「車旅日記」1997年夏【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】2日目(新潟-象潟-田沢湖付近)-道の駅豊栄、道の駅加治川、道の駅朝日、道の駅鳥海、蚶満寺、道の駅西目、八津駅
車旅日記1997年8月14日
1997・8・14 4:35 7号国道‐豊栄(道の駅)
出発。
友との再会に向けて。
夜は完全に明けていない。
でも紛れもなく朝がやってきている。
これから空は一番美しい時を迎えるだろう。
5:23 7号国道‐加治川(道の駅) 408㎞
北に来ると朝が涼しい。
涼しいというよりもむしろ寒い。
道のコンビニに寄り、おにぎりを頬張り、ここでリラックスの時。
体は正常に機能している。
そして気温はだんだんと上がっていく。
まだ完全に眠りから覚めていないけど、走るにはいい時間帯だ。
緑がまぶしく空が広い。
田園地帯には薄い靄が立ち込めて、幽玄さをまとう。
さらにこれからどんな朝の景色が見られるだろう。
ここではオレと同じように歯ブラシをくわえて、眠たげに便所にやってくる男たちと出会った。
うん、おはよう。
いい朝だ。
6:10 7号国道‐朝日(道の駅) 445㎞
いい朝がきている。
いい天気だ。
路上を太陽が照らし、一瞬オレは隠れようとした。
何より太陽が一番偉大で、一番美しい時があった。
山々には重層な靄がかかっている。
この世で動き出している人間はまだまばらだろう。
人の動きとともに自然はその本来の姿を隠してしまう。
だが今オレはそれを目にしている。
車を止めないわけにはいかなかった。
7:12 7号国道‐温海(道の駅) 486㎞
ここで日本海を眺めるのは2度目になる。
海ほど見ていて飽きないものはない。
同じように2人の中年男性が石に座ってじっと眺めていた。
何か思うところがあるのだろう。
今からあの場所に戻っても、まだそうしているかもしれない。
11月にはここで彼女への土産を購入した。
この記憶を共有できる者を持たないが、いい思い出になっている。
今回はもっと先へ行く。
ずっと先に行く。
きっと気に入った場所も見つかるだろう。
さっきはライダー姿の素敵な女性を見つけた。
しばらく見惚れたよ。
8:53 7号国道‐鳥海(道の駅) 560㎞
みんなそれぞれの夏を楽しんでいる。
上半身裸で自転車にまたがった2人の外人。
さらに2人の青年。
行きつけの海岸にでも向かったのだろう。
こういう場所に来て感心するのは、みんな遠出の楽しみ方を知っていることだ。
それぞれのスタイルで、ソフトクリームをぱくついたりしている。
オレもオレだ。
なかなか見かけないスタイルでいる。
約束の場所に行けば、もう一人似たような男が待っている。
彼は今頃どこらあたりを走っているのだろう。
オレの方は約束の時間を守ることができるだろう。
日本海が素晴らしい。
田園風景も申し分ない。
太平洋側よりこっちを気に入っている。
この喜びを分かち合える者もまた持たないけれど。
9:54 蚶満寺 578㎞
ここに立ち寄れる時間ができてよかった。
旅には早起きが必要だ。
この場所をとても気に入っている。
雨の九十九島もよかったけど、やはり風景の基本は晴天のようだ。
石に座ってしばらく九十九島を眺め、心置きなくのんびりしたよ。
風景に動きはなく、時折鳥や人が参加する。
オレの後ろからこの風景を眺めていた者は、微動だにしないひとりの男の背中と一緒に九十九島を覚えているだろう。
もっともそんなヤツがいた気配はないけれど。
この寺も賑わってきた。
もう行くとしよう。
約束の時間まであと3時間。
旅に一番相応しくないのは焦燥だから。
トイレのチップボックスには前回よりも多くのコインを入れられたはずだ。
それだけでも満足。
10:35 7号国道‐西目(道の駅) 602㎞
もうじき友に会うためのルート変更地点。
そしてそこからオレの道はさらに北へ延びる。
前回はここを最北の地として東京へ帰った。
旅はいよいよこれから。
さあ体を伸ばしておこう。
13:00 八津駅 690㎞
約束の場所に、約束の時間に着いている。
ここは再会の場所に相応しいとも言えるし、またその逆もありうる。
だいいち駅への案内表示が見当たらない。
さっきの勘が働かなければ、ここを探し出すことは不可能だっただろう。
そういうわけで彼がここを探し出せる保証はない。
それにしてもローカル線らしい駅だな。
周囲には誰もいない。
列車がやってくる気配もない。
便所はあったが使わなかったよ。
彼はやってくるだろうか。
まだ25分の猶予はあるが。
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