「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】初日(東京-五所川原)その3‐小牛田、一ノ関、盛岡、八戸、野辺地(東北本線/IGRいわて銀河鉄道/青い森鉄道)
鉄旅日記2019年11月2日・・・小牛田駅、一ノ関駅、盛岡駅、八戸駅、野辺地駅(東北本線/IGRいわて銀河鉄道/青い森鉄道)
12:49 小牛田(こごた)駅(東北本線/石巻線/陸羽東線 宮城県)
乗り換え時間16分。
この偉大なるターミナル駅だけはいつ降りても変わらない。
駅前旅館が迎え、星の通りに流れる水路の流れも絶えない。
乾いた風が吹き、誘われるように通りを歩くと酒屋を見つけた。
品数の少ない店内を見渡し、今日4本目のウイスキーハイボールとつまみを一品。
愛想のいい奥さんだった。
大屋、三河三谷、坂下、常陸大子、久慈。
駅前に酒屋がある駅の印象は忘れることがない。
明後日もまた乗り換えで降りる。
13:44 一ノ関(いちのせき)駅(東北・北海道新幹線/東北本線/大船渡線 岩手県)
乗り継ぎ時間7分。
ウイスキーハイボールを買い足しに改札を抜ける。
2両の盛岡行は混雑の内に発車した。
中国人旅行者は平泉を目指しているのか。
日本人集団には見られない熱を感じる。
背後に北上川の堤防を感じる。
9月旅以来で時間は経っていないが、まだ馴染みの風景とは言えない。
あれから台風と大雨が東日本を襲い、世界は変わっていく。
平泉に着いて、予測したとおり外国人旅行者の多くが降りた。
本数の少ないこの区間での乗車率はいつも比較的高くて、これまでは風景を見るより眠っていることの方が多かったのだろう。
移りゆく素朴な岩手の山河を美しいと感じながら眺めている。
15:22 盛岡(もりおか)駅(東北・北海道新幹線/秋田新幹線/東北本線/田沢湖線/山田線 岩手県)
乗り継ぎ時間8分。
お年寄りに席を譲り、あたたかな交歓。
オレも可愛いげのある年寄りにならなきゃな。
そしてお年寄りが話す南部弁に気持ちを潤す。
かつて仲間と盛岡駅前でわんこそばを食べたこともあった。
あれは20代の頃だろう。
100杯以上食べた女友達。
オレより数杯劣ったことを悔しがる可笑しな人だった。
それから数年経って、数夜を共に過ごす関係を持ったこともあるが、今は幸せな母として過ごしている。
今年も年賀状は届くだろう。
最後まで食べていたのは2歳年上の男。
最終盤になって、フタをしようと躍起になる彼。
ひとり残った彼に照準を絞り、本気の技を繰り出してそばを継ぎ足す給仕さん。
二人の攻防は相当な見応えがあった。
盛岡以北を電車旅するのは二度目になる。
前回を詳細に思い出せばつらくもなるだろうが、そうはならないのはそれなりに幸せな気持ちでいるからだろう。
さっき恋人からまた便りが届いた。
岩手山を正面に見ながら走り出したIGRいわて銀河鉄道。
でも今日は東北本線と呼ばせてほしい。
このまま青森までいくことに価値とロマンを感じている。
17:12 八戸(はちのへ)駅(東北・北海道新幹線/八戸線/青い森鉄道 青森駅)
乗り継ぎ時間4分。
車窓から姫神山を写し、岩手の景色を愛でて、時に眠り、一戸駅前風景にやがて降りる未来を想い、二戸で大半の乗客が降りた。
金田一温泉駅舎を確認してからは景色を覚えていない。
いつから闇が下りたのかも分からない。
それでいい。
旅の途中だ。
乗り継ぎで降りた八戸駅に寒さを感じた。
座席の埋まった車内で南部弁の聞こえる方を探した。
女子高生の言葉はまるきり標準語だった。
18:06 野辺地(のへじ)駅(大湊線/青い森鉄道 青森県)
8分の停車。
寒さは増していた。
常夜灯の町に降りると焼鳥屋が一軒。
ロータリーの先に酒屋が見えた。
近くに酒屋がある駅リストにまたひと駅加えることができた。
下田、三沢、上北町、乙供で乗客は降りていき、ここ野辺地で入れ替わった。
屈強な会津武士をかつて哭かせた大湊へ行く列車が入線してくる。
あれは3年前。
下北半島の入口の野辺地にいてさえ、最果ての下北大湊を遠く感じる。
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