*

「鉄旅日記」2009年秋【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】最終日(新庄-東京)その1-新庄、最上、鳴子温泉、岩出山、北浦、小牛田、鹿又、石巻(陸羽東線/石巻線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/25 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年10月11日・・・新庄駅、最上駅、鳴子温泉駅、岩出山駅、北浦駅、小牛田駅、鹿又駅、石巻駅(陸羽東線/石巻線)
2009・10・11 5:53 新庄(しんじょう)駅(山形新幹線/奥羽本線/陸羽東線/陸羽西線 山形県)
素晴らしい朝。
新しい朝だ。
仮にこの旅に何らかの瑕疵があるとするならば、そのすべてが雲散霧消するような朝。
奥羽の山並にはそういう効能がある。

「あけぼの町」は昨夜から静まりかえっていたが、それでも祭りの後の寂しさはあり、カラスが啄む。

時に汽笛がぽっと聞こえる。
ここも有数の鉄道の町と言える。
宮脇俊三さんが書いていた「駅そば」はもうないが、終着駅の貫禄が漂う駅構内だった。

鳴子温泉行は発車。
そして次の南新庄に着く。
奥羽本線とはまだ寄り添っている。

2012年8月15日撮影

新庄にて

6:41 最上(もがみ)駅(陸羽東線 山形県)
稲田は輝き、幽谷に靄が立つ。
雨上がりの道もまた輝き、素晴らしい一日が訪れていることを知る。

瀬見温泉、赤倉温泉を有する最上町。

義経弁慶から芭蕉が辿った道。

ここで数分の停車。
タクシー会社が目についた駅前は、とても小さな観光町だった。


7:14 鳴子温泉(なるこおんせん)駅(陸羽東線 宮城県)
中山平温泉から鳴子峡へ。
鳴子峡とはトンネルを抜けた先の一瞬の再会だった。

そして、かつて東北のベースキャンプにしていた鳴子駅と温泉街とも再会。

古川方面からやってきた高校生たちが、狭いホームに溢れんばかりの勢いで、新庄へと折り返していくこの列車の到着を待ち構えていた。

降りたら硫黄の匂いが鼻を刺激する。
すべてが懐かしい。
何度も訪れ、笑い、歩き、駅前のポストに用があったこともある。

そんな思い出の町に、今度は列車に乗って再訪できたことがうれしい。
すべてを覚えていたけれど、すべてが新鮮だった。

小牛田行はすでに発車していて、鳴子御殿湯を過ぎて、川渡温泉に着く。

鳴子温泉駅前風景

7:45 岩出山(いわでやま)駅(陸羽東線 宮城県)
ひとつ手前の有備館とあわせて、奥州の小京都を謳う伊達政宗所縁の地。
ここで数分の停車。

かつて何度も車を走らせた追憶のルート47号国道は、駅前から外れているため、この駅に寄る機会を持たなかったが、馴染みの地だ。

列車は西大崎を過ぎて、東大崎に着く。
伊達政宗が扇動したと言われる葛西大崎一揆が起きた地で、鎮圧後彼は米沢から岩出山への移動を命じられた。

日曜日の列車はとても空いている。

8:16 北浦(きたうら)駅(陸羽東線 宮城県)
列車の遅れで思わぬ数分の停車。
ススキの原に列車は止まっている。

瀬見温泉、赤倉温泉、中山平温泉、鳴子温泉、川渡温泉と続いた陸羽東線温泉ラインも次の小牛田で終わる。

8:35 小牛田(こごた)駅(東北本線/陸羽東線/石巻線 宮城県)
鉄道の町だ。
古くから陰陽を結ぶ交通の要衝だったのだろう。

ここを通る列車は東西上下とも、大抵ここで一旦役目を終える。
ただ、外に出ると何もないと言いたくなるほど、目につくものは少ない。
歴史を持ちそうな旅館が数軒に、焼鳥屋とスナックが入居したバラック小屋。

駅前通りには水路が設けられ、流れは清い。

この駅にはかつて仲間と立ち寄ったことがあるが、小牛田という地名は当時聞いたことがなかった。
鉄道で旅をしない限り、その名を知る機会はないだろう。

ターミナル駅だが、全国チェーンのホテルの進出は見られない。
備後落合駅などの、よほどの山間のターミナル駅でもない限り、そんな駅は稀なのではないか。

石巻に向かう列車は田園地帯を走っている。
このあたりの空は広い。

何のイベントかは知らないが、揃いのジャンパーを着た人々が走ったり、号令を聞いたりしている。

刈り入れを終えた田には、蓑でできた人形が並び、中には4、5人から成る大軍団もいる。

2018年11月3日撮影

9:07 鹿又(かのまた)駅(石巻線 宮城県)
遠くに白煙を上げる工場の煙突が見える。
あれが石巻か。
あと2駅の距離になる。

ここで5分の停車。
駅前にはタクシーが1台停まり、石巻の市民会館で開催される演歌興行のポスターが貼られていた。

9:48 石巻(いしのまき)駅(石巻線/仙石線 宮城県)
立町大通りから橋通り、寿町通りまでを歩く。

かつて車を走らせた繁華街は、きっとあのあたりだったのだろう。
あともう少し歩けば旧北上川まで出ることができたわけか。

この街に全国チェーンのホテルの進出が見られないのは意外で、「駅そば」がないのも意外だ。

宮脇俊三さんの本で駅舎が2つあると聞いていたが、2つの建物が並んでいるように見えるのがそうなのだろうか。
一方は使用されているようには見えず、入口もない。
あるいは30年前の事情は、どこかで清算されたのかもしれない。

3年前の5月に訪ねた石巻。
あの旅を終えてから何の気なしに彼女の店に行ったことから、現在のオレの事情がある。
そんなことを思いながら駅のカフェで、何の催しで流れているのか知らないが、映画「インディージョーンズ」のテーマ曲を聴いている。

女川行にはそこそこの人数が乗った。
朝からカメラをぶら下げた男たちをよく見てきたが、彼等は石巻を出て次の陸前稲井駅で降りた。
彼等はそこで1時間後に到着する特別列車を待つようだ。

2016年3月21日撮影

関連記事

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】初日(東京-香住)その3‐米原、京都、梅小路京都西、丹波口、花園(東海道本線/山陰本線)

鉄旅日記2020年7月23日・・・米原駅、京都駅、梅小路京都西駅、丹波口駅、花園駅(東海道本線/山

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】最終日(十三-東京)その2-野洲、米原、神領、定光寺、中津川、塩尻、岡谷、日野(東海道本線/中央本線)

鉄旅日記2017年8月14日・・・野洲駅、米原駅、神領駅、定光寺駅、中津川駅、塩尻駅、岡谷駅、日野駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】最終日(直江津-六日町-大前-東京)その2-八色、浦佐、五日町、水上、後閑、上牧、八木原(上越線)

鉄旅日記2018年2月11日・・・八色駅、浦佐駅、五日町駅、水上駅、後閑駅、上牧駅、八木原駅(上越線

記事を読む

2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その2-養老渓谷、上総中野、大多喜、国吉、大原(小湊鉄道/いすみ鉄道)

鉄旅日記2018年9月23日・・・養老渓谷駅、上総中野駅、大多喜駅、国吉駅、大原駅(小湊鉄道/いすみ

記事を読む

「鉄旅日記」2018年水無月【地元からひと駅先の松戸からは、新京成線が出ております。】-松戸、八柱、新八柱、くぬぎ山、新鎌ヶ谷、北習志野、京成津田沼、ユーカリが丘、勝田台、東葉勝田台(新京成線/京成本線/山万ユーカリが丘線)

鉄旅日記2018年6月3日・・・松戸駅、八柱駅、新八柱駅、くぬぎ山駅、新鎌ヶ谷駅、北習志野駅、京成津

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】3日目(大分-佐賀)その2-大牟田、銀水、西鉄銀水、瀬高、荒木、久留米、鳥栖、佐賀(鹿児島本線/長崎本線)

鉄旅日記2009年9月20日・・・大牟田駅、銀水駅、西鉄銀水駅、瀬高駅、荒木駅、久留米駅、鳥栖駅、佐

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】初日(東京-多治見)その3-笠寺、熱田、熱田神宮、神宮前、大江、名古屋東港、金山(東海道本線/名鉄常滑線/名鉄築港線/名鉄名古屋本線)

鉄旅日記2019年3月23日・・・ 笠寺駅、熱田駅、神宮前駅、大江駅、名古屋東港駅、金山駅(東海道本

記事を読む

「車旅日記」2006年初夏【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】2日目(岐阜-津-名張-近江八幡)その2-津駅、伊勢奥津駅、名張駅、伊賀上野駅、信楽駅、紫香楽宮跡駅、ホテルはちまん

車旅日記2006年7月16日・・・津駅、伊勢奥津駅、名張駅、伊賀上野駅、信楽駅、紫香楽宮跡駅、ホテル

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その2-多気、伊勢神宮外宮、伊勢市、鳥羽、鳥羽マリンターミナル(参宮線/鳥羽市営定期船)

鉄旅日記2018年12月23日・・・多気駅、伊勢神宮外宮、伊勢市駅、鳥羽駅、鳥羽マリンターミナル(参

記事を読む

「鉄旅日記」2003年冬【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】最終日(博多-小倉-門司港-宇部)その2-門司港にて

鉄旅日記2003年2月16日 2003・2・16日の記憶 門司港行の鹿児島本線に乗る。 門司港レトロ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その1 ‐金町、東京、黒部宇奈月温泉、新黒部(常磐線/北陸新幹線/富山地方鉄道本線)

鉄旅日記2020年11月21日・・・金町駅、東京駅、黒部宇奈月温泉駅

「鉄旅日記」2020年神無月【ツレと筑波山を訪ねたのでございます。関東に暮らす身にとりまして、高所に上がりますと平野の果てに浮かぶ筑波山はいつか登るべき山でございました。】-北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男体山、筑波山頂駅、宮脇駅、筑波山神社、沼田バス停、つくば駅(つくばエクスプレス/筑波山シャトル/筑波山ロープウェイ/筑波山ケーブルカー)

鉄旅日記2020年10月4日・・・北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】最終日(高松-東京)その2 ‐茶屋町、岡山、倉敷、倉敷市、水島、常盤、栄、三菱自工前(宇野線/伯備線/水島臨海鉄道)/倉敷センター街、阿智神社、倉敷美観地区

鉄旅日記2020年9月22日・・・茶屋町駅、岡山駅、倉敷駅、倉敷市駅

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】最終日(高松-東京)その1 ‐高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇野港、宇野駅(高松→直島宮浦フェリー/直島宮浦→宇野フェリー)

鉄旅日記2020年9月22日・・・高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇

「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その2 ‐金刀比羅宮、善通寺駅、高松港公園、八十場駅、白峰宮、天皇寺、磯禅師墓

車旅日記2020年9月21日・・・金刀比羅宮、善通寺駅、高松港公園、

→もっと見る

    PAGE TOP ↑