「鉄旅日記」2012年春 その1-新子安、石川町、山手、磯子、根岸、大磯、二宮、鴨宮、早川、根府川、伊東、熱海、函南、東田子の浦(京浜東北線、根岸線、東海道本線、伊東線) 【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】
鉄旅日記2012年3月20日その1・・・新子安駅、石川町駅、山手駅、磯子駅、根岸駅、大磯駅、二宮駅、鴨宮駅、早川駅、根府川駅、伊東駅、熱海駅、函南駅、東田子の浦駅(京浜東北線、根岸線、東海道本線、伊東線)
2012・3・20 5:57 新子安(しんこやす)駅(京浜東北線 神奈川県)
西に向かうことを決めたのはいつだったか。
昨日の天気予報を見た時だっただろうか。
今朝の星空を見た時だったかもしれない。
あるいは池袋ですんなりと山手線に乗れたからだろうか。
どうでもいいな。
つまり今日のオレは富士山を見に行く。
京急線がすぐ脇を走る踏切と廃れた横丁の町、新子安。
高いところからは墓地が見える。
清掃車と工事関係者が朝の町に融合し、京急駅員は大きな欠伸をしていた。

京急新子安(けいきゅうしんこやす)駅(京浜急行線 神奈川県)にて

6:20 石川町(いしかわちょう)駅(根岸線 神奈川県)
元町中華街の外れ。
場末の雰囲気漂う駅前に中華街を示す門が立つ。
うら寂しい。
繁華街は近くない。
ちょっと前に来たよな。
そして美味い中華料理をたらふく食べたんだ。
今までのオレの人生にそんな機会はなく、今そんなふうに変わってきている。
とても幸せなことだ。

6:28 山手(やまて)駅(根岸線 神奈川県)
坂の多い町だ。
本牧を示す表示を見てオレがかつて感じていた横浜が蘇る。
駅を下りると商店街が一直線にたいした賑わいもなく続き、品のよくない男たちが駅への道を辿ってくる。
繁華街はすでに過ぎ去りホームには春の冷たい風が吹いている。
ケータイを持つ手が冷たい。

6:45 根岸(ねぎし)駅(根岸線 神奈川県)
高速の高架と石油タンクを積んだ貨物列車が目に飛び込んでくる。
沿岸工場の煙突から煙が上がり、場末の港に下りていく人の数は多かった。

6:56 磯子(いそご)駅(根岸線 神奈川県)
磯は工業海に変貌し、駅前にはそんな歴史を睥睨するかのような高層団地が建ち並んでいる。
あの風景になってからしばらく経っているようだ。
かつて車で遊んでいた頃の横浜を通ってきた。
今のオレが描く横浜とは違う。
そのズレに戸惑いを覚えていたが、ようやく磯子まで来て納得した。
80年代後半を生きていたオレが、探せばそのあたりにいそうだ。
そんなヤツのことはずっと忘れていたよ。

7:50 大磯(おおいそ)駅(東海道本線 神奈川県)
日本初の海水浴場が開かれた湘南リゾートの空は青く、吹く風は冷たい。
ロングビーチまでは遠く、1号国道から懐かしの湘南国道の方向を見るにとどめ駅へ戻る。
白亜の建物があたりを優しく見せる。
丘から見える海にはいつも心ときめく。

8:09 二宮(にのみや)駅(東海道本線 神奈川県)
栄通りという線路沿いの古い商店街と曽我兄弟の墓がある吾妻山公園、そして二宮海岸。
1号国道は大磯から線路に接近し、海への距離が近くなる。
日常を忘れかけてるところへ得意先からの電話。
旗日8:18。
とても不粋だ。

8:32 鴨宮(かものみや)駅(東海道本線 神奈川県)
車窓から、白くなってもう長いことになる富士山の頂上付近がくっきりと見えだし、駅の高架橋からの眺めもまたいい。
味わいのある北口商店街を歩き、海辺で商ってきた人々を思い、房総とはまた違うなと感慨に耽り、海へと続く南口へ。
だだっ広いロータリーを取り巻くものは僅かで、水場で猫が鳴いていた。

8:52 早川(はやかわ)駅(東海道本線 神奈川県)
雀荘が入っている駅前ビルは廃墟になってどれくらい経つのか。
ここを通る度にあの建物と西湘バイパスの高架をずっと目にしてきた。
あの下は太平洋だったよ。
海沿い国道を上下する車の流れは絶えず、そして今日は完全な晴天だ。
早川で下りられてよかったよ。

9:35 根府川(ねぶかわ)駅(東海道本線 神奈川県)
6分の停車。
この駅に再び下り立つことができてうれしい。
いつでも春を思わせるような駅で、人々の声もどこか華やいでいる。
愛すべき相模路に戻ってきた。
ついでに言うが、東海道各駅停車の旅は熱海までつながった。
つまり東京から熱海まで、すべての駅に降りてきたことになる。


10:10 伊東(いとう)駅(伊東線/伊豆急下田線 静岡県)
仲間と何度も走った道。
ハトヤは今も健在だろうか。
あのあたりのビーチにはオレンジビーチという名称がついている。
湯の花通りにキネマ通り。
大きな鞄を持った旅行者が多く行き交う街並みは文字通り春で、こんな町にきたかったのだと、下りてみてよく分かった。
南風の心地いい春の宵に桜花が舞い、妖しげな灯に揺れる街角。
そんな場所にいたことなどないが、どこかの街でそんな宵を迎えたいと、生きてきた。
伊東にはそんなどこかレトロな街角がありそうだ。
伊東にオレの記録が残されていないことが不思議だ。
伊東線の駅はどれも素敵だった。
次の計画を立てよう。

10:52 熱海(あたみ)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊東線 静岡県)
思い出の街は春の日差しにあふれている。
朝青龍最後の場所をあの寿司屋で眺め、これから始まる暮らしに思いを馳せた。
熱海はいつも人であふれている。
あったかいという感覚を久し振りに思い出したけど、ビールはまだ喉に冷たかったよ。
この街で撮った写真がケータイの待ち受け画面になっている。
しばらく替えるつもりはない。

11:18 函南(かんなみ)駅(東海道本線 静岡県)
熱海を出てトンネルをいくつも潜ると雲雀さえずるせせらぎの国。
駅前には一軒の商店もない。
車窓から見て知ってはいた。
でも他じゃたいして味わうことのできない濃厚な春がここにある。

12:01 東田子の浦(ひがしたごのうら)駅(東海道本線 静岡県)
広大な富士の裾野が見える東海の名勝。
ここにはいくつも思い出がある。
ここに連れだしてあの海を眺め、振り返って富士を仰いだ。
大切な約束を交わしたこともある。
ここにくる機会はもうないと思っていたけど、これがオレと田子の浦の縁。
初めて来た時には他に何人もいたけど、連中はたいして覚えちゃいないだろう。
あの雄大な太平洋。
多くの海岸線に出てみたが、ここが一番。
本当にそう思うよ。
そしてまたオレはここにひとりでやってきた。
寂しい言葉など必要のない境遇を得て、ひとりで会いにやってきたよ。


関連記事
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その2-多気、伊勢神宮外宮、伊勢市、鳥羽、鳥羽マリンターミナル(参宮線/鳥羽市営定期船) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月23日・・・多気駅、伊勢神宮外宮、伊勢市駅、鳥羽駅、鳥羽マリンターミナル(参
-
-
「鉄旅日記」2014年夏 4日目(米子-呉)その2-浜原、粕淵、明塚、石見簗瀬、口羽、宇都井、伊賀和志、三次、矢賀、水尻、かるが浜、呉(三江線/芸備線/呉線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】
鉄旅日記2014年8月16日その2・・・浜原駅、粕淵駅、明塚駅、石見簗瀬駅、口羽駅、宇都井駅、伊賀和
-
-
「鉄旅日記」2016年夏 2日目(弘前-小樽)その1-弘前、蟹田、津軽二股、奥津軽いまべつ、木古内、札苅、桔梗、新函館北斗、大中山(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】
鉄旅日記2016年8月11日・・・弘前駅、蟹田駅、津軽二股駅、奥津軽いまべつ駅、木古内駅、札苅駅、桔
-
-
「車旅日記」2006年皐5日目(青森-安達)その1-駅前ホテルニュー青森館、野辺地駅、三沢駅、十和田市駅、本八戸駅、陸中八木駅、久慈駅、岩泉駅、茂市駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月6日・・・駅前ホテルニュー青森館、野辺地駅、三沢駅、十和田市駅、本八戸駅、陸中
-
-
「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その1 ‐飯坂温泉駅、福島駅(福島交通飯坂線/奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】
鉄旅日記2021年10月10日・・・飯坂温泉駅、福島駅(福島交通飯坂線/奥羽本線) 2021
-
-
2018年初秋 初日(東京-桑名)その4-新瀬戸、瀬戸市、高蔵寺、新守山、勝川、枇杷島、蟹江、桑名(愛知環状鉄道/中央本線/東海交通事業常北線/東海道本線/関西本線) 【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】
鉄旅日記2018年9月15日・・・新瀬戸駅、瀬戸市駅、高蔵寺駅、新守山駅、勝川駅、枇杷島駅、蟹江駅、
-
-
「鉄旅日記」2021年春 最終日(松本-東京)その2 ‐神城、千国、南小谷、小滝(大糸線)【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】
鉄旅日記2021年4月25日・・・神城駅、千国駅、南小谷駅、小滝駅(大糸線) 7:53 神城
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その3‐米原、京都、梅小路京都西、丹波口、花園(東海道本線/山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月23日・・・米原駅、京都駅、梅小路京都西駅、丹波口駅、花園駅(東海道本線/山
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その2-富士宮、身延、鰍沢口、市川大門、南甲府、石和温泉、山梨市、塩山、甲斐大和、四方津、梁川、上野原、国分寺、武蔵境(身延線、中央本線) 【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】
鉄旅日記2012年3月20日その2・・・富士宮駅、身延駅、鰍沢口駅、市川大門駅、南甲府駅、石和温泉駅
-
-
「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その1 ‐常陸大子、磐城棚倉、東館(水郡線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】
鉄旅日記2022年2月6日・・・常陸大子駅、磐城棚倉駅、東館駅(水郡線) 2022・2・6&
