*

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】最終日(長崎-島原-唐津-福岡空港)走行距離291㎞その2-厳木駅、西唐津駅、唐津駅、筑前前原駅、葛飾金町

公開日: : 最終更新日:2020/09/12 旅話 2004年

車旅日記2004年8月15日
2004・8・15 14:01 厳木駅(8月11日の佐賀空港より1562㎞)
肥前の鄙びた街道を唐津へ。

真夏日を生きてきたオレも、九州の地でひとまず区切りがつき、今聞こえているのは秋の虫の声。

草蒸した線路をJR唐津線が走る。

時刻表を見ると1時間に1本は走っている。
そこそこの役割はまだ持たされているようだ。

雨を降らす雲は気紛れに九州全域を移動し、気が向けば関門海峡を越えて本州に移動するつもりでいるのだろう。

無人の鄙びた駅。
瓦屋根の平屋造り。
このあたりじゃ、駅を改築する予算もなかなか回してもらえないのだろう。
歴史的な小さな建造物が、駅として多く残されている。

ホームからはありふれた日本の古里の風景が見渡せる。
たいして標高の高くない山が壁となり、その先にあるであろう集落の姿を隠している。

でもオレはこんな風景が好きで、その風景の中に今参加していることがうれしい。

まったく知りもしなかった街道。
まったく想定外の街道で、線路があることに感動し、ここにいられることを幸運に思っている。

14:46 西唐津駅(8月11日の佐賀空港より1585㎞)
周囲を集合住宅に囲まれた終着駅。
たった今出ていった佐賀行に乗客の姿は確認できなかった。

無味乾燥な駅舎に「西唐津駅」と墨書された木札がかかっている。
なんだかミスマッチにも感じるが、木札に救われたような気持になる。

せっかくの終着駅だ。
もう少し風格のある姿を見たかった。

駅員はひとり。
本来はひとつ手前の唐津駅が終着駅になるところを、その先に鉄道基地を設ける都合上ついでに造られた駅という印象を受ける。
そしてここが集合住宅街が尽きる地帯でもある。

唐津で腹に何か入れるつもりでいる。
暑くなってきた。
ひょっとしたら30度は超えたかもしれない。

そしてとうとう引き返す地点まできた。

15:23 唐津駅(8月11日の佐賀空港より1587㎞)
福岡方面と佐賀方面との分岐点の町、唐津。

ここは高架駅で、規模は小さいが駅ビルの機能も併せ持っている。
「駅そば」はなく、じゃあ寿司でも食おうと思う。
海辺に来たらその地の魚を食べて帰りたい。

豊臣秀吉が大陸進出の野望を漲らせて築城した名護屋城址は唐津にあるとのこと。

さて、潮時だ。
焦りが出てきた。

最後の地、福岡空港へ。

2009年9月22日撮影

16:28 筑前前原駅(8月11日の佐賀空港より1621㎞)
唐津城を遠くに眺め、松浦川を渡ると福岡県。
いくつもの入江を横目に博多が近づいた。
海水浴場では僅かな客が盆の夏を楽しんでいる。

いくつも通り過ぎてきた町と同じように、テレビ塔の他に高層建造物の見当たらない前原に、視覚障害者用の警告音が鳴り響き、人の気配だけはあたりに旺盛に漂っている。

博多が近い。
国道を入ったところに素敵な公園があった。

ここが最後。空港に行くよ。

2009年9月22日撮影

18:19 福岡空港(8月11日の佐賀空港より1648㎞)
福岡市内に日が差している。

九州最後の海は玄界灘。
今宿あたりで見たよ。

かつて九州の男たちが元軍の上陸を阻んだ海岸で、博多っ子が海水浴を楽しんでいた。
そして博多へ。

ホークスの試合があったようで、ある一角から大勢の人があふれ出てきた。
天神、中洲。
博多の街は大きい。
一年ぶりになる。

街のど真ん中を突っ切って福岡空港へ。
博多駅へは2駅分の距離にある。

空港に晩夏の日差しが降り注ぐ。
空港の周囲を大きな看板が取り巻いている。
その看板たちが光を浴びている。
その光景がオレが最後に見た8月の思い出になる。

島原半島と大村湾ではスコールのような雨に打たれ、昨日は筑後川周辺でもひどい降りに遭った。
歴史的な雨といつもオレは表現している。

太古の昔から変わらない地球の営みが、数多くの自然を残した土地を濡らす瞬間に立ち会う時、雨は東京で浴びるものと違って、ある意味虹色を帯びる。
激しければ激しいほど、記憶に残る。
かつての青森、松山。
そして今は夏。

昨日の桜島には雲がかかっていた。
天文館で飲んだ友が言っていた。
桜島に雲がかかった翌日は雨が降ると。
そしてその通りになった。
敬虔な気持ちでいる。

旅はここで終わり、友にメールを送り、幸せな気持ちでビールを飲んでいる。

素晴らしいエンディングだ。

24:17 東京葛飾金町
ここに戻ってくるまで旅は続いた。
東京モノレールでは、荷物置きの手摺に腰を下ろして、羽田の明かりが届くあたりまでは、時折思い出したように東京の夜景を眺めていた。

九州の大地はオレから女々しさを奪った。
そっちのことはそっちでしっかりと考えろと、きっと九州の様々な神が教えてくれたのだろう。

東京で暮らす悩みやその他のつまらない思いが九州で顔を出すことはなかった。

土地の神には今日も救われた。
当初の計画に従って佐世保に行っていたら、フライトには間に合わなかっただろう。
仮に間に合ったとしても、焦って最後の行程を空しく費やすことになっただろう。

こっちも雨が降ったんだな。

今夜は涼しい。
ずっと30度以上の気温が続いていた歴史的な記録は、今日で途切れたのだろう。

関連記事

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】2日目(別府-阿蘇-宮崎)走行距離337㎞その2-高森駅、高千穂駅、延岡駅、日向市駅、佐土原駅、アーバンキット宮崎

車旅日記2004年8月12日 14:04 高森駅(8月11日の佐賀空港より403㎞) メ

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その3-稚内サンホテル

車旅日記2004年5月4日 21:39 稚内サンホテル325号 素敵な部屋に案内してもら

記事を読む

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】初日(佐賀空港-筑豊-別府)走行距離254㎞その1-葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅

車旅日記2004年8月11日 2004・8・11 4:42 東京葛飾金町 2度の安らかな

記事を読む

「車旅日記」2004年誕生月 【沖縄ひとり旅】最終日-ひめゆりの塔、具志川城址、喜屋武岬、那覇空港

車旅日記2004年2月15日 2004・2・15 10:05 ひめゆりの塔 前日の那覇空港

記事を読む

「車旅日記」2004年秋【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】2日目(宇野-下津井-新見-津山-城崎)走行距離377㎞ その2-月田駅、津山駅、智頭駅、餘部駅、鎧駅、レイセニット城崎

車旅日記2004年11月21日 2004・11・21 15:05 月田駅(11月20日の京

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その2-天塩中川駅、音威子府駅、美深駅、名寄駅、風連駅、和寒駅、比布駅、神居古潭、旭川空港

車旅日記2004年5月5日 12:30 天塩中川駅 (5月1日の旭川空港より1802km)

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その1-藤田観光ワシントンホテル、愛別駅、上川駅、白滝駅、丸瀬布駅、遠軽市太陽の丘公園 瞰望岩、遠軽駅、オホーツク氷紋の駅

車旅日記2004年5月4日 2004・5・4 7:59 藤田観光ワシントンホテル1011号

記事を読む

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】3日目(宮崎-志布志-枕崎-鹿児島)走行距離382㎞その1-アーバンキット宮崎、青島駅、油津駅、串間駅、志布志駅

車旅日記2004年8月13日 2004・8・13 7:59 アーバンキット宮崎 8月13

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その1-稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河畔、パンケ沼、下沼駅、幌延駅、雄信内駅

車旅日記2004年5月5日 2004・5・5 8:03 稚内サンホテル325号室 とうと

記事を読む

「車旅日記」2004年秋【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】初日(東京-京都-丹波-赤穂-宇野)走行距離275㎞-金町駅、東京駅、京都駅、二条駅、馬堀駅、古市駅、竜野駅、播州赤穂駅、宇野港

車旅日記2004年11月20日 2004・11・20 5:09 金町駅 昨夜のたったひと

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-穴水-金沢-内灘一三国港-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)

鉄旅日記2008年9月14日 13:03 松任(まっとう)駅

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-穴水-金沢-内灘一三国港-福井)その1-羽咋、七尾、穴水、和倉温泉、北鉄金沢、内灘、粟ヶ崎、金沢(七尾線/のと鉄道/北陸鉄道浅野川線)

鉄旅日記2008年9月14日 2008・9・14 6:40 

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】初日(東京-米原-野町-加賀一の宮-羽咋)その2-新西金沢、野町、加賀一の宮、西金沢、羽咋(北陸本線/北陸鉄道石川線/七尾線)

鉄旅日記2008年9月13日 15:19 新西金沢(しんにし

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】初日(東京-米原-野町-加賀一の宮-羽咋)その1-東京、大垣、米原、長浜、敦賀、鯖江、西鯖江、大聖寺、加賀温泉(東海道本線/北陸本線)

鉄旅日記2008年9月13日 2008・9・12 23:09

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】最終日(松阪-鳥羽-伊勢-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線)

鉄旅日記2008年7月21日 2008・7・21 8:11 

→もっと見る

    PAGE TOP ↑