「鉄旅日記」2015年春 最終日その1(岩倉-東京)-岩倉、御嵩、犬山、新鵜沼、鵜沼、名電各務原、各務ヶ原、新那加、那珂、名鉄岐阜(名鉄犬山線/名鉄広見線/名鉄各務原線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】
鉄旅日記2015年3月8日その1・・・岩倉駅、御嵩駅、犬山駅、新鵜沼駅、鵜沼駅、名電各務原駅、各務ヶ原駅、新那加駅、那珂駅、名鉄岐阜駅(名鉄犬山線/名鉄広見線/名鉄各務原線)
2015・3・8 5:41 岩倉(いわくら)駅(名鉄犬山線 愛知県)
岩倉は山内一豊の生誕地で、二つの城跡と五条川の桜並木を名所として並べている。
織田信長による尾張統一戦に岩倉織田氏というのが登場する。
山内一豊の父がその家老を務めていたわけだが、やがて信長によって滅ぼされ、岩倉は歴史から身を隠すことになる。
知人で犬山出身のNさんの話じゃ、現在の岩倉は危険な街で、暴力団による発砲事件が数回ニュースになったらしい。
駅前は東西とも小ぶりなロータリーができていて、西口の方にチェーン居酒屋が張りついているだけの面白みのない街で、とても暴力団抗争の原因になるとは思えないが、かつての織田氏による身内抗争のように、生死に発展する争いというものは、一般的見地からは理解を超えた複雑な事情を有するものなのかもしれない。
まだ暗い早朝の岩倉駅。
地下の改札へと下りていくと構内放送からやわらかなギターの音色が聞こえる。
駅長の選曲なのだろうか。
とてもいい趣味だ。
昨夜、常滑から乗った特急列車での放送にも同じことが言えるが、名鉄文化は独自の発展形を辿っているようだ。

6:41 御嵩(みたけ)駅(名鉄広見線 岐阜県)
終着駅は近かった。
犬山から新可児行に乗り換える。
さらに新可児から御嵩までという二つの区間に分かれる名鉄広見線。
新可児駅は線路の行き止まりに駅舎があって、3年前の夏にJR可児駅で降りた際に名鉄の終着駅があることに驚いた過去を持つが、終着駅ではなかったわけだ。
そしてその新可児から御嵩行きに乗り込んだのはただひとりオレのみ。
廃止が検討されている区間だとのちに知る。
駅は中山道49番目の宿場町の中に放り込まれたように見事に町と同化していた。
駅横の広場では老人たちが集まってラジオ体操をしている。
鄙びた宿場町だがこの先中山道は山路になり、地図で見る限り一帯は今も人煙稀な様子で、48番目の細久手宿は遠く瑞浪まで戻る。
ここから犬山に戻る。

7:59 犬山(いぬやま)駅(名鉄犬山線/名鉄広見線/名鉄各務原線 愛知県)
御嵩への行き帰りとも明智で降りるかどうか悩んだ。
明智光秀ゆかりの地でもあるし、名鉄2004年問題に先立つ2001年までは明智から分岐する八百津線というのが走っていたという。
名鉄の鉄路延伸への底知れぬ情熱があったことをそこここで知った。
次の犬山遊園からも2008年までモンキーパークモノレール線が運行していた。
得意先のTさんは幼少の頃、一宮のお祖母さんの元に遊びに行った際に連れられてきたことがあるそうだ。
今も愛らしいTさん。
当時の彼女を想像すると表情が綻ぶ。
そしてここ犬山はもうじきにお別れを言わなきゃならないNさんが生まれた街。
この旅の計画当初から彼女の事は頭にあった。
3月13日に手土産を持って会いにいくことを考えている。
街を見ておこうと木曽川へと下っていくと左手に古い町並みが散見される。
堀端で国宝犬山城への思いを断ちがたく左に折れ、お城の開館には早すぎて城門前で引き返し、観光街を早足で抜け、ついには走りだして予定の列車に間に合わせた。
古くて美しい街との短い出会いだった。
犬山城は車窓からよく見えた。

犬山城への道







8:14 新鵜沼(しんうぬま)駅(名鉄各務原線 岐阜県)
どこからかハーモニカの音色が聞こえた鵜沼駅。
あたりの寛やかな景観にとてもよく調和していた。
駅は変わっていた。
まるで美術館だ。
名鉄駅とをつなぐ空中回廊ができていて、その往復を終えられる程度の時間しかとれなかった鵜沼への再訪。
犬山城がよく見え、岐阜方面へ伸びる線路の果てには雪をかぶった伊吹山が神々しい姿を見せている。
犬山橋へとつながる27号県道に接している新鵜沼駅には往来が見られたが、かつて立ち寄った鵜沼駅とはもしかしたら新鵜沼駅かもしれないと思い始め、おそらくそれが事実であろうと感じている。
日本ラインに目を見張り、宿場の風情を嗅ぎ、駅に寄りはしたが往来の迷惑になってはいけないとすぐに離れた20代の車旅。
駅に寄ることに喜びは感じていたが、たまたま立ち寄ったのが駅であれば幸運だと思う程度で、今のような鉄道旅など思いもよらぬ頃だった。

鵜沼(うぬま)駅(高山本線 岐阜県)にて


8:31 名電各務原(めいでんかがみがはら)駅(名鉄各務原線 岐阜県)
各務ヶ原駅はまるで潰れたパチンコ屋みたいで、ある意味圧倒された。
錆びの入り具合から廃墟となって相応しい年月を読み取れる代物だったが、実は潰れちまったパチンコ屋などではなく、高山本線の現役駅舎としての機能を持たされていることに感動した。
ホームに出ようとするとどこからか犬を連れた女性が現れて、オレの後に続き跨線橋を渡っていく。
ホームから見えた愛宕山をケータイに残して駅を離れた。
この街ではあの駅の記憶さえあればいい。
駅前を走るのは21号国道。
かつて2度この道を通って琵琶湖へ出たことを思い出している。

各務ヶ原駅(高山本線 岐阜県)にて


8:56 新那加(しんなか)駅(名鉄各務原線 岐阜県)
市役所前、市民公園とまるで各務原市内循環バスみたいな駅名が続いて、JR駅と交わるここで降りた。
通りの先に往来が見える。
青空の下で映える街が見えた。
ただ、そこまでを往復する時間は用意していない。
那加駅は新しく簡素な造りだった。
やがてあの各務ヶ原駅もあんなふうに姿を変えてしまうのだろうか。
賛否を問う資格はこの街に縁を持たないオレにはない。
しかしこうして今年も春がきた。
世界は荒れ、テロリストが国家樹立を謳い、10歳の少女が本人の意志とは関わりなく市場を修羅場へと導く役目を負わされ、パリ市民の表情が恐怖で歪んだ冬を過ごした。
人類の今後に対して希望を持ちづらい冬は取り分け寒く感じた。
不安は解消されることはなく、むしろ増幅の危険性すら感じられる世界だが、ここでこうして春の訪れを喜べる気持ちでいられることを幸福と思う。

那加(なか)駅(高山本線 岐阜県)にて

名鉄岐阜(めいてつぎふ)駅(名鉄本線/名鉄各務原線 岐阜県)にて

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その1‐防府、新山口、宇部、小野田(山陽本線)/防府天満宮 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月14日・・・防府駅、新山口駅、宇部駅、小野田駅(山陽本線)/防府天満宮
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その2-掛川、磐田駅、浜松、音羽町、岡崎、知立、名古屋渋滞、佐屋町、弥冨町
車旅日記1996年5月3日 6:25 1号国道‐掛川 あれから1時間か。 始まるよ、これから。
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城端駅(万葉線/城端線)/高岡大
-
-
「鉄旅日記」2014年春 最終日(魚津-東京)その2-有間川、谷浜、名立、直江津、犀潟、二本木、今井、川中島、姨捨、信濃境、すずらんの里、富士見(北陸本線/信越本線/篠ノ井線/中央本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】
鉄旅日記2014年3月23日その2・・・有間川駅、谷浜駅、名立駅、直江津駅、犀潟駅、二本木駅、今井駅
-
-
「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-松本)その1 ‐金町、神田、吉祥寺、国立(常磐線/中央本線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】
鉄旅日記2021年4月24日・・・金町駅、神田駅、吉祥寺駅、国立駅(常磐線/中央本線) 20
-
-
「鉄旅日記」2018年エイプリルフール その1-金町、上野、鹿沼、日光、東武日光、宇都宮、野崎(常磐線/東北本線/日光線) 【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】
鉄旅日記2018年4月1日・・・金町駅、上野駅、鹿沼駅、日光駅、東武日光駅、宇都宮駅、野崎駅(常磐線
-
-
「鉄旅日記」2015年春 初日その2(東京-岩倉)-三河高浜、碧南、高浜港、亀崎、半田、知多半田、内海、富貴、河和(名鉄三河線/武豊線/名鉄河和線/名鉄知多新線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】
鉄旅日記2015年3月7日その2・・・三河高浜駅、碧南駅、高浜港駅、亀崎駅、半田駅、知多半田駅、内海
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 初日(東京-和歌山)その1-浜松、豊橋、大垣、京都、六地蔵、城陽、京終、帯解、天理、桜井(東海道本線/奈良線/桜井線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月19日・・・浜松駅、豊橋駅、大垣駅、京都駅、六地蔵駅、城陽駅、京終駅、帯解駅、
-
-
「鉄旅日記」2013年夏 4日目(隼人-岩国)その1-隼人、鹿児島、鹿児島中央、上伊集院、薩摩松元、川内、出水、新水俣、新八代(日豊本線、鹿児島本線、肥薩おれんじ鉄道) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】
鉄旅日記2013年8月13日その1・・・隼人駅、鹿児島駅、鹿児島中央駅、上伊集院駅、薩摩松元駅、川内
-
-
「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-西舞鶴)その2-東雲、宮津、天橋立、豊岡、国府、和田山、梁瀬、福知山、西舞鶴(北近畿タンゴ鉄道宮津線/山陰本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】
鉄旅日記2014年3月21日その2・・・東雲駅、宮津駅、天橋立駅、豊岡駅、国府駅、和田山駅、梁瀬駅、
