*

「鉄旅日記」2005年初冬【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】その1-松戸、我孫子、成田、銚子(常磐線/成田線/銚子電鉄)

公開日: : 最終更新日:2024/05/17 旅話, 旅話 2005年

鉄旅日記2005年12月10日・・・松戸駅、我孫子駅、成田駅、銚子駅(常磐線/成田線/銚子電鉄)
小さな旅に出た。
旅心はすぐにやってきた。
初めて気づいた。
江戸川を越えさえすればよかったのだと。

松戸で常磐線快速電車に乗り換える。
かつても降りたことはある。
天へと延びる昭徳大学の棟は記憶になかった。

2009年10月20日撮影

次の停車駅は柏。

2012年6月18日撮影

読み物は松本清張の短編集「張込」。
最初の事件は我孫子に着いても解決しなかった。

成田線とのターミナル駅、我孫子。
繁華街を持たない街。
きれいな茶色の現代的な駅舎で、手賀沼観光の拠点にあたる。

歴史のある駅で、駅前ロータリーにはSLを描いた記念碑が立っている。
あるいは古いものかと思ったが、確か平成15年の作だった。
広場にはクリスマスの飾りができている。

2018年9月22日撮影

成田線は単線で、車窓風景の主役は家並か冬枯れた田野。
風景の端に青い広がりがある。
おそらく手賀沼だったのだろう。

鄙びた駅をいくつか過ぎていく。
難しい読み方の駅がある。
木下で「きおろし」。
下総松崎で「しもうさまんざき」。

同僚のA君は成田の2つ手前の安食駅から日暮里の職場まで通っている。
ご多聞に漏れず鄙びた駅だった。

駅が近づくと、まず駐輪場が現れる。
そんな沿線風景だった。
下総松崎あたりで見えた水辺らしきものは印旛沼だろう。

成田まで約40分。
次に来る列車は鹿島神宮行で約10分後に到着する。
銚子に行く列車は1時間近く待つことになる。

街に出る。
商店街の表示に従い歩くと京成成田駅。
JR駅に比べると格調は劣るが、成田山の提灯が下がる様は、当たり前だがどこの街にもないものだ。
人の流れはJRを上回るかもしれない。
ホテル、旅館の類も京成駅のあたりに集中している。

2013年1月12日撮影

きれいな地下道を抜けると新しい街があった。
成田にはあまりいい印象を持っていなかった。
両親と、そして高校の卒業遠足でも来ている。
子供だったオレには成田山新勝寺は面白くもおかしくもなく、石段を上がるのがつらかったという朧げな記憶がある。

その評価は不当なものだった。
大人になったオレに、成田は大人の顔を見せてくれた。
JR駅に戻るべく歩道橋を渡り、うらぶれた繁華街を歩くと表参道に出る。

目を見張ったよ。
さすがに大本山を擁する参道で、まるで果てが見えない。
洒落た飲食店に佃煮屋、鰻屋。
上品な女将が店先に出て上品な客引きをしている。

引き返す機会を持てずに歩いていくと、やがて坂を下り、参道は歴史を纏う。
あの風景をとても気に入っている。
五重塔が見えて、工事中の山門が現れる。
若い女性が一礼して上がっていく。

成田は空港の街じゃない。
ましてや闘争の街でもない。
大寺院を擁する格式高い街だった。

表参道を引き返す。
どうにもオレはうらぶれた路地を歩くのが好きで、そんな一角を探し歩きながら駅に戻った。

JR成田駅も素晴らしい。
成田山の提灯はもちろんのこと、駅舎も仏閣を思わせる。
駅もすでに仏域だったようだ。

2013年1月12日撮影

待ち人のいないホームで銚子行を待つ。
缶コーヒーを購入して煙草をくわえて、ふと空を見上げる。
成田はこの国最大の国際空港を抱えている。
10分の間に数えた飛行機は2機だけだった。

仄かな風に冷たさはなく、暖かな日差しが降り注ぐ12月の一日。
銚子までは約80分。
長い車中だった。
止まっていく駅は鄙びていて、唯一佐原では心が躍った。
武家屋敷のような門構えの「駅そば」があった。

一月前に両毛で眺めた広大な関東平野はこんなところまで続いている。
オレは無知を恥じた。
北海道でしか見られないと思っていた180度に広がる無限を思わせる空が続いていた。
その規模はあるいは北海道を上回るかもしれない。
嘆息の思いで、その風景を見続けた。

やがて水郷。
利根川の姿が散見されるようになる。
そして、かつて友人が結婚式を挙げた鹿島セントラルホテルと、臨界の工場群が空に向けて突出した光景が利根川の対岸に現れる。
オレの歴史の中ではあのあたりも立派に居場所を保っている。

銚子は終着駅としてやはり相応しい。
駅前に出た。
記憶通りでもあったし、違ってもいた。
南洋の木々が強烈に印象に残っていたが、目立たない。

2012年3月3日撮影

あれは9月。
肌寒い日だったけど、街には熱気があった。
その記憶が椰子の木々を実際よりも多く数えさせたのだろう。

銚子電鉄の切符を購入して、先ほど降り立ったホームへ。
奥まったところに、銚子電鉄の各駅舎を特徴づけていた教会のような境界線をくぐると、鉄道ファン垂涎のワンマンカーが止まっている。

2018年9月22日撮影

終点の外川まで約6㎞の電車道。
犬吠の手前でアナウンスが流れ、目を向けると白い灯台が見えた。

関連記事

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その2‐小波渡、五十川、府屋、あつみ温泉(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・小波渡駅、五十川駅、府屋駅、あつみ温泉駅(羽越本線) 8:59 小

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】最終日(東京町田-東京葛飾)

車旅日記2000年8月16日 2000・8・16 23:09 東京葛飾金町 旅が終わってほっとし

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】初日(長岡-会津-福島-山形)走行距離388㎞ その1-長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅

車旅日記2005年7月16日・・・長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】その1-保谷、稲毛、都賀、四街道、久住、下総神崎、松岸、銚子(総武本線、成田線)

鉄旅日記2012年3月12日その1・・・保谷駅、稲毛駅、都賀駅、四街道駅、久住駅、下総神崎駅、松岸駅

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】3日目(南宮崎-隼人)その1-南宮崎、伊比井、北郷、飫肥、日向大束、志布志、油津、日南、木花、田吉、宮崎空港(日南線、宮崎空港線)

鉄旅日記2013年8月12日その1・・・南宮崎駅、伊比井駅、北郷駅、飫肥駅、日向大束駅、志布志駅、油

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】3日目(小樽-富良野)その1-小樽、発寒中央、琴似、石狩当別、石狩月形、新十津川、滝川、茶志内、美唄(函館本線/学園都市線)

鉄旅日記2016年8月12日・・・小樽駅、発寒中央駅、琴似駅、石狩当別駅、石狩月形駅、新十津川駅、滝

記事を読む

「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)

鉄旅日記2012年12月9日その1・・・長野駅、信州中野駅、湯田中駅、安茂里駅、戸倉駅、上田駅、別所

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その3‐一ノ関、小牛田、仙台、福島、郡山(東北本線)

鉄旅日記2020年2月24日・・・一ノ関駅、小牛田駅、仙台駅、福島駅、郡山駅(東北本線) 11:48

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その1‐金町、上野、古川、陸前谷地(常磐線/東北新幹線/陸羽東線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・金町駅、上野駅、古川駅、陸前谷地駅(常磐線/東北新幹線/陸羽東線

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】初日(東京-紀伊勝浦)その1-熱田、尾頭橋、八田、四日市、亀山、一身田、津、高茶屋、松阪(東海道本線、関西本線、紀勢本線)

鉄旅日記2014年3月8日その1・・・熱田駅、尾頭橋駅、八田駅、四日市駅、亀山駅、一身田駅、津駅、高

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年春【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】初日(東京-米内沢)その1‐金町、上野、古川、陸前谷地(常磐線/東北新幹線/陸羽東線)

鉄旅日記2021年4月17日・・・金町駅、上野駅、古川駅、陸前谷地駅

2020年神無月~2021年弥生【SNSへの投稿より】写真をお楽しみいただけますと幸いでございます。ーハロウィン、柴又帝釈天、金町夕景、今年も暮れゆく東京、金町睦月如月、菜の花の頃

2020年11月1日 ハロウィンとは縁を持たない人生でございま

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】最終日(武生-東京)その3‐西金沢、新西金沢、野町、鶴来、金沢、上野(北陸鉄道石川線/北陸新幹線)

鉄旅日記2020年11月23日・・・西金沢駅、新西金沢駅、野町駅、鶴

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】最終日(武生-東京)その2‐敦賀、北鉄金沢、内灘、金沢、野々市(北陸本線/北陸鉄道浅野川線)

鉄旅日記2020年11月23日・・・敦賀駅、北鉄金沢駅、内灘駅、金沢

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】最終日(武生-東京)その1‐越前武生、武生、三方、美浜(北陸本線/小浜線)

鉄旅日記2020年11月23日・・・越前武生駅、武生駅、三方駅、美浜

→もっと見る

    PAGE TOP ↑