*

「鉄旅日記」2009年秋 初日(東京-新庄)松戸、取手、友部、上菅谷、常陸太田、高萩、いわき、郡山、福島、米沢、山形、新庄(常磐線/水郡線/水郡線常陸太田支線/磐越東線/東北本線/奥羽本線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年10月10日・・・松戸駅、取手駅、友部駅、上菅谷駅、常陸太田駅、高萩駅、いわき駅、郡山駅、福島駅、米沢駅、山形駅(常磐線/水郡線/常陸太田支線/磐越東線/東北本線/奥羽本線)

2009・10・10 6:54 松戸(まつど)駅(常磐線/新京成線 千葉県)
来た電車に乗ったよ。

区議選に出る自民党候補者が朝立ちしてた。
大変だよな。

昨夜、彼女の店に行けなかったことが引っかかっていたけど、帰宅して1981年のプロレスを見てすっきりして、夢でも見た。
起きた時は、仕事に出かけるんだったよな?と、おかしな夢からしばらく覚めなかった。

今来たコイツがオレを遠くまで連れていく。
3週間ぶりのトレイン・ソング。

2018年9月22日撮影

7:34 取手(とりで)駅(常磐線/関東鉄道常総線 茨城県)
雨上がりの町だった。
駅前通りと並行する歓楽街を歩く。

勝田行が来た。
乗車率はいい。
水戸あたりまでこのままの乗車率でいくのだろう。

藤代着。
駅前には何もないが、廃墟はない。
空が広い。
九州では見かけなかった広さだ。

関東平野の空が一番広いのかもしれないな。

佐貫着。
乗客がさらに増えた。

8:40 友部(ともべ)駅(常磐線/水戸線 茨城県)
冷たい小雨が冷気を運んできたのかと訝ったが、どうやら冷房の効きすぎだ。

古い町の駅舎が変わり、ロータリーは工事中。
その流れに取り残されたような喫茶店と食堂があった。
あれをカフェとは言わないよな。

駅前の雰囲気は変わっても、景色は変わらない。
たぶん今よりはよかった頃の友部の空気を、オレは確かに感じたよ。

だから駅が新しくなる前の友部に降りてみたかった。
駅から延びる通りの先を眺めながら、そう思った。

高萩行に乗る。
きれいな常陸娘が目の前に座っている。

9:29 上菅谷(かみすがや)駅(水郡線/水郡線常陸太田支線 茨城県)
水戸で水郡線に乗り換える。

那珂川を越えると、水戸の街は終わる。

そして6駅先の分岐駅で降りる。
ここから常陸太田に向けて枝線が延びている。

ターミナル駅だが、駅前には「ピンポンとコーヒー」というユニークな組み合わせの店と書店以外に何もない。
水戸を離れて、通ってきた駅のことごとくがそんな感じだった。

水戸芸術館の前衛的巨大オブジェやテレビ塔で、それと分かる水戸の街は、ここからそう遠くはないが、実際の距離より遠く感じる場所だ。

10:16 常陸太田(ひたちおおた)駅(水郡線常陸太田支線 茨城県)
駅舎と駅前が工事中。
とても残念で、ひどく時間のかかる交差点を渡ると、旧日立電鉄線常北太田駅。

こんな感じだったよな。
あれは3年前。
当時は客車の残骸や線路が残っていたが、それらは消えて、この町にもうひとつの鉄道が走っていた痕跡は、あの旧駅舎を除いてほぼ消滅した。

駅前にこそ何もないが、常陸太田駅に終着駅に相応しい雰囲気が感じられるのは、関ヶ原合戦までここが佐竹氏の城下町だったからだ。

その後佐竹氏は秋田へ転封となり、現在に至る秋田の礎を築いた。

旧日立電鉄常北太田駅にて

12:17 高萩(たかはぎ)駅(常磐線 茨城県)
感じのいい町に着いた。

この規模の町で、駅の東西口に商店街を持つのは珍しい。
何もないと聞いていたが、そんなことはない。

やがて奥州だが、奥州の香りはここになく、関東の田舎町の匂いがした。

線路が隙間なく敷かれた高萩駅構内はとても広かったが、何事かが終わった後に漂う空気に覆われていた。
オレは結構好きだよ。
祭りの後みたいで。

バザーだか何やらで、今日は駅前にたくさんの人々が出ていた。

いわき行に乗る。
日立あたりから視界に海はちらついている。
地の果ては随分先だが、某かのカテゴリーの終点が近づいている気配はある。

やがて広い空は姿を消して、海の姿が鮮明になってきた。

13:07 いわき駅(常磐線/磐越東線 福島県)
どうやら、駅舎はすでにオレが知っているものではなくなっている。
改札のムコウの景色に見覚えがない。

今日は外に出る時間はない。
明日、答えを知る。

磐越東線に乗る。
座席はほぼ塞がっている。

訛丸出しの磐城娘を愛しく思う。

14:52 郡山(こおりやま)駅(東北山形秋田新幹線/東北本線/磐越東線/磐越西線/水郡線 福島県)
小川郷、船引、三春。
大雑把に言えば、乗客の交換があったのはそのあたりの駅で、夏井を過ぎると眠くなり、ところどころ記憶にない。

阿武隈川を渡ると郡山。
ここにいわきの晴天はなく、冷たい風が吹いている。

15:54 福島(ふくしま)駅(東北山形秋田新幹線/東北本線/奥羽本線/阿武隈急行/福島交通飯坂線 福島県)
地から信夫山が覗く。
なかなか面白そうな店があったが、十分な時間がない。
福島は未練の残る街になった。

友人夫妻と宿泊した思い出の街だけれど、あの街区がどこにあるのかも分からない。

飯坂温泉に向かう福島交通の存在も元より知らなかった。

福島は奥羽本線の始発駅。
すでに米沢への登山区画に入っている。

東北本線では福島盆地を見下ろしながら街に入った。
奥羽本線では福島盆地が遠ざかる。
そんな光景を一番後ろの車両で眺めている。

二本松あたりで降っていた雨はすっかり上がり、空は西日を送るまでに回復している。

17:18 米沢(よねざわ)駅(山形新幹線/奥羽本線/米坂線 山形県)
福島盆地はよく見えたよ。
信夫山は黒々としていた。

9月の佐賀の夜で見たが、「天地人」では関ヶ原合戦が終わったから、あのドラマにようやくこの米沢が登場する。

重厚な雲が空を覆っている。
お日様が覗く方は明るい。
つまり晴れだ。

かつてここに寄ったかどうかは定かじゃないが、友人の運転する車で上杉神社の前は通ったことがある。
ここからは遠いらしい。

駅前の雰囲気は、高原駅のそれだ。
冷気が漂い、新鮮な気分になる。

米沢は観光地になるのだろうか。
夕暮れ間近だが、人々の往来は多くない。

米沢牛を扱った「牛肉ど真ん中」という駅弁を購入する。

高校生を多く乗せて山形行が発車する。

18:46 山形(やまがた)駅(山形新幹線/奥羽本線/仙山線/左沢線 山形県)
米沢新庄間はなかなかに多くの乗客を運ぶ。
九州でこの人出を見ることは稀だった。

かつて宿泊した山形。
街中の様子をたいして覚えていないことを知った。
ただ、あの夜に夕食を摂った場所の特定はできた。

サンルートホテルから駅に戻る途中の歓楽街に、もはや懐メロになった森高千里さんの「雨」が流れている。

歩道橋から見下ろした街を歩く者はまばらで、うら寂しい。
でも違うな。
大都会が煩わしすぎる。

夕暮れを過ごして心地いいのは、きっとこの規模の街だろう。
通りの灯だけは見渡す限り続いていた。

彼女への土産はこの街で選んだよ。

23:00 新庄ニューグランドホテル608号
新庄に着く頃には乗客もまばら。
閑散とした美しい駅に降りた。
今夜の町だ。

奥羽本線は新庄で一旦行き止まりになっていて、ここまでを山形線と称している。
その先が奥羽本線。
青森へとつづく鉄路は長い。

星が出ていた。
きれいな夜空だった。

駅を出て見渡したところ、繁華街らしき存在は目に入らない。
駅からの道を真っすぐに歩けば城址公園に出るはずだ。
かつて車で走ったよ。
その前に町の灯は絶えた。

途方に暮れて道を折れたら、「あけぼの町」に出た。
古くから続く新庄の繁華街なのだろう。

控え目な客引きのオッサンが角に立つ。
ああいうのに誘われるのもワルクないかと思ったのは、この町が初めてだ。
理由は特にない。
結局そこには行っていない。

その一帯は、宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」に登場する温泉場によく似ていた。

結局オレが探しているのは「昭和」か。
入るべき店を探し歩いた末に、蕎麦屋で一杯。

この町に着いて、このホテルに辿り着くまでにどれほどの時間を要しただろう。
店を出たら雨が去ったあとだった。
今日の奥羽上空は、まるで東京という都会のようにいい加減だ。

新庄は山形新幹線の開通によって駅が新しくなったのだろう。
上りに向かう利便性は大いに向上しただろうが、それがこの町に一体何を運んだのか。
蕎麦屋のご主人に聞きそびれた。

今夜もいい加減な感想を連ねて、明日の朝早く町を離れる。
よくよく歩いてみれば、新庄はオレ好みのいい町だったよ。

関連記事

「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その3-海尻、八千穂、信濃川上、佐久海ノ口、甲斐小泉、小淵沢(小海線)/海尻城址 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月10日・・・海尻駅、八千穂駅、信濃川上駅、佐久海ノ口駅、甲斐小泉駅、小淵沢駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 初日(東京-安中)その2-伊豆急下田、伊豆高原、橋本、八王子、東福生、福生、拝島(伊豆急行線/横浜線/八高線/青梅線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月9日・・・伊豆急下田駅、伊豆高原駅、橋本駅、八王子駅、東福生駅、福生駅、拝島駅

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-西舞鶴)その1-西岐阜、京都、二条、日吉、胡麻、下山、和知、綾部、高津(東海道本線/山陰本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

鉄旅日記2014年3月21日その1・・・西岐阜駅、京都駅、二条駅、日吉駅、胡麻駅、下山駅、和知駅、綾

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その2-生駒、鳥居前、宝山寺、生駒山上、布施、俊徳道、JR俊徳道、河内山本、信貴山口、高安山(生駒ケーブル/奈良線/大阪線/信貴線/西信貴ケーブル)

鉄旅日記2017年3月18日・・・生駒駅、鳥居前駅、宝山寺駅、生駒山上駅、布施駅、俊徳道駅、JR俊徳

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 3日目(仙台-大曲)その2-羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲グランドホテル 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月4日・・・羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥羽本線) 9:53 東

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その1 ‐飯坂温泉駅、福島駅(福島交通飯坂線/奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・飯坂温泉駅、福島駅(福島交通飯坂線/奥羽本線) 2021

記事を読む

「車旅日記」1995年秋【恋に病んで・・・西へ。1号国道をひたすら、大阪の友に会いにいく。】その2-東寺、五条大橋、琵琶湖湖岸道路、米原、関ヶ原・・・・-

車旅日記1995年11月5日 1996・11・5 9:19 1号国道-東寺 京都乱入。 晴天。

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 初日(東京-徳山)穂積、姫路、英賀保、金光、福山、天神川、徳山(東海道本線、山陽本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月10日・・・穂積駅、姫路駅、英賀保駅、金光駅、福山駅、天神川駅、徳山駅(東海道

記事を読む

「鉄旅日記」2022年如月 初日(東京-常陸大子)その1 ‐金町、我孫子、新木、成田、佐原(常磐線/我孫子支線/成田線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月5日・・・金町駅、我孫子駅、新木駅、成田駅、佐原駅(常磐線/我孫子支線/成田

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その3 ‐黒磯、泉崎、白河、郡山(東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・黒磯駅、泉崎駅、白河駅、郡山駅(東北

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その2 ‐文挟、鹿沼、鶴田、宇都宮(日光線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・文挟駅、鹿沼駅、鶴田駅、宇都宮駅(日

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

→もっと見る

    PAGE TOP ↑