*

「鉄旅日記」2015年夏 3日目(鹿児島中央-西鉄柳川)その1-指宿、枕崎、入野、開聞、山川、喜入、瀬々串、慈眼寺、南鹿児島、郡元(指宿枕崎線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/02 旅話, 旅話 2015年

鉄旅日記2015年8月14日その1・・・指宿駅、枕崎駅、入野駅、開聞駅、山川駅、喜入駅、瀬々串駅、慈眼寺駅、南鹿児島駅、郡元駅(指宿枕崎線)

2015・8・14 6:08 指宿(いぶすき)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
明るくなる頃は海辺を走っていた。椰子の木が植わった国道に沿って線路が伸びている。
瞼が重かったけど、これを見に来たんじゃないか。
幸せな気持ちで移り行く景色を眺めていた。

そんな気分でいる時には、愛しい人がかわいらしい笑顔を見せてくれたいくつかの場面が浮かんでくる。
必ずそうなる。

指宿に降りる。
かつての夏に隼人駅とともに最も印象に残った駅は変わっていなかった。

温泉地として東京にも聞こえた街だが、街並みは寂しかったと記憶していた。
今回もその印象を決して上回るものではないが、アーケード街やスナック街を5分ほど歩き、指宿を存分に感じた気分で駅に戻る。

枕崎行はすでにホームに入っている。

車窓からの眺め

指宿の街並み


7:36 枕崎(まくらざき)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
最南の終着駅として最北の稚内からの距離が記された駅は、ホームから何から何まで過去の記憶から変わっていた。
小高い位置にホームがあり、街中に充満していた鰹節の匂いもなく、さっき一緒にこの街に着いた人々は、オレと同じようにことごとくが乗ってきた列車で引き返す。

南薩線の記憶はまだ生きていて、オレが知っている駅舎は線路の壁に写真として残っていた。

きれいなステーションホテルがあった。
撤退して何年にもなるであろう家具屋の廃墟が国道沿いにあった。
市役所通りは青空美術館を24時間営業していて、様々なアート作品が路傍に置かれている。

スナックが一軒。
飲食店が2、3駅周辺に固まっている。

ここでぽつっと一雨。

鹿児島中央へ向けて引き返す。
開聞岳が見えるまでは退屈な田舎風景が続く。

白沢駅で、もう中年にさしかかろうとする陰気なメガネ男が、いかにも田舎漢といった父親に車で送られて乗ってきた。
父親の一別を意味する手の挙げ方は格好良かったが、メガネ男はすぐにケータイに目を落としゲームに興じ始めた。


枕崎駅前

入野(いりの)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)にて


8:43 開聞(かいもん)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
今から26分前にひとつ手前の入野駅で降りて開聞岳を収める。
素晴らしいビュー・ポイントだった。

同じ夏の日にかつて車で通った国道を歩くとまたポツリ。
空は明るいし長くは続かないだろうと思ったが、今じゃ本降りだ。
そして開聞駅への再訪を果たす。

あの夏の日、この場所にいた記憶をとても大切に思いながら生きてきた。

雲がかかっていた頂に風が吹いたのは、遠いところをわざわざ2度にもわたってよく来てくれたなと、土地の神が計らってくれたのだろう。
桜島でも期待できる。


9:21 山川(やまかわ)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
薩摩藩の貿易港として栄えた過去を持つ山川港に雨が降る。

あの尖ったのは竹山というのか。
太古から台風や大風に削られてあんな面相になったのだろう。
オホーツクにも似たようなのがいて、あっちじゃ神の名がついていた。

開聞岳はもう見えなくなってしまった。
再会というのは大抵束の間だ。

人生を変えるような大それたものじゃないが、鹿児島の景色は素晴らしい。



10:02 喜入(きいれ)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
喜びの町は縁起物として入場券を販売している。
山川では目にしなかった山川漬けなるものも並んでいる。

バス停の背後に沖縄の墓場でよく見かけたような南洋風俗的な構造物があって、ケータイを向けようかと思ったが、やめた。
特に理由はない。

海辺に出れば巨大コンビナート基地がある。
突端で船が美しい明かりをつけていた。
喜入に到着すればもう一度見られるかと思ったが、駅は海岸線から外れた場所にあった。

10:19 瀬々串(せせくし)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
海辺の駅で5分の行き違い停車。
跨線橋から眺めた風景だが、錆びた一本のレールが伸びる様に沿線の歴史を感じる。

駅前から見えた海は、視界の多くをテトラポットに譲っていた。
喜入方面に向かう国道に渋滞が発生している。

10:40 慈眼寺(じげんじ)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
行き違いで3分の停車。
駅は改装中で、降りてみたら空地の目立つ郊外風景があった。
農村風景よりもより鄙を感じるのは、グレーにしか見えない潤いを欠いた風景からか。

線路は高架工事が施されている最中だった。
どこまで高架を伸ばす計画でいるのだろう。

南鹿児島(みなみかごしま)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)にて

南鹿児島~郡元間(徒歩)涙橋血戦の碑

11:08 郡元(こおりもと)駅(指宿枕崎線 鹿児島県)
南鹿児島は市電との乗換駅で、JR駅を出るとすぐに踏切がある。
3分の停車だったが、その踏切に阻まれて戻るを得ず、やむなく線路に沿って歩く。

途中の交差点に「涙橋血戦の碑」がある。
西南戦争での市街戦で枕崎衆が6時間に及ぶ戦いの末に撤退した地とのこと。

郡元に駅舎はなく、鹿児島中央駅を次に控えた土地だが、特徴のない郊外風景の中にあった。

関連記事

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】初日(東京-秋田)-保谷、高崎、長岡、新津、新発田、村上、鼠ヶ関、酒田、上浜、秋田(西武池袋線/高崎線/上越線/信越本線/羽越本線)

鉄旅日記2011年8月13日・・・保谷駅、高崎駅、長岡駅、新津駅、新発田駅、村上駅、鼠ヶ関駅、酒田駅

記事を読む

「鉄旅日記」2005年初冬 その1-松戸、我孫子、成田、銚子(常磐線/成田線/銚子電鉄) 【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】

鉄旅日記2005年12月10日・・・松戸駅、我孫子駅、成田駅、銚子駅(常磐線/成田線/銚子電鉄)

記事を読む

「車旅日記」1998年夏 最終日(鳴子温泉-高畠ー郡山-東京)-鳴子サンハイツ、潟沼、瀬見駅、道の駅むらやま、羽前中山駅、高畠、道の駅七ヶ宿、道の駅安達、郡山文化センター前、須賀川駅、西那須野三島セブンイレブン、与板ラーメンとん太、築地電通前、東京町田 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】

車旅日記1998年8月14日 1998・8・16 8:26 鳴子サンハイツ 5日目。 一番遅い出発

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 初日その1(東京-宇治)-東福寺、祇園四条、伏見稲荷、稲荷、男山山上、八幡市、枚方市、私市、河内森、河内磐船、交野市(京阪本線/男山ケーブル/京阪交野線) 【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】

鉄旅日記2015年3月21日その1・・・東福寺駅、祇園四条駅、伏見稲荷駅、稲荷駅、男山山上駅、八幡市

記事を読む

「車旅日記」2004年春 4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その3-稚内サンホテル 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月4日・・・稚内サンホテルにて 21:39 稚内サンホテル325号 素敵な部屋

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その1‐湯沢、四ツ小屋、秋田、森岳(奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

駅旅日記2020年1月12日・・・湯沢駅、四ツ小屋駅、秋田駅、森岳駅(奥羽本線) 2020・1・1

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その3-高速神戸、湊川神社、神戸三宮、甲陽園、夙川、西宮北口、宝塚、箕面、石橋、北千里、十三(阪急電鉄神戸高速線/神戸本線/甲陽線/今津線/宝塚本線/箕面線/千里線) 【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月12日・・・高速神戸駅、神戸三宮駅、甲陽園駅、夙川駅、西宮北口駅、宝塚駅、箕面

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その1 ‐金町、東京、米原、坂田(常磐線/東海道新幹線/北陸本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・金町駅、東京駅、米原駅、坂田駅(常磐線/東海道新幹線/北陸本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 2日目(弘前-小樽)その2-赤井川、姫川、東森、渡島砂原、森、野田生、山越、八雲、長万部、ニセコ、小樽(函館本線/渡島砂原支線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月11日・・・赤井川駅、姫川駅、東森駅、渡島砂原駅、森駅、野田生駅、山越駅、八雲

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月 初日(東京-米原-福井-越前大野)その2-越前花堂、花堂、越前大野(越美北線)/越前大野城【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】

鉄旅日記2018年10月6日・・・越前花堂駅、花堂駅、越前大野駅(越美北線)/越前大野城 16:3

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 最終日(三沢-東京)その2 ‐一ノ関、松山町、鹿島台、仙台(東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月10日・・・一ノ関駅、松山町駅、鹿島台駅、仙台

「鉄旅日記」2022年新春 最終日(三沢-東京)その1 ‐三沢、八戸、滝沢、巣子、盛岡(青い森鉄道/IGRいわて銀河鉄道)/薬師神社/岩手山 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月10日・・・三沢駅、八戸駅、滝沢駅、巣子駅、盛

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その5 ‐青森、三沢(青い森鉄道)/ホテル天水 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・青森駅、三沢駅(青い森鉄道)/ホテル

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その4 ‐板柳、川部、撫牛子、大釈迦、鶴ヶ坂(五能線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・板柳駅、川部駅、撫牛子駅、大釈迦駅、

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑