*

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】最終日(観音寺-東京)-観音寺、宇多津、岡山、瀬戸、高槻、山崎、名古屋、豊橋、掛川、熱海、金町(予讃本線/瀬戸大橋線/山陽本線/東海道本線)

公開日: : 最終更新日:2024/06/05 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年5月6日・・・観音寺駅、宇多津駅、岡山駅、瀬戸駅、高槻駅、山崎駅、名古屋駅、豊橋駅、掛川駅、熱海駅、金町駅(予讃本線/瀬戸大橋線/山陽本線/東海道本線)

2009・5・6 6:11 観音寺(かんおんじ)駅(予讃本線 香川県)
あたたかくて、やさしい雨が降っている。

ぱっちりとした目覚め。
いい旅をしたよ。

この街では酒を飲む以外に何もできなかったけど、仕方ないさ。
オレは駅の近くで生きていくしかない。

愛媛の駅員は几帳面だった。
途中下車印がどれも真っ直ぐに捺されている。
この切符ともお別れだな。

観音寺駅はとても立派な造りだ。
松山方面からの列車はたいていここが終点になり乗り換えが必要になる。
ここから高松まで80分かかるらしい。

四国にも雪が降る。
昨夜のそんな話を思い出した。

観音寺まで右手に見えていた山々は海側に移動している。

7:12 宇多津(うたづ)駅(予讃本線/瀬戸大橋線 香川県)
計画通り特急「しおかぜ」に乗り換えて岡山に出る。

駅前にはホテルとマンションしかない。

海辺までいけばゴールドタワーが建ち、そこは恋人たちの聖地と謳われている。

7:25瀬戸大橋通過、児島競艇場から宇野方面を望む。

7:27児島駅着。
瀬戸大橋からの眺めはどんな天候であっても素晴らしい。

今朝は海面が黄金色に光っている。
神々しい。

険しい絶壁に神が祀られていた。

8:08 岡山(おかやま)駅(山陽新幹線/山陽本線/伯備線/吉備線/津山線/赤穂線/瀬戸大橋線 岡山県)
うどんを食べ、和気行に乗り込む。

岡山は拠点の街だ。
思い出もある。

だけど今回はすぐにお別れだ。

すでに旭川渡河。
雨は上がっている。

四国行のホームで「瀬戸の花嫁」を聞くのも、しばらく先までないだろうな。

8:34 瀬戸(せと)駅(山陽本線 岡山県)
和気には行きに降りてる。

だから和気までの駅でその先にいく列車を待つことにした。

そして降りた瀬戸駅。
高校生たちが降りていく。
駅には売店があるが、駅前にはパン屋があるだけだった。

次の乗り継ぎは相生で。
早いな。
もう関西まで帰ってきたのか。

11:38 高槻(たかつき)駅(東海道本線 大阪府)
阪神地域はすでに過去。
高槻には何があるかと思い降りてみたら街の大きさに仰天した。

アクトモールからサンロード芥川商店街。
ドンツキにはかつてそこで仇討ちがあったことを伝える標示がある。

西武に松坂屋。
阪急電車も通じている都会だった。

関西独特のオッチャンオバチャンはどこか居心地が悪そうに見えたけど、それでも商店街の真ん中にどっかりと腰を下ろして酒を飲んだり煙草を吸ったりしている。
立ち飲み屋もあって当然のように開いてる。

新旧合わさった面白い街だったよ。

12:01 山崎(やまざき)駅(東海道本線 京都府)
あれから島本、そして山崎。

左手に天王山トンネルを見ながら秀吉光秀の天下分け目の合戦を想う。

山崎、天王山という地名を聞くと熱い気持ちになる。

そんな歴史の地は関ヶ原や安土と同じように、現代を呼び寄せることなく、まるで永遠に喪に服するかのように穏やかに時をやり過ごしている。

阪急駅にいくと、そこは大山崎駅。
雅やかな喫茶店があった。

このあたりでも茶はシバクものなのだろうか。

そう言えば、かつて奈良の屋台のおでん屋で面白い話を聞いた。

茶は大阪ではシバかれ、奈良河内和泉じゃどつかれ、京都じゃ少し上品に叩かれると。
冗談らしいが。

山崎は今はウヰスキーとビールの町のようだ。
宮脇俊三さんは都会に近い駅らしくなくていいと書いていた。

このままがいい。

14:58 名古屋(なごや)駅(東海道新幹線/東海道本線/中央本線/関西本線 愛知県)
守山、米原13:30、大垣14:10と乗り継いできて、ここ名古屋できしめんといなり寿司の昼食。
ビールばかり飲んで、たいしたもの食べてないな。

近江平野の美しさを目に焼きつけ、近江鉄道の線路を目で追う。

垂井では相川べりにいくつもの鯉のぼりが一本の糸でつながれ、川を渡している。

大鰐温泉で見かけたし、そう言えば予土線の土佐昭和あたりで山の中腹から駅の辺りまで同じことが行われていた。

四万十川に架けられる5月の名物風景なんだろう。

15:51 豊橋(とよはし)駅(東海道新幹線/東海道本線/飯田線/名鉄本線 愛知県)
目覚めると岡崎。

蒲郡から三河湾に目をやる。

見るたびに発見がある。

こうして何度豊橋を通ったかと数えるでもなく漠然と思う。
次は53分発掛川行。

17:00 掛川(かけがわ)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
途中の新居町で浜名湖競艇帰りの客も含めて大勢乗ってきた。
夕暮れ時の見覚えのある風景。

次のは4分発熱海行。
最近の例より1時間は早く金町に帰ることができそうだ。

静岡、熱海あたりで途中下車とも思ったけど、関東に近づくほど雨がひどくなっていく。

掛川との付き合いは浅い。
夜の顔も知らない。
お城があって、新幹線が止まり、旧国鉄二俣線、天竜浜名湖鉄道と接続する街。

19:10 熱海(あたみ)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊東線 静岡県)
駅弁がまだ残ってる。
こいつはラッキーだ。

それにしてもひどい雨。

東京駅に着くのは21:00。

23:34 東京葛飾金町
東京に着くと気が急く。
次に来るのが綾瀬行というだけで絶望的な気持ちになる。

四国での穏やかな気持ちを東京に持ってくる目論みは早々に崩れた。
何がそうさせるのか。

この6日間の世間を知らなかった。
東北楽天が快進撃を続け貯金を8にしたという。
それと夢にまで見た忌野清志郎さんの死。
あれは本当のことなのか?

雨は上がっちゃいないが、ほとんど濡れずに済んだ。

この旅の道連れは矢作俊彦さんの「悲劇週間」。
堀口大学とメキシコ革命を扱った長編小説。
大好きになった男たちが最後に次々と死んでいった。
パンチョ・ビリャという英雄はその後どんな人生を辿ったのか。
続きがあってもいい話だった。

あの人は何とも思っていないかもしれないが、観音寺という街から貴女を愛していることを伝えたがっている男がいることを報せた。

今にして思えば、旅をしながらそうするのに適当な街をオレはずっと探していたんだろう。

本番は東京で。

関連記事

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】2日目(高松)その2 ‐祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山リフト乗場、恋人峠、穴吹駅、黒田屋高松西インター店

車旅日記2020年9月20日・・・祖谷口駅、小歩危駅、大歩危駅、剣山リフト乗場、恋人峠、穴吹駅、黒

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その4‐企救丘、志井公園、小倉、黒崎、黒崎駅前、筑豊中間(北九州モノレール/鹿児島本線/筑豊電気鉄道)

鉄旅日記2020年8月14日・・・企救丘駅、志井公園駅、小倉駅、黒崎駅、黒崎駅前駅、筑豊中間駅(北

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】2日目(琵琶湖志賀-福山)桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔

車旅日記2000年8月13日・・・桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 2000・8・1

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】最終日(三次-東京)その3‐清音、倉敷、岡山、熊山、姫路(伯備線/山陽本線)

鉄旅日記2020年7月26日・・・清音駅、倉敷駅、岡山駅、熊山駅、姫路駅(伯備線/山陽本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】初日(東京-倉敷)その2-北条町、姫路、播州赤穂、日生、備前片上、西片上、倉敷(北条鉄道/加古川線/山陽本線/赤穂線)

鉄旅日記2009年11月21日・・・北条町駅、姫路駅、播州赤穂駅、日生駅、備前片上駅、西片上駅、倉敷

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】2日目(津山-鳥取)その1-津山、坪井、久世、中国勝山、刑部、新見、総社、備中高松、高松城址、吉備津(姫新線、伯備線、吉備線)

鉄旅日記8月14日その1・・・津山駅、坪井駅、久世駅、中国勝山駅、刑部駅、新見駅、総社駅、備中高松駅

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】2日目(新山口-大分)その2-香春、田川伊田、田川後藤寺、日田、豊後森、豊後中村、野矢、由布院、大分(日田彦山線/久大本線)

鉄旅日記2009年9月19日・・・香春駅、田川伊田駅、田川後藤寺駅、日田駅、豊後森駅、豊後中村駅、野

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】最終日(会津若松-新潟-吉田-三条-東京)その1-会津若松、広田、野沢、徳沢、津川、五十島(磐越西線)

鉄旅日記2018年3月4日・・・会津若松駅、広田駅、野沢駅、徳沢駅、津川駅、五十島駅(磐越西線) 2

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】初日(東京-香住)その6‐上川口、養父、豊岡、香住(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月23日・・・上川口駅、養父駅、豊岡駅、香住駅(山陰本線) 18:35&

記事を読む

「鉄旅日記」2006年晩秋【浜名湖へ。そして飯田線に乗って、友に会いにいったのでございます。】初日-掛川、尾奈、リステル浜名湖(東海道本線/天竜浜名湖鉄道)

鉄旅日記2006年11月3日・・・掛川駅、尾奈駅(東海道本線/天竜浜名湖鉄道) 2006・11・3

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年秋【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】初日(東京-飯坂温泉)その1 ‐金町、高浜、友部、水戸、いわき(常磐線)

鉄旅日記2021年10月9日・・・金町駅、高浜駅、友部駅、水戸駅、い

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】最終日(上田-東京)その3 ‐十日町、越後川口、渋川、敷島(飯山線/上越線)

鉄旅日記2021年7月11日・・・十日町駅、越後川口駅、渋川駅、敷島

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】最終日(上田-東京)その2 ‐北飯山、飯山、蓮、森宮野原(飯山線)

鉄旅日記2021年7月11日・・・北飯山駅、飯山駅、蓮駅、森宮野原駅

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】最終日(上田-東京)その1 ‐上田、滋野、長野(しなの鉄道/信越本線)

鉄旅日記2021年7月11日・・・上田駅、滋野駅、長野駅(しなの鉄道

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その4 ‐長野、御代田、小諸、上田(信越本線/しなの鉄道)

鉄旅日記2021年7月10日・・・長野駅、御代田駅、小諸駅、上田駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑