*

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】最終日(長崎-島原-唐津-福岡空港)走行距離291㎞その2-厳木駅、西唐津駅、唐津駅、筑前前原駅、葛飾金町

公開日: : 最終更新日:2023/04/27 旅話, 旅話 2004年

車旅日記2004年8月15日
2004・8・15 14:01 厳木駅(8月11日の佐賀空港より1562㎞)
肥前の鄙びた街道を唐津へ。

真夏日を生きてきたオレも、九州の地でひとまず区切りがつき、今聞こえているのは秋の虫の声。

草蒸した線路をJR唐津線が走る。

時刻表を見ると1時間に1本は走っている。
そこそこの役割はまだ持たされているようだ。

雨を降らす雲は気紛れに九州全域を移動し、気が向けば関門海峡を越えて本州に移動するつもりでいるのだろう。

無人の鄙びた駅。
瓦屋根の平屋造り。
このあたりじゃ、駅を改築する予算もなかなか回してもらえないのだろう。
歴史的な小さな建造物が、駅として多く残されている。

ホームからはありふれた日本の古里の風景が見渡せる。
たいして標高の高くない山が壁となり、その先にあるであろう集落の姿を隠している。

でもオレはこんな風景が好きで、その風景の中に今参加していることがうれしい。

まったく知りもしなかった街道。
まったく想定外の街道で、線路があることに感動し、ここにいられることを幸運に思っている。

14:46 西唐津駅(8月11日の佐賀空港より1585㎞)
周囲を集合住宅に囲まれた終着駅。
たった今出ていった佐賀行に乗客の姿は確認できなかった。

無味乾燥な駅舎に「西唐津駅」と墨書された木札がかかっている。
なんだかミスマッチにも感じるが、木札に救われたような気持になる。

せっかくの終着駅だ。
もう少し風格のある姿を見たかった。

駅員はひとり。
本来はひとつ手前の唐津駅が終着駅になるところを、その先に鉄道基地を設ける都合上ついでに造られた駅という印象を受ける。
そしてここが集合住宅街が尽きる地帯でもある。

唐津で腹に何か入れるつもりでいる。
暑くなってきた。
ひょっとしたら30度は超えたかもしれない。

そしてとうとう引き返す地点まできた。

15:23 唐津駅(8月11日の佐賀空港より1587㎞)
福岡方面と佐賀方面との分岐点の町、唐津。

ここは高架駅で、規模は小さいが駅ビルの機能も併せ持っている。
「駅そば」はなく、じゃあ寿司でも食おうと思う。
海辺に来たらその地の魚を食べて帰りたい。

豊臣秀吉が大陸進出の野望を漲らせて築城した名護屋城址は唐津にあるとのこと。

さて、潮時だ。
焦りが出てきた。

最後の地、福岡空港へ。

2009年9月22日撮影

16:28 筑前前原駅(8月11日の佐賀空港より1621㎞)
唐津城を遠くに眺め、松浦川を渡ると福岡県。
いくつもの入江を横目に博多が近づいた。
海水浴場では僅かな客が盆の夏を楽しんでいる。

いくつも通り過ぎてきた町と同じように、テレビ塔の他に高層建造物の見当たらない前原に、視覚障害者用の警告音が鳴り響き、人の気配だけはあたりに旺盛に漂っている。

博多が近い。
国道を入ったところに素敵な公園があった。

ここが最後。空港に行くよ。

2009年9月22日撮影

18:19 福岡空港(8月11日の佐賀空港より1648㎞)
福岡市内に日が差している。

九州最後の海は玄界灘。
今宿あたりで見たよ。

かつて九州の男たちが元軍の上陸を阻んだ海岸で、博多っ子が海水浴を楽しんでいた。
そして博多へ。

ホークスの試合があったようで、ある一角から大勢の人があふれ出てきた。
天神、中洲。
博多の街は大きい。
一年ぶりになる。

街のど真ん中を突っ切って福岡空港へ。
博多駅へは2駅分の距離にある。

空港に晩夏の日差しが降り注ぐ。
空港の周囲を大きな看板が取り巻いている。
その看板たちが光を浴びている。
その光景がオレが最後に見た8月の思い出になる。

島原半島と大村湾ではスコールのような雨に打たれ、昨日は筑後川周辺でもひどい降りに遭った。
歴史的な雨といつもオレは表現している。

太古の昔から変わらない地球の営みが、数多くの自然を残した土地を濡らす瞬間に立ち会う時、雨は東京で浴びるものと違って、ある意味虹色を帯びる。
激しければ激しいほど、記憶に残る。
かつての青森、松山。
そして今は夏。

昨日の桜島には雲がかかっていた。
天文館で飲んだ友が言っていた。
桜島に雲がかかった翌日は雨が降ると。
そしてその通りになった。
敬虔な気持ちでいる。

旅はここで終わり、友にメールを送り、幸せな気持ちでビールを飲んでいる。

素晴らしいエンディングだ。

24:17 東京葛飾金町
ここに戻ってくるまで旅は続いた。
東京モノレールでは、荷物置きの手摺に腰を下ろして、羽田の明かりが届くあたりまでは、時折思い出したように東京の夜景を眺めていた。

九州の大地はオレから女々しさを奪った。
そっちのことはそっちでしっかりと考えろと、きっと九州の様々な神が教えてくれたのだろう。

東京で暮らす悩みやその他のつまらない思いが九州で顔を出すことはなかった。

土地の神には今日も救われた。
当初の計画に従って佐世保に行っていたら、フライトには間に合わなかっただろう。
仮に間に合ったとしても、焦って最後の行程を空しく費やすことになっただろう。

こっちも雨が降ったんだな。

今夜は涼しい。
ずっと30度以上の気温が続いていた歴史的な記録は、今日で途切れたのだろう。

関連記事

「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】初日(東京-伊豆急下田-茅ヶ崎-橋本-高崎-安中)その1-金町、熱海、城ヶ崎海岸、伊豆熱川、伊豆稲取、今井浜海岸、河津(常磐線/東海道本線/伊東線/伊豆急行線)

鉄旅日記2019年2月9日 2019・2・9 4:30 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都) 本

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【東日本大震災被災地へ】初日(東京-水沢)その2-前谷地、柳津、気仙沼、一ノ関、水沢(石巻線、気仙沼線、大船渡線、東北本線)

鉄旅日記2016年3月5日その2 15:55 前谷地(まえやち)駅(石巻線/気仙沼線 宮城県)

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】2日目(都城-鹿児島-川内-人吉)走行距離284㎞ その1-都城駅、西都城駅、財部駅、霧島神宮駅、国分駅、錦江駅、鹿児島駅

車旅日記2005年2月12日 2005・2・12 8:30 都城駅(2月11日の熊本空港より271

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)

鉄旅日記2017年3月18日 17:35 柏原(かしわら)駅(関西本線/近鉄道明寺線 大阪府)

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】初日(東京-桑名-阿下喜-西藤原-四日市-内部-西日野-津)その1-金町、西桑名、楚原、阿下喜、麻生田、丹生川(常磐線/三岐鉄道北勢線/三岐鉄道三岐線)

鉄旅日記2018年12月22日 2018・12・22 4:31 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その2-宇治山田、東青山、青山町、名張、大和八木、大和西大寺、新大宮(山田線/大阪線/橿原線/奈良線)

鉄旅日記2017年3月18日 18:35 宇治山田(うじやまだ)駅(近鉄山田線/近鉄鳥羽線 三重県

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】4日目(隼人-岩国)その2-熊本、久留米、鳥栖、吉塚、長者原、古賀、東郷、赤間、幡生(鹿児島本線、山陽本線)

鉄旅日記2013年8月13日その2 13:00 熊本(くまもと)駅(九州新幹線/鹿児島本線/豊肥本

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】2日目(津山-鳥取)その2-金川、弓削、亀甲、美作滝尾、三浦、美作加茂、知和、智頭、用瀬、津ノ井、大岩、岩美、鳥取(津山線、因美線、山陰本線)

鉄旅日記2014年8月14日その2 12:14 金川(かながわ)駅(津山線 岡山県) 岡山で津山

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】2日目(天王寺-和歌山港-難波-新今宮-奈良)その2-なんば、上本町、鶴橋、桃谷、寺田町、天王寺、恵美須町、新今宮、奈良(南海電鉄南海線/関西本線)

鉄旅日記2007年2月11日 堺から難波はとても近かった。 南海なんば駅は、高島屋が入る歴史

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】初日(東京-米原-福井-越前大野)その2-越前花堂、花堂、越前大野、越前大野城(越美北線)

鉄旅日記2018年10月6日 16:33 花堂(なはんどう)駅(福井鉄道福武線 福井県)にて

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、青春18きっぷで東海道を下っていったのでございます。】初日その2-西小坂井、三河三谷、愛知御津、三河安城、共和(東海道本線)

鉄旅日記2019年3月23日 13:07 西小坂井(にしこざかい)駅

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、青春18きっぷで東海道を下っていったのでございます。】初日その1-金町、三島、修善寺、蒲原、島田(常磐線/東海道本線/伊豆箱根鉄道駿豆線)

鉄旅日記2019年3月23日 2019・3・23 4:29 金町(か

「車旅日記」2000年夏Part.1【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】最終日(小千谷-桐生-下妻-東京)道の駅おぢや、塩沢らーめんショップ、月夜野情報サービスセンター、旅の駅桐生、道の駅しもつま、柏市あけぼの2丁目、葛飾金町

車旅日記2000年7月23日 2000・7・23 2:09 17号国

「車旅日記」2000年夏Part.1【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】3日目(能登島-氷見-小千谷)能登島、道の駅いおり、氷見港、道の駅ウェーブパークなめりかわ、朝日町栄食堂、親不知ピア・パーク、道の駅能生、長岡市宮本、道の駅おぢや

車旅日記2000年7月22日 2000・7・22 9:00 能登島某

「車旅日記」2000年夏Part.1【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】2日目(諏訪-飯田-飛騨古川-能登島)上諏訪、辰野駅、駒ヶ根駅、飯田駅、道の駅賤母、ドライブイン飛騨花工場、道の駅飛騨古川、能登島

車旅日記2000年7月21日 2000・7・21 7:55 上諏訪某

→もっと見る

    PAGE TOP ↑