「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】初日(東京-新山口)その2-廿日市、広電廿日市、宮島口、広電宮島口、大竹、岩国、徳山、新山口(山陽本線/岩徳線)
鉄旅日記2009年9月18日
2009・9・18 15:46 廿日市(はつかいち)駅(山陽本線 広島県)
眠っている間に大都市広島へ。
強い日差しの下の被爆地広島はとても平和に見えた。
太田川沿いを快走する白い車を眺めながら、かつてのオレを重ね合わせる。
とてもイカした風景だった。
いつだったか宇部から広島に向かう途中、記憶に残った廿日市。
どこか別の町と思い違いをしたのだろうか。
高速道路から眺めた町と、実際に歩く町が記憶の中でうまく噛み合わない。
まぁいい。
規模は大きくないが、賑やかな感じのする好ましい町だった。
駅から2号国道に向けて、商店を従えた一本の道が延びていて、広島電鉄廿日市駅を過ぎるとスナック街になる。
そんな通りを得意先と電話で話しながら往復した。
だんだん本州の行き止まりに近づいている実感が湧いてくる。
広電廿日市(ひろでんはつかいち)駅(広島電鉄宮島線 広島県)にて
16:32 宮島口(みやじまぐち)駅(山陽本線 広島県)
これまで車で通るたびに、何度も混雑を味合わされた天下の観光地宮島口。
平日の顔は静かでいい。
何組かの外国人グループが降りていった船着き場は閑散としている。
宮島には渡らないし、もちろん厳島神社にお詣りすることもないが、この場にいることを「ハレ」と思う。
仕事の電話をかけるのはもうよそう。
宮島競艇に用がありそうなオッサンに、広島弁の若者。
強烈な西日を受けている。
駅に戻って、船着き場でフェリーに乗らなかったことを少しだけ後悔している。
あそこで眺めた景色はとても素晴らしかった。
彼女は、尾道に降りたのと同じ旅行で宮島にも渡っている。
貨物列車が少女の会話を遮る。
こんな旅先の一風景を眺めるために、オレはこうして東京の暮らしから時に離れる。
宮島口(みやじまぐち)フェリー乗場(JR西日本宮島フェリー)
広電宮島口(ひろでんみやじまぐち)駅(広島電鉄宮島線 広島県)にて
17:17 大竹(おおたけ)駅(山陽本線 広島県)
人の和と産業の町、大竹。
長州と国境を接するこの町で、幕末に激戦があったことは知られていない。
この大竹から瀬戸内の重化学工業地帯は始まる。
宮島口を出ると、海上に立つ有名な大鳥居が車窓に現れ、その先に工業地帯が見えた。
波打ち際から離れ、町へ。
駅構内は広く、貨物駅もある。
商店街に奥行きはなく、宿泊施設は見かけなかった。
山と海に囲まれた静かな町だ。
女子高生が大きな声で喋っている。
町も様々だと感慨深い。
カープのエースは大竹投手。
90年代に入る頃に好きだった女性の姓もこの町と同じだった。
彼女の出身地だった足利に行って以来、久し振りに当時を思い出している。
それは予期していたことではあったけれど。
18:05 岩国(いわくに)駅(山陽本線/岩徳線/錦川鉄道 山口県)
西国の日暮れは遅い。
まだ十分に明るい。
改札口を抜けた風景には見覚えがあった。
あの時は、駅に入っている甘味屋でラーメンを食べたんだよな。
岩国は都会といっていいだろう。
歓楽街の人通りはまだ少ない。
街の灯がまだ明るくなる前だった。
かつてのオレたちのような坊主頭をした少年の一団が歩いている。
岩国のシンボル、錦帯橋をイメージさせるアーケードが大通りの両側に続いていた。
この街で夕暮れを迎えられた今回の旅を気に入っている。
岩徳線のホームにいった。
徳山行のディーゼル車が待っている。
19:51 徳山(とくやま)駅(山陽新幹線/山陽本線/岩徳線 山口県)
岩徳線には味があった。
おそらくすべてが無人駅だろう。
まだ明るいうちに通った西岩国は立派な駅だった。
錦帯橋はお城近くに架かっているのだろう。
繁華街からも遠くなさそうだ。
大半が周防高森で降りて、また乗ってきた。
終点は徳山。
ここも都会だ。
徳山は大きな街だ。
アントニオ猪木は、この街でアブドーラ・ザ・ブッチャーとの闘いに終止符を打ち、地元の英雄長州力はPWF王者として凱旋して、「ミスター・パーフェクト」を名乗る前のカート・ヘニングを相手に防衛戦を行った。
商店街は閉まっていたけど、複雑な造りでわくわくする。
商圏は広いのだろう。
歓楽街までは辿り着けなかった。
駅前の屋台には惹かれた。
当初は徳山で宿をとるつもりでいたけど、そうしていたら間違いなくあの暖簾をくぐっただろう。
去年、柳井で寄った店の店長は、普段は徳山の店にいると言っていたっけ。
徳山を離れてしばらく経つ。
工場明かりが美しかった。
2013年8月10日撮影
新山口(しんやまぐち)駅(山陽新幹線/山陽本線/山口線/宇部線 山口県)にて
22:21 東横イン新山口駅新幹線口904号
去年降りた防府に一礼して、じきに新山口。
沿線の灯は変わらず乏しかった。
ある程度の想像はついていたが、実際に降りてみて驚いた。
駅以外にめぼしいものを持たない町だった。
スナックの数は充実していたけど、奥行きは視界の限り。
そんな中を麗しいマダムが歩いている。
そうだった。
長州娘もまた美人が多い。
入った店は、おかみさんが一人で切り盛りしている歴史の古そうな焼鳥屋だった。
後ろでは二人のオッサンが宗教をはじめとした小難しい話をしている。
注文したものは例外なく美味かった。
店の常連たちは、おかみさんの手を煩わせないように自ら立ってあれこれと動いている。
代々の教えなのだろう。
あれは人にしか作れない光景だ。
そう思いながら飲んでいた。
かつて岡山で出会ったおかみさんのように、ここのおかみさんも一年中休んでいないのかもしれない。
なかなか素敵な笑顔の持ち主だったよ。
この駅は、旧の小郡の方がしっくりくる。
そう思いながらここまで歩いてきた。
長い跨線橋は壮観だった。
明日また渡ろう。
こっちの新幹線口にはホテルしか見当たらないから。
昨夜は新橋で飲んで、今は山口にいる。
山口に着くまでこんなにも時間を必要としない世の中だが、オレにはこれでいい。
駅前に種田山頭火の銅像が立っていた。
彼所縁の町らしい。
彼女はまだ新橋にいる時分。
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