「鉄旅日記」2017年冬【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】最終日(喜多方-会津若松-会津高原尾瀬口-下今市-東京)その3-鬼怒川温泉、東武ワールドスクウェア、上今市、今市、下今市、南栗橋(野岩鉄道/東武鬼怒川線/東武日光線)
鉄旅日記2017年12月3日
15:13 鬼怒川温泉(きぬがわおんせん)駅(東武鬼怒川線 栃木県)
野岩国境の車窓風景に惹かれている。
鬼怒川温泉駅に降り立つ。
かつての夢の跡。
ホテル廃墟。
そうしたものに目がいく。
でもわずかなものだ。
目をつぶればいい。
そうしたら駅前風景は華やいで見える。
人々の表情は柔らかく、外国人観光客の姿もある。
草野球の忘年会をここの温泉場でやったのが3年前。
以来、忘年会すら行わなくなってしまった。
世は無常。
しかし、これでいい。
野球は続いている。
今年最後のゲームは台東区3部リーグ決勝戦。
5回終了時に0×0で、1アウト満塁からのタイブレーク制延長戦に突入。
惜しくも破れた。
15:41 東武ワールドスクウェア(とうぶわーるどすくえぇあ)駅(東武鬼怒川線 栃木県)
今年この施設前に新駅が誕生したことを知った。
降りてみよう。
次のが来るまで40分。
ビールでも買って、買い置きのパンを食べようかと思っていた。
降りたら、コンビニなどない。
コンビニが撤退した後、建物をそのままに陶芸教室として流用したものならあった。
遊園地前の立地でその様じゃ普段の客入りが知れる。
ここには、社員旅行で湯西川温泉に泊まった帰りに寄った。
世界の有名建造物のミニチュアが見られるテーマパーク。
感嘆はするが、個人的には1時間もいれば十分だった。
案の定、広場は閑散としている。
でもオレには都合がよかった。
ホットココアを買ってベンチに陣どる。
まるで春の陽気。
少しも寒くない。
今朝の会津が数日前のことのように思える。
ただでさえ、一日の内にいくつもの町を後にしていくことは、数日を生きるのに等しく思える。
寒い鬼怒川とはいえ、もう関東に帰ってきたんだな。
ゆっくりとパンをかじる。
家族連れや恋人同士が楽しそうにしている中、そんなふうにひとりでいる中年男など他にいない。
我ながら笑える。
さすがにオレとて、ひとり身のままだったらこんなところに入り込んだりしない。
16:27 上今市(かみいまいち)駅(東武日光線 栃木県)
この旅の最後は今市で。
水車が置かれた駅前。
日光の山々に雪は確認できない。
脇の杉並木公園は、江戸時代に日光東照宮に立ち寄った朝鮮通信使をもてなした客館の跡だという。
日光には様々な歴史がある。
そして手前の今市にも風情が生きている。
街中へ歩いていく。
16:51 今市(いまいち)駅(日光線 栃木県)
日光への最後の宿場町今市。
通ってきた道筋には由緒を持つ旅館などがあり、どことなく気品に満ちた静けさをまとっている。
今市のような地方都市で、元気な若者の姿を見るのが好きだ。
きっと彼等がこれからうまいことやっていくだろう。
今夜こそ満月か。
下今市上空に大きな姿を見せていた。
日光の山々はじきに夜に溶ける。
17:27 下今市(しもいまいち)駅(東武日光線/東武鬼怒川線 栃木県)
SLが到着した1時間前。
ターミナル駅としての雰囲気を濃厚に持つ。
昨日は駅弁売りのオジサンに気づかなかったけど、ご健在だろうか。
これから4番線に会津田島行が入る。
もう一度乗って会津に戻りたいよ。
夕暮れから夜へと変わった今市。
暖かかった一日の余韻も消え、冷気が下りてきて、入線を待つ人々が体を震わせている。
たいていが東京に向かうのだろう。
浅草行き特急の指定席は売り切れている。
それぞれの旅の終わり。
会津も日光も天気もよく、素晴らしい週末だった。
19:04 南栗橋(みなみくりはし)駅(東武日光線 埼玉県)
下今市を出ると夜の世界。
目を向けたくなるような外からの明かりはない。
行きに旅情を愛でた新鹿沼を見たかったけど、夜の姿は確認できなかった。
栃木には明かりがある。
一度徒歩で訪ねた新大平下には、規模の大きなクリスマス・イルミネーションが光っていた。
板倉東洋大前は群馬県になる。
この路線中に群馬県が存在することは驚きだった。
栗橋の手前で大河利根川を渡る。
スピードを落として大きく迂回するように堤を上がる風景には、行きに圧倒された。
また来たいと思った。
利根川の橋上、闇から近づいてくる反対列車はまさしく銀河鉄道のようだった。
かつて金町に暮らし、夜にジョギングに出かけて、江戸川堤に向けて走る常磐線も闇に浮かんでいるように見えたものだ。
常磐線は10両とか15両編成で、くねるような様は巨大な竜のようにも見えた。
とりわけオレがロマンチックなわけじゃない。
みんな行きの話になるが、南栗橋には広大な車両基地がある。
日光方面に向かう列車に乗ると、たいていここで乗り換えを強いられる。
ホームから眺めた駅前は、一軒の飲み屋を除いて何もなかった。
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