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「車旅日記」1995年秋【恋に病んで・・・西へ。1号国道をひたすら、大阪の友に会いにいく。】その2-東寺、五条大橋、琵琶湖湖岸道路、米原、関ヶ原・・・・-

公開日: : 最終更新日:2024/06/04 旅話, 旅話 1995年

車旅日記1995年11月5日
1996・11・5 9:19 1号国道-東寺
京都乱入。

晴天。

風も穏やか。
心もまた。

五重塔が見える。

音楽はR&Rのボス。

堀川五条を過ぎて右手に京都タワーを見る。

9:30 1号国道-五条大橋
しばし音楽を止めて古都の音を聞く。

山科への坂にかかる。

都会の音には違いないけど、一服の風格あり。

26歳にして初めて見る荘厳なる古都。

幸多し旅と断定する。

10:25 琵琶湖畔
雄大でとても素晴らしい風景に出会っている。
目的はこれで済んだ。

あまり言葉が出てこない。
でもこれでいい。
ここにはオレが接したかった自然があふれている。

予定よりは少し早い。
ここまでの時間経過はオレに好意的だ。
湖上に架かる近江大橋はとても感動的だった。

さあ、帰ろう。
東京へ帰ろう。

11:25 湖岸道路-彦根市内
この旅の最後の思い出になるかな。

水の都に広がるこの湖は素晴らしい。
水もきれいだ。

さっきまでオレの隣では水鳥が数羽休んでいて、やがて湖上に出た。
数分後のオレのようだ。
思いを記したらオレも行く。

関西は友好的だった。
今朝ひとつ悲しいニュースに接したけど、概ね興奮していた。
神戸も元気そうだった。

水の音は心を落ち着かせる。
とても気分がいい。

旅も二度目なら息継ぎの仕方を覚えてくる。
ここらで一眠りもいいけど、ここは先を急いだ方がよさそうだ。
きっとまたどこかであの下らない行列に参加することになるだろうから。

彼女とのことを切実に考える機会は少なかったような気がする。
ひとりじゃなかったから。
友の愛妻は今朝オレに名残を惜しみながら梅田に向かった。

友とは相変わらずだ。
たまにどつき合い、最後に抱き合った。
最高の瞬間だったよ。

彼女や家族への土産は神戸で買ってある。
残すはハイウェイに乗るのみだ。

彼女を愛している。
そんな気がするだけかもしれない。
あまりにも離れてしまった。

悩みを解消したくて車に飛び乗ったけど、答えを導き出せない。
でも構わない。
その結果、こうしてこの素晴らしい場所に出会えた。

去りがたいよ。
風はなく水音が揺れている。
さっきの水鳥が岸に戻ってきた。
きっとオレは邪魔だろう。
待ってな。
すぐに行くから。
そしてまた来るよ。

仮にその時に彼女が横にいるような事態を迎えていたなら、、、そうなっていたら、今の悩みはもう消えているんだな。
名残惜しいもんじゃない。
さっさと消えてくれよ。

12:17 米原駅
ここが分岐点。
北陸と名古屋に道が分かれる。

北陸路は魅力的だ。
でも今日はそっちに行くわけにはいかない。
雪が溶ける頃に行ってみたい。

そんな思いに浸って・・・さあ、帰ろう。
インターチェンジが近い。
さあ、東京へ帰ろう。

12:50 関ヶ原駅
395年前にここで天下分け目の大決戦が行われた。

インターチェンジを通過してオレはまだ中仙道を走っている。
とても気分のいい道だ。
まだしばらく走る。
昭和シェルのGSになかなか出会えないんだ。

土地の人々は親切そうで、名古屋地区のように気持ちを尖らせずに済みそうでほっとしている。

全国の軍団が天下を夢見た決戦場にできた駅は穏やかな晴天の下、静かな人の流れを作っている。

13:13 21号国道-垂井
都市の匂いがしてきた。

そろそろハイウェイを目指そう。

都市には用がない。

13:39 21号国道-岐阜羽島
旅への思いがなかなか尽きない。

まだオレは国道を走り続けている。

木曽川を渡った。

14:39 21号国道-尾西市内
楽しくてたまらない。

国道から離れられずにいる。

ひとりがこんなにもいいものだって思えることはそうはないだろう。
今のオレは孤独という言葉とは無縁だ。

でもこれも春日井までだな。
諦めてハイウェイに乗るよ。

15:10 東名自動車道-東郷PA
ハイウェイに乗ったけど、旅の気持ちは継続している。

富士山が見えればうれしい。

16:43 東名自動車道-日本坂PA
走り続けて、やっぱり疲れを感じてきた。

幸いなのは、今のところ着実にオレを東へ運ぶ道路状況であることだ。

そろそろオレや彼女にとって見覚えのある土地にかかる。

暗くなる前に富士山が見えるように。

それにしても暖かい11月だ。

17:43 東名自動車道-駒門PA
この旅の最終章、東京乱入の段。

行く手は滞っているようだ。

国道に戻るかどうか、あと10Kmでの決断が必要だ。

左肩が痛みを訴えている。

情報を仕入れよう。

帰る心構えを固めよう。

あとしばらくで、この旅も終わる。

18:14 246国道-小山
国道に戻る。

でも、こっちもこの通りの渋滞だ。

この選択は誤っていたかもしれない。

筋金入りの渋滞なんだ。

町田がとても遠く感じる。

都心に向けてこんな山の中から渋滞しているなんて、笑い話にもならないな。

18:36 246国道-小山
東京はどこらあたりで口を閉ざしているのか。

小田原山中で大軍団が東京乱入の機を伺っている。

何のことはない。

他に手段もなく、並んでいるだけだよ。

18:58 246国道-小山
希望を述べられない状況はきつい。

目の前に赤いテールランプが地の果てまで続いている。

こうして山中に押し込められた軍団がそのまま霞ヶ関に向かい、無言の内に建設省を包囲すると面白い。
何らかの要因を連中は負っている。
たまには自覚すべきだ。

マスコミはどうしてこうした事態が引き起こされるのか把握しているのか。
きちんと書いてくれよ。
気が狂いそうだ。

19:57 246国道-松田
びくともしない。

月がとてもきれいだ。

オレには煙草を吸う以外の行為は与えられていない。

お月さま、どうにかしてくれよ。

何でこうなるんだ。

どうしてこんなどうしようもないことだけが予想通りになるんだ。

20:37 246国道-秦野
こんな行列をいつまで続けるつもりなのか。

この先に沢口靖子さんでも待っていてくれて労ってくれるなら我慢もするよ。

でも、どうせいつもの気に食わない街に着くだけじゃないか。

23:20 東京
帰り着いた部屋の留守電に残されていたのは今朝分かれた大阪の友のもの。
三日前に出発した後に寄越してくれたものだった。

彼の声を聞いて安心した。
疲れはてて帰ってきたオレが一番聞きたかった声は彼のものだった。
だから3度再生したよ。

とても遠いけど、いつまでもオレのオアシスでいてほしい。
どうにもできないここ東京で、明日もまた途方に暮れる。
実はそんな日々を送っていたんだ。

友よ、次回もまた元気に会おう。
そんな姿で会えるなら、その時のオレは誇りを失っていないだろう。

彼女に電話して現実に戻った。
コールはなぜか悲しみに包まれ、オレが何をしていたのかを承知している彼女の声は暗かった。

多くを喋りたがらない彼女に今夜は話すべき言葉が見つからない。
しばらく無言の時を数えた。

悲しみが訪れようとオレの想いは変わらないんだ。
それだけ言っておくよ。
サヨナラしかなくてもね。

おやすみ、明日また会おう。

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