「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】初日その3(東京-岩倉)-太田川、常滑、中部国際空港、上小田井、西春、岩倉(名鉄常滑線/名鉄空港線/名鉄犬山線)
鉄旅日記2015年3月7日その3・・・太田川駅、常滑駅、中部国際空港駅、上小田井駅、西春駅、岩倉駅(名鉄常滑線/名鉄空港線/名鉄犬山線)
19:04 太田川(おおたがわ)駅(名鉄河和線/名鉄常滑線 愛知県)
駅構内に太田川駅の古めかしい写真が飾ってあった。
中部国際空港開港から名鉄常滑線はおそらく大きく変貌を遂げたのであろう。
たった今、ホームにいるオレの前を超特急が走り抜けた。
その間、約1秒。あっという間の出来事だった。
ここは古い町なのだろうが、冒頭の事情により新しく生まれ変わったように見える。
駅前はだだっ広い広場になっていて、飲食店が集まった建物がBARを巨大化させたような明かりを闇に浮かべている。
駅は3層構造になっていて名古屋方面行きは一番上の階層を使用している。
やけに高い場所から駅前を見下ろしていた。
雨脚はさらに強まっている。
19:32 常滑(とこなめ)駅(名鉄常滑線/名鉄空港線 愛知県)
やけに何もない駅前だ。
やけに明かりの少ない街だ。
想像とのあまりの相違に途方に暮れかけたが、思いを振りきって4分後にやってきた特急に乗った。
滞在時間はたった4分。
線路は続いているが、この先から空港線と線名が変わる。
もうすぐ終点の空港駅で、車内に厳かなムード音楽が流れてきた。
飛行機に乗って目的地が近づくと同じような事が起こる。
ワルくないが、なぜだか笑いが込み上げてくる。
これがオレが勝手に感じている名古屋的野暮ったさなのだろう。
19:50 中部国際空港(ちゅうぶこくさいくうこう)駅(名鉄空港線 愛知県)
大都市の人口比とはこんな場所でよく分かるものなのだろう。
開港当初からさして汚れを身にまとっていないであろう空港も駅も新しいままで、そして人の姿は圧倒的に少ない。
関空が、ましてや羽田や成田がこんな状態であったことなどおそらく一度としてないであろう。
喫煙所にも煙草の臭いは染み付いていない。
空港内を歩く気分はいい。
それはどこの空港でも変わらないけど、国際空港だけあってイメージしたのは漠然とした海外だった。
特定しろと言うのならホノルルだ。
「アカペラのジングル。
FMステーションからエアポートの声が流れだす~。
ホノルル行きは1時間遅れ。
いつか行こうと約束のままね。」と確か1度は口ずさんだ。
外国人はアラブ系のみを見かけ、駅の売店のおばちゃんにビールを出してコンニチワと挨拶したら、彼女は自分の知り合いにこんな顔のヤツはいたかと一瞬怪訝そうな表情を浮かべた後、ただの挨拶だと分かって、バツの悪そうな表情を浮かべた。
帰りに通り過ぎた常滑駅はより一層閑散としていた。
20:56 上小田井(かみおたい)駅(名鉄犬山線 愛知県)
名古屋高速環状2号線の高架道路下を走る302号国道脇にある駅。
大都市の音と光が交錯するが、駅前には商店の類いは見事なまでに何もない。
一緒に降りた人々が方々に散ると薄暗い街角になる。
名古屋とはこういう街だとのオレの認識はほぼ構築され、誤りを指摘されないレベルに達しつつあるだろう。
腰掛けていれば始終貧乏揺すりをして、あちこちを移動しながら絶えず歯をほじくっている男がいた。
きちんとした身なりをして顔も悪くない。
だから名古屋はなどと言うつもりはないが、次にいつ下り立つか判らないオレのようなよそ者にとっては、彼は名古屋を印象づける決定的な存在になったりする。
21:08 西春(にしはる)駅(名鉄犬山線 愛知県)
行政区分は北名古屋市となっている。
大都市の匂いは消え、犬山方面行き急行を待つのはオレを含めて二名のみ。
人気の絶えた商店街が雨に煙ってぼんやりと浮かぶ様は映画「ブレードランナー」的な退廃を漂わせ、とうに過ぎ去った名古屋駅周辺の明かりもまたあまりにも暗かったと、今更ながらに思い出している。
23:27 ビジネスホテル岩倉205
路上青年が歌う「ワインレッドの心」が聞こえる改札を抜けて地上に出てみれば想像通りの平凡な街並みで、歩いてきた道程にコンビニは一軒のみ。
そこで仕入れた物を広げて楽しんでいる。
雨を気にはしていなかったが、この街に着いて疲労を感じるとともに気になり始め、そこでようやく傘を必要とした。
駅を出た当初から使っていれば不必要な気持ちにならずに済んだのに。
オレの性格と今までの人生が垣間見えた。
テレビはつけていない。
聞こえてくるのはエアコンの音と濡れた路面を行き交う車の音のみ。
明日になれば結局オレはこの街のどこにも寄らずに始発電車で離れていく。
何も知らずに離れていく。
オレと岩倉の付き合いとは何だったのか。
オレの中では放っておいてもいい問題ではない。
犬山で育った知人の話じゃ、岩倉は暴力団の抗争で過去に危険なことがあったという。
ここからは小牧が近い。
小牧とは名古屋から見たら一体どこにあるのかという地理的な問題はこれで片付いた。
長久手古戦場という駅があることはこの計画を立て始めた頃に知った。
秀吉と家康が衝突した小牧での対陣は長期間に及び、戦線は南北に伸びて長大を極めたという。
このあたりも戦場だったのだろう。
東京から名古屋に行くということは西へ向かうわけだが、正確に言えば愛知県に入ってからは北西に向かい、安城あたりからは北上する。
織田信長はつまり制覇戦のはじめは北へ向かった。
岐阜に向かった。
西でも東でもどうでもいいことだが、この国の地図をずっと誤解しながら生きてきたことに恥じるよりもむしろ新鮮な気持ちでいる。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その1-越前大野、南今庄、敦賀、武並(越美北線/北陸本線/東海道本線/中央本線)
鉄旅日記2018年10月7日・・・越前大野駅、南今庄駅、敦賀駅、武並駅(越美北線/北陸本線/東海道本
-
-
「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】2日目(黒磯-郡山-いわき-仙台)その1-道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船引駅、磐城常葉駅、川前駅、小川郷駅、四ツ倉駅
車旅日記2006年5月3日・・・道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船
-
-
「鉄旅日記」2017年秋【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】その1-東長崎、本鵠沼、鵠沼海岸、藤沢、石上、柳小路、鵠沼、湘南海岸公園、鎌倉(西武池袋線/小田急電鉄江ノ島線/江ノ島電鉄)
鉄旅日記2017年11月12日・・・東長崎駅、本鵠沼駅、鵠沼海岸駅、藤沢駅、石上駅、柳小路駅、鵠沼駅
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】最終日(JR難波-東京)その2-大曽根、勝川、春日井、中津川、上松、原野、広丘、みどり湖、相模湖、豊田(中央本線/篠ノ井線)
鉄旅日記2017年3月20日・・・大曽根駅、勝川駅、春日井駅、中津川駅、上松駅、原野駅、広丘駅、みど
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】5日目(松浦-若松)その1-松浦、有田、伊万里、唐津、筑前前原、姪浜、天神、西鉄福岡、博多(松浦鉄道/筑肥線/福岡市地下鉄空港線)
鉄旅日記2009年9月22日・・・松浦駅、有田駅、伊万里駅、唐津駅、筑前前原駅、姪浜駅、天神駅、西鉄
-
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】その2-新清水、静岡、草薙、興津、裾野、御殿場、駿河小山、国府津、逗子、横須賀、田浦、新川崎(東海道本線、静岡鉄道、御殿場線、横須賀線)
鉄旅日記2012年4月8日その2・・・新清水駅、静岡駅、草薙駅、興津駅、裾野駅、御殿場駅、駿河小山駅
-
-
「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】最終日(人吉-天草-熊本空港)走行距離240㎞ その1-人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の駅不知火
車旅日記2005年2月13日・・・人吉駅、一勝地駅、球泉洞駅、佐敷駅、上田浦駅、千丁駅、有佐駅、道の
-
-
「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】4日目(鹿角花輪-花巻)-鹿角花輪、荒屋新町、盛岡、北上、和賀仙人、横手、大曲、角館、田沢湖、雫石、小岩井、花巻空港、新花巻、花巻(花輪線/東北本線/北上線/田沢湖線/釜石線)
鉄旅日記2011年8月16日・・・鹿角花輪駅、荒屋新町駅、盛岡駅、北上駅、和賀仙人駅、横手駅、大曲駅
-
-
「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】初日(長岡-会津-福島-山形)走行距離388㎞ その1-長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅
車旅日記2005年7月16日・・・長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅
-
-
「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】最終日(石巻-東京)その2-久田野、新白河、豊原、白坂、黒磯、西那須野、那須塩原、矢板(東北本線)
鉄旅日記2016年3月21日その2・・・久田野駅、新白河駅、豊原駅、白坂駅、黒磯駅、西那須野駅、那須