*

「鉄旅日記」2016年春 最終日(水沢-東京)その1-水沢、花巻、遠野、陸中大橋、小佐野、釜石、恋し浜、盛(東北本線、釜石線、三陸鉄道南リアス線) 【東日本大震災被災地へ】

公開日: : 最終更新日:2025/05/29 旅話, 旅話 2016年

鉄旅日記2016年3月6日その1・・・水沢駅、花巻駅、遠野駅、陸中大橋駅、小佐野駅、釜石駅、恋し浜駅、盛駅(東北本線、釜石線、三陸鉄道南リアス線)

2016・3・6 6:03 水沢(みずさわ)駅(東北本線 岩手県)
水沢が生んだ偉人後藤新平、高野長英。
街を代々治めていたのは伊達の一門にも連なった留守家だという。
岩手県も伊達氏ゆかりの地だったとは知らなかった。

大手通を歩く。
レトロな灯に点されて江戸の文化が浮かび上がる。

駅から文化地区に向けて大通りが延び、メイプルまでは両側ともアーケードが続き、平行して歓楽街が同じように長く延びている。

街の大きさに驚き、文化の街角でふいに幸せな情景を浮かべて微笑んだ。

霧雨の中、幸せな朝が訪れていた。

水沢の街並み




6:44 花巻(はなまき)駅(東北本線/釜石線 岩手県)
霧雨は体に感じるほどになってきた。

一帯から雪は消えつつある。
再び通る2週間後には、もうどこにも残っていないだろう。

ここ花巻にしかない特徴的な三角形の駅は5年前と変わらず清潔そうで、薄暗い待合室にひとり待つ和装のご婦人のシルエットが美しく、「駅そば」はまだ営業をはじめていなかった。

8:02 遠野(とおの)駅(釜石線 岩手県)
この街に初めて来たのはもう20年も前のことだ。
その時は友人たちと。
楽しい旅行だった。

次はひとりで。
駅前広場のビヤガーデンで、やがて出会う恋人を想い、気持よくジョッキを重ねた。
BGMはサザンだったな。

駅はたぶん変わっていないのだろう。

線路沿いのスナック街には初めて足を踏み入れた。
あの小路の名前を示す電飾看板は枠を残すのみとなっていて、カラスの鳴き声が似合う退廃的ムードを醸していた。

駅前通りはやがてドンツキになって、右に行けばかつてひとりで泊まった旅館がある筈だ。

とてもレトロな雰囲気が漂う民話と鉄道の街だ。

釜石線各駅には「宮沢賢治語」の副名がついている。
こんな山の中にいて、たいした想像力だと真から思う。
ただ「銀河鉄道の夜」をはじめ、彼の作品はオレにはかなり難解だった。

今朝通り過ぎてきた沿線の町を想う。
白鳥池がある小山田。
盆地の土沢は結構大きな町だった。

景色がだいぶ白くなった。
深くはないが雪が残っている。

遠野駅前風景


車窓風景

8:43 陸中大橋(りくちゅうおおはし)駅(釜石線 岩手県)
下界を見下ろす高所を走っていた。
その下界にはオレの地図にはない線路が敷かれていた。

釜石の鉱山専用線かと思ったていたら、それはこれから通って行く線路だった。
この駅を中心にして大きく鋭角的なループを描いている。

客の疎らな赤字路線だが、あんな場所に線路を敷いていった先人の苦労を想えば、鉄道文化を継承していく意味はとても深い。

さっき通ってきた線路が赤い鉄橋と共に現れ、また消えた。
不思議なものを見ている気になる。

駅に着く頃にはほとんど雪は消えていた。
ここで数分の停車。

いま薄日が差して、里に春が近いことを予感させている。

9:05 小佐野(こさの)駅(釜石線 岩手県)
この駅は宮沢賢治語で「緑の風」。

釜石が近い。
雪はなく、ここには駅員の姿がある。

街は「21世紀枠」での「センバツ」出場を果たした釜石高校の健闘を願っている。

野球場には仮設住宅が並んでいた。

9:16 釜石(かまいし)駅(釜石線/山田線/三陸鉄道南リアス線 岩手県)
駅前の新日鉄の工場から盛大に煙が上がっている。

ラグビーW杯では、この鉄の街に世界がやってくる。

駅は新しくなっていて、三陸線はイオンタウンと謳っている。

震災の半年後に釜石への旅を思い立ってあるホテルに電話を入れたんだ。
受話器からはこんな声が聞こえてきた。

街の半分は津波でやられてしまった。
繁華街の方だ。
たぶんそっちはもうダメだろう。

あれから5年。
電話口のムコウにいた男性の悲観論が外れていることを願っている。

発車した。
運河の先に街が見えた。
碁盤の目のように区画されたきれいな街が見えた。

あの巨大なイオンが釜石に何をもたらすのか知らないが、外からの資本がたぶん必要だろう。
オレは期待している。

ガンバレ、釜石!


車窓風景


9:52 恋し浜(こいしはま)駅(三陸鉄道南リアス線 岩手県)
「小石の浜」が恋の駅になった。

駅の見学を許すために3分停車するという。
こんな理由による停車行為は初めてだ。

高台にある駅だが、見える風景は美しいものではない。

貝殻の願文が待合室を埋め、スロープの両側をも飾っている。

三陸は小雨。

ここらでは、いつも降られているような気になる。


10:34 盛(さかり)駅(大船渡線/三陸鉄道南リアス線 岩手県)
駅を濡らす雨は止まず、特に歩いていく先も見つからず、たんたんと時間が流れていく。

BRTがやってきて乗り込み、大船渡の中心部へと進んでいく。

沿岸に巨大な堤防が築かれつつあり、広大な更地となった街中にシャベルカーが点々としている。

大船渡をさらっていく破壊的な津波の映像には言葉を失った。

骨組みだけになったカラオケ屋が残されていた。
文字通り何にもなくなった。
根こそぎ持っていかれてしまった。
かつて寄ったことのある大船渡駅は、ただのバス停のようになってしまった。

あの日、水に沈んだ街をいま走っている。
茫々。


関連記事

「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その5‐飛騨金山、下呂、禅昌寺、飛騨萩原、上呂(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月20日・・・飛騨金山駅、下呂駅、禅昌寺駅、飛騨萩原駅、上呂駅(高山本線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春 初日(東京-下北)その1-郡山、安達、苦竹、東仙台、花泉、石越(東北本線、仙石線) 【下北半島から東日本大震災被災地へ】

鉄旅日記2016年3月19日その1・・・郡山駅、安達駅、苦竹駅、東仙台駅、花泉駅、石越駅(東北本線、

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】初日(東京-三ノ宮)-金町、東京、静岡、浜松、弁天島、大垣、美濃赤坂、石山寺、膳所、尼崎、西宮、芦屋、三ノ宮(東海道本線、美濃赤坂支線、京阪石山坂本線)

鉄旅日記2009年5月1日・・・金町駅、東京駅、静岡駅、浜松駅、弁天島駅、大垣駅、美濃赤坂駅、石山寺

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 最終日(広島-東京)-広島、向洋、東岡山、高島、守山(山陽本線、東海道本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月15日その2・・・広島駅、向洋駅、東岡山駅、高島駅、守山駅(山陽本線、東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その4‐企救丘、志井公園、小倉、黒崎、黒崎駅前、筑豊中間(北九州モノレール/鹿児島本線/筑豊電気鉄道) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月14日・・・企救丘駅、志井公園駅、小倉駅、黒崎駅、黒崎駅前駅、筑豊中間駅(北

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 最終日(北上-東京)その4‐米沢、福島、上野(奥羽本線/東北新幹線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月4日・・・米沢駅、福島駅、上野駅(奥羽本線/東北新幹線) 17:38 米沢

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その5‐小国、坂町、新津(米坂線/羽越本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月4日・・・小国駅、坂町駅、新津駅(米坂線/羽越本線) 17:50 小国(おぐ

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋 最終日(小諸-東京)その2-高崎、新前橋、前橋、中央前橋、小山、水戸、東京葛飾金町(信越本線/両毛線/水戸線/常磐線) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

鉄旅日記2005年11月7日・・・高崎駅、新前橋駅、前橋駅、中央前橋駅、小山駅、水戸駅(信越本線/両

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その3-高速神戸、湊川神社、神戸三宮、甲陽園、夙川、西宮北口、宝塚、箕面、石橋、北千里、十三(阪急電鉄神戸高速線/神戸本線/甲陽線/今津線/宝塚本線/箕面線/千里線) 【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月12日・・・高速神戸駅、神戸三宮駅、甲陽園駅、夙川駅、西宮北口駅、宝塚駅、箕面

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 最終日-安房勝山、君津、木更津、上総亀山、蘇我(内房線/久留里線/京葉線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】

鉄旅日記2006年2月5日・・・安房勝山駅、君津駅、木更津駅、上総亀山駅、蘇我駅(内房線/久留里線/

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その4 ‐新井、和田山、下夜久野、上川口、石原(播但線/山陰本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2025年8月14日・・・新井駅、和田山駅、下夜久野駅、上川

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その3 ‐野里、香呂、仁豊野、溝口、鶴居、寺前(播但線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月14日・・・野里駅、香呂駅、仁豊野駅、溝口駅、

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その2 ‐法界院、野々口、津山、佐用、播磨新宮、姫路(津山線/姫新線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

2022年8月14日・・・法界院駅、野々口駅、津山線、佐用駅、播磨新

「鉄旅日記」2022年盛夏 4日目(高松-大津)その1 ‐高松、鬼無、坂出、岡山(予讃本線/本四備讃線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月14日・・・高松駅、鬼無駅、坂出駅、岡山駅(予

「鉄旅日記」2022年盛夏 3日目-友と過ごす一日をFacebookへの投稿より振り返ります ‐東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片原町駅、三津浜駅、梅津寺駅、高浜駅、龍神社、三津駅【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月13日・・・東浜恵美須神社、北浜恵美須神社、片

→もっと見る

    PAGE TOP ↑