「鉄旅日記」2019年年始 最終日(一ノ関-東京)その3-名取、岩沼、福島、郡山、新白河、上野(東北本線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】
鉄旅日記2019年1月6日・・・名取駅、岩沼駅、福島駅、郡山駅、新白河駅、上野駅(東北本線)
15:07 名取(なとり)駅(東北本線/仙台空港鉄道仙台空港線 宮城県)
名取とはこのような街か。
初めて寄ったのは30歳台の頃。
それから何度か降りてきた。
別に外に出なくてもいいのだが、木戸御免の切符を持っている以上は改札口の外に出る。
何か変わったことはないかと。
仙台郊外の街。
そのような顔を持つ駅前に変わったことはなかった。
ただ、仙台空港線の開業は2007年3月。
車で初めて寄ったあの夜にはまだ走っていない。
とても薄着の気持ちのいい青年が次の館腰で降りていった。
15:21 岩沼(いわぬま)駅(東北本線/常磐線 宮城県)
西日が傾いて雑草を照らす。
ただそれだけで旅情を感じることができる。
そして遠く宮城の地でも龍は姿を見せてくれる。
子供の笑う声を聞き、子供を想い優しく切ない気持ちでいたオレを慰めに来てくれたのか。
再生したような気持ちで振り返れば、そこには記憶の中で想像していた駅とは違う駅があり、駅前もまた寂れていた。
親しみを感じたのは、原発騒ぎでまだ鉄路は途切れているが、岩沼から常磐線に乗れば、オレの住む町まで帰れるからかもしれない。
発車して、分かれていく線路を見ていると望郷に似た気持ちを抱いた。
16:28 福島(ふくしま)駅(東北・北海道新幹線/東北本線/奥羽本線/阿武隈急行/福島交通飯坂線 福島県)
白石に近づくと雨雲の下に入ったかと思うほど、にわかに空は曇り、やがて周囲に雪が現れ、降雪となった。
冷たい風が吹いていたが、仙台はまだ暖かいのだと知った。
福島盆地へと下っていく景観が好きで、下りきるまで外を眺めていた。
でもその地点に来るまでは忘れていた。
新白河行への乗り継ぎ時間は5分。
怒涛のように駆けていく人々。
否定はしない。
気持ちは分かる。
でも浅ましい真似はしたくない。
会津を除くすべての東北が3年振りになる。
南福島~金谷川の高所からの絶景も堪能した。
17:30 郡山(こおりやま)駅(東北・北海道新幹線/東北本線/磐越東線/磐越西線/水郡線 福島県)
13分の停車。
食料の調達。
世間では正月休みの最終日。
郡山で減るかと思った乗客は逆に増えていた。
長く鈍行列車の旅をしているが、オレの読みも甘いものだ。
希望的観測が読みを狂わしているのかもしれない。
福島からはすぐに座れたが、ここからはどうだろう。
県境をまたぐ区間では乗客が減るのが常だが、大都会ともいえる郡山は、このあたりじゃ越境するのに躊躇のいらない場所にあると判断されているかもしれない。
若者が多く乗った車内で未来を想像して、彼等の姿をいじましく思う。
大人は寝汚い面を晒している。
18:16 新白河(しんしらかわ)駅(東北・北海道新幹線/東北本線 福島県)
黒磯行の次は郡山行。
そうした沿線の接続事情に新白河が割って入ってから久しい。
ホーム半ばの線路に、行き止まりを示す小山と標識を初めて見た際の衝撃を覚えている。
黒磯までの山岳越えの区間は、間に4駅を置くのみでディーゼル車を走らせている。
電化設備に負担がかかっていたのだろうか。
いずれにしてもこの区間の乗降は極めて少なそうだ。
21:23 上野(うえの)駅(東北・北海道新幹線/秋田新幹線/山形新幹線/上越新幹線/北陸新幹線/東北本線/常磐線/高崎線/山手線/京浜東北線/東京メトロ銀座線/東京メトロ日比谷線 東京都)
黒磯18:49着。
宇都宮着19:43。
宇都宮までの混雑に旅はしづらくなったと感じたが、今日は正月休み最終日。
4両ほどの列車が埋まるのは驚くほどのものでもないのだろう。
予想通り宇都宮からは左右楽な状態で上野に到着。
かつて「あさま」をはじめとした特急が発着していた1階の行き止まりホームに降りる。
最後に思い出したのは、小諸から上京した従妹を迎えに行った時のことだった。
まだお互い20代だった。
そんな彼女は母親の鑑のような人になっている。
【Facebookへの投稿より】
今朝、岩手一ノ関から気仙沼に出ました。
東日本大震災の被災地を通るのは3年振りでございます。
完成図が不明なため、どの程度復興が進んでいるのか分かりかねるのですが、気仙沼線(BRT 要するにバスです)からの視界を高い堤防がかなり塞ぎ、復興住宅らしきものを見かけることはございませんでした。
ただ、町はまだ戻ってきておりません。
晴天の宮城県内をブラブラいたしまして、現在福島盆地へと下っておりますが、県境は雪でございます。
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