*

「鉄旅日記」2009年秋 5日目(松浦-若松)その2-宇美、西戸崎、香椎、福間、赤間、折尾、若松(鹿児島本線/香椎線/筑豊本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年9月22日・・・宇美駅、西戸崎駅、香椎駅、福間駅、赤間駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本線/香椎線/筑豊本線)

15:27 宇美(うみ)駅(香椎線 福岡県)
鹿児島本線で香椎へ。
そして香椎線に乗り換えて終着駅へ。

宇美八幡宮が近くにある。
駅舎は、有名な神社を持つ町だけが許される朱色をしている。

宮脇俊三さんの本で、かつて吉塚駅から分岐する勝田線という炭鉱線が走っていて、宇美にも駅を持ち、香椎線の宇美駅とは離れた場所にあったと知り、さらに崩れかけたボタ山があったと記してあったことから、廃線跡を探し歩いたけど、見当たらない。

廃線になったのはもう20年も前。
やっぱりないか。
筑豊にすらボタ山は残っていない。

そうこうしているうちに時間がきた。
折り返しの列車に乗る。

沿線から博多の匂いは消えて、平凡な車窓風景を眺めている。

16:47 西戸崎(さいとざき)駅(香椎線 福岡県)
海の中道を往く香椎線のもう一方の終着駅。
こじんまりとした素敵な終着駅だ。

海の中道は、志賀島橋で「委奴国王印」が発見された志賀島とつながっている。
元寇の際には、博多から海の中道が戦場となり、志賀島には蒙古塚がある。

折り返しの列車に乗って、次の海ノ中道駅に着くと、そこは海浜公園になっていて大勢が乗り込んできた。

博多湾から玄界灘に目を移し、砂丘を眺める。
あたりの景観はまるで違うが、オホーツクのサロマ湖を思い出していた。

海の中道にて。

17:33 香椎(かしい)駅(鹿児島本線/香椎線 福岡県)
降り止まない雨をはじめ、なかなか気分の乗らない一日だったが、西戸崎あたりから持ち直す。

ターミナル駅の香椎で降りる。
松本清張さんの「点と線」の殺人現場として登場する町だ。
その現場は西鉄貝塚線を越えた、さらに先の海辺になる。

線路沿いのうらびれたあたりが、当時の雰囲気を残しているだろうか。
スナックが何軒か入っている古錆びた雑居ビルのあたり。

もう少し歩くと町を流れる小さな川に行き当たる。
そこで引き返した。

17:54 福間(ふくま)駅(鹿児島本線 福岡県)
再び鹿児島本線に乗り、以前から気になっていた福間駅に降りる。

気になっていた理由は、ホームに立つ「宮地嶽神社参拝」と書かれた駅灯。
なぜかオレはあの駅灯に九州を感じていた。

「駅そば」があり、駅前は車通りも多く賑わっている。
車窓から玄界灘は見えないが、漁港や海水浴場を持つらしい。

慌ただしく次の列車で町を離れる。

18:33 赤間(あかま)駅(鹿児島本線 福岡県)
ここは宗像市という。
駅前を流れる釣川まで歩く。

これといって特徴のない駅前ロータリーには居酒屋が1軒。
北口にはステーション・ホテルが見える。
駅には大勢の人がいて、人が集まる場所に相応しい明るさを持っていた。

この駅にも「駅そば」があり、思わず寄る。
笑顔のかわいいおばちゃん。

かしわ入りそば350円。
とても美味しかった。

19:23 折尾(おりお)駅(鹿児島本線/筑豊本線 福岡県)
折尾的なものを欲していた。
降りてみてよく分かった。

鉄道と共に生きている町だ。
鹿児島本線から直接筑豊本線に乗り入れる列車専用の駅舎を別に持つ、明治大正ロマンを連想させる歴史的な駅舎。
交差する複雑な駅構内。
「かしわめし」を売る駅弁売りが現れるのは、どのホームなのか。

町に出るとスナックの看板が目につく。
堀川運河に沿って古くさい酒場が軒を連ねている。

小便臭い路地やガード下。
昔はどこもこんなだった。
大人の男が強い存在であった時代は、どこもあんな臭いがした。

折尾はまだそんな町なのだろう。
炭鉱全盛時の筑豊の匂いまで嗅いだ気がしたよ。

ここ40年、50年くらいのすべての空気をまとった歴史的な交差点だった。

22:58 ルートイン北九州若松701号
筑豊炭田の終着駅若松。

駅前はひっそりとしていた。
少なくとも折尾の活気は持たなかった。

駅前に海鮮居酒屋があった。
町を歩いてめぼしい店を見つけることができなかったら、あそこに行こうか。

歩き出す。
若戸大橋を見に行く。

洞海湾に架かるこの橋は、巨大大橋のはしりだと、後で入った「陣太鼓」のご主人から聞くことになる。
少なくとも30年前には、あの橋はすでにあったという。

戸畑の明かりを見ていた。
橋にかけたい願いがあった。

居酒屋、スナックビル、のれん街。
若松を知った気にはなれた。
タクシーが止まっているあたりにきれいな灯が見えた。
覗いてみると、駅の案内板にその存在が記されていた「陣太鼓」というおでん酒場だった。
筑豊言葉が飛び交う店で、佐賀の夜で経験したのと同じく、旅の最中にこんな場所にいたいと心から思える場所だった。

若松は30年前が最盛期だった。

筑豊炭田で掘られた黒い宝石が次々に若松に運び込まれ、炭鉱景気に沸いた町を人々が行き交い、キャバレー、クラブが至る所で客を呼び、洞海湾には外国船が列をなして、まさに不夜城のようだった。
その半面、新日鐵をはじめとした対岸の製鉄所が流す煙で町は曇り、異臭が漂い、冷房のない時代だったこともあって夏は苦労した。

そんな話をご主人から伺った。

そして現在、筑豊と北九州工業地帯が斜陽になれば、若松は当然のように影響を被る。
公害はなくなったが、景気は下がりっぱなしだと、ご主人は切なげに笑う。
何がいいのか悪いのかと。

北九州の全盛期の頃を知りたかった。
筑豊にはなく、若松にもない。
小倉にもないだろう。

政令指定都市北九州の人口は今じゃ100万人を切っている。
そんな若松で入った店で流れていた演歌は、「きっとくるくる、男の夜明け・・・」。

「お互い元気でいましょう」と言い合って、ご主人とは別れた。

店の脇に、猫の名がつけられたスナックがあった。
行きに通り過ぎる際に美しいママと目が合った。
気にはなった。

そして帰る際、EGO-WRAPPIN’の楽曲「満ち汐のロマンス」の美しく透き通ったメロディがその店から聞こえてきて、思わず立ち止まった。

東京に帰ったら、思いを伝えられるだろうか。
町にはチャルメラの音が聞こえていた。

若戸大橋のたもとにて。

関連記事

「車旅日記」2006年初夏 2日目(岐阜-近江八幡) その1-東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅、四日市駅、鈴鹿サーキット稲生駅 【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】

車旅日記2006年7月16日・・・東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 最終日(多治見-東京)その2-中津川、坂下、落合川、南木曽、十二兼、洗馬、塩尻(中央本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月24日・・・中津川駅、坂下駅、落合川駅、南木曽駅、十二兼駅、洗馬駅、塩尻駅(中

記事を読む

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その3 ‐野里、香呂、仁豊野、溝口、鶴居、寺前(播但線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月14日・・・野里駅、香呂駅、仁豊野駅、溝口駅、鶴居駅、寺前駅(播但線)

記事を読む

「車旅日記」1997年1月【空しい日々を振り払い、28年目の人生もまた旅。そんな年頭の姿でございます。】-町田、愛甲石田駅、御殿場駅、岩波駅、熱海駅、西湘パーキング、奈良北

車旅日記1997年1月4日 1997・1・4 1:01 東京町田 明かりをつけた部屋にストーンズの

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 最終日(安達-東京葛飾)-あだち、二本松駅、磐城石川駅、はなわ、常陸太田駅、大洗駅、潮来駅、十二橋駅、佐原駅、東京葛飾【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月7日・・・道の駅あだち、二本松駅、磐城石川駅、道の駅はなわ、常陸太田駅、大洗駅

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その4 ‐鶴見小野、弁天橋、国道、浜川崎(鶴見線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・鶴見小野駅、弁天橋駅、国道駅、浜川崎駅(鶴見線) 14:45

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その2-新清水、静岡、草薙、興津、裾野、御殿場、駿河小山、国府津、逗子、横須賀、田浦、新川崎(東海道本線、静岡鉄道、御殿場線、横須賀線) 【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】

鉄旅日記2012年4月8日その2・・・新清水駅、静岡駅、草薙駅、興津駅、裾野駅、御殿場駅、駿河小山駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 初日(東京-飯田)その2-野田城、長篠城、大海、三河大野、浦川、門島、桜町、飯田(飯田線) 【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月7日・・・野田城駅、長篠城駅、大海駅、三河大野駅、浦川駅、門島駅、桜町駅、飯田

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・柏原駅、道明寺駅、河内長野駅、古市駅、畝傍御陵前駅、田原本駅、西田

記事を読む

「鉄旅日記」2018年エイプリルフール その2-猪苗代、磐梯町、安子ヶ島、磐梯熱海、郡山(磐越西線) 【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】

鉄旅日記2018年4月1日・・・猪苗代駅、磐梯町駅、安子ヶ島駅、磐梯熱海駅、郡山駅(磐越西線) 1

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その4 ‐新井、和田山、下夜久野、上川口、石原(播但線/山陰本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2025年8月14日・・・新井駅、和田山駅、下夜久野駅、上川

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その3 ‐野里、香呂、仁豊野、溝口、鶴居、寺前(播但線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月14日・・・野里駅、香呂駅、仁豊野駅、溝口駅、

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その2 ‐法界院、野々口、津山、佐用、播磨新宮、姫路(津山線/姫新線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

2022年8月14日・・・法界院駅、野々口駅、津山線、佐用駅、播磨新

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その1 ‐高松、鬼無、坂出、岡山(予讃本線/本四備讃線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月14日・・・高松駅、鬼無駅、坂出駅、岡山駅(予

「鉄旅日記」2022年盛夏 3日目-友と過ごす一日をFacebookへの投稿より振り返ります ‐東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片原町駅、三津浜駅、梅津寺駅、高浜駅、龍神社、三津駅【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月13日・・・東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片

→もっと見る

    PAGE TOP ↑