「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-松本)その3 ‐小淵沢、甲斐大泉、中込、三岡、小諸(小海線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】
鉄旅日記2021年4月24日・・・小淵沢駅、甲斐大泉駅、中込駅、三岡駅、小諸駅(小海線)
10:05 小淵沢(こぶちざわ)駅(中央本線/小海線 山梨県)
2年前に降りた際は時間がなく、変貌した駅舎への失望を記したはずだ。以前の日本家屋風のこじんまりとした駅舎への郷愁は相当なものだった。
24分の猶予がある今日。展望台に上がり富士山、南アルプス、八ヶ岳。




下りれば駅舎を写せる場所を探した。


今夜会う友へは信玄餅を購入し、小諸までの酒は2本。1本は出発前に飲んじゃった。
ハイカラな駅舎内で「駅そば」の湯気が上がっていた。この鉄道文化を手放さなかった小淵沢駅を称える。うん、なかなか素敵な駅舎だよ。
小諸に向けて発車した八ヶ岳高原線は、八ヶ岳の周囲を衛星のように回り、やがて離れた。
10:26 甲斐大泉(かいおおいずみ)駅(小海線 山梨県)
列車行き違い4分の停車。高原駅に相応しい駅舎に感嘆して、高原へ下りていく坂道を見下ろす。


盆地の底のような土地柄の多い山梨県内では屈指の景観と言える。そして春の風景を写す。

列車は動きだし、清里やがて野辺山。帰る家が家庭だった頃に降りて、味わい深い時を過ごした冬の夜を思い出している。
今の家というか部屋では、名前のついた2鉢と一緒に暮らしている。
11:51 中込(なかごみ)駅(小海線 長野県)
あれからまたたっぷりと眠りに落ちる。「春眠暁を覚えず」の諺とおり、春の眠りには魔法がかかる。
沿線の中核中込。駅前の風情に変化はなく、賑わいを感じさせ、列車を求めて走る姿もある。


この国にはまだこんな町があるのかと感嘆した15年前。当時は知らない町の方が多かった。
あれから様々を経験して、また同じように同じ駅に降りる。旅は時空を越える。
右手には、活火山としての存在を桜島と共に定期的に訴えてくる浅間山の荒々しい姿が見えている。
12:12 三岡(みつおか)駅(小海線 長野県)
列車行き違い3分の停車。2年前にもこうして降りている。だから今日はいいかと思いはした。
でも前回は冬。今は春。駅前は小さな花園だった。


発車した列車はしばらくして、しなの鉄道に沿う。
12:53 小諸(こもろ)駅(小海線/しなの鉄道 長野県)
「千曲川旅情の歌」を詠んだ明治の文豪、島崎藤村旧宅を境に引き返す。街を歩ける時間を持てたことがうれしい

オレの血はここにある。道理のつかないこの街への思いはそう理解するより他にない。
そして駅を写し、愛すべき駅前を写す。何度でも写すよ。




この街出身の漫画家、故小山田いくさんの「すくらっぷ・ブック」を夢中になって読んだ10代前半。作品にも描かれた小諸駅に、当時やもっと幼い時代にここにいた記憶を探す。



街並に惹かれ、土産物屋のおかみさんのご親切に打たれ、酒屋のご夫婦の素朴さにもまた打たれ、今はあたたかな列車で心まであたたまって酒を飲んでいる。



過去を思えば尽きねど、小諸とは未来も共にいく。近々親戚筋になにか祝いでもあればいいけれど。
もとより36分の滞在など人生を思えばないに等しいが、記憶の回路は時空の流れに比例しない。
今日また愛すべき記憶が加わった。
関連記事
-
-
「車旅日記」2004年夏 最終日(長崎-福岡空港)走行距離291㎞その2-厳木駅、西唐津駅、唐津駅、筑前前原駅、葛飾金町【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】
車旅日記2004年8月15日・・・厳木駅、西唐津駅、唐津駅、筑前前原駅、葛飾金町 2004・8・1
-
-
「鉄旅日記」2018年エイプリルフール その2-猪苗代、磐梯町、安子ヶ島、磐梯熱海、郡山(磐越西線) 【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】
鉄旅日記2018年4月1日・・・猪苗代駅、磐梯町駅、安子ヶ島駅、磐梯熱海駅、郡山駅(磐越西線) 1
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その1‐門司港、小森江、折尾、若松(鹿児島本線/筑豊本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月16日・・・門司港駅、小森江駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本線/筑豊本線)
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その2 ‐電鉄魚津、西魚津、新魚津、魚津、高岡(富山地方鉄道本線/あいの風とやま鉄道)/魚津城跡 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月21日・・・電鉄魚津駅、西魚津駅、新魚津駅、魚津駅、高岡駅(富山地方鉄道本
-
-
「鉄旅日記」2014年冬 初日(東京-鬼怒川温泉)-下今市、新藤原、川治湯元、川治温泉、湯西川温泉、龍王峡、鬼怒川公園、新高徳、鬼怒川温泉(東武鬼怒川線/野岩鉄道) 【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】
鉄旅日記2014年12月6日・・・下今市駅、新藤原駅、川治湯元駅、川治温泉駅、湯西川温泉駅、龍王峡駅
-
-
「車旅日記」1998年夏 最終日(鳴子温泉-高畠ー郡山-東京)-鳴子サンハイツ、潟沼、瀬見駅、道の駅むらやま、羽前中山駅、高畠、道の駅七ヶ宿、道の駅安達、郡山文化センター前、須賀川駅、西那須野三島セブンイレブン、与板ラーメンとん太、築地電通前、東京町田 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】
車旅日記1998年8月14日 1998・8・16 8:26 鳴子サンハイツ 5日目。 一番遅い出発
-
-
「車旅日記」2005年冬 初日(熊本空港-都城)走行距離270㎞-羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホテル 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】
車旅日記2005年2月11日・・・羽田空港、熊本空港、立野駅、高森駅、湯前駅、小林駅、都城グリーンホ
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その4‐青森、新青森、津軽新城、鶴ヶ坂、浪岡(奥羽本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月2日・・・青森駅、新青森駅、津軽新城駅、鶴ヶ坂駅、浪岡駅(奥羽本線) 19
-
-
「鉄旅日記」2018年弥生【秩父へ。西武線とのお別れでございます。】-練馬区役所、芦ヶ久保、西武秩父、御花畑、秩父、入間市(西武秩父線/秩父鉄道/西武池袋線)
鉄旅日記2018年3月24日・・・芦ヶ久保駅、西武秩父駅、御花畑駅、秩父駅、入間市駅(西武秩父線/秩
-
-
「鉄旅日記」2014年秋 その1-日進、宮原、加茂宮、北大宮、大宮公園、土呂、東鷲宮、鷲宮、栗橋、古河、新古河、野木、間々田、岩舟(川越線/東北本線/両毛線) 【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】
鉄旅日記2014年11月3日その1・・・日進駅、宮原駅、加茂宮駅、北大宮駅、大宮公園駅、土呂駅、東鷲
