いた部屋の留守電に残されていたのは今朝分かれた大阪の友のもの。
三日前に出発した後に寄越してくれたものだった。

彼の声を聞いて安心した。
疲れはてて帰ってきたオレが一番聞きたかった声は彼のものだった。
だから3度再生したよ。

とても遠いけど、いつまでもオレのオアシスでいてほしい。
どうにもできないここ東京で、明日もまた途方に暮れる。
実はそんな日々を送っていたんだ。

友よ、次回もまた元気に会おう。
そんな姿で会えるなら、その時のオレは誇りを失っていないだろう。

彼女に電話して現実に戻った。
コールはなぜか悲しみに包まれ、オレが何をしていたのかを承知している彼女の声は暗かった。

多くを喋りたがらない彼女に今夜は話すべき言葉が見つからない。
しばらく無言の時を数えた。

悲しみが訪れようとオレの想いは変わらないんだ。
それだけ言っておくよ。
サヨナラしかなくてもね。

おやすみ、明日また会おう。

関連記事

「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その2 ‐水戸、羽黒、稲田、福原、友部(水戸線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月6日・・・水戸駅、羽黒駅、稲田駅、福原駅、友部駅(水戸線) 12:57

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その4 ‐鎌倉、久里浜、京急久里浜、衣笠、東逗子(横須賀線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・鎌倉駅、久里浜駅、京急久里浜駅、衣笠駅、東逗子駅(横須賀線)

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南流山駅(武蔵野線)/江戸川堤菜

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 最終日(北上-東京)その2‐新庄、鳴子温泉、小牛田(陸羽東線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月4日・・・新庄駅、鳴子温泉駅、小牛田駅(陸羽東線) 11:19 新庄(しん

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その1 ‐金町、桜木町、関内、新杉田(常磐線/京浜東北・根岸線) 【金沢シーサイドライン、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・金町駅、桜木町駅、関内駅、新杉田駅(常磐線/京浜東北・根岸線)

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋-東金、大網、大原、上総中野、上総牛久、五井(東金線/外房線/いすみ鐡道/小湊鉄道/内房線) 【関東ぶらぶら旅その1-房総鄙の里へ】

鉄旅日記2009年10月22日・・・東金駅、大網駅、大原駅、上総中野駅、上総牛久駅、五井駅(東金線/

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その1‐東京、国府津、小田原、三島(東海道本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月23日・・・東京駅、国府津駅、小田原駅、三島駅(東海道本線) 2020

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その5 ‐逗子、北鎌倉、平塚、国府津(横須賀線/東海道本線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・逗子駅、北鎌倉駅、平塚駅、国府津駅(横須賀線/東海道本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その4 ‐鶴見小野、弁天橋、国道、浜川崎(鶴見線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・鶴見小野駅、弁天橋駅、国道駅、浜川崎駅(鶴見線) 14:45

記事を読む

「車旅日記」2004年秋 最終日(城崎-京都)走行距離256㎞-レイセニット城崎、城崎駅、豊岡駅、久美浜駅、宮津駅、西舞鶴駅、東舞鶴駅、福知山駅、京都駅 【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】

車旅日記2004年11月21日・・・レイセニット城崎、城崎駅、豊岡駅、久美浜駅、宮津駅、西舞鶴駅、東

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

→もっと見る

    PAGE TOP ↑