*

「鉄旅日記」2005年初冬【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】その1-松戸、我孫子、成田、銚子(常磐線/成田線/銚子電鉄)

公開日: : 旅話 2005年

鉄旅日記2005年12月10日
小さな旅に出た。
旅心はすぐにやってきた。
初めて気づいた。
江戸川を越えさえすればよかったのだと。

松戸で常磐線快速電車に乗り換える。
かつても降りたことはある。
天へと延びる昭徳大学の棟は記憶になかった。

2009年10月20日撮影

次の停車駅は柏。

2012年6月18日撮影

読み物は松本清張の短編集「張込」。
最初の事件は我孫子に着いても解決しなかった。

成田線とのターミナル駅、我孫子。
繁華街を持たない街。
きれいな茶色の現代的な駅舎で、手賀沼観光の拠点にあたる。

歴史のある駅で、駅前ロータリーにはSLを描いた記念碑が立っている。
あるいは古いものかと思ったが、確か平成15年の作だった。
広場にはクリスマスの飾りができている。

2018年9月22日撮影

成田線は単線で、車窓風景の主役は家並か冬枯れた田野。
風景の端に青い広がりがある。
おそらく手賀沼だったのだろう。

鄙びた駅をいくつか過ぎていく。
難しい読み方の駅がある。
木下で「きおろし」。
下総松崎で「しもうさまんざき」。

同僚のA君は成田の2つ手前の安食駅から日暮里の職場まで通っている。
ご多聞に漏れず鄙びた駅だった。

駅が近づくと、まず駐輪場が現れる。
そんな沿線風景だった。
下総松崎あたりで見えた水辺らしきものは印旛沼だろう。

成田まで約40分。
次に来る列車は鹿島神宮行で約10分後に到着する。
銚子に行く列車は1時間近く待つことになる。

街に出る。
商店街の表示に従い歩くと京成成田駅。
JR駅に比べると格調は劣るが、成田山の提灯が下がる様は、当たり前だがどこの街にもないものだ。
人の流れはJRを上回るかもしれない。
ホテル、旅館の類も京成駅のあたりに集中している。

2013年1月12日撮影

きれいな地下道を抜けると新しい街があった。
成田にはあまりいい印象を持っていなかった。
両親と、そして高校の卒業遠足でも来ている。
子供だったオレには成田山新勝寺は面白くもおかしくもなく、石段を上がるのがつらかったという朧げな記憶がある。

その評価は不当なものだった。
大人になったオレに、成田は大人の顔を見せてくれた。
JR駅に戻るべく歩道橋を渡り、うらぶれた繁華街を歩くと表参道に出る。

目を見張ったよ。
さすがに大本山を擁する参道で、まるで果てが見えない。
洒落た飲食店に佃煮屋、鰻屋。
上品な女将が店先に出て上品な客引きをしている。

引き返す機会を持てずに歩いていくと、やがて坂を下り、参道は歴史を纏う。
あの風景をとても気に入っている。
五重塔が見えて、工事中の山門が現れる。
若い女性が一礼して上がっていく。

成田は空港の街じゃない。
ましてや闘争の街でもない。
大寺院を擁する格式高い街だった。

表参道を引き返す。
どうにもオレはうらぶれた路地を歩くのが好きで、そんな一角を探し歩きながら駅に戻った。

JR成田駅も素晴らしい。
成田山の提灯はもちろんのこと、駅舎も仏閣を思わせる。
駅もすでに仏域だったようだ。

2013年1月12日撮影

待ち人のいないホームで銚子行を待つ。
缶コーヒーを購入して煙草をくわえて、ふと空を見上げる。
成田はこの国最大の国際空港を抱えている。
10分の間に数えた飛行機は2機だけだった。

仄かな風に冷たさはなく、暖かな日差しが降り注ぐ12月の一日。
銚子までは約80分。
長い車中だった。
止まっていく駅は鄙びていて、唯一佐原では心が躍った。
武家屋敷のような門構えの「駅そば」があった。

一月前に両毛で眺めた広大な関東平野はこんなところまで続いている。
オレは無知を恥じた。
北海道でしか見られないと思っていた180度に広がる無限を思わせる空が続いていた。
その規模はあるいは北海道を上回るかもしれない。
嘆息の思いで、その風景を見続けた。

やがて水郷。
利根川の姿が散見されるようになる。
そして、かつて友人が結婚式を挙げた鹿島セントラルホテルと、臨界の工場群が空に向けて突出した光景が利根川の対岸に現れる。
オレの歴史の中ではあのあたりも立派に居場所を保っている。

銚子は終着駅としてやはり相応しい。
駅前に出た。
記憶通りでもあったし、違ってもいた。
南洋の木々が強烈に印象に残っていたが、目立たない。

2012年3月3日撮影

あれは9月。
肌寒い日だったけど、街には熱気があった。
その記憶が椰子の木々を実際よりも多く数えさせたのだろう。

銚子電鉄の切符を購入して、先ほど降り立ったホームへ。
奥まったところに、銚子電鉄の各駅舎を特徴づけていた教会のような境界線をくぐると、鉄道ファン垂涎のワンマンカーが止まっている。

2018年9月22日撮影

終点の外川まで約6㎞の電車道。
犬吠の手前でアナウンスが流れ、目を向けると白い灯台が見えた。

関連記事

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】最終日(人吉-天草-熊本空港)走行距離240㎞ その2-上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港駅、東京葛飾金町

車旅日記2005年2月13日 14:31 107号県道 上天草市大矢野島旅館大国横空地(2

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】最終日(新潟-五泉-弥彦-柏崎-長岡)走行距離246㎞ その2-青海川駅、安田駅、北条駅、長鳥駅、来迎寺駅、長岡駅、東京葛飾金町

車旅日記2005年7月18日 15:24 青海川駅(7月16日の長岡駅より893㎞) 日

記事を読む

「鉄旅日記」2005年聖夜【廃線となった鹿島鉄道に乗った記録が残されておりました。】-鹿島神宮、新鉾田、鉾田、石岡(鹿島線/鹿島臨海鉄道/鹿島鉄道/常磐線)

鉄旅日記2005年12月24日 記憶には残るだろう。 朝はもたついたが、計画通りに出

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】2日目(山形-左沢-新庄-鶴岡-新潟)走行距離313㎞ その2-高屋駅、鶴岡駅、鼠ヶ関駅、村上駅、坂町駅、新潟駅、新潟東急イン

車旅日記2005年7月17日 14:40 高屋駅(7月16日の長岡駅より513㎞) 駅を

記事を読む

「車旅日記」2005年春【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】最終日(富山-岩瀬浜-糸魚川-松本)走行距離218㎞ その2-泊駅、越中宮崎駅、市振駅、糸魚川駅、頸城大野駅、小滝駅、平岩駅、白馬大池駅、安曇追分駅

車旅日記2005年4月30日 13:43 泊駅(4月29日の松本駅より392㎞) いよい

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】初日(長岡-会津-福島-山形)走行距離388㎞ その2-福島駅、峠駅、今泉駅、荒砥駅、アパホテル山形駅前大通

車旅日記2005年7月16日 17:00 福島駅(7月16日の長岡駅より255㎞) あれ

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】2日目(都城-鹿児島-川内-人吉)走行距離284㎞ その1-都城駅、西都城駅、財部駅、霧島神宮駅、国分駅、錦江駅、鹿児島駅

車旅日記2005年2月12日 2005・2・12 8:30 都城駅(2月11日の熊本空港よ

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】最終日(小諸-軽井沢-高崎-水戸-東京)その1-小諸、軽井沢、横川(しなの鉄道)

鉄旅日記2005年11月7日 2005・11・7 東京葛飾金町 昨夜の雨は上がり、霧に煙

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】2日目(名古屋-塩尻-小淵沢-小諸-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)

鉄旅日記2005年11月6日 2005・11・6 小諸グランドキャッスルホテル402号

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】2日目(都城-鹿児島-川内-人吉)走行距離284㎞ その2-伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅前ホテル

車旅日記2005年2月12日 14:11 伊集院駅(2月11日の熊本空港より385㎞)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-穴水-金沢-内灘一三国港-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)

鉄旅日記2008年9月14日 13:03 松任(まっとう)駅

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-穴水-金沢-内灘一三国港-福井)その1-羽咋、七尾、穴水、和倉温泉、北鉄金沢、内灘、粟ヶ崎、金沢(七尾線/のと鉄道/北陸鉄道浅野川線)

鉄旅日記2008年9月14日 2008・9・14 6:40 

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】初日(東京-米原-野町-加賀一の宮-羽咋)その2-新西金沢、野町、加賀一の宮、西金沢、羽咋(北陸本線/北陸鉄道石川線/七尾線)

鉄旅日記2008年9月13日 15:19 新西金沢(しんにし

「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】初日(東京-米原-野町-加賀一の宮-羽咋)その1-東京、大垣、米原、長浜、敦賀、鯖江、西鯖江、大聖寺、加賀温泉(東海道本線/北陸本線)

鉄旅日記2008年9月13日 2008・9・12 23:09

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】最終日(松阪-鳥羽-伊勢-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線)

鉄旅日記2008年7月21日 2008・7・21 8:11 

→もっと見る

    PAGE TOP ↑