「鉄旅日記」2019年年始【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】最終日(一ノ関-気仙沼-前谷地-石巻-仙台空港-東京)その2-本吉、柳津、前谷地、石巻、宮城野原、仙台空港(気仙沼線/石巻線/仙石線/仙台空港鉄道仙台空港線)
鉄旅日記2019年1月6日・・・本吉駅、柳津駅、前谷地駅、石巻駅、宮城野原駅、仙台空港駅(気仙沼線/石巻駅/仙石線/仙台空港鉄道仙台空港線)
10:00 本吉(もとよし)駅(気仙沼線 宮城県)
過去の津波浸水区間と書かれたゲートをくぐる。
BRTは専用路と一般道を併用するが、専用路の延長がなされたようには感じられなかった。
かさ上げされた堤防が視界を塞ぐが、完成には遠いように見える。
8年前の震災を知る者を、とても悲しい気持ちにさせる風景が続く。
その隙間に覗いた海岸には若者たちの笑い合う姿があった。
それでいい。
若者はそうじゃなきゃいけないよ。
剥き出しの線路が見えて、やがて本吉に到着。
晴天に雪が舞う。
本吉はまさにかつての本吉駅だった。
鉄は剥がされたが、線路は視界の果てまで続いていた。
11:30 柳津(やないづ)駅(気仙沼駅 宮城県)
寂しい停車場に着いた。
3年前より整備は進んだが、それで一体いつ終わるのかと思う。
完成予想図が公表されているのかいないのか。
町を作ることは大変なことだと想像できる分、これから先訪ねる度に気にするだろう。
今年秋に開催されるラグビーW杯で、世界がやってくる釜石の復興を優先したのかもしれない。
それならそうと発信すべきだ。
BRTは空いていた。
そして柳津~前谷地の気仙沼線に残ったわずかな鉄路も、存続を危ぶみたくなるほどに空いている。
若くて素敵な女性と本吉から乗り合わせている。
この土地の未来が明るいものであるよう、新年に祈る。
11:53 前谷地(まえやち)駅(石巻線/気仙沼線 宮城県)
鄙びたターミナル駅に着いた。
冬枯れた仙北平野が広がっている。
この地は震災を前後しても何も変わるところはない。
あるいは鉄道愛好家の訪問は減ったかもしれない。
彼等の関心は鉄路が敷かれていない所には及ばない可能性がある。
接続3分で女川行に乗り継いでいる。
祭の派手な法被を着こんだ男が二人、車窓の風景に混じった。
正月明け。
まだハレの日が続いているのだろうか。
涙を堪えた3年前の三陸めぐりから、もしかするとこの地域は、目には見えなくとも発展と呼べるような変化を経験し続けているのかもしれない。
そう言うオレも、この3年の間に人生観が変わるほどの変化を経験している。
12:23 石巻(いしのまき)駅(石巻線/仙石線 宮城県)
雪の気配はなく、日差しも暖かく感じる。
柳津に吹いていた寒風もここにはない。
駅を取り巻く環境に変化はなく、穏やかに新年最初の日曜日を迎えていた。
この駅で、3年前とは違う被写体を選んでスマホを向ける我が身に気づいた。
乗り換え時間は13分。
今回はこれで離れるが、また何度でも足は向くだろう。
被災地のことが気掛かりだから。
大きな声で話す老婆の言葉に、宮城県という土地柄を再認識した。
13:59 宮城野原(みやぎのはら)駅(仙石線 宮城県)
仙台人の鉄道マナーの良さに感心しつつ、野球シーズンを過ぎて降りる人のない駅に立ち、地上への階段を上がる。
列車到着時には楽天野球団のマーチが流れ、地上に出るまで駅構内はゴールデンイーグルス色をしている。
駅を出て正面には、まるで有名女学院のような仙台育英高校の壮麗な校舎が目に入る。
そこから徒歩約5分。
陸上競技場の並び奥に野球場がある。
周辺に盛り場はなく、試合後の観戦者は仙台に出るより仕様がない。
風はやはり冷たく、日曜午後の退屈な時間が流れていて、人通りのない通りになぜか悲しい気持ちにさせられた。
14:48 仙台空港(せんだいくうこう)駅(仙台空港鉄道仙台空港線 宮城県)
名取まで410円とは高い。
空を利用するとはそういうことなのか。
オレのように単に終着駅に用があって、そこがたまたま空港だったという者には散財になる。
ただ、すべての鉄道網を利用しつくすことが目的だ。
仕方がない。
仙台から直通列車に乗る。
名取からはJR線を離れて高架となり、空港までは3駅。
平凡で疎らな住宅街を眺め、一旦トンネルを潜り、地下駅かと思わせたが、再び地上へ出ると空港内。
空港はどこも似ている。
しかしここ仙台空港といえば、東日本大震災で波をかぶり、しばらく機能停止に陥った際の映像が頭を去ることはない。
いくつか写して9分の滞在で去る。
仙台中心地に高層ビル群が固まっている。
車窓を眺める今、仙台の空を目撃したような気分でいる。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その1-検見川浜、大貫、保田、那古船形、富浦、安房勝山、館山、太海、江見、勝浦、行川アイランド、東浪見、御宿(京葉線、内房線、外房線)
鉄旅日記2013年3月9日その1 2013・3・9 6:43 検見川浜駅(京葉線 千葉県) 造ら
-
-
「鉄旅日記」2013年如月【休日おでかけパスで、上総下総途中下車旅&習志野シンフォニックブラス(NSB)演奏会】その1-我孫子、東我孫子、新木、湖北、布佐、小林、木下、安食、下総松崎、成田空港、酒々井、物井、東千葉、本千葉、西千葉、新検見川、幕張、東船橋、津田沼(成田線、総武本線)
鉄旅日記2013年2月17日その1 2013・2・17 6:01 我孫子(あびこ)駅(常磐線/成田
-
-
「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】初日(東京-名古屋)-根府川、島田、豊橋、岡崎、名古屋(東海道本線)
鉄旅日記2005年11月5日 2005・11・5 紀州鉄道名古屋栄ホテル908号室 根府川、熱海
-
-
「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】2日目(倉敷-伯耆大山-鳥取-姫路-和田山)その1-倉敷、足立、生山、上菅、伯耆溝口、伯耆大山、赤碕、浦安、松崎、浜村、末恒、湖山、鳥取(伯備線/山陰本線)
鉄旅日記2009年11月22日 2009・11・22 5:32 倉敷(くらしき)駅(山陽本線/伯備
-
-
「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その3-勝沼ぶどう郷、大月(中央本線)
鉄旅日記2018年10月8日・・・勝沼ぶどう郷駅、大月駅(中央本線) 17:25 勝沼ぶどう郷(か
-
-
「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】2日目(都城-鹿児島-川内-人吉)走行距離284㎞ その2-伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅前ホテル
車旅日記2005年2月12日 14:11 伊集院駅(2月11日の熊本空港より385㎞) 桜島フェ
-
-
「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その1-藤田観光ワシントンホテル、愛別駅、上川駅、白滝駅、丸瀬布駅、遠軽市太陽の丘公園 瞰望岩、遠軽駅、オホーツク氷紋の駅
車旅日記2004年5月4日 2004・5・4 7:59 藤田観光ワシントンホテル1011号 出発
-
-
「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その2-金田一温泉、斗米、二戸、好摩、いわて沼宮内、厨川、矢幅、日詰、小牛田、涌谷、石巻(IGRいわて銀河鉄道、東北本線、石巻線)
鉄旅日記2016年3月20日その2 13:13 金田一温泉(きんだいちおんせん)駅(IGRいわて銀
-
-
「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】初日(東京-岳南江尾-豊橋-三河田原-岡崎-尾張瀬戸-勝川-枇杷島-桑名)その4-新瀬戸、瀬戸市、高蔵寺、新守山、勝川、枇杷島、蟹江、桑名(愛知環状鉄道/中央本線/東海交通事業常北線/東海道本線/関西本線)
鉄旅日記2018年9月15日・・・新瀬戸駅、瀬戸市駅、高蔵寺駅、新守山駅、勝川駅、枇杷島駅、蟹江駅、
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】3日目(大分-熊本-佐賀)その1-大分、中判田、豊後竹田、宮地、肥後大津、水前寺、辛島町、熊電上熊本、上熊本(豊肥本線/熊本市電)
鉄旅日記2009年9月20日 2009・9・20 7:48 大分(おおいた)駅(日豊本線/久大本線