*

「鉄旅日記」2009年秋 2日目(新山口-大分)その1-新山口、宇部、居能、雀田、長門本山、小野田、厚狭、新下関、下関、門司、小倉(山陽本線/宇部線/小野田線/長門本山支線/山陽本線/鹿児島本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年9月19日・・・新山口駅、宇部駅、居能駅、雀田駅、長門本山駅、小野田駅、厚狭駅、新下関駅、下関駅、門司駅、小倉駅(山陽本線/宇部線/小野田線/長門本山支線/山陽本線/鹿児島本線)

2009・9・19 5:30 新山口(しんやまぐち)駅(山陽新幹線/山陽本線/山口線/宇部線 山口県)
夜明け前。
西国の朝の訪れは遅い。
昨日の東京と同じような色の空に明星が浮かぶ。

跨線橋を渡る風が心地いい。
町で見かけたのは二人。
ささやかな繁華街の灯はすべて消えていた。

4日後の日暮れ時にこの町に戻ってくる。
その時間帯ならまだ明るいだろう。
この町の明るい印象も携えて東京に帰りたいと思っている。

今日も長い一日になる。
これから大分まで16時間の旅。


2015年8月13日撮影

6:12 宇部(うべ)駅(宇部線/小野田線 山口県)
何年も前、宇部で出会った女性が運転する車からこの駅を眺めたことがある。

その後その女性に振られた2月、乗り換えで一度ホームには降りている。
寒い日だった。

朝の早い少年少女たちが物音をたてている。
日は昇り、気持ちのいい朝だ。

駅員の姿はなく、「駅そば」もまだ営業前。

駅前の「せんてつ」という雑居ビルの2階にはレストランがあるようだ。
町の人々が週末に家族連れで集まるような場所だったらいいと思う。
子供たちには、そんな場所と記憶が必要だ。

少し歩くとすぐに埃っぽいダンプ道路に出る。

ここ宇部に大切な友人が暮らし、大切な記憶がある。

宇部駅に着くまでの区間で厚東川と再会して、しばらく寄り添った。
そしてじきに渡る。

あの風景がオレは好きだった。

6:36 居能(いのう)駅(宇部線/小野田線 山口県)
かつては鉄道員がいたであろう立派な駅舎が通りに面している。
見渡したところ商店はない。

次が宇部新川。
厚東川に架かる鉄橋から宇部興産の煙突が見えた。
操業は続き、煙突から煙が上がる。
厚東川には橋が何本も架かり、一番奥の高速道路と見紛うようなのが宇部興産専用橋。

ここで小野田線に乗り換える。

6:55 雀田(すずめだ)駅(小野田線/長門本山支線 山口県)
乗換駅でしばらく停車。

海沿いに工場の煙突が見える。
小野田セメントは、今じゃセメントを造っていないと聞いた。

かつての炭鉱町を走る宇部線、小野田線。
乗客は少ないが、廃止の動きはなさそうだ。
ここの駅前にも商店は見られない。

7:26 長門本山(ながともとやま)駅(小野田線長門本山支線 山口県)
海に付きあたる場所に駅舎を持たない終着駅があった。
宮脇俊三さんがここを訪ねた頃の姿じゃない。

列車を降りると海が見えた。

きららビーチへ。
おそらく、かつて宇部に暮らす友人が連れてきてくれた浜だろう。
遠くに関門橋の煌めきが見えた。

背後に目を移すと小高い山。
あれは竜王山公園。
あそこにも上がって眺めたものだ。
友人と、そして宇部で出会った女性と。

この終着駅を降りても何もないことは知っていた。
でも、そこが思い出につながる場所だとは知らなかった。

この駅は朝と夕に一日5往復の運行がある。
かつて何があった場所なのか、駅周辺にそれを教えるものはない。

秋の虫の声が耳に心地いい。

8:35 小野田(おのだ)駅(山陽本線/小野田線 山口県)
森と湖のまち小野田。

駅前は簡素なものだが、小野田銘菓を売る土産物屋に、イカした街灯を配した商店街があった。
僅かだが飲食店もある。

長門本山から雀田に戻り、小野田港、南小野田と続き、乗客はなかなか多かった。
そして小野田に着き、小野田線完乗。

「駅そば」が営業していて、細麺のうどんで朝食。
いい味だった。

涼しい風が吹いている。

小野田とはこれでまたしばらく。
衰退はしているのかもしれないが、人口は未だに多い。
いい風情だったと振り返りながら、下関行に乗る。

9:06 厚狭(あさ)駅(山陽新幹線/山陽本線/美祢線 山口県)
ホテルと旅館がそれぞれ1軒ずつ。
それと2、3の食堂。
駅前商店街の顔触れはそれだけだ。

この駅に新幹線が止まり、日本海に向けて美祢線が分かれる。
厚狭は鉄道の町なのだろう。

さらに次の下関行に乗る。

途中に湖を見た。
平凡な風景の中にも見どころはあるものだ。

埴生に着いて、新聞紙を握りしめた男が降りていく。
駅前には山陽オートレース場がある。

海が見えた。
風が強いのは台風の影響か。

小月着。
広大な原っぱが風に揺れている。

2015年8月15日撮影

9:47 新下関(しんしものせき)駅(山陽新幹線/山陽本線 山口県)
ひとつ手前の長府は毛利支藩の城下町。
乃木希典大将が生まれ、今は下関競艇場がある。
「駅そば」もあって、随分賑やかな印象を受けた。

そして新下関。

原っぱの中にできた新幹線駅。
元々はそんなところだろう。
天気のよくない日に通った時にはうら寂しい印象だった。

改札を出ると様子のいい山が目に入る。
地図がなかったから山の名は分からない。

そしてチャペル。
駅の中に町がある。
新白河駅を思い出した。

10:15 下関(しものせき)駅(山陽本線/山陰本線 山口県)
懐かしい。
変わったようにも変わっていないようにも見える。

あれから駅舎は放火によって失われ、街のシンボルがなくなってしまったとのだと嘆く市民の声を記事で読んだ。

三角屋根の駅舎の復興はならないが、駅は元気だ。
街にも活気がある。

この街で海峡花火大会は見た夏から何年が経過したのか。
宇部で出会った女性は、その年のクリスマス・イブに苦手な寿司を食べに同僚とここ下関に向かった。

彼女は次の旅行の計画にこの街を入れようとしている。

いよいよ九州へ。

10:53 門司(もじ)駅(鹿児島本線/山陽本線 福岡県)
古い町並を歩く。

関門海峡ではかつてを懐かしむ。
古くは壇ノ浦合戦、そして近代では大陸との交易路として栄えた悠久の海峡。

ちっぽけなものだが、オレもここでの過去を持つ。
子フグのから揚げでビールを飲みたいよ。

門司港レトロ地区はそもそも素晴らしいが、九州と本州の分岐駅のここにも、海峡独特の空気が流れている。

門司港駅から続く大鉄道基地はこのまま小倉へと続いている。




11:22 小倉(こくら)駅(山陽新幹線/鹿児島本線/日豊本線/日田彦山線/北九州モノレール 福岡県)
日本有数の大都会小倉。
3度目になる。
この街にもいい思い出がある。

あの時は言ってみれば傷心だった。
いろいろあって、まだこうして旅をしてるよ。

そしてまたこの街にきた。
モノレールが真っすぐに街を突っ切り、振り返って見上げればステーション・ホテル。
玄界灘はすぐそこにある。

今日もどこかで彼女に伝えよう。
今、こんな街にいますと。

いよいよ田川へ。
遥かな昔といえば言いすぎだが、隆盛を誇った筑豊炭田地帯へ。

関連記事

「鉄旅日記」2009年秋 3日目(大分-佐賀)その2-大牟田、銀水、西鉄銀水、瀬高、荒木、久留米、鳥栖、佐賀(鹿児島本線/長崎本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】

鉄旅日記2009年9月20日・・・大牟田駅、銀水駅、西鉄銀水駅、瀬高駅、荒木駅、久留米駅、鳥栖駅、佐

記事を読む

「車旅日記」2000年春 最終日(郡山‐茂木‐下館‐東京)郡山スターホテル、新白河駅、黒羽くらしの館、茂木駅、下館駅、みつかいどうロードパーク、葛飾金町 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月7日 2000・5・7 8:35 郡山スターホテル510号室 最後の朝がやっ

記事を読む

「鉄旅日記」2018年水無月-松戸、八柱、新八柱、くぬぎ山、新鎌ヶ谷、北習志野、京成津田沼、ユーカリが丘、勝田台、東葉勝田台(新京成線/京成本線/山万ユーカリが丘線)【地元からひと駅先の松戸からは、新京成線が出ております。】

鉄旅日記2018年6月3日・・・松戸駅、八柱駅、新八柱駅、くぬぎ山駅、新鎌ヶ谷駅、北習志野駅、京成津

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その2 ‐水沢江刺、盛岡、上米内(東北新幹線/山田線)【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・水沢江刺駅、盛岡駅、上米内駅(東北新幹線/山田線) 9:4

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 初日(東京-倉敷)その1-東京、円町、園部、安栖里、山家、市島、柏原、谷川、西脇市、粟生(東海道新幹線/山陰本線/福知山線/加古川線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月21日・・・東京駅、円町駅、園部駅、安栖里駅、山家駅、市島駅、柏原駅、谷川駅

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その2-源道寺、入山瀬、下部温泉、塩之沢、甲斐常葉、市川大門、甲府、新府、穴山、東山梨、東所沢(身延線、中央本線、武蔵野線)

鉄旅日記2013年3月3日その2・・・源道寺駅、入山瀬駅、下部温泉駅、塩之沢駅、甲斐常葉駅、市川大門

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その2‐新白河、郡山、福島、仙台、あおば通(東北本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・新白河駅、郡山駅、福島駅、仙台駅、あおば通駅(東北本線) 8:2

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-紀伊勝浦)その1-熱田、尾頭橋、八田、四日市、亀山、一身田、津、高茶屋、松阪(東海道本線、関西本線、紀勢本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】

鉄旅日記2014年3月8日その1・・・熱田駅、尾頭橋駅、八田駅、四日市駅、亀山駅、一身田駅、津駅、高

記事を読む

「鉄旅日記」2018年初秋 初日(東京-桑名)その1-金町、新宿、新松田、松田、沼津(常磐線/山手線/小田急小田原線/御殿場線/東海道本線)【「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】

鉄旅日記2018年9月15日・・・金町駅、新宿駅、新松田駅、松田駅、沼津駅(常磐線/山手線/小田急小

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 初日-佐倉、成東、大網、上総一ノ宮、上総興津、安房鴨川、館山、安房勝山(常磐線/成田線/総武本線/東金線/外房線/内房線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】

鉄旅日記2006年2月4日・・・佐倉駅、成東駅、大網駅、上総一ノ宮駅、上総興津駅、安房鴨川駅、館山駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわ

2021年神無月~2022年如月【SNSへの投稿より】写真をお楽しみいただけますと幸いでございます。ー下高井戸商店街、辻清人先生、紅葉の頃、金町夕景、今年も暮れゆく東京、金町睦月如月、柴又

2021年10月30日 母校を訪ねるのは卒業以来30年振りでご

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その4 ‐立小路、赤倉温泉、村山、さくらんぼ東根(陸羽東線/奥羽本線/山形新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・立小路駅、赤倉温泉駅、村山駅、さく

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その2 ‐川渡温泉、鳴子御殿湯、鳴子温泉(陸羽東線)/東鳴子温泉神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・川渡温泉駅、鳴子御殿湯駅、鳴子温泉

→もっと見る

    PAGE TOP ↑