「鉄旅日記」2016年春 最終日(水沢-東京)その2-気仙沼、一ノ関、小牛田、大河原、福島、安積永盛、久喜(大船渡線、東北本線) 【東日本大震災被災地へ】
鉄旅日記2016年3月6日その2・・・気仙沼駅、一ノ関駅、小牛田駅、大河原駅、福島駅、安積永盛駅、久喜駅(大船渡線、東北本線)
12:09 気仙沼(けせんぬま)駅(大船渡線/気仙沼線 宮城県)
三陸旅を終えて気仙沼に戻ってきた。
駅前の土産物屋で海産物を2品購入。
おかみさんの腰はとても低かった。
震災後にとどまり続けているすべての東北人には申し訳のない言い様になるけれど、旅立ち前に抱えていた不安の根本は、東北旅の最中で、あの最悪を極めた大地震がまた起こるのではないかという嫌な想像だった。
今じゃどこにいても安全とは言いがたい地震国に暮らしているとはいえ、オレにとって大震災の記憶が生々しい土地を巡ることには覚悟が必要だった。
気持ちも弱っていたのだろうし、ただでさえ旅立ち前はナーバスになる。
陸前高田の喪失は想像を絶した。
かつて坂の上から望んだ美しい街は波に破壊され尽くして、生き残ったのは「奇跡の一本松」のみ。
それを目当てに土産物屋ができていだ。
責めるつもりはない。
逞しいと感じる。
背後の黄色い建物と気仙川を挟んで位置する中学校が、当時の被害を伝える役目を負わされ、痛ましい姿を残していた。
5年経った現状から想像すると、復興には相当な時間を要するだろう。
ニュース報道は3月になればあの震災を思い出すが、他の月では目を向けることはない。
でもさ。
オレはこれからずっと覚えているよ。



13:51 一ノ関(いちのせき)駅(東北新幹線/東北本線/大船渡線 岩手県)
昨夜は暗かったから分からなかったけど、壁の色が茶色に塗り替わっていた。
駅にはこういうリニューアルの仕方もある。
ここから小牛田まで県を跨ぐ閑散区間になる。
5年前に初めて通っているけど記憶はない。
大船渡線は、竜が泳ぐように線路が蛇行していることから「ドラゴンレール」との別名を持つが、乗っていたんじゃ実感できない。
それよりも、千厩、摺沢が町としての姿を見せてくれて、土産物屋に人を集め、ボートを浮かべていた猊鼻渓観光の様子を覗けたことがうれしかったよ。
だからまた来るさ。

14:48 小牛田(こごた)駅(東北本線/陸羽東線/陸羽西線 宮城県)
一ノ関小牛田間の風景にたいして興味は持っていなかった。
一ノ関から乗ってきた蕾のような弓道女子が花泉駅で降りて、彼女の背中を目で追ったら味のある商店街が見えた。
2週間後にまた東北を旅するが、花泉で降りる計画が湧いた。
180度に広がる仙北平野を眺めていたら新田駅の手前で伊豆沼、内沼が見えてきた。
その後に止まっていった駅にも耳馴染みはなかったけど、駅前に仙北鉄道駅跡碑などがあって飽きさせない。
東京の郊外の方がよほどタイクツだ。
小牛田駅は駅前も含めてまったく変わっていなかった。
駅前旅館の旭旅館にも錆びは見えない。
3線が交わる大ターミナル駅にして、このささやかな風情と知名度の低さにひたすらに敬意を覚えている。


16:33 大河原(おおがわら)駅(東北本線 宮城県)
仙台駅で白石行きに乗り継ぐ。
次の福島行きをここ大河原で待つことにする。
白石川の一目千本桜の名所地。
花冷えのような寒さに迎えられて降りてみれば、こじんまりとはしているけどスナックビルが建っていて、仙台文化圏からの独立の気概か、春の酔客を見込んでか、夜の顔を持っていた。
仙南地域の顔を自覚しているような駅前風景を好ましく思い、白石川まで往復して駅に戻った。
新たに降りてみた町も再会した町も、東北は優しい。
特に気仙沼での時間を思い出してのことだが、とても満ち足りた気分でいる。


17:23 福島(ふくしま)駅(東北新幹線/東北本線/奥羽本線/福島交通飯坂線 福島県)
福島盆地へと下っていく車窓の見事さを書いたことはあっただろうか。
やがて信夫山、飯坂線のレトロな駅を2つ過ぎれば福島に到着。
東口の駅ビルはたぶん以前からは変わっている筈だ。
オレも長いこと旅をしている。
街の変貌を語れるほどにはなった。
20年前にEさんご夫妻と駅前ホテルに泊まったことがある。
大変な人通りの中を歩いたと思っているのは事実だろうか。
あるいは錯覚だろうか。
オウムの連中がテレビを席巻していた夜のことだった。
福島に着く度にあの日を思い出して、また歩いてみたいと思いながら、今日もまた去る。



18:25 安積永盛(あさかながもり)駅(東北本線/水郡線 福島県)
郡山で10数分の停車。
その間に水郡線が水戸に向かう。
安積永盛は東北本線と水郡線の分岐駅。
水郡線でこの駅に降りると、郡山まで乗っていた東北本線が数分後にやってくる。
かつての黄金週間に車でこの駅に寄ったことがある。
こんなにも何もない駅だったか。
もはや車窓は真っ暗で、車がいなくなれば駅前も真っ暗だ。
線路の反対側には国道が走っていて、ヨークベニマロやローソンの灯が見える。
郡山の町外れだ。
夕暮れを過ぎて、これから帰る町や人を想う。

21:25 久喜(くき)駅(東北本線/東武伊勢崎線 埼玉県)
快速ラビット乗り換えで思いがけず途中下車。
夜の久喜にお目にかかれたわけだ。
大宮寄りの蓮田より明かりは大きかった。
かつてオレは反対側の出口を歩いた。
寂しい郊外の街という印象だけを持って、当時暮らしていた金町のアパートに帰った。
マクドナルドがあるからそっちに行った。
行動の説明はそうなる。
あの時は東武鉄道の改札を使ったけれど、全国を旅するならJRの方が箔がつく。
今日それができて胸のつかえがひとつとれた。
ただの鉄道好きのどうしようもなくくだらない話だ。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2022年如月 初日(東京-常陸大子)その1 ‐金町、我孫子、新木、成田、佐原(常磐線/我孫子支線/成田線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】
鉄旅日記2022年2月5日・・・金町駅、我孫子駅、新木駅、成田駅、佐原駅(常磐線/我孫子支線/成田
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その2 ‐静岡、金谷、新金谷、代官町、日切、合格、門出(東海道本線/大井川鐡道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月19日・・・静岡駅、金谷駅、新金谷駅、代官町駅、日切駅、合格駅、門出駅(東海
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 初日(東京-新庄)松戸、取手、友部、上菅谷、常陸太田、高萩、いわき、郡山、福島、米沢、山形、新庄(常磐線/水郡線/水郡線常陸太田支線/磐越東線/東北本線/奥羽本線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】
鉄旅日記2009年10月10日・・・松戸駅、取手駅、友部駅、上菅谷駅、常陸太田駅、高萩駅、いわき駅、
-
-
「鉄旅日記」2013年夏 2日目(徳山-南宮崎)その1-徳山、長府、西小倉、城野、行橋、新田原、中津、中山香、高城、佐志生、熊崎、上臼杵、臼杵(山陽本線、日豊本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】
鉄旅日記2013年8月11日その1・・・徳山駅、長府駅、西小倉駅、城野駅、行橋駅、新田原駅、中津駅、
-
-
「車旅日記」2004年夏 4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その1-鹿児島東急イン、城山公園、鹿児島中央駅、出水駅、八代駅、熊本駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】
車旅日記2004年8月14日・・・鹿児島東急イン、城山公園、鹿児島中央駅、出水駅、八代駅、熊本駅
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その3-周参見、椿、白浜、紀伊田辺(紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月2日・・・周参見駅、椿駅、白浜駅、紀伊田辺駅(紀勢本線) 19:12 周参見
-
-
2020年盛夏【二人でどこへ行こう。決めたのは甲府でございました。帰りは高尾の名店街で過ごした日帰り旅をSNS風に綴ります。】-高尾、四方津、塩山、甲府、甲斐大和(中央本線)
鉄旅日記2020年8月9日・・・高尾駅、四方津駅、塩山駅、甲府駅、甲斐大和駅(中央本線) 長
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 最終日(武生-東京)その2‐敦賀、北鉄金沢、内灘、金沢、野々市(北陸本線/北陸鉄道浅野川線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月23日・・・敦賀駅、北鉄金沢駅、内灘駅、金沢駅、野々市駅(北陸本線/北陸鉄
-
-
2018年初秋 初日(東京-桑名)その4-新瀬戸、瀬戸市、高蔵寺、新守山、勝川、枇杷島、蟹江、桑名(愛知環状鉄道/中央本線/東海交通事業常北線/東海道本線/関西本線) 【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】
鉄旅日記2018年9月15日・・・新瀬戸駅、瀬戸市駅、高蔵寺駅、新守山駅、勝川駅、枇杷島駅、蟹江駅、
