「鉄旅日記」2018年初秋 初日(東京-桑名)その1-金町、新宿、新松田、松田、沼津(常磐線/山手線/小田急小田原線/御殿場線/東海道本線)【「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】
鉄旅日記2018年9月15日・・・金町駅、新宿駅、新松田駅、松田駅、沼津駅(常磐線/山手線/小田急小田原線/御殿場線/東海道本線)
2018・9・15 4:25 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
しっかりと眠れた9月の夜。
毎朝唱える言霊を愛しきものとわが身に向けて。
そして心の恋人との昨日の接点を思い出している。
西日本豪雨の影響で計画は絶たれ、夏には旅に出なかった。
その前後から新たなビジネスを始め、今や暇を持て余すことなどない日常。
これでいい。
言霊は未来を向いている。
8年振りにこの町に戻って、じきに早半年。
この町にも暮らす部屋にも、どれほどいることになるのかと思っていた春を過ぎて、今はこの町とはずっと関わりを持ちたいと思っている。

江戸川堤は美しく、空は広く、時に龍が姿を見せる。
ジョギングで駆け抜けながら愛しきものの姿を思い浮かべる。
ベビーカーを下りた彼が河川敷を笑いながら駈けていく姿を思い浮かべる。
その行為は切なさを伴うが、幸せな気持ちにはなる。
心の恋人は柴又に縁を持っていて、オレの発信に懐かしげに反応してくれる。
やがて彼女と帝釈天参道を歩く日が訪れるだろう。
都心に向かう一番列車は松戸発北千住行き。
北千住に着いて、常磐線ホームへ古めかしい階段を上がる。
かつての上野駅に感じられた昭和がそこにある。
そんな昭和は来年の元号改正により、さらに古色をまとい人々の記憶の中で遠い存在になっていく。
日暮里で山手線に乗り換える。
きっちり目覚めた人たちや眠そうな人たち。
または飲み疲れた人たち。
この時間帯に子供を見かけることはなく、完全なる大人の世界。
こうして旅に出ると、年に数度この世界に身を置く。
そこで感じていた違和感の正体が分かった。
この早朝の世界には大人しかいないということ。
道理で退廃的だ。
5:23 新宿(しんじゅく)駅(山手線/中央本線/総武線/埼京線/成田エクスプレス/湘南新宿ライン/都営新宿線/都営大江戸線/小田急小田原線/京王線/京王新線/東京メトロ丸の内線 東京都)
新宿駅ホームにはあふれるばかりの人の群れ。
これが東京というイカれた都会の朝。
バスタ新宿開業により変貌した甲州街道沿いの風景にはまだ慣れていない。
それでもこの街でこんな時間帯にいれば、飲み疲れて朝を迎えた30年前を思い出す。
そしてオレも友達もよく歌った「大阪で生まれた女」がどこからともなく頭の中で流れ出す。


そう言えば、あの頃はまだ昭和だった。
小田急線に乗って新松田に向かっている。
急行列車の席は埋まっている。
6:55 新松田(しんまつだ)駅(小田急小田原線 神奈川県)にて

7:03 松田(まつだ)駅(御殿場線 神奈川県)
6:50新松田着。
小田急線でひとつ手前の渋沢駅を出ると急に山の気が漂いだした。
かつて何度か車で走った246号国道でも町から山への境は不意のことだったと思い出した。
この駅には31年前の夏に一度降りたことがある。
その年の春に卒業した高校の剣道部の合宿にOBとして参加するために重い防具を担いで、町田から新松田へ。
御殿場線に乗り換えて御殿場で降りて、バスで山中湖に向かった。
義務のように感じていて、あまり気乗りがしないというより、嫌々ながらひとりで向かった。
従ってたいして重要な記憶じゃないが、それでも31年後まで忘れずに生きてきたことになる。
もう嫌々ながら何かをするのはたくさんだ。
小田急線の駅そば「箱根そば」に懐かしさを感じ、小雨降る中を駅前を歩き、御殿場線ホームに上がる。


低い山々から雲が湧きたち幽気が漂う。
山など見えない町に暮らす身に、「オマエの根っこはこっちだろ」と教えてくれる。
もっとも教えられたところで、オレにはもう戻りたい場所などない。

「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」8,480円を購入。
この二日間の旅で未乗車の7私鉄に乗る。
すでに国府津で東海道本線に乗り換え、小田原を過ぎ根府川の手前にさしかかり、車窓からは相模湾が見えている。
8:26 沼津(ぬまづ)駅(東海道本線/御殿場線 静岡県)
熱海で乗り継ぎ、沼津で5分の停車。
箱根を突き抜けて御殿場線と合流。
駅弁売場があるこの駅の格は変わらない。
かつては上りホームに「おでん屋」があり「駅そば」があった。
どちらにも一度寄ったことがあり、どちらも味はよく、特に駅そばの美味さはとても記憶に残っている。
その「駅そば」は健在だが、「おでん屋」はない。
「おでん屋」の女将は、富士山はこのあたりから眺めるのが一番いいと言っていた。
「富士宮あたりじゃ近すぎるよ」と。
駅のホームでほろ酔いになれた古きよき鉄道文化だった。
駅前風景は記憶の中より都会だった。


関連記事
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 4日目(佐賀-松浦)その1-佐賀、肥前竜王、里信号場、喜々津、浦上、浦上駅前、長崎駅前、長崎、長与、諫早(長崎本線/長崎電気軌道/長崎本線長与支線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月21日・・・佐賀駅、肥前竜王駅、里信号場、喜々津駅、浦上駅、浦上駅前駅、長崎駅
-
-
「車旅日記」2000年春 4日目(鳴子温泉‐米沢‐猪苗代‐郡山)鳴子サンハイツ、道の駅むらやま、金渓ワイン、日布峠、こたかもりドライブイン、郡山スターホテル 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】
車旅日記2000年5月6日 2000・5・6 7:19 鳴子サンハイツ 1011㎞ 低調な朝だ。
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その1-金町、西桑名、楚原、阿下喜、麻生田、丹生川(常磐線/三岐鉄道北勢線/三岐鉄道三岐線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月22日・・・金町駅、西桑名駅、楚原駅、阿下喜駅、麻生田駅、丹生川駅(常磐線/
-
-
「鉄旅日記」2013年春 初日(東京-和歌山)その1-米原、弁天町、大正、芦原橋、今宮、杉本町、堺市、東羽衣、鳳(東海道本線、大阪環状線、阪和線、東羽衣支線) 【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】
鉄旅日記2013年4月7日その1・・・米原駅、弁天町駅、大正駅、芦原橋駅、今宮駅、杉本町駅、堺市駅、
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その6‐渚、高山(高山本線)/うま宮 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月20日・・・渚駅、高山駅(高山本線)/うま宮 17:54 渚(なぎさ)駅(高
-
-
「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】
鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線) 【武田信玄公隠し湯にて】
-
-
「車旅日記」2006年皐5日目(青森-安達)その1-駅前ホテルニュー青森館、野辺地駅、三沢駅、十和田市駅、本八戸駅、陸中八木駅、久慈駅、岩泉駅、茂市駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月6日・・・駅前ホテルニュー青森館、野辺地駅、三沢駅、十和田市駅、本八戸駅、陸中
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その3‐三滝、横川、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口、宮島口(可部線/山陽本線/JR西日本宮島フェリー) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月13日・・・三滝駅、横川駅、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口
-
-
「鉄旅日記」2017年冬 最終日(喜多方-東京)その3-鬼怒川温泉、東武ワールドスクウェア、上今市、今市、下今市、南栗橋(野岩鉄道/東武鬼怒川線/東武日光線 【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】
鉄旅日記2017年12月3日・・・鬼怒川温泉駅、東武ワールドスクウェア駅、上今市駅、今市駅、下今市駅
-
-
「鉄旅日記」2014年春 最終日(紀伊勝浦-東京)その1-紀伊勝浦、太地、湯川、那智、三輪崎、新宮、鵜殿(紀勢本線)/丹鶴城公園 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】
鉄旅日記2014年3月9日その1・・・紀伊勝浦駅、太地駅、湯川駅、那智駅、三輪崎駅、新宮駅、鵜殿駅(
