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「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】3日目(南宮崎-隼人)その1-南宮崎、伊比井、北郷、飫肥、日向大束、志布志、油津、日南、木花、田吉、宮崎空港(日南線、宮崎空港線)

公開日: : 最終更新日:2020/08/29 旅話 2013年

鉄旅日記2013年8月12日その1
2013・8・12 5:30 南宮崎(みなみみやざき)駅(日豊本線/日南線/宮崎空港線 宮崎県)
南国の夜が明けた。

今日も暑くなる。
すでに暑い。
列島もまた暑くなる。
昨日も一昨日も同じ場所で40度を記録している。

これから追憶の日南海岸へ。

ここ宮崎には数時間後に戻る。

6:30 伊比井(いびい)駅(日南線 宮崎県)
10数分の停車。

曲がりくねる民家の小径で懐かしい田舎の匂いを嗅いだよ。
オレにとっては夏の匂いでもある。
いつでも晴れていた。
本当はそうじゃなかったのかもしれないけど、こうして蝉の声を聞いて遠い昔を思い出せば、世界はいつも晴れている。

そう、夏の日はいつだって。

遊泳禁止の海岸では二人の波乗りが手並みを競っていた。
こんなに朝早くから。
好きなんだな本当に。


6:50 北郷(きたごう)駅(日南線 宮崎県)
数分の停車。

きれいなログハウス風の駅舎内に、かつてこの駅のホームで撮影された写真が青春18きっぷのポスターとして貼られていた。
志布志串間方面、宮崎青島方面と記された案内板がぶら下がる柱に、少女がもたれている絵柄だ。
どこかで見たことがあると思わせるポスターだった。

日南線。
やけに郷愁を誘う線だ。

7:06 飫肥(おび)駅(日南線 宮崎県)
数分の停車。

日南の小京都を謳う街。
駅から1.5キロ地点にある城跡は観光名所で、とてもいいところらしい。
以前「男はつらいよ」で見た。
朝の連続テレビ小説の舞台にもなったらしい。

今回の旅を計画する際にオレのイメージの中にも駅周辺の涼しげな姿があった。
でも、ビジネスホテル、カラオケ喫茶「昭和歌謡」だけの駅前風景は面白みに欠けるものだった。

学生の頃に飫肥という男と出会っているが、どの時代であったのかは覚えていない。
もはや顔の記憶も定かではない。

8:03 日向大束(ひゅうがおおつか)駅(日南線 宮崎県)
数分の停車。

女子高生の一団をひとりの父親が車で迎えにきている。
スミマセンと乗り込む彼女たち。
あれくらいの年頃の子供たちが作り出す風景はステキだ。

そんな些細なひととき。

8:58 志布志(しぶし)駅(日南線 鹿児島県)
とうとうこの夏の終着駅へ。
ここも再訪ということになる。

町並みを思い出しながら歩いた。
何もない町だと思い込んでいた。
簡素な駅舎に人気のない通り。
そんなように記憶していたよ。

でも歩いてみて驚いた。
ホテルでは家族が朝食を楽しむ姿があり、銀座街という立派な歓楽街もあって、「自衛官歓迎」とある。
隣町の鹿屋に基地がある筈だ。

国鉄時代にはここからその鹿屋を通り、桜島を目の前に見て日豊本線国分駅へと至る大隅線と、同じく日豊本線西都城駅へと至る志布志線が走っていたことを後に知った。
その当時、ここは終着駅じゃなかったのだ。

廃れた終着駅から日南線に乗って、世界へと旅立つ若者を応援する気持ちを日記に記したのが、もう9年前だ。
その9年後にオレが見た志布志は駅も町も発展していた。
逆は数多くあるが、地方都市を巡る中で滅多に見かけることのない例に接して心躍ったよ。

ここから宮崎市内に戻る。


10:12 油津(あぶらつ)駅(日南線 宮崎県)
数分の停車。

再訪地が続く。
「男はつらいよ」第45作で車寅次郎が床屋の女性に恋をして、しばらく滞在した町だ。
この町のどこかにあの水辺がある。

元気なアロハ姿の駅員が迎えてくれた9年前。
あの日は今日より多少賑わっていた。

友人Kは鉄道員をしていた父親の関係でこの町で暮らしていた時期があったと話してくれた。

10:42 日南(にちなん)駅(日南線 宮崎県)
この駅では列車の行き違いはできない。
下りの線路が剥がされていた。

駅名のとおり日南線の中心駅だが、天正遣欧少年使節の一員として戦国時代にヨーロッパに渡った伊東マンショの銅像以外に駅周辺に見るべきものはなく、コンビニもなく、地図を見たら名所旧跡は両隣の油津に集中している。
「男はつらいよ」のロケ地も載っていた。

外に出た。
本当に暑いな。

寺原投手を擁する日南学園が甲子園の話題をさらってから幾年か過ぎた。
プロに入った彼はホークス、ベイスターズ、バファローズそしてホークスと多彩な野球人生を送っている。

食事はリンガーハットで。
東京でも食べられるけど、東京じゃ食べないから、これでいい。

あの煙突は王子製紙のものか。

12:35 木花(きばな)駅(日南線 宮崎県)
数分の停車。

宮崎市内に戻ってきた。
大方眠っていたけど、日南から1時間。
沿線はすっかり住宅街に変わり、ごみごみとした印象を受ける。

伊比井で接した住宅街の風景とも違う。
昔の家には現代家屋にはない知恵が潜んでいるのだろう。
それになにより涼しげだ。

ともあれ宮崎空港が見える以外はすっかりつまらない風景になった。
駅舎はかわいらしかったけど、駅前は困り果てるまでに狭かった。

12:51 田吉(たよし)駅(日南線/宮崎空港線 宮崎県)
あぁいい風だ。
こんなに周りが広ければ、風が吹けば涼しいだろう。

駅から空港滑走路が見える。
一機が離陸体制に入り、どこかへ飛び立った。
羽田か。
関空か。
新千歳か。

宮崎の空はどこにつながっているのだろう。

しかし、志布志でも日南でも、ここ田吉でも。
オレにビールを売ってくれる店はなかったよ。

13:09 宮崎空港(みやざきくうこう)駅(宮崎空港線 宮崎県)
田吉での出発間際、どこかの空からかやってきた小型機が着陸した。
臨場感たっぷりの航空ショーだったよ。

真夏の空の下、空の玄関口はとても賑わっている。
その一角を占める南国の空港駅は、他の空港駅のように空港建物の一部分などではなく、駅として独立している訪ねがいのある駅で、真新しさを思わせる。

駅に乗り入れると車両もゴージャスなものだった。
その列車がさっき降りたとても小さな田吉駅に停車するのは、どこかおかしみのある風景だった。

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