「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】初日その3(東京-岩倉)-太田川、常滑、中部国際空港、上小田井、西春、岩倉(名鉄常滑線/名鉄空港線/名鉄犬山線)
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最終更新日:2020/09/02
旅話 2015年
鉄旅日記2015年3月7日その3
19:04 太田川(おおたがわ)駅(名鉄河和線/名鉄常滑線 愛知県)
駅構内に太田川駅の古めかしい写真が飾ってあった。
中部国際空港開港から名鉄常滑線はおそらく大きく変貌を遂げたのであろう。
たった今、ホームにいるオレの前を超特急が走り抜けた。
その間、約1秒。あっという間の出来事だった。
ここは古い町なのだろうが、冒頭の事情により新しく生まれ変わったように見える。
駅前はだだっ広い広場になっていて、飲食店が集まった建物がBARを巨大化させたような明かりを闇に浮かべている。
駅は3層構造になっていて名古屋方面行きは一番上の階層を使用している。
やけに高い場所から駅前を見下ろしていた。
雨脚はさらに強まっている。
19:32 常滑(とこなめ)駅(名鉄常滑線/名鉄空港線 愛知県)
やけに何もない駅前だ。
やけに明かりの少ない街だ。
想像とのあまりの相違に途方に暮れかけたが、思いを振りきって4分後にやってきた特急に乗った。
滞在時間はたった4分。
線路は続いているが、この先から空港線と線名が変わる。
もうすぐ終点の空港駅で、車内に厳かなムード音楽が流れてきた。
飛行機に乗って目的地が近づくと同じような事が起こる。
ワルくないが、なぜだか笑いが込み上げてくる。
これがオレが勝手に感じている名古屋的野暮ったさなのだろう。
19:50 中部国際空港(ちゅうぶこくさいくうこう)駅(名鉄空港線 愛知県)
大都市の人口比とはこんな場所でよく分かるものなのだろう。
開港当初からさして汚れを身にまとっていないであろう空港も駅も新しいままで、そして人の姿は圧倒的に少ない。
関空が、ましてや羽田や成田がこんな状態であったことなどおそらく一度としてないであろう。
喫煙所にも煙草の臭いは染み付いていない。
空港内を歩く気分はいい。
それはどこの空港でも変わらないけど、国際空港だけあってイメージしたのは漠然とした海外だった。
特定しろと言うのならホノルルだ。
「アカペラのジングル。
FMステーションからエアポートの声が流れだす~。
ホノルル行きは1時間遅れ。
いつか行こうと約束のままね。」と確か1度は口ずさんだ。
外国人はアラブ系のみを見かけ、駅の売店のおばちゃんにビールを出してコンニチワと挨拶したら、彼女は自分の知り合いにこんな顔のヤツはいたかと一瞬怪訝そうな表情を浮かべた後、ただの挨拶だと分かって、バツの悪そうな表情を浮かべた。
帰りに通り過ぎた常滑駅はより一層閑散としていた。
20:56 上小田井(かみおたい)駅(名鉄犬山線 愛知県)
名古屋高速環状2号線の高架道路下を走る302号国道脇にある駅。
大都市の音と光が交錯するが、駅前には商店の類いは見事なまでに何もない。
一緒に降りた人々が方々に散ると薄暗い街角になる。
名古屋とはこういう街だとのオレの認識はほぼ構築され、誤りを指摘されないレベルに達しつつあるだろう。
腰掛けていれば始終貧乏揺すりをして、あちこちを移動しながら絶えず歯をほじくっている男がいた。
きちんとした身なりをして顔も悪くない。
だから名古屋はなどと言うつもりはないが、次にいつ下り立つか判らないオレのようなよそ者にとっては、彼は名古屋を印象づける決定的な存在になったりする。
21:08 西春(にしはる)駅(名鉄犬山線 愛知県)
行政区分は北名古屋市となっている。
大都市の匂いは消え、犬山方面行き急行を待つのはオレを含めて二名のみ。
人気の絶えた商店街が雨に煙ってぼんやりと浮かぶ様は映画「ブレードランナー」的な退廃を漂わせ、とうに過ぎ去った名古屋駅周辺の明かりもまたあまりにも暗かったと、今更ながらに思い出している。
23:27 ビジネスホテル岩倉205
路上青年が歌う「ワインレッドの心」が聞こえる改札を抜けて地上に出てみれば想像通りの平凡な街並みで、歩いてきた道程にコンビニは一軒のみ。
そこで仕入れた物を広げて楽しんでいる。
雨を気にはしていなかったが、この街に着いて疲労を感じるとともに気になり始め、そこでようやく傘を必要とした。
駅を出た当初から使っていれば不必要な気持ちにならずに済んだのに。
オレの性格と今までの人生が垣間見えた。
テレビはつけていない。
聞こえてくるのはエアコンの音と濡れた路面を行き交う車の音のみ。
明日になれば結局オレはこの街のどこにも寄らずに始発電車で離れていく。
何も知らずに離れていく。
オレと岩倉の付き合いとは何だったのか。
オレの中では放っておいてもいい問題ではない。
犬山で育った知人の話じゃ、岩倉は暴力団の抗争で過去に危険なことがあったという。
ここからは小牧が近い。
小牧とは名古屋から見たら一体どこにあるのかという地理的な問題はこれで片付いた。
長久手古戦場という駅があることはこの計画を立て始めた頃に知った。
秀吉と家康が衝突した小牧での対陣は長期間に及び、戦線は南北に伸びて長大を極めたという。
このあたりも戦場だったのだろう。
東京から名古屋に行くということは西へ向かうわけだが、正確に言えば愛知県に入ってからは北西に向かい、安城あたりからは北上する。
織田信長はつまり制覇戦のはじめは北へ向かった。
岐阜に向かった。
西でも東でもどうでもいいことだが、この国の地図をずっと誤解しながら生きてきたことに恥じるよりもむしろ新鮮な気持ちでいる。
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