*

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その1-検見川浜、大貫、保田、那古船形、富浦、安房勝山、館山、太海、江見、勝浦、行川アイランド、東浪見、御宿(京葉線、内房線、外房線)

公開日: : 最終更新日:2025/06/13 旅話, 旅話 2013年

鉄旅日記2013年3月9日その1・・・検見川浜駅、大貫駅、保田駅、那古船形駅、富浦駅、安房勝山駅、館山駅、太海駅、江見駅、勝浦駅、行川アイランド駅、東浪見駅、御宿駅(京葉線、内房線、外房線)

2013・3・9 6:43 検見川浜駅(京葉線 千葉県)
造られた街の先に美浜区役所。
それは赤い大きな橋を渡った先にある。

多摩ニュータウン、千葉ニュータウン・・・、他に思いつく街の名は出てこないが、そういったここ20年、30年の共通点がここにも多く見られる。
高層住宅が建ち並び、適度に清潔で、見かける店はすべてがチェーン店と言ってもおかしくなく、公園は緑に溢れている。

既視感のある街で早朝を迎えている。
季節外れのあたたかい朝が続いて今日で3日目になる。

8:01 大貫(おおぬき)駅(内房線 千葉県)
蘇我で乗り換える。
行き違いで数分の停車。

駅を発車すると海が見え、また隠れた。

焼鳥屋とパチンコ屋がある駅前通り。沿線の家並みは途切れ、鄙び、旅情が現れる。
あの日差しに満ちた房総に入った。

8:28 保田(ほた)駅(内房線 千葉県)
特急列車がやってきて梅の里に止まった。
ここでまた数分の停車。

駅前喫茶に観光案内所。
あのカーブを曲がれば海か。
鋸山ハイキングツアーでもあるのかリュック姿の人々が地元の有志に迎えられていた。

青い駅舎が続いている。
日差しに映え、気分が上がる。

9:03 那古船形(なこふながた)駅(内房線 千葉県)
二つの町が合わさった駅名のようだ。
那古と船形、それぞれに海水浴場を持ち、観音様も持っている。

道路表示の行き先は北条海岸。
静かな海辺の町。
「停車場」という駅前喫茶に布団屋、釣り宿。
そんな軒先を歩いた。

狭い駅前通りを車が行き交う。
こんな旅をしていると車が憎くなることがある。

9:16 富浦(とみうら)駅(内房線 千葉県)
東京方面に戻り、ここで数分の停車。

気さくな駅員のいる町。
日本一の道の駅を持つ町。
南国椰子が聳える駅前。
カラフルなシャッターを下ろしていた商店。

青い駅舎は途切れたが、リゾート地を連想させるステキな駅だった。

沿線の菜の花畑が、目にとても柔らかな刺激を与えてくれる。

9:34 安房勝山(あわかつやま)駅(内房線 千葉県)
かつて宿にしたツインタワーが見える。
ここらあたりじゃ一番高い建物だろう。

この町を故郷に持つYさんにかつて尋ねた展望台が見える。
再訪に伴う感動がなかなか現れず戸惑う。
今日は晴天だが、あの日見えた富士山は見えない。

変わらない町に安堵し、住人の平穏無事を心の底から祈る。
ある宗教団体が借りる小屋は前回は閉まっていて気づかなかったのだろうが、場にそぐわず胡散臭い。
田舎町でたまに見かける奇妙な風景といっていい。

ここは伊豆で挙兵した源頼朝が、石橋山合戦で敗れて安房に逃れた際に上陸したという伝説の海辺の町。
とてもステキな海水浴場がある。

館山方面へと再度向かう。

10:03 館山(たてやま)駅(内房線 千葉県)
館山は3度目になる。
これでしばらく来ることはないだろう。

「里見八犬伝」の里見氏を大河ドラマの主役にと街は願っているようで、同じ千葉県の大多喜では城主だった本多平八郎親子をと、運動を展開しているそうだ。
実現するだろうか。

館山の駅弁はクジラ弁当とのことだが、店は閉まっていた。

かつて夜の繁栄を見たが、あれも魔法にかかったのか。
房総一の街だが、駅前からパチンコ屋は出ていき、後釜は埋まっていなかった。

11:15 太海(ふとみ)駅(内房線 千葉県)
風光明媚な気持ちのいい駅に降りた。
酒屋の奥さんの愛想もいい。

小径を辿って海辺へ。
頼朝伝説が残る仁右衛門島を一望する。
昭和の頃には皇太子はじめ皇族が来島したことがあるそうだ。

砂浜を筋骨隆々な上半身裸の男たちが徒党を組んで走っている。
上品なサーファーかとも思ったが、岡上の城西国際大学の学生だろう。
美しい光景ではある。

春の日差しに満ちた駅頭で列車を待つ。
ビールと煙草の時間は至福だった。
こんな時を求めてオレはここまできた。

雲雀のさえずりが耳にも心地いい。


11:37 江見(えみ)駅(内房線 千葉県)
一駅戻る。

リゾートマンションが睥睨する南房の小駅周辺は房州生花の生産地。

海辺への坂道を往復。
玄関先で日向ぼっこの老婆と二度の会釈。
なんて気持ちのいい日なのだろう。

駅の案内板は他にタイ釣りに適した釣り場があるとことに触れている。

12:38 勝浦(かつうら)駅(外房線 千葉県)
安房鴨川で外房線に乗り換える。

大きな街に着いた。
房総の大きな街に着いた。

ホテル三日月の街、勝浦にてしばしの街歩き。
勝浦灯台に官軍塚。
案内板は無骨な名所を掲げている。

特急車両がやってきて、鴨川方面へ3駅引き返す。

13:03 行川アイランド(なめがわあいらんど)駅(外房線 千葉県)
風雨に剥がされた案内板に「国電」の文字が見える。

昭和の景気のいい頃に営業していたであろう海の楽園。
閉鎖されてからどれほどの歳月が流れたのだろうか。
すべてが朽ち、入口は永遠に閉ざされ、夜になれば不気味な姿を晒す。

海辺に向けてくり貫かれたトンネルだけは埋められることはないだろう。
それに伴い人類の記憶からの完全喪失を免れることだろう。
駅名も残る。
ただし今となっては廃駅になる心配がないとは言えない。

そんな誰もいなくなった広大な駐車場跡で珍しい女性運転手がバスを休ませていた。


15:05 東浪見(とらみ)駅(外房線 千葉県)
竹藪の駅。
そう記憶していた駅に降りた。
以前この駅を通った際は確か旧客車を転用した達磨駅舎だった。

何もない駅。
確かに何もない。
乗る者はオレひとり。

でもここで降りて歩いて、駅の在り方について考えさせられた。
つまりこの在り方は実はとても素晴らしいのではないのかと。
駅前に広場などなく、隣接する家からすれば隣がたまたま駅だったというような在り方。

通りの古い床屋から話し声が洩れ、竹藪、草叢では他の生物によるオレへの威嚇が、気配を音に示すという行為で行われていた。
その正体は掴めていない。

15:26 御宿(おんじゅく)駅(外房線 千葉県)
鴨川方面に戻る。

波乗りのメッカだ。
月の砂漠公園に行くとサーファーたちが黒く固まっていた。
2、3は波に揉まれている。
ここの波は高いな。

ナンパのメッカでもあり、その卑猥的とも言える存在は子供の頃何かの折に母に聞かされた。
なるほど。
30年前と同じなわけがないが、リゾートマンションが建ち並ぶ海辺の風情は若者たちを惹きつけるに足る。

ワイキキを思い出したよ。
もちろん景観、規模ともまったく違いはするけれど。

「月の砂漠」がここ御宿で生まれたとは知らなかった。
名曲が生まれた頃、オレが歩いてきたあたりは荒涼とした砂丘だったという。

口の中がしょっぱいよ。


関連記事

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その2-滝原、三野瀬、尾鷲、宇久井、田並(紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月2日・・・滝原駅、三野瀬駅、尾鷲駅、宇久井駅、田並駅(紀勢本線) 14:14

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋 4日目(佐賀-松浦)その2-大村、竹松、早岐、佐世保、佐世保中央、中佐世保、左石、佐々、たびら平戸口、松浦(大村線/佐世保線/松浦鉄道) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】

鉄旅日記2009年9月21日・・・大村駅、竹松駅、早岐駅、佐世保駅、佐世保中央駅、中佐世保駅、左石駅

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅、京王八王子駅(身延線/中央本

記事を読む

「鉄旅日記」2009年初夏 【上信越ひとり旅】最終日(長岡-東京)-長岡、東三条、吉田、新潟、新津、会津若松、郡山、磐城石川、磐城塙、玉川村、常陸大宮、金町(信越本線/弥彦線/越後線/磐越西線/水郡線/常磐線)

鉄旅日記2009年7月20日・・・長岡駅、東三条駅、吉田駅、新潟駅、新津駅、会津若松駅、郡山駅、磐城

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 最終日(紀伊田辺-東京)その3-奈良、加茂、伊賀上野、亀山、静岡、沼津(関西本線/東海道本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月3日・・・奈良駅、加茂駅、伊賀上野駅、亀山駅、静岡駅、沼津駅(関西本線/東海道

記事を読む

「鉄旅日記」2017年秋 その1-東長崎、本鵠沼、鵠沼海岸、藤沢、石上、柳小路、鵠沼、湘南海岸公園、鎌倉(西武池袋線/小田急電鉄江ノ島線/江ノ島電鉄) 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】

鉄旅日記2017年11月12日・・・東長崎駅、本鵠沼駅、鵠沼海岸駅、藤沢駅、石上駅、柳小路駅、鵠沼駅

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.1 3日目(能登島-氷見-小千谷)能登島、道の駅いおり、氷見港、道の駅ウェーブパークなめりかわ、朝日町栄食堂、親不知ピア・パーク、道の駅能生、長岡市宮本、道の駅おぢや 【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】

車旅日記2000年7月22日 2000・7・22 9:00 能登島某リゾートクラブ 昨夜は風の音を

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その3-陸中野田、久慈、陸中八木、八戸(三陸鉄道リアス線/八戸線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月22日・・・陸中野田駅、久慈駅、陸中八木駅、八戸駅(三陸鉄道リアス線/八戸線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その1 ‐金町、東京、米原、坂田(常磐線/東海道新幹線/北陸本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・金町駅、東京駅、米原駅、坂田駅(常磐線/東海道新幹線/北陸本線)

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その3(R20)諏訪湖、韮崎、道の駅甲斐大和

車旅日記1996年5月6日 16:28 諏訪湖 松本市内を通過して塩尻峠を下りていく。 塩尻峠は

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

→もっと見る

    PAGE TOP ↑