「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】初日(東京-酒田)その1‐金町、北千住、上野、高崎(常磐線/高崎線)
鉄旅日記2019年12月7日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、高崎駅(常磐線/高崎線)
2019・12・7 4:30 金町(かなまち)駅(常磐線 東京都)
3:30に目覚めると、酔っ払いの歌声が通りから聞こえる。
そんな町で暮らして2度目の師走。
一日中開いてる駅前食堂では2軒が10人前後の客を集め、残る1軒は退屈している。
駅で話す男達の声は大きく、ホームには少なくない人々が一番列車を待っている。
ことごとくが成人しか見当たらない大人の世界。
この世には、実はそんな世界がある。
4:44 北千住(きたせんじゅ)駅(常磐線/東武伊勢崎線/東京メトロ千代田線/東京メトロ日比谷線/つくばエクスプレス 東京都)
松戸発の一番列車は北千住行。
乗り換え時間は3分。
大人達は古びた地下構内を通り、地上に出る。
上野行の常磐線快速の始発はすぐにやってきた。
大人達は階段を急いで上がっていく。
オレの足どりは重かった。
初老の男たちは誰もが黒っぽく、風景を重たく見せている。
オレもたいして年は違わないが、今日はそんな身なりじゃなくてよかったと思い、列車はすでに日暮里を過ぎた。
5:08 上野(うえの)駅(東北・北海道新幹線/上越新幹線/北陸新幹線/東北本線/山手線/京浜東北・根岸線/高崎線/常磐線/上野東京ライン/東京メトロ銀座線/東京メトロ日比谷線 東京都)
上野に着いて、街に下りていく人はわずかで、東へ北へそれぞれの行先へ向かう列車が出るホームを探す。
入谷口から上野駅前を眺める。
気温は7度。
街へ下りていく二人の男の背中が見える。
高崎行の一番列車は5:13発。
ボックス席を得て、買い置きのウイスキーハイボールを開ける。
鴬谷を過ぎると辺りは一層暗くなり、次に視線を上げると長大な操車場に差し掛かる。
たいした説明はつけられないが、過ぎ去った時代への郷愁と松本清張の小説を思い出す。
尾久駅での乗降は少ない。
赤羽に着いた。
車内が少しざわついた。
荒川の輪郭は見えなかった。
人物の特定はできないが懐かしく思う人々をぼんやりと思う。
均等にとはいかないが、それぞれ大切に思っていた人々。
あるいは年に一度の年賀状の交換だけとはいえ、努めて交わりを絶やさないでおこうと思っていた人々。
でも今年もリストから外れていく人がいる。
出会った頃は帰る家といえば、親元かそれぞれにひとり暮らす部屋だったのが、今じゃそれぞれに家族を持ち、帰る場所や人生のキャリアを重ねてきた人々。
やがてオレを忘れ、オレもたいした感慨もなく忘れていく。
年を重ねるとより無常を思う。
暮れになると、懐かしい人がひょっこり顔を出したりしますよ。
かつて恋い焦がれていた新橋のママに、オレはそんなことを言っていた。
あの店から常連だったオレの姿が消えて10年になる。
つらつらと記していたら列車は上尾を過ぎて、はす向かいには分厚い本に目を落とす好青年が座っている。
7:02 高崎(たかさき)駅(上越新幹線/北陸新幹線/信越本線/高崎線/両毛線/八高線/上越線/吾妻線/上信電鉄 群馬県)
夜明け前。
籠原ではまだ暗く、眠りに落ちる。
目覚めると神保原を過ぎていた。
箱根駅伝の常連となった上武大学の看板を過ぎるとやがて大河を渡る。
町が続く高崎線の車窓から関東平野を感じられないが、山の気配が漂うあのあたりでようやく旅情が現れる。
高崎に着く。
冷気を浴びる。
人々はめいめいに首元に注意を払う。
NEWDAYSでウイスキーハイボールと食料品を仕入れ両毛線ホームへ。
乗り換え時間7分。
新前橋で水上行を待つ。
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