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「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、富山・岐阜途中下車旅】最終日(富山-東京)その2-美濃太田、可児、姫、下切、南木曽、田立、勝沼ぶどう郷(太多線、中央本線)

公開日: : 最終更新日:2019/08/07 旅話 * 結婚後2012年, 旅話*結婚後

冒険家志望のあなたへ【1話】

 

鉄旅日記2012年8月26日その2
13:18 美濃太田(みのおおた)駅(高山本線/太多線/長良川鉄道 岐阜県)
街に下りた。

飛騨川はここで木曽川と合流し、やがて日本ラインとなる。

5年前この駅で下りた時は雨だった。
あの時は木曽川を見に行ったんだ。

ここが美濃加茂だったんだな。
美濃太田市だとばかり思っていたよ。

いずれ越美南線に乗りに戻ってくる。
その際にどういう計画を立てるが知らないが、過ごしやすそうなホテルがここにはある。

新可児(しんかに)駅(名鉄広見線 岐阜県)にて

14:01 可児(かに)駅(太多(たいた)線 岐阜県)
戦国時代の豪傑、可児才蔵の生まれ故郷であることは間違いないだろう。

駅を下りて名鉄の終着駅があることに驚いた。
駅前には何もないが、可児川を越えた先に行政区があり、ホテルも2、3遠望できる。

歩くにつれて驚きが増す。
たいした街じゃないか。
駅前からは想像もできない。

営業中かどうか疑わしいホテルの1階に、まるでシロアリが不法占拠したかのようにスナック街が並ぶ光景も驚きに値する。
何だか壮観だったよ。

名鉄の売店でビールを買ったら290円と、ちょっと高い。
そしたら柿ピーがおつまみとしてついてきた。
高いのは許すよ。

太多線・・・初めての土地を旅している。

14:34 姫(ひめ)駅(太多線 岐阜県)
ここは姫町。
涼しい風を受けてたたずむ。

なんでこんな場所にいるのかと思ったけど、長い人生のたかだか30分だ。
悪くない。
会社の椅子に座っていることを思えば奇跡のような場所に今オレはいる。

鐘つき堂が見え、線路沿いに5分ほど歩くと、煙草が吸える場所を見つけた。
角にJA、並行する通りに幸寿司。
そして恵美子という小料理屋。
その名前には甘い記憶がある。
そして特別な思いがふいに訪れて切なくなる。

浴衣姿の女性が乗っている。
今夜は近くの涼しげな河原で花火が打ち上がるのだろう。

14:43 下切(しもぎり)駅(太多線 岐阜県)
姫で時間を潰せずに一駅戻る。
さっき通り過ぎた何もない駅だ。

それでも列車はやってきて止まり、また人を乗せて終着駅に向かう。

ある意味崇高な営みだ。
乗客はオレとあとひとり。

これは秋の風だ。
そして虫の声も秋の勢力が奏でるものに変わりつつある。

でも不思議だな。
蝉の声が聞こえだすと秋の勢力はなりを潜める。

16:48 南木曽(なぎそ)駅(中央本線 長野県)
多治見で中央本線に乗り換える。

木曽川の流れとともに。

観光ホテルの送迎バスが出迎える町で、下りた客はとても少なかった。
スーパーのオバチャンの愛想はかなり下位にランクされることだろう。
駅前一等地には廃墟が見られ、木曽川沿いの国道を走る車もライダーも先を急いでいる。

失望したわけじゃないんだ。
ただ時間が潰せないだけなんだ。
だからまた一駅戻るという作戦を実行する。
うまくいけばそこで煙草が吸えるだろう。

駅舎は木曽福島駅と同じモデルだろう。
特急列車が遅れて到着した。
南木曽岳を確認したい。

17:14 田立(ただち)駅(中央本線 長野県)
駅に着いて煙草に火をつけると爆薬が弾ける音が間近で響いた。
猟師だか猟友会だかが放った銃声か。
それとも見張り塔にいる者が放ったオレの喫煙行為に対しての威嚇か。

いずれにせよ撃たれるのはイヤだなと思った。

田立の滝というのがあるようだ。
看板は夏草に埋もれている。

夏の香りを嗅ぐのはあれが今年最後の機会だったのかもしれない。
オレらしい幕引きとも言える。

「夏草がー」というケミストリーが歌ったヒット曲が頭に浮かんでくる。

21:28 勝沼ぶどう郷(かつぬまぶどうきょう)駅(中央本線 山梨県)
見事な夜景が見られる筈だと思っていたよ。

明るい時間でさえ甲府盆地は美しい。
今夜は目を見張ったよ。
まるで函館山だ。

たいていの名所の情報は目にしたり耳にするのが東京での暮らしの筈だが、山梨エリアは何者かの手によって隠蔽されてきたのだろうか。

別に構わないが、何を考えるでもなく茫々と30分景色だけに見とれて過ごせる場所をここ以外には知らない。
海は別格だが、それでもそのあとにどれだけ暇な時間を持ち合わせていたとしても、おそらく10分もすれば腰を上げてきた。

ここは静かで、見上げれば秋田で見たような星の瞬きがある。

こんな時間にこの駅にいて、灰缶が置かれているベンチを占拠できた幸運に酔いしれていたよ。

出発時刻が近づくとにわかに送迎車が丘を上がってくる。
駅は中央本線の中では唯一と言って差し支えない、暮らしの世界とはかけ離れた辺鄙な高台に位置している。

到着した21:00はぶどうとワインを売るのに適した時間じゃなく、地中海に面した金持ちの別荘のような駅舎はまるで廃墟のように暗く静まりかえり、裏手に目をやれば蔦の育成に適した環境を与えている。
007が柱の影で隙を覗っているようなミステリアスな駅舎だ。

あの夜景をうまく携帯カメラに収めたかったけど、叶わなかった。
ひとつくらいうまくいかないことがあるのが人生だ。
ある程度の達観が必要なのも人生だ。

諦めじゃない。
達観だ。
最後にあの最高にステキなひとりぼっちの世界を堪能できて幸せだ。

こういう終わり方は正直頭になかったよ。

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