「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その1-検見川浜、大貫、保田、那古船形、富浦、安房勝山、館山、太海、江見、勝浦、行川アイランド、東浪見、御宿(京葉線、内房線、外房線)
鉄旅日記2013年3月9日その1・・・検見川浜駅、大貫駅、保田駅、那古船形駅、富浦駅、安房勝山駅、館山駅、太海駅、江見駅、勝浦駅、行川アイランド駅、東浪見駅、御宿駅(京葉線、内房線、外房線)
2013・3・9 6:43 検見川浜駅(京葉線 千葉県)
造られた街の先に美浜区役所。
それは赤い大きな橋を渡った先にある。
多摩ニュータウン、千葉ニュータウン・・・、他に思いつく街の名は出てこないが、そういったここ20年、30年の共通点がここにも多く見られる。
高層住宅が建ち並び、適度に清潔で、見かける店はすべてがチェーン店と言ってもおかしくなく、公園は緑に溢れている。
既視感のある街で早朝を迎えている。
季節外れのあたたかい朝が続いて今日で3日目になる。
8:01 大貫(おおぬき)駅(内房線 千葉県)
蘇我で乗り換える。
行き違いで数分の停車。
駅を発車すると海が見え、また隠れた。
焼鳥屋とパチンコ屋がある駅前通り。沿線の家並みは途切れ、鄙び、旅情が現れる。
あの日差しに満ちた房総に入った。
8:28 保田(ほた)駅(内房線 千葉県)
特急列車がやってきて梅の里に止まった。
ここでまた数分の停車。
駅前喫茶に観光案内所。
あのカーブを曲がれば海か。
鋸山ハイキングツアーでもあるのかリュック姿の人々が地元の有志に迎えられていた。
青い駅舎が続いている。
日差しに映え、気分が上がる。
9:03 那古船形(なこふながた)駅(内房線 千葉県)
二つの町が合わさった駅名のようだ。
那古と船形、それぞれに海水浴場を持ち、観音様も持っている。
道路表示の行き先は北条海岸。
静かな海辺の町。
「停車場」という駅前喫茶に布団屋、釣り宿。
そんな軒先を歩いた。
狭い駅前通りを車が行き交う。
こんな旅をしていると車が憎くなることがある。
9:16 富浦(とみうら)駅(内房線 千葉県)
東京方面に戻り、ここで数分の停車。
気さくな駅員のいる町。
日本一の道の駅を持つ町。
南国椰子が聳える駅前。
カラフルなシャッターを下ろしていた商店。
青い駅舎は途切れたが、リゾート地を連想させるステキな駅だった。
沿線の菜の花畑が、目にとても柔らかな刺激を与えてくれる。
9:34 安房勝山(あわかつやま)駅(内房線 千葉県)
かつて宿にしたツインタワーが見える。
ここらあたりじゃ一番高い建物だろう。
この町を故郷に持つYさんにかつて尋ねた展望台が見える。
再訪に伴う感動がなかなか現れず戸惑う。
今日は晴天だが、あの日見えた富士山は見えない。
変わらない町に安堵し、住人の平穏無事を心の底から祈る。
ある宗教団体が借りる小屋は前回は閉まっていて気づかなかったのだろうが、場にそぐわず胡散臭い。
田舎町でたまに見かける奇妙な風景といっていい。
ここは伊豆で挙兵した源頼朝が、石橋山合戦で敗れて安房に逃れた際に上陸したという伝説の海辺の町。
とてもステキな海水浴場がある。
館山方面へと再度向かう。
10:03 館山(たてやま)駅(内房線 千葉県)
館山は3度目になる。
これでしばらく来ることはないだろう。
「里見八犬伝」の里見氏を大河ドラマの主役にと街は願っているようで、同じ千葉県の大多喜では城主だった本多平八郎親子をと、運動を展開しているそうだ。
実現するだろうか。
館山の駅弁はクジラ弁当とのことだが、店は閉まっていた。
かつて夜の繁栄を見たが、あれも魔法にかかったのか。
房総一の街だが、駅前からパチンコ屋は出ていき、後釜は埋まっていなかった。
11:15 太海(ふとみ)駅(内房線 千葉県)
風光明媚な気持ちのいい駅に降りた。
酒屋の奥さんの愛想もいい。
小径を辿って海辺へ。
頼朝伝説が残る仁右衛門島を一望する。
昭和の頃には皇太子はじめ皇族が来島したことがあるそうだ。
砂浜を筋骨隆々な上半身裸の男たちが徒党を組んで走っている。
上品なサーファーかとも思ったが、岡上の城西国際大学の学生だろう。
美しい光景ではある。
春の日差しに満ちた駅頭で列車を待つ。
ビールと煙草の時間は至福だった。
こんな時を求めてオレはここまできた。
雲雀のさえずりが耳にも心地いい。
11:37 江見(えみ)駅(内房線 千葉県)
一駅戻る。
リゾートマンションが睥睨する南房の小駅周辺は房州生花の生産地。
海辺への坂道を往復。
玄関先で日向ぼっこの老婆と二度の会釈。
なんて気持ちのいい日なのだろう。
駅の案内板は他にタイ釣りに適した釣り場があるとことに触れている。
12:38 勝浦(かつうら)駅(外房線 千葉県)
安房鴨川で外房線に乗り換える。
大きな街に着いた。
房総の大きな街に着いた。
ホテル三日月の街、勝浦にてしばしの街歩き。
勝浦灯台に官軍塚。
案内板は無骨な名所を掲げている。
特急車両がやってきて、鴨川方面へ3駅引き返す。
13:03 行川アイランド(なめがわあいらんど)駅(外房線 千葉県)
風雨に剥がされた案内板に「国電」の文字が見える。
昭和の景気のいい頃に営業していたであろう海の楽園。
閉鎖されてからどれほどの歳月が流れたのだろうか。
すべてが朽ち、入口は永遠に閉ざされ、夜になれば不気味な姿を晒す。
海辺に向けてくり貫かれたトンネルだけは埋められることはないだろう。
それに伴い人類の記憶からの完全喪失を免れることだろう。
駅名も残る。
ただし今となっては廃駅になる心配がないとは言えない。
そんな誰もいなくなった広大な駐車場跡で珍しい女性運転手がバスを休ませていた。
15:05 東浪見(とらみ)駅(外房線 千葉県)
竹藪の駅。
そう記憶していた駅に降りた。
以前この駅を通った際は確か旧客車を転用した達磨駅舎だった。
何もない駅。
確かに何もない。
乗る者はオレひとり。
でもここで降りて歩いて、駅の在り方について考えさせられた。
つまりこの在り方は実はとても素晴らしいのではないのかと。
駅前に広場などなく、隣接する家からすれば隣がたまたま駅だったというような在り方。
通りの古い床屋から話し声が洩れ、竹藪、草叢では他の生物によるオレへの威嚇が、気配を音に示すという行為で行われていた。
その正体は掴めていない。
15:26 御宿(おんじゅく)駅(外房線 千葉県)
鴨川方面に戻る。
波乗りのメッカだ。
月の砂漠公園に行くとサーファーたちが黒く固まっていた。
2、3は波に揉まれている。
ここの波は高いな。
ナンパのメッカでもあり、その卑猥的とも言える存在は子供の頃何かの折に母に聞かされた。
なるほど。
30年前と同じなわけがないが、リゾートマンションが建ち並ぶ海辺の風情は若者たちを惹きつけるに足る。
ワイキキを思い出したよ。
もちろん景観、規模ともまったく違いはするけれど。
「月の砂漠」がここ御宿で生まれたとは知らなかった。
名曲が生まれた頃、オレが歩いてきたあたりは荒涼とした砂丘だったという。
口の中がしょっぱいよ。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その1‐防府、新山口、宇部、小野田(山陽本線)/防府天満宮
鉄旅日記2020年8月14日・・・防府駅、新山口駅、宇部駅、小野田駅(山陽本線)/防府天満宮
-
-
「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その1‐釜石、遠野、宮守(釜石線)
鉄旅日記2020年2月24日・・・釜石駅、遠野駅、宮守駅(釜石線) 2020・2・24 5:39
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その2-宇治山田、東青山、青山町、名張、大和八木、大和西大寺、新大宮(山田線/大阪線/橿原線/奈良線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・宇治山田駅、東青山駅、青山町駅、名張駅、大和八木駅、大和西大寺駅、
-
-
「鉄旅日記」2017年秋【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】その2-和田塚、由比ヶ浜、長谷、鎌倉大仏殿高徳院、極楽寺、稲村ケ崎、七里ヶ浜、鎌倉高校前(江ノ島電鉄)
鉄旅日記2017年11月12日・・・和田塚駅、由比ヶ浜駅、長谷駅、極楽寺駅、稲村ケ崎駅、七里ヶ浜駅、
-
-
「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】2日目(琵琶湖志賀-福山)桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔
車旅日記2000年8月13日・・・桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 2000・8・1
-
-
「車旅日記」1998年夏【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】最終日(志賀高原湯田中-中込-東京)-湯田中、菅平湖、中込ローソン、竜王駅、道の駅甲斐大和、藤野駅、東京町田
車旅日記1998年7月20日 1998・7・20 7:25 湯田中‐某クラブ志賀高原 486㎞
-
-
「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】4日目(西鉄柳川-広島)その1-西鉄柳川、西鉄久留米、西鉄甘木、甘木、基山、けやき台、原田、桂川(西鉄本線、西鉄甘木線、甘木鉄道、鹿児島本線、筑豊本線)
鉄旅日記2015年8月15日その1・・・西鉄柳川駅、西鉄久留米駅、西鉄甘木駅、甘木駅、基山駅、けやき
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その2 ‐金刀比羅宮、善通寺駅、高松港公園、八十場駅、白峰宮、天皇寺、磯禅師墓
車旅日記2020年9月21日・・・金刀比羅宮、善通寺駅、高松港公園、八十場駅、白峰宮、天皇寺、磯禅
-
-
「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】初日(東京-河口湖-新島々-長野-直江津)その3-梓橋、姨捨、北長野、三才、直江津(大糸線/篠ノ井線/しなの鉄道/えちごトキめき鉄道)
鉄旅日記2018年2月10日・・・梓橋駅、姨捨駅、北長野駅、三才駅、直江津駅(大糸線/篠ノ井線/しな
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その3-武蔵国で遊ぶ日。7つの交差点へ。】-越生、坂戸、小川町、寄居、羽生、久喜、新越谷、南越谷(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)
鉄旅日記2009年11月3日・・・越生駅、坂戸駅、小川町駅、寄居駅、羽生駅、久喜駅、新越谷駅、南越谷