「鉄旅日記」2018年神無月 2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その1-越前大野、南今庄、敦賀、武並(越美北線/北陸本線/東海道本線/中央本線) 【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】
鉄旅日記2018年10月7日・・・越前大野駅、南今庄駅、敦賀駅、武並駅(越美北線/北陸本線/東海道本線/中央本線)
2018・10・7 6:40 越前大野(えちぜんおおの)駅(越美北線 福井県)
薄暮に着いた町。
焼けるような夕焼けが覆っていた。
越前大野城へ向かう。
町中を歩く者はなく、視線を向けた観光通りの灯はあたたかい。
麓から山上へは約10分。
暗い中を登っていく。
カモシカを見かけたら近づくなとの警告を目にする。
後で友に聞いた話じゃ熊も出るらしい。
町の灯はわずかで夜景と呼ぶには心許ない。
七間通りを旅館へと向かった。
大きな構えの阿さひ旅館。
旅館とはいいものだと思う。

友人は少しこけて歯を悪くしていたが、精悍な面構えに変わりなく、「格好いいじゃん」と伝える。
オレが彼に言いたかったこと。
オレはアンタの下で仕事をしていた時が一番楽しくて、一番オレらしかった。
がっちりと握手をして別れた。
今生で会えるのは、もしかしたらこれきりかもしれない。
そんな思いがあるにはあったが、忘れていたよ。
そしてそんなことを思う必要もなかった。
本当の友達なら、またきっと会えるさ。
睡眠時に一匹の蚊に悩まされて、よくは眠れなかった。
外では雨の音が聞こえていた。
駅に向かう道も雨に濡れていた。





水戸天狗党が破滅への道をたどった大野から敦賀への道。
仕方がないが、眠たげにその道を往く。
8:50 南今庄(みなみいまじょう)駅(北陸本線 福井県)
越美北線では眠りこけていて、越前花堂で降りるつもりが目覚めると福井で、乗り換えに走る。
眠りは覚めず、ここまでボンヤリときた。
何度も通りすぎてきた駅で、何もないことは分かっていた。
でも昨日の湯尾での感動があったように、実際には降りてみないと分からない。
雲が湧く悠久とも言える景色を前にして、北陸を旅している事実を感じた。



そしてオレの旅は、とうとうこんな駅に降りるまでに満ちてきた。
これで敦賀~福井のすべての駅に降りたことになる。
9:19 敦賀(つるが)駅(北陸本線/小浜線/湖西線 福井県)
改良を重ねてきた敦賀駅。
一応の完結を見たかとも思ったが、まだ新幹線開通による改良が施されることになる。
オレは何代にわたる駅を見てきたことになるのだろう。



敦賀気比がセンバツで全国制覇を果たし、敦賀を港として発展させた大谷吉継が街のシンボルとして登場した敦賀。
地図では敦賀港に向けて貨物線が延びていて、歩いたら面白そうな街区が描かれていた。
かつての恋人と両親への挨拶に下りたのは27年前。
ちょうど今くらいの季節だったか。
久し振りに思い出した。
でももう過去を引き合いにした感慨はさして浮かばず、いつかこの街に泊まる旅を計画しようと思い始めている。
13:43 武並(たけなみ)駅(中央本線 岐阜県)
近江塩津10:05(接続26分)、米原11:00(接続18分)、大垣11:41(接続9分)、名古屋12:24(接続11分)。
この間に角ハイボールを3本飲み、多くを居眠りして過ごした時間。
勿体ないとも言えるが、贅沢とも言える時間。
関ヶ原あたりから晴れだした空は、岐阜県内に入って真夏のような日差しを寄越し、浮かぶ雲もまた夏を思わせる。
今日も台風一過と言えるのか。
10月1日の東京は真夏日だった。
多治見を中心として暑さのメッカとも言える一帯は、おそらく今日真夏日を迎えたことだろう。
小さな喫茶店は今日は休みで、駅前旅館は営業をしている。


関連記事
-
-
「鉄旅日記」2017年冬 初日(東京-会津若松)その3-七日市、塩川、姥堂、会津若松(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城 【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】
鉄旅日記2017年12月2日・・・七日市駅、塩川駅、姥堂駅、会津若松駅(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その2-西藤原、あすなろう四日市、内部、日永、西日野、泊、南四日市(三岐鉄道三岐線/四日市あすなろう鉄道内部線/四日市あすなろう鉄道八王子線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月22日・・・西藤原駅、あすなろう四日市駅、内部駅、日永駅、西日野駅、泊駅、南
-
-
「鉄旅日記」2022年新春 最終日(三沢-東京)その2 ‐一ノ関、松山町、鹿島台、仙台(東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】
鉄旅日記2022年1月10日・・・一ノ関駅、松山町駅、鹿島台駅、仙台駅(東北本線) 11:5
-
-
「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その4 ‐福島、卸町、東福島、桑折、飯坂温泉(阿武隈急行/東北本線/福島交通飯坂線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】
鉄旅日記2021年10月9日・・・福島駅、卸町駅、東福島駅、桑折駅、飯坂温泉駅(阿武隈急行/東北本
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その1‐東京、国府津、小田原、三島(東海道本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月23日・・・東京駅、国府津駅、小田原駅、三島駅(東海道本線) 2020
-
-
「車旅日記」1998年夏 最終日(鳴子温泉-高畠ー郡山-東京)-鳴子サンハイツ、潟沼、瀬見駅、道の駅むらやま、羽前中山駅、高畠、道の駅七ヶ宿、道の駅安達、郡山文化センター前、須賀川駅、西那須野三島セブンイレブン、与板ラーメンとん太、築地電通前、東京町田 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】
車旅日記1998年8月14日 1998・8・16 8:26 鳴子サンハイツ 5日目。 一番遅い出発
-
-
「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その5 ‐青森、三沢(青い森鉄道)/ホテル天水 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】
鉄旅日記2022年1月9日・・・青森駅、三沢駅(青い森鉄道)/ホテル天水 17:17&nbs
-
-
「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】3日目(函館-鹿角花輪)-函館、木古内、湯ノ岱、江差、津軽新城、川部、深浦、能代、東能代、十和田南(江差線/津軽海峡線/奥羽本線/五能線/花輪線)
鉄旅日記2011年8月15日・・・函館駅、木古内駅、湯ノ岱駅、江差駅、津軽新城駅、川部駅、深浦駅、能
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その4‐二条、大宮、四条大宮、北野白梅町、帷子ノ辻(山陰本線/京福電鉄嵐山本線/京福電鉄北野線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月26日・・・二条駅、大宮駅、四条大宮駅、北野白梅町駅、帷子ノ辻駅(山陰本線/
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 4日目(佐賀-松浦)その2-大村、竹松、早岐、佐世保、佐世保中央、中佐世保、左石、佐々、たびら平戸口、松浦(大村線/佐世保線/松浦鉄道) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月21日・・・大村駅、竹松駅、早岐駅、佐世保駅、佐世保中央駅、中佐世保駅、左石駅
