「車旅日記」1998年春 最終日(鳴子温泉-郡山-東京)-鳴子サンハイツ、川渡温泉駅、槻木駅、道の駅安達、郡山文化センター前、那須公営パーキング、黒磯PA、佐野SA、大井PA、東京町田 【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】
車旅日記1998年5月4日
1998・5・4 8:47 鳴子サンハイツ
連休中初めての日差しだ。
部屋が明るくなった時、表情をほころばせた。
3年前に帰りの道で太陽に感謝したことを思い出す。
旅に理由はない。
ただ東京を離れてみたかった。
旅の形はどうあれ、オレのこの4日間は浮世離れしている。
それでいい。
日常を否定はできないけれど、あまりにも変化がなさすぎる。
また旅に出るのか?と問われれば、そうだと答えるだろう。
でも今回からは気持ちの上で変化が生じてきている。
できれば、もうひとりでは行きたくない。
ここ鳴子でも家族連れを意識しないわけにはいかなかった。
きっと、あれがあるべき姿なのだろう。
彼等が皆幸せに見えたよ。
さあ旅も終わりだ。
これから東京に帰る。
郡山で友と再会できる確率はよくて50対50だろう。
元々計画性のない旅だ。
風の吹くまま気の向くまま。
車寅次郎も旅の途中に切なさを感じたことがある。
だから会えなくてもあまりがっかりしないようにする。
残念なのが鳴子駅前のポストに用がないことだ。
でもいいさ。
手紙はまた違った関係になってからでいい。
彼女には、東京に帰ってからあまり日を置かずにもう一度想いを伝えるつもりでいる。
もう一度。
9:37 川渡温泉駅 1546㎞
鳴子でのんびりしすぎて、気持ちはまだ旅に戻っていなかった。
その感覚を取り戻したくてここに寄り、缶コーヒーと煙草。
誰もいないホームから見える山並がとても美しい。
まだこれからだ。
家に着く時間なんて、どうでもいい。
12:15 槻木駅 1640㎞
予想していなかったほどに空はよく晴れている。
東京はどうだろう。
晴れた時、空はどれくらい青い。
とにかく快調。
きっと天気の影響もあるのだろう。
旅は晴天が基本。
本当に晴れてよかった。
14:38 4号国道‐安達(道の駅) 1715㎞
友との再会が決まった。
やっぱりうれしい。
とてもうれしいよ。
ここまでも快調にきている。
音楽は斉藤由貴にプリンセスプリンセス。
思い出に浸って歌いながらきた。
オレたちの世代はみんな素晴らしいことを歌っている。
あらためて感動している。
そしてこれからも感動が待っている。
15:39 郡山文化センター前 1746㎞
友を待っている。
素敵な心境だ。
通りに人の姿はあまりなく、穏やかに時が過ぎている。
晴れた日に車を走らせながら懐かしい歌を聞いていると、何やら込みあげる。
さっきもここに来る途中に「パパ」で声を詰まらせた。
あの楽曲がオレの人生を彩った時期があったのだろう。
そして当時一緒にあの歌を聞いていたような人々はみんなどこかへ行ってしまった。
仲間も、そして愛した女性も。
さあ、じきに友は来るだろう。
彼は11年にわたってオレの中に存在し続けてくれている大切な友人なんだ。
18:57 4号国道‐那須公営パーキング 1795㎞
友と別れてしばらく経った。
そして蛙の声が聞こえる路傍に車を止めている。
友に変わりはなかった。
少し老けたようだが、オレも人のことは言えまい。
気の遣い方や優しさは本当に相変わらずで、彼のような年上の友人を持てたことを心から喜んだ。
彼が言っていたことだが、オレたちが出会って丸11年になる。
そしてこれからその月日はひたすらに更新されていくことになる。
素晴らしいことだと思わないか。
また会おう。
気づいたことがあれば途中でまた書き足していくつもりでいる。
東京に帰ったら手紙を書くよ。
21:26 東北自動車道-黒磯PA 1829㎞
さすがのオレもここまでは計算できなかった。
上も下も道路状況は最悪なんだ。
渋滞にはまっている間にストーンズのサンディエゴ公演は終わってしまった。
最後のあたりは軽快だったけど、ストーンズはやっぱり走っている時に聞くのが最高だ。
いずれにしろ最後になってこういう騒ぎに巻き込まれると旅への感傷もへったくれもない。
できればこのハイウェイを知らずにいたかった。
だからこれから少し休む。
路上の生活は続いている。
22:44 東北自動車道-黒磯PA
彼女を想っているうちに少し眠ることができた。
渋滞のラインは少し前に進んだだけで、さしたる変化は見られない。
23:11 東北自動車道-黒磯PA
出発しよう。
これ以上眠ったら頭が痛くなりそうだ。
25:28 東北自動車道-佐野SA 1917㎞
渋滞は終わったよ。
イライラせずに済んだのは何のおかげだったのだろう。
オレにも少しは人間的なゆとりができたのかもしれない。
路上で生活しているといろいろ起こる。
周りはみんなタフだ。
どこに力をためていたのだろう。
いずれにしても、みんな多かれ少なかれ我慢しながら生きている。
オレに限った話じゃない。
残りの道中もこのままストーンズでいくよ。
歌っていくんだよ。
バラードになれば恋しい彼女を想うのさ。
26:53 首都高速湾岸線-大井PA 2018㎞
タフなレースだった。
それも葛西までかと思っていた。
そこまでくれば千葉や習志野のナンバーをつけた連中とはおさらばできる。
でも案に相違してレースはまだ続いている。
なんてスピードを出しやがるんだ。
このエリアにもとてつもないスピードで入ってきやがる。
事故も多発しているのにどうしようもない連中だ。
この旅もあと少し。
東京はどこを走っても思い出だらけだけど、この湾岸にもオレの絡んだいろんな話が落ちている。
一番最近のロマンスはこの場所から始まった。
それにしても4年前の話だが。
これから横浜を通って帰る。
音楽は相変わらずストーンズ。
もうじきとっておきの楽曲が流れる。
その時は恋しい彼女を思い出そう。
そういう旅だった。
自分探しなんて、オレが使うべき言葉じゃない。
そう、恋しい彼女を思い出そう。
やがて家にも着くだろう。
28:35 東京町田 2071㎞
旅が終わった。
そして夜が明けている。
東京の空は今日もこんな具合で終わるのだろうか。
オレの旅は、正確には今飲んでいるビールを飲み干した時に終わる。
結局5月5日も巻き込んでのツアーになった。
そして、本当のツアーだった。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2015年春【浜名湖周辺で遊ぶ一日】その2-鷲津、新居町、浜松、新浜松、第一通り、西鹿島、遠州森、円田、遠江一宮、原谷、掛川、安倍川(東海道本線/遠州鉄道/天竜浜名湖鉄道)
鉄旅日記2015年3月28日その2・・・鷲津駅、新居町駅、浜松駅、新浜松駅、第一通り駅、西鹿島駅、遠
-
-
「鉄旅日記」2016年夏 2日目(弘前-小樽)その2-赤井川、姫川、東森、渡島砂原、森、野田生、山越、八雲、長万部、ニセコ、小樽(函館本線/渡島砂原支線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】
鉄旅日記2016年8月11日・・・赤井川駅、姫川駅、東森駅、渡島砂原駅、森駅、野田生駅、山越駅、八雲
-
-
「鉄旅日記」2007年皐月 最終日(岡山-東京)-岡山、長船、明石、米原、大垣、沼津、平塚、北千住、東京葛飾(山陽本線/赤穂線/東海道本線)【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】
鉄旅日記2007年5月6日・・・岡山駅、長船駅、明石駅、米原駅、大垣駅、沼津駅、平塚駅、北千住駅(山
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その1-保谷、稲毛、都賀、四街道、久住、下総神崎、松岸、銚子(総武本線、成田線) 【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】
鉄旅日記2012年3月12日その1・・・保谷駅、稲毛駅、都賀駅、四街道駅、久住駅、下総神崎駅、松岸駅
-
-
「鉄旅日記」2019年如月 初日(東京-安中)その3-高麗川、丹荘、児玉、高崎、安中(八高線/信越本線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
鉄旅日記2019年2月9日・・・高麗川駅、丹荘駅、児玉駅、高崎駅、安中駅(八高線/信越本線) 18
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その4‐置賜、高畠、米沢(奥羽本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月4日・・・置賜駅、高畠駅、米沢駅(奥羽本線) 15:32 置賜(
-
-
「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、新潟・みちのくひとり旅】初日(東京-横手)-郡山、津川、亀田、さつき野、水原、坂町、村上、あつみ温泉、鶴岡、余目、刈和野(東北本線、磐越西線、信越本線、羽越本線、陸羽西線、奥羽本線)
鉄旅日記2012年8月11日・・・郡山駅、津川駅、亀田駅、さつき野駅、水原駅、坂町駅、村上駅、あつみ
-
-
「鉄旅日記」2008年皐月 2日目(出雲-柳井)-出雲市、大田市、益田、長門市、仙崎、阿川、小串、幡生、防府、柳井(山陰本線/仙崎支線/山陽本線)【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】
鉄旅日記2008年5月3日・・・出雲市駅、大田市駅、益田駅、長門市駅、仙崎駅、阿川駅、小串駅、幡生駅
-
-
「鉄旅日記」2013年夏 2日目(徳山-南宮崎)その2-津久見、日代、浅海井、狩生、佐伯、直見、宗太郎、南延岡、南日向、東都農、佐土原、南宮崎(日豊本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】
鉄旅日記2013年8月11日その2・・・津久見駅、日代駅、浅海井駅、狩生駅、佐伯駅、直見駅、宗太郎駅
-
-
「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】
鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/山神社 11:37 瀬見
