*

「鉄旅日記」2005年秋 最終日(小諸-東京)その2-高崎、新前橋、前橋、中央前橋、小山、水戸、東京葛飾金町(信越本線/両毛線/水戸線/常磐線) 【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2005年

鉄旅日記2005年11月7日・・・高崎駅、新前橋駅、前橋駅、中央前橋駅、小山駅、水戸駅(信越本線/両毛線/水戸線/常磐線)

2005・11・7 東京葛飾金町
高崎行の列車が出る。
18号国道と並走しながらしばらくして安中、そして終点高崎。
高崎駅に降りたのは初めてだった。
車の窓から大きな街だと感じていた高崎は、信越路以外を知ったオレには小さく見えた。

上越・長野新幹線、信越本線、高崎線、上越線、両毛線、吾妻線、上信電鉄が乗り入れる高崎駅構内は、鉄道史上欠かせない役割を担ってきた駅らしく、広大で重々しかったが、駅ビルとなった駅舎には、他の現代駅と同じように高崎を感じさせるものは見られなかった。

2018年3月3日撮影

小山行の両毛線に乗る。
降りたのは新前橋。
三角形の駅舎の下にそばをメインにした食堂があり、上州そばを腹に入れて前橋を歩く。

2019年12月7日撮影

前橋駅へと歩く道に想像上の前橋の姿はなく、延々と歩き、利根川を渡る。
利根川は前橋の風景に欠かせないもので、かつての三国峠越えが蘇る。
渡り終えると右手に刑務所を見て、中心街と思しき場所を見ることなく前橋駅へ。

高架駅で、県庁所在地の駅としては存在感が薄く感じられる。
佐賀駅や山口駅が似た存在として挙げられる。
新前橋駅で計算に入れていた列車はすでに前橋を離れていて、しばし途方に暮れる。
駅を突っ切り反対側に出ると、メインストリートはどうやらこっち。

誘われるように歩きだし、街の案内板で見かけた上毛電鉄の中央前橋駅まで。
東急インホテルが途中にある。
周囲にめぼしいものはなく、脇に商店街らしきものを従えているが、想像上の前橋はそこにもない。

やがて麻雀の文字が目立つ廃墟のような雑居ビルが現れ、その右手に新しくて斬新な感じの中央前橋駅があった。
終着駅だ。
さして長くないホームに桐生に向かう列車が止まっている。

2014年12月29日撮影

乗客の姿は認められず、線路に沿って小川が流れている。
若い警察官が挨拶をくれる。
一本道ばかりを歩いてきたから多くを語る資格は持たないが、想像上の前橋をとうとう見ることはなかった。

次は伊勢崎行。
古くて黄味がかった味のある駅舎。
赤い屋根と時計台が印象的で、2階の窓が開いていた。

駅前からじゃ街の規模は想像できない。
駅もそうだが、乾いていて、どこか退廃的な埃っぽい臭いを嗅いだような気がした。
「駅そば」もどことなく侘しく、イスラムの男が不安げにうろうろしている。

あの賑やかな浅草を出る東武伊勢崎線の終点はこの駅になる。
東武線用の駅舎などはなく、JR駅を間借りするように終着ホームが端っこにある。
「ここはまだ昭和のままだよ」。
そんなくたびれた男の声でも聞こえてきそうな街だった。

車窓からは広大な関東平野がいつまでも広がっている。
その際には赤城山の姿のいい山容が裾を広げている。
桐生に到着すると上毛地帯の重厚な歴史を感じた。

牧歌的な車内の空気が一変したのは足利に到着した時だった。
大勢の高校生たちが乗り込んできた。
読書に集中していたオレがふと車内に目を移すと、そこは無法地帯だった。

車内中の地べたにだらしなく座り込んだ高校生男女の姿があった。
この国はどこへ向かうのかと暗然とした気持ちになったが、多勢に無勢。
何も言葉が出てこない。

一刻も早くあの状況から抜け出したかったが、その狂った世界は小山まで続いた。
ろくでもなく、取り返しのつかない光景だった。
この国の教育はどうしてしまったのだろう。

東北新幹線の停車駅で、東北本線、両毛線、水戸線が乗り入れる小山は鉄道の街。
駅が圧倒的な存在感を放つ街だった。

2013年3月31日撮影

駅を出ると特に目立つものはなく、すぐに人気のない路地が現れる。
水戸線のホームは一番端にある。
目の前は広大な空地だったが、工事が始まる気配がある。
5年も経てば周辺も変わるだろう。

水戸へ。
結城、下館、笠間といった街を通過していく。
あたりはすっかり暗くなり、闇から光が現れると、そこが駅。
小さな駅にたくさん停車して水戸へ。

あの沿線を車で走ったのは何年前になるのか。
明るい時間だったから、そこに見えたのはやはり広大な関東平野で、時折筑波山が覗いていた。

水戸駅は光に溢れている。
縦横に張り巡らされた歩道橋で恋人は寄り添い、楽器を奏でる者もいる。
賑やかな街だと思いながら歩道橋を下りると、そこに歓楽街はなかった。

2018年4月1日撮影

駅ビルにはたくさんの人々がいたが、外に出ると水戸の現在が見えた。
駅を貫くようにように走る大通りを行く車はまれで、ぼってりとした大きなテレビ塔の灯は消えている。
歴史と海を持つ街だが、水戸街道はメインストリートから外れている。

駅ビルの中に蕎麦を食わせる飲み屋があって、ビールと酒。
厚揚げと蕎麦。

どこかで三日月を見て、土浦、柏、松戸。
そして江戸川を渡り、金町。
それにしても、どうして最近の若者はああして人に不快感と失望感を与える存在に成り下がってしまったのか。
常磐線でもそうした手合いを幾人か見かけている。

もうよそう。

帰り着いた金町の路上は濡れていた。
旅は終わった。
先日の日本武道館で行われた三沢光晴×天龍源一郎、小橋建太、潮崎豪×佐々木健介、中嶋勝彦の名勝負を見て疲れを癒した。

関連記事

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その2‐新白河、郡山、福島、仙台、あおば通(東北本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・新白河駅、郡山駅、福島駅、仙台駅、あおば通駅(東北本線) 8:2

記事を読む

「車旅日記」2004年春 最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その1-稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河畔、パンケ沼、下沼駅、幌延駅、雄信内駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月5日・・・稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河

記事を読む

2020年盛夏【二人でどこへ行こう。決めたのは甲府でございました。帰りは高尾の名店街で過ごした日帰り旅をSNS風に綴ります。】-高尾、四方津、塩山、甲府、甲斐大和(中央本線)

鉄旅日記2020年8月9日・・・高尾駅、四方津駅、塩山駅、甲府駅、甲斐大和駅(中央本線) 長

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 最終日(十三-東京)その2-野洲、米原、神領、定光寺、中津川、塩尻、岡谷、日野(東海道本線/中央本線)【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月14日・・・野洲駅、米原駅、神領駅、定光寺駅、中津川駅、塩尻駅、岡谷駅、日野駅

記事を読む

「車旅日記」2004年秋 番外編(京都で過ごす日)-四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅、京都駅 【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】

車旅日記番外編2004年11月23日・・・四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅

記事を読む

2018年秋 最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その2-養老渓谷、上総中野、大多喜、国吉、大原(小湊鉄道/いすみ鉄道) 【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月23日・・・養老渓谷駅、上総中野駅、大多喜駅、国吉駅、大原駅(小湊鉄道/いすみ

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、新地、岩沼(常磐線/東北本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月9日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、新地駅、岩沼駅(常磐線/東北本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/山神社 11:37 瀬見

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 最終日(多治見-東京)その1-多治見、瑞浪、明智、岩村、極楽、恵那(中央本線/明知鉄道) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月24日・・・多治見駅、瑞浪駅、明智駅、岩村駅、極楽駅、恵那駅(中央本線/明知鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その2-結城、下館、川島、岩瀬、笠間、十王、小木津、磯原、湯本、内原、羽鳥、土浦、ひたち野うしく(水戸線、常磐線)

鉄旅日記2013年3月31日その2・・・結城駅、下館駅、川島駅、岩瀬駅、笠間駅、十王駅、小木津駅、磯

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その3 ‐盛岡、渋民、八幡平、湯瀬温泉(IGRいわて銀河鉄道/花輪線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日 盛岡駅、渋民駅、八幡平駅、湯瀬温泉駅(I

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、仙台、小牛田、一ノ関(常磐線/東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、仙台駅、小

→もっと見る

    PAGE TOP ↑