「鉄旅日記」2011年秋【再びみちのくひとり旅】初日(東京-長井)-保谷、宮内、柏崎、小島谷、内野、関屋、早通、豊栄、佐々木、坂町、小国、羽前小松、今泉、長井(西武池袋線/上越線/信越本線/越後線/白新線/米坂線/山形鉄道)
鉄旅日記2011年11月5日・・・保谷駅、宮内駅、柏崎駅、小島谷駅、内野駅、関屋駅、早通駅、豊栄駅、佐々木駅、坂町駅、小国駅、羽前小松駅、今泉駅、長井駅(西武池袋線/上越線/信越本線/越後線/白新線/米坂線/山形鉄道)
2011・11・5 04:21 保谷(ほうや)駅(西武池袋線 東京都)
一番列車を待っている。
駅っていうのは明るいな。
便所の先で酔いつぶれた男がカバンを枕に眠っている。
体の心配はしなくてもいいだろう。
まだ冬の冷気は漂っていない。
待ち人はオレだけじゃない。
若いヤツの姿はないが、釣り人をはじめ、始発電車が動く朝の風景を描くのには適当な数が乗り込もうとしている。
07:07 高崎(たかさき)駅(上越新幹線/長野新幹線/信越本線/高崎線/上越線/吾妻線/上信電鉄 群馬県)
家を出て3時間。
池袋、赤羽と乗り継いで上越の中継地高崎へ。
駅の外に出るのは久し振りだ。
桐生、下仁田、富岡を回った旅以来になる。
その前日、新橋で飲んで店を出るオレの胸に彼女が飛び込んできたんだ。
あそこから何かが始まるはずだった。
始めるはずだった。
そんなことを高崎で思い出す。
街の思い出っていうのは何もそこにいた記憶だけを指すわけじゃない。
面白いじゃないか。
この分じゃ、これから先の道中でもいくつか出てくるだろう。
冬の寒気を思い出させたのは籠原あたりから。
でもその寒気も収まり関東平野は日本晴れだよ。
10:23 宮内(みやうち)駅(信越本線/上越線 新潟県)
紅く染まった山の連なりは水上から始まった。
紅葉を目にすることなぞ久しくなかった。
どこかでまた出会うだろう。
その時は写真に収めよう。
信越本線との分岐駅宮内で降りようとすると扉の前に目の覚めるようなような越後美人が立っていた。
宮内駅前には街道筋の町並と駅前通りがあり、何代も続いていそうな旅館、酒屋が並んでいた。
信越本線で柏崎に向かっている。
宮内から3駅目の越後岩塚で、まるで出雲大社のような神色をした巨大構造物を見た。
持主には悪いが、異様かつ不気味だった。

12:02 柏崎にて
おはよー
薄曇りだよ。
でもあったかい。
日が昇る頃は寒かったけどな。
あれからしっかり眠れたかい?
今は新潟の柏崎という駅にいる。
海沿いの街だけど、こっから海は見えない。
刈羽原発がある街だよ。
待合室に置かれたテレビから天気予報が聞こえてくる。
雨雲が東に向かっている。
昨日の予報のまんま。
そりゃそうか(笑)
これから新潟市内を抜けて東北に入る。
よい週末を。
12:02 柏崎(かしわざき)駅(信越本線/越後線 新潟県)
潮風ロードを市役所入口まで歩く。
後ろを歩く地元青年が「廃れている」とつぶやき、片っ方がその発言を非難する。
つぶやいた青年は塩沢出身のようで、弁解のためか自虐で返した。
あのあたりは確かにそうだったが、市役所あたりには人が集まる大型施設があり、駅に向かう通りには夜の街が続いていた。
潮風公園があって、海の大花火大会も開催される。
ここ柏崎も含めて日本海に面した多くが風の町を謳う。
かつて仲間たちと暑い季節にこの街で裸になって遊んだ。
その時吹いていた風のことは何も覚えていない。
柏崎を始発とする越後線は新潟に向かうが、新潟まで直通している列車はなかったよ。

12:58 小島谷(おじまや)駅(越後線 新潟県)
冬枯れ前の田園地帯。
出雲崎を過ぎ、先には寺泊も控える路線だが、退屈な沿線風景の中で眠ってしまった。
着ぐるみの少女が恋人の少年を見送った良寛上人ゆかりの村で数分の停車。

吉田(よしだ)駅(越後線/弥彦線 新潟県)にて
新潟行きに乗り換え。

14:05 内野(うちの)駅(越後線 新潟県)
どうやら越後線の中心駅らしい。
降りたのは町と反対側の簡易駅舎の方だった。
迂闊だった。
線路を挟んだ改札口の先に町が見えた。
人通りのある明るい町がそこにあり、駅手前の運河にはボートが多くつながれ、好奇心を掻き立てられる町だった。
新潟に向かう列車は始発の吉田からずっと混雑している。

14:27 関屋(せきや)駅(越後線 新潟県)
満員の越後線。
新潟に向けて乗客は増え、吉田までと沿線風景は変わったが、退屈だ。
高い場所を走れば新潟平野に遥かに連なる家並が見事だったが、改装された駅舎は都内近郊私鉄駅のように特徴のない冷たい構造になっていた。
時間もなかったし駅舎は撮らなかったよ。
天気のせいかもしれないが気分はかなり冴えない。
白山公園内に新潟市体育館を発見した。
新潟まであと1分。
内野に未練ができたが、しばらく越後線に乗る計画は持ち上がらないだろう。
15:11 早通(はやどおり)駅(白新線 新潟県)
新潟駅で白新線に乗り換え。
隣の男の子が「はやどおり」と口にする。
見渡す限りの住宅街だ。
上下線とも改札口の造りが惑わせる。
さっきの内野では後悔を植え付け、ここでは混乱した。
下り改札を出ると潰れた和食屋があるだけだったが、上りには廃れてはいるが昭和の町角があり、その風景を気に入ってケータイで撮った。
新潟市北区。
21世紀に生まれた政令指定都市の風景は曇り空の下で寂しげに見えた。


15:52 豊栄(とよさか)駅(白新線 新潟県)
7号国道新新バイパスが懐かしい。
眠るアテがなくて、21:00の会津若松から車を飛ばして辿り着き、そして眠った「道の駅」豊栄。
そんな過去がある。
駅の地図にはバイパスの位置は示されていない。
全国から車が集まる路上に比して、このあたりの鉄道駅には賑わいがない。
結婚式場を兼ねた長岡屋旅館は灯を点さず、アーケード街も沈黙している。
でもここは町だ。
昭和の歓楽街があり、夕方になって人も出てきた。
政令指定都市新潟北区の中心地豊栄。
居心地は悪くなかった。
ここから近い福島潟に天然記念物の水鳥が集うそうだ。


16:14 佐々木(ささき)駅(白新線 新潟県)
白新線は新発田まで。
これといった印象の残らない路線だが、国鉄が縦横無尽に路線を広げていこうとした構想を理解するには最適な路線だ。
こういったバイパス的な役割を担わされた路線は伊勢鉄道を始め他じゃ苦戦しているが、新潟は人口が増え続けているのだろう。
まずまずの乗降客がいる。
風景が東京近郊のようにつまらなくなってきた。
ここで4分の停車。
人名で多く見られる名が駅名になっているケースは実は珍しい。
16:23新発田着。
3ヶ月と間を置かずにこの街に戻ってきた。

16:50 坂町(さかまち)駅(羽越本線/米坂線 新潟県)
東京より一足先に雨が落ちてきた町。
そして東京より一足先に日が落ちた町。
沿線風景が闇に紛れるのも時間の問題だ。
乗り換え時間が僅かしなくなくて走った。
駅前の印象は変わってなかったよ。
17:41 小国(おぐに)駅(米坂線 山形県)
白い森の国おぐにに着いてしばらく経つ。
ブナの原生林と雪をイメージしたネーミングの17時半の町はツキノワグマの剥製が出迎え、真夜中のような闇に覆われ、しっとりと小雨に濡れていた。
僅かな灯に目をやると旅館にパン屋、居酒屋。雪国のあたたかな灯だ。
何人も乗せてない列車は米沢に向かっている。
パン屋では元気な女子高生が人通りの絶えた駅前通りを見つめ所在無げにしていた。

18:44 羽前小松(うぜんこまつ)駅(米坂線 山形県)
越後街道の要衝川西町の中心地。
ダリヤの咲く町。
駅前の赤信号が鮮やかに見える。
待合所でポツネンとしていた高校生を乗せる新潟行がやってきて停車時間8分が過ぎる。
食堂の灯がひとつ。
タクシー運転手に仕事を提供しそうな客は上下線とも下りることはなかった。

20:12 今泉(いまいずみ)駅(米坂線/山形鉄道 山形県)
米沢で奥羽本線に乗り換え、赤湯で山形鉄道に乗り換える。
宮脇俊三さんが終戦を迎えた場所であり、自身一度立ち寄ったことがある駅だが、実はさっきの米坂線でも通っている。
駅の雰囲気は覚えていたよ。
だから当時を思い出した。
あの時も言葉少なに立ち去り、今日もそうなる。
雨は続く。
長井線は赤湯を出てからしばらくは民家の脇だったり面白そうなところを走っていた。
明るくなれば映画「スイングガールズ」の舞台に気づくだろうか。
長井が近くなってきた。

21:38 長井にて
着いたー
山形の長井って街。
最上川沿いの街なんだ。
暗くてよく分からなかったけど
こっちもあったかいけど、予報より早く雨が落ちてきてる。
傘が必要な降りじゃないけどね。
この街を出る一番列車は7時過ぎなんで、オレの旅にしちゃ明日はゆっくりなんだ。
楽しんでるかな?
今晩も明日もいい時間をね。
風呂入ってくるわ。
おやすみー
22:57 長井とらや旅館
風光明媚な街のようだ。
最上川が流れ、静かになった街に駅前寿司屋から宴会騒ぎが聞こえた。
この「とらや旅館」でもさっきまで大変な騒ぎだった。
別に悪くない。
米沢で大盛そばを平らげていたオレを誘う店はなかったが、街並には納得した。
駅は文字通り玄関の役割を果たしている。
街に降りてみて、おおよその街並を想像できるようになって、しかも大きく外れなくなった。
いつも夏に降りた鹿角花輪のような街に辿り着きたいと思う。
天気や町並のこともあってイマイチ気分が乗らなかったけど、見てきたものに間違いはなく、見たかったものの正体を知ることができた。
これでいい。
何もいらないと強く言われてきたけど、何か土産を買って帰りたい。
金はそこそこ余りそうだから。
長井を好きになって帰ることができそうだ。
朝が楽しみだ。
雨でも構わない。
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