「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その1-近鉄奈良、新田辺、三山木、JR三山木、狛田、下狛、新祝園、祝園、学園前、学研奈良登美ヶ丘(奈良線/京都線/けいはんな線)
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最終更新日:2020/09/12
旅話 2017年
鉄旅日記2017年3月18日
2017・3・19 5:45 近鉄奈良(きんてつなら)駅(近鉄奈良線 奈良県)
早朝から新大宮駅前を掃除する一団を見かけた。
街路に目をやれば吸い殻空き缶。
街が迎える朝とは、いつもこういうものか。
奈良へ。
近鉄駅が地下だったことは忘れていた。
地上へ出て、興福寺、奈良県庁へとつながる緩やかな上り坂を目にしたら、ふと突き上げてくるものがあった。
忘れていた奈良をそこに見たんだ。
あれから何度も近くを通ったけど、奈良の真髄は知らずにいる。
たった今、車窓から平城宮跡を眺めた。
何も知らずにいたのだ。
そしてもう何年も前、クリスマス・イブに近鉄奈良に降りたことを思い出した。
あの日以来だったんだ。
6:13 新田辺(しんたなべ)駅(近鉄京都線 京都府)
運動少年たちを満載に乗せた列車で西大寺方面に戻る。
4年前には、近くを走る学研都市線の京田辺駅に降りている。
街の入場門みたいな駅で、生活の匂いが希薄な一帯をほんの少しだけ歩いた。
田辺という街は、近鉄側のこっちにあった。
ごく昭和的な、小さな駅前商店街を歩いた。
きっとオレは懐かしげな顔をしていただろう。
オレが望んでいる街の在り方は、そんな大層なものじゃない。
6:24 三山木(みやまき)駅(近鉄京都線 京都府)
古墳群を見下ろす悠久を思わせる山吹山から日が昇る。
麓には橘諸兄、そして源頼政と共に打倒平家に立ち上がり、非業の死を遂げた以仁王が葬られている。
4年前に学研都市線から眺めた近鉄との並走路上に、両線が設けた隣接する駅にひとつひとつ降りていく。
アホらしいが、これがオレのやりたいこと。
時に自分でも唖然とするほどアホらしさに苛まれることがあるが、でも必ずそんな計画が組まれる。
同志社に通う学生が降りていった。
ロータリーの先にJR駅がある。
人は少なく、平凡な構造物に囲まれ、たいした感慨は沸かないが、それでも山が見える。
廃れることのない未来を想像したい。
JR三山木(じぇいあーるみやまき)駅(学研都市線 京都府)にて
6:41 狛田(こまだ)駅(近鉄京都線 京都府)
車窓から冬枯れの田野を眺めていた。
そして駅が近づくと俄にあたりは平凡な風景になる。
駅前の線路に沿った道はまるで路地のように狭く、商店や飲み屋がちんまりと並ぶ様がいじましい。
9分でJR下狛駅との間を往復する計画で、JRの線路はすぐ傍に見えている。
ただ、最初に踏み入れた道は駐車場で行き止まり。
さらに踏切にも阻まれ、本気で走る羽目になった。
また、今回利用している近鉄フリー切符は、駅員のいない駅では若干手間取る。
ぎりぎりで計画に支障は来さずに済んだ。
はじめからあの野球少年たちについていけばよかった。
彼等の背中には京都廣学館と記されていた。
今日はセンバツ開幕日でもある。
下狛(しもこま)駅(学研都市線 京都府)にて
6:52 新祝園(しんほうその)駅(近鉄京都線 京都府)/祝園(ほうその)駅(学研都市線 京都府)
手がかじかんでいる。
京都奈良は寒いよ。
霜が降りた冬枯れ田野を撮っておきたかった。
何気ない風景だが、ここは京都。
さっきの三山木のように麓で偉人が眠っていたりする。
でもそうした田園風景は駅に着くと隠れてしまう。
ここは近鉄の急行停車駅だけど、記すことが見当たらない。
JRとは駅舎がつながっている。
これでこのあたりに思い残すことは何もない。
かつて学研都市線の車窓から近鉄の線路を見送ったように、今度は西大寺に戻る車中で学研都市線を見送っている。
次の木津川台駅でも学研都市線の線路はまだ見えている。
崇神天皇の御代、このあたりは戦場になり、多くの兵士が死んだ。
その死体を放り捨てた園を意味する地名が生まれ、時代は変遷して、現在の祝園となった。
「日本書紀」にその記述がある。
7:22 学園前(がくえんまえ)駅(近鉄奈良線 奈良県)
大和西大寺で大阪方面に向かう列車に乗り換える。
ひとつ手前の菖蒲池には正直惹かれた。
池は車窓からも見える。
ここは近鉄無料特急が止まる主要駅。
それで降りてみる。
旅情は期待していない。
帝塚山というのは学力の高い学園なのだろう。
名前は知っているが、奈良にあったんだな。
駅はまさにその帝塚山学園前で、清潔かつ広々としていて、バス乗り場に目を移せば行先は様々で、どこにでも行けそうだ。
この駅の待合室は暖かくていい。
7:59 学研奈良登美ヶ丘(がっけんならとみがおか)駅(近鉄けいはんな線 奈良県)
生駒で乗り換えて終着駅へ。
けいはんな線を逆方向に行けば、やがて大阪地下鉄に乗り入れ、大阪港のコスモスクエアに至る。
ここは一体どういった場所なのか。
京都府との境にニュータウン構想が持ち上がり、実現はしたが頓挫したのか。
それともこれが完成形なのか。
判断がつかない。
人は集まるにはまだ早い時間帯とも言えるが、イオンタウンはひたすら静寂の中にある。
丘の上に家々が並ぶ様が車窓から見えた。
駅からは随分離れている。
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