*

「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】最終日(長井-東京)-長井、荒砥、赤湯、羽前千歳、作並、東照宮、槻木、角田、福島、飯坂温泉、本宮、宇都宮、雀宮(山形鉄道/仙山線/阿武隈急行/福島交通飯坂線/東北本線)

公開日: : 最終更新日:2025/06/17 旅話, 旅話 2011年

鉄旅日記2011年11月6日・・・長井駅、荒砥駅、赤湯駅、羽前千歳駅、作並駅、東照宮駅、槻木駅、角田駅、福島駅、飯坂温泉駅、本宮駅、宇都宮駅、雀宮駅(山形鉄道/仙山線/阿武隈急行/福島交通飯坂線/東北本線)

2011・11・6 7:35 長井(ながい)駅(山形鉄道 山形県)
自動扉が設置されている長井駅。
そうだったよ。
昨夜はほんの少しだけびっくりした。

文化遺産のような長井小学校の木造校舎、広大な河川敷を従え流れる最上川。

通りで目が合えば挨拶を交わす。
そんな日本のよき文化を残した街だ。

あやめ公園は城跡なのだろう。
素敵な日本庭園に紅葉が映える。
脇の河原で市民が憩う姿はきっと微笑ましい。

「とらや旅館」の女将さんが今日はイベントだと言ってチラシを見せてくれた。

幸いにして雨は上がっている。

8:08 荒砥(あらと)駅(山形鉄道 山形県)
かつて夜闇の中で到着した終着駅。

あたりに目を引くものはなかったからよく覚えている。
きれいな駅舎だ。

最上川と共に生き、同じ生き方をする左沢までの延伸が悲願だったと知った。
昨日あるいはそうじゃないかと思ったんだ。

蚕桑駅に干し柿が吊られている様をどこか別世界の風景のように見ていた。
オレは今そんなところを旅しているけど、戦争もどこかで起きている。
世界をどうにかしてくれよ。

かつて国道から眺めた長井方面の灯を思い出している。

そして長井に戻っている。

9:25 赤湯(あかゆ)駅(山形新幹線/奥羽本線/山形鉄道 山形県)
適度に暖房の効いた車内で眠りに落ちる。
素晴らしい眠りだった。
最近じゃ記憶にない。

赤湯駅前の木々は十分に紅かった。

山形鉄道側もJR側も駅前に見るべきものはない。
この駅に新幹線が停車するということが冗談ではないかと思えるが、秋田と山形を走っているのは新幹線というより在来線の線路を走る特急なんだと思えば納得がいく。

米沢盆地を離れていく絶景を眺めながら、とりとめのないことを思っている。

10:40 羽前千歳(うぜんちとせ)駅(奥羽本線/仙山線 山形県)
山形で降りて、また2つ先の駅へ。

ここで奥羽本線と仙山線は分かれる。

ビッグウイングや総合スポーツセンターへ誘う表示があるが、そこへ行くのにどんな手段があるというのだろうか。

味のある駅を期待していたけど、跨線橋しかない冷たい造りで、当然のように駅前には1軒の商店もない。

11:22 作並(さくなみ)駅(仙山線 宮城県)
仙山線の車窓風景は素晴らしかった。

山寺、面白山高原、奥新川と見事な紅葉と渓谷美を楽しませてくれた。

ここ作並には寄ったことがある。
大型観光バスが入口を塞ぐように止まり、山小屋風の駅舎にはあたたかな灯が点っている。

旅館の番頭が出迎え、仙台からやってきたたくさんの乗客が下りた。

そう言えばあの時も駅前はあまり長くいられるような雰囲気じゃなかった。

有名な温泉場で、きっといつ降りても駅前には変わらぬ光景が待っているだろう。

それでいいんだ。

北仙台(きたせんだい)駅(仙山線 宮城県)にて

12:19 東照宮(とうしょうぐう)駅(仙山線 宮城県)
北仙台から伊達家東照宮へ。

タバコの吸殻を持って歩いていたら老人に一喝された。
オレの言い訳は見苦しかったけど、火はきちんと消していたんだよ。

仙台の隣駅にしては簡素な造りかつ重要文化財以外には何もない駅前に呆然としたけど、東照宮あたりの雅な雰囲気は心を打った。

北仙台からはかつて私鉄が走っていたという。
通行量の多い通りに面した賑やかな駅前風景だった。

仙台に到着して発車を待っている。

雨は止まないが今日も傘はいらない。
仙台は人が多いな。

幕末仙台兵が新政府軍相手にどこまでやったのか。
知らなかった歴史を「会津士魂」で読み進んでいる。

13:05 槻木(つきのき)駅(東北本線/阿武隈急行 宮城県)
阿武隈急行に乗り換え。

槻木駅前を通ったのは何年前になるのか。

賑やかな駅だったという印象を持ったが、当時感じた通行量はなく、寂れた商店街が駅から曲線を描いて伸びていた。

14:00 角田(かくだ)駅(阿武隈急行 宮城県)
おもちゃのちゃちゃの時報。
このメロディーを聞くのはいつ以来だろう。

東北100選駅だけど駅前風景に特筆すべきものはない。

ここじゃ県議会選挙の発声も聞こえない。

外は本降りの雨。

たいして美味くはなかったが、駅そばがあってよかった。

阿武隈急行沿線はこの天気じゃどこに行っても暗く沈んで見えるだろう。
仕方がないよな。

何やらロケットに関係している街で近くに実物大の模型が置かれているらしい。

15:25 福島(ふくしま)駅(東北新幹線/山形新幹線/東北本線/奥羽本線/阿武隈急行/福島交通飯坂線 福島県)
福島交通に乗り換える。

阿武隈川に沿うあたりの車窓風景は秀逸だった。
丸森あるいは阿武隈で降りればよかったと後悔している。

これから今日最後の路線に入る。

大丈夫。
福島は元気だ。

16:07 飯坂温泉(いいざかおんせん)駅(福島交通飯坂線 福島県)
十綱の渡しを眺めている。

十綱橋はライトアップされ、袂を芭蕉が歩く。

温泉街は先かと思っていたが、その真ん中に突っ込む形で線路は絶えた。

沿線風景は退屈だったが、素敵な終着駅に着いた。
ここじゃパチンコ屋までが粋だ。

廃墟になったホテルも見られるが、このまま留まりたいと思わせる町だ。

温泉街のたたずまいに何かを感じるのが日本人なのかもしれない。

17:47 本宮(もとみや)駅(東北本線 福島県)
開催を危ぶんでいた祭が元気に執り行われたことを新聞で知ったよ。

「会津士魂」にも登場する本宮。
街道筋らしい古い家並やささやかな飲み屋横丁を歩き、コンビニで酒をあっためてもらって、心から体からすべてをあたためた。

やっぱり酒だよ。
缶コーヒーなんかじゃダメだ。
あったまらない。

飯坂温泉、本宮。
誰とも親しく会話を交わしたわけじゃないが、福島のあたたかさには確かに触れた。

若者も訛り丸出しで向き合う。
素朴という言葉を褒め言葉として使って差し支えないのであれば、その言葉を使いたい。
素朴だ。
そして愛すべき人々が暮らしている。
その代表例として挙げるのに相応しい人が、友人として郡山にいる。

本宮にはビジネスホテルが2軒あった。
この町に荷物を置くことをほんの少しだけ想像してみた。

小降りになったが雨は止まず、嫌いじゃない冷気が本宮を包んでいる。

だから熱燗が美味かったんだよ。

20:33 宇都宮(うつのみや)駅(東北新幹線/東北本線/日光線/烏山線 栃木県)
読書に夢中だった。

メシは酒と握り飯で済ませた。
どっちも美味かったよ。

宇都宮は3年振りになるのか。
ごく最近の記憶を時系列に並べ直すのが苦手になってる。

言いたかったのは、宇都宮の明かりがこんなにも眩しかったのかということ。

雨が上がった関東平野の端から冷気は去り、やはり11月にしてはあたたかい空気に入れ替わっていた。

20:54 雀宮(すずめのみや)駅(東北本線 栃木県)
新幹線が絨毯爆撃のような音を残して通り過ぎる。

ふもとの小さな駅では精一杯の灯を燈しているが、どちらの出口も下りた客を迎える店の灯はない。
ここから小山までの間に町はあっただろうか。

これでおしまいだ。
オレの顔は笑ってる。

22:47 西武線内練馬付近
もうすぐ帰ると伝えてある。

関東平野に戻ってきてから眠気は去り、昨日から読み始めた長編を今しがた読了した。
この旅の記憶と共に残るものだ。

やりつくして、東京も雨が上がった。

今夜は長い。
本宮にいたのが昨日のことのように思える。
250kmを移動するということはそういうことだし、そうあるべきだ。

その間にはたくさんの町があるのだから。

関連記事

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわき駅(常磐線) 2022

記事を読む

「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その3 ‐十日町、越後川口、渋川、敷島(飯山線/上越線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

鉄旅日記2021年7月11日・・・十日町駅、越後川口駅、渋川駅、敷島駅(飯山線/上越線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 最終日(魚津-東京)その2-有間川、谷浜、名立、直江津、犀潟、二本木、今井、川中島、姨捨、信濃境、すずらんの里、富士見(北陸本線/信越本線/篠ノ井線/中央本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

鉄旅日記2014年3月23日その2・・・有間川駅、谷浜駅、名立駅、直江津駅、犀潟駅、二本木駅、今井駅

記事を読む

「車旅日記」2004年春 2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その1-紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生花園、網走市鉄道記念館、網走監獄、網走駅、北浜駅、浜小清水駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月2日・・・紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その2-恵那、瑞浪、土岐市、多治見、千種、鶴舞、金山、天竜川、袋井(中央本線、東海道本線) 【青春18きっぷで、名古屋往復】

鉄旅日記2012年3月25日その2・・・恵那駅、瑞浪駅、土岐市駅、多治見駅、千種駅、鶴舞駅、金山駅、

記事を読む

「車旅日記」2004年秋 2日目(宇野-城崎)走行距離377㎞ その1-宇野駅、児島駅、下津井港、倉敷駅、総社駅、備中高梁駅、新見駅 【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】

車旅日記2004年11月21日・・・宇野駅、児島駅、下津井港、倉敷駅、総社駅、備中高梁駅、新見駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その3-笠寺、熱田、熱田神宮、神宮前、大江、名古屋東港、金山(東海道本線/名鉄常滑線/名鉄築港線/名鉄名古屋本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月23日・・・ 笠寺駅、熱田駅、神宮前駅、大江駅、名古屋東港駅、金山駅(東海道本

記事を読む

「車旅日記」2003年夏 4日目(帯広-札幌)走行距離374㎞ -帯広東急イン、帯広緑ヶ丘公園、忠類、襟裳岬、様似駅、静内駅、恵庭中島公園、札幌東急イン 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】

車旅日記2003年8月16日・・・帯広東急イン、帯広緑ヶ丘公園、忠類、襟裳岬、様似駅、静内駅、恵庭中

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 最終日(魚津-東京)その1-魚津、生地、黒部、電鉄黒部、泊、親不知、越中宮崎、糸魚川、能生、梶屋敷、浦本(北陸本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

鉄旅日記2014年3月23日その1・・・魚津駅、生地駅、黒部駅、電鉄黒部駅、泊駅、親不知駅、越中宮崎

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その2-新清水、静岡、草薙、興津、裾野、御殿場、駿河小山、国府津、逗子、横須賀、田浦、新川崎(東海道本線、静岡鉄道、御殿場線、横須賀線) 【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】

鉄旅日記2012年4月8日その2・・・新清水駅、静岡駅、草薙駅、興津駅、裾野駅、御殿場駅、駿河小山駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その3 ‐盛岡、渋民、八幡平、湯瀬温泉(IGRいわて銀河鉄道/花輪線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日 盛岡駅、渋民駅、八幡平駅、湯瀬温泉駅(I

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、仙台、小牛田、一ノ関(常磐線/東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、仙台駅、小

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわ

→もっと見る

    PAGE TOP ↑