*

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、みちのく・北海道途中下車旅】2日目(横手-室蘭)-横手、土崎、八郎潟、大館、弘前、青森、泉沢、久根別、七飯、仁山、渡島沼尻、森、八雲、長万部、伊達紋別(奥羽本線、江差線、函館本線、渡島砂原支線、室蘭本線、室蘭支線)

公開日: : 最終更新日:2024/06/07 旅話, 旅話 2012年

鉄旅日記2012年8月12日・・・横手駅、土崎駅、八郎潟駅、大館駅、弘前駅、青森駅、泉沢駅、久根別駅、七飯駅、仁山駅、渡島沼尻駅、森駅、八雲駅、長万部駅、伊達紋別駅(奥羽本線、江差線、函館本線、渡島砂原支線、室蘭本線、室蘭支線)

2012・8・12 6:02 横手(よこて)駅(奥羽本線/北上線 秋田県)
駅が変わると街の印象も変わるものだ。

去年工事中だった横手駅に帰ってきた。

昨夜遅い時間に着いて、駅とステーションホテルとの往復しかしていないから、ずっと駅にいたようなものだ。

街は去年歩いた。
今年は駅の記憶さえあればいい。

7:43 土崎(つちざき)駅(奥羽本線 秋田県)
かつて車で立ち寄ったことのある和田で、川を渡った時に心が動いたことを除けば、秋田まで平凡な風景を見ていた。

そんなオレの前に座ってくれたテニスラケットを抱えた少女には感謝している。
時折ほのかにミント系のステキな香りが漂ってくる。
彼女が発しているものだとばかり思っていたが、あれはどうやらオレの着衣からのものらしい。
柔軟剤の香りか。

件の少女は秋田で降りた。
もちろん口には出せないが、「頑張って」と送り出したよ。

秋田から1駅。
土崎で下りると「駅そば」があり驚いた。
生姜入りキツネそば、美味かったな。
汁まで飲みほして、だだっ広い駅前に出た。

振り返ると女性を思わせる優しい姿の駅舎が見つめていた。

8:14 八郎潟(はちろうがた)駅(奥羽本線 秋田県)
去年に続き、ここ八郎潟で数分の停車。

あのドンツキの通りが一日市商店街か。

席を移った先で秋田美人が瞳を閉じている。
その背後に2色の秋田平野。
とてもステキだ。

去年干潟だと思った水の流れは米代川かもしれない。

どっちにしろオレの土地勘などいい加減なものだ。

10:29 大館(おおだて)駅(奥羽本線/花輪線 秋田県)
駅前から街を眺めると、一年とは早いものだと改めて思う。

街の全部を覚えていたから、正直72分の待ち時間は苦痛以外の何物でもないと思い、それでも繰り出すかと地図を見て驚いた。
中心街は長木川のムコウなんだ。
そりゃそうだ。
去年の範疇に役場の姿はなかった。

歩いても歩いてもという感じで、大館は大きな街だった。

そしてあの坂を上がったあたりが盛り場かと見届けて、駅への道を引き返した。

かつて大館ではテレビ放送を伴ったプロレス興行も行われた。
子供時分に見たジャイアント馬場×大木金太郎の波乱の一戦はここ大館での出来事だった。

去年はあれこれひどいことを書き連ねたことのように思う。
次が必ずある街で、その時は宿をとるだろう。

そして常に印象を新しくしていく街になるだろう。

11:28 弘前(ひろさき)駅(奥羽本線/五能線/弘南鉄道弘南線 青森県)
弘前には縁がない。

今回は5分の停車。
津軽三味線流れるホームに降りた。

ただその1点の記憶だけを持って列車は青森へ向かう。

13:15 青森(あおもり)駅(奥羽本線/津軽線/青い森鉄道 青森県)
津軽海峡線は満席。

青森は発展の途上にある。
そんな街は滅多にない。

ただ、海峡の街はそうあるべきだ。
海のムコウに夢を見れなくなったら、人類はそれこそ宇宙にでも出なきゃならなくなる。
人類がそんな大層な存在であるわけがない。

しんまち通りを歩いた。
最初目にした時に魔王の城を思わせたテレビ塔までと思ったが、そこへは果てしなく、日本共産党が演説を始めたあたりで海へと折れた。

そしてアニメの仮装した連中に占拠されたボードウォークを辿って駅へと戻る。


15:23 泉沢(いずみさわ)駅(江差線 北海道)
北の大地へ上陸。
弘前から立ちっぱなしだったこともあり木古内に着くとすぐに眠りこんでしまった。

津軽海峡に面した本当に小さな駅で数分の停車。

煙突ストーブを囲んだ待合室は掃除が行き届き、ベンチにはクッションが敷かれ、とても好ましかった。

16:02 久根別(くねべつ)駅(江差線 北海道)
爽やかな風が吹いている。

多少霞んでいるが、気持ちのいい晴天。
予報は覆った。

函館山は当初ぼんやりと浮かんで見え、次第にはっきりしてきた。
街が近い。

ペンキの剥がれた駅舎は外観に比して中は広く、体育館の空きスペースを思わせる。

その駅から海の方に目を移すとすでに町だった。

函館山に続く海岸線を眺めていると、ワイキキの街並を思い出した。

16:59 七飯(ななえ)駅(函館本線 北海道)
五稜郭で乗り換え。

高原に来たような印象だ。
清潔な駅前に商店はなく、少し歩いてソフトクリームを買い求めた。

ビールが飲みたかったけど、どこにも売っていなかったんだ。

北海道らしさは風景の中に見えてきた。
盆地状の土地に牧場のような施設が霞んでいる。

これが北の大地の夕暮か。

17:22 仁山(にやま)駅(函館本線 北海道)
森の中に停車している。

民家は見られない。
スキー場があるらしい。

崩れ折れそうなホームに朽ち果てそうな駅舎。
中は広く、閉鎖されている部屋を覗くと現役を思わせる立派なソファが置かれていた。

眼下に5号国道と集落が見える。

スキー場のてっぺんから眼下を見下ろす感覚に似ている。

18:07 渡島沼尻(おしまぬまじり)駅(函館本線渡島砂原支線 北海道)
この列車は大沼から渡島砂原を通って森へと至る。
ここでまた数分の停車。

霧雨とはよく言ったものだ。
晴れから一転霧に覆われ民家も絶えた。

改札機能のない緊急避難小屋のような駅舎の灯が霧に滲んでいた。

18:33 森(もり)駅(函館本線/渡島砂原支線 北海道)
北海道初上陸の際、函館に戻る道中で海を眺めたのはこのあたりだったのだろう。
海辺の町で「森」とは。

明治天皇上陸地とあった。
北海道の歴史は浅く、また伝わっていないものが多い。
そして虫が多い。

霧は晴れたが曇っている。
大沼上に浮かんだ夕日が隠れて以来こんな空だ。

19:24 八雲(やくも)駅(函館本線 北海道)
町に着いた。
ひときわ明るい灯に迎えられた。

東京音頭が聞こえた。
祭か。

7月に新日本プロレスがこの町で興行を打っている。

旅館、食堂とも駅前にあるがコンビニはなかった。
涼しかったよ。

20:15 長万部(おしゃまんべ)駅(函館本線/室蘭本線 北海道)
駅の営業はすべて終わり、八雲にはあった人の熱気はなく、駅前は深夜のように閑散としていた。

北海道上陸から随分時が経ち、歩を進めてきたが、実はまだ端緒に過ぎない。

その大きさを早くも実感している。

21:23 伊達紋別(だてもんべつ)駅(室蘭本線 北海道)
室蘭本線に入ってから、もちろん時間の関係もあるが、めっきり人を見かけなくなり、駅が小型化した。

数分の停車時間があり、久し振りに風格のある駅に降りたら、高層住宅の並ぶ町ながら商店などは見当たらなかった。

札幌行スーパー北斗が止まり、やがて去っていった。
余韻は残っていない。

幕末から開拓に苦労を重ねた亘理伊達藩が開いた町だという。

走り出すとまた闇に包まれた。

関連記事

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その2-掛川、磐田駅、浜松、音羽町、岡崎、知立、名古屋渋滞、佐屋町、弥冨町

車旅日記1996年5月3日 6:25 1号国道‐掛川 あれから1時間か。 始まるよ、これか

記事を読む

「車旅日記」1996年夏【再び北を目指した夏。不慮の事故に遭い、打ち切らざるを得なくなったのでございます。】初日 (東京‐三国峠‐新潟)- 成瀬センター前、東福生駅、籠原駅、北橘村、渋川、ドライブイン利根川、猿ヶ京湖城閣、越後湯沢駅、道の駅ゆのたに、堀之内パーキング

車旅日記1996年8月13日 1996・8・13 10:45 東京 ルートは決まった。 今まで

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋【「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】初日(東京-岳南江尾-豊橋-三河田原-岡崎-尾張瀬戸-勝川-枇杷島-桑名)その2-吉原、岳南江尾、本吉原、吉原本町、吉原、富士川、新蒲原、西焼津、新豊橋、三河田原(岳南電車岳南線/東海道本線/豊橋鉄道渥美線)

鉄旅日記2018年9月15日・・・吉原駅、岳南江尾駅、本吉原駅、吉原本町駅、富士川駅、新蒲原駅、西焼

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その5‐備後落合、備後庄原、三次(芸備線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・備後落合駅、備後庄原駅、三次駅(芸備線) 17:10  備

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】3日目(小樽-富良野)その2-深川、増毛、留萌、北一已、深川、旭川、美瑛、千代ヶ丘、富良野(留萌本線/函館本線/富良野線)

鉄旅日記2016年8月12日・・・深川駅、増毛駅、留萌駅、北一已駅、深川駅、旭川駅、美瑛駅、千代ヶ丘

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】初日(東京-和歌山)その1-浜松、豊橋、大垣、京都、六地蔵、城陽、京終、帯解、天理、桜井(東海道本線/奈良線/桜井線)

鉄旅日記2008年7月19日・・・浜松駅、豊橋駅、大垣駅、京都駅、六地蔵駅、城陽駅、京終駅、帯解駅、

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】最終日(人吉-天草-熊本空港)走行距離240㎞ その2-上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港駅、東京葛飾金町

車旅日記2005年2月13日・・・上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その4‐置賜、高畠、米沢(奥羽本線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・置賜駅、高畠駅、米沢駅(奥羽本線)15:32 置賜(おいたま

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】最終日(宮古-東京)その2‐陸前赤崎、大船渡、気仙沼、一ノ関(三陸鉄道リアス線/大船渡線)

鉄旅日記2019年9月23日・・・陸前赤崎駅、大船渡駅、気仙沼駅、一ノ関駅(三陸鉄道リアス線/大船渡

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その1‐新津、馬下、津川、喜多方(磐越西線)

鉄旅日記2020年4月5日・・・新津駅、馬下駅、津川駅、喜多方駅(磐越西線) 2020・4・5 5:

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その4 ‐長野、御代田、小諸、上田(信越本線/しなの鉄道)

鉄旅日記2021年7月10日・・・長野駅、御代田駅、小諸駅、上田駅(

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その3 ‐しんざ、十日町、越後鹿渡、津南、戸狩野沢温泉(北越急行ほくほく線/飯山線)

鉄旅日記2021年7月10日・・・しんざ駅、十日町駅、越後鹿渡駅、津

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その2 ‐湯檜曽、水上、越後湯沢、六日町(上越線)

鉄旅日記2021年7月10日・・・湯檜曽駅、水上駅、越後湯沢駅、六日

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その1 ‐金町、上野、高崎、水上(常磐線/高崎線/上越線)

鉄旅日記2021年7月10日・・・金町駅、上野駅、高崎駅、水上駅(常

「鉄旅日記」2021年皐月【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】最終日-勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野駅、養老渓谷駅、五井駅(外房線/いすみ鉄道/小湊鉄道)/養老渓谷2階建てトンネル

鉄旅日記2021年5月23日・・・勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野

→もっと見る

    S