「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】初日(東京-河口湖-新島々-長野-直江津)その3-梓橋、姨捨、北長野、三才、直江津(大糸線/篠ノ井線/しなの鉄道/えちごトキめき鉄道)
鉄旅日記2018年2月10日・・・梓橋駅、姨捨駅、北長野駅、三才駅、直江津駅(大糸線/篠ノ井線/しなの鉄道/えちごトキめき鉄道)
16:14 梓橋(あずさばし)駅(大糸線 長野県)
乗り継いでいく時刻の関係上、ほんの少しだけ時間が余った。
松本から大糸線に乗る。
梓川は新島々の脇を流れていた。
その川に架かる橋が駅名の由来なのだろう。
厳寒の北信も今日はあたたかく、上州に吹くような空っ風を身に受けている。
この風はとても冷たい。
道祖神をはじめ、古い歴史遺跡へと誘う地図の他に駅前には何もなく、10分そこらの滞在で松本に戻る。
松本からは篠ノ井線で長野へ向かう。
乗り込んだ大糸線の乗車率はそこそこ。
北アルプスは、部外者のオレが誇りに思いたいほどの偉容を見せてくれている。
17:19 姨捨(おばすて)駅(篠ノ井線 長野県)
様々な人間関係に疲れた身に、雪の善光寺平はひたすらに美しかった。
かつて日本三大車窓風景のひとつと謳われたスイッチバック駅。
駅名にあるとおり、悲しい伝説を持つ地。
できることであるならば、もうつまらないことを思うのはやめにしよう。
長野行き篠ノ井線が混んでいる。
長野、松本の仲は良くないと聞いて育ってきたが、交流は活発のようだ。
数分の停車の後、姨捨から長野盆地に下ってきたけど、変わらず景色は美しい。
18:07 北長野(きたながの)駅(しなの鉄道 長野県)
長野から一駅。
2分の行き違い停車で改札の外へ。
新幹線高架下の駅で、改札の自動化はここにはまだ及んでいない。
すっかり暮れた信濃路。
家路に着く人々に逆らうように再び改札の中へ。
駅前の人の流れは多かった。
18:20 三才(さんさい)駅(しなの鉄道 長野県)
「三才おめでとう」とある。
その駅名から、3才の子どもを呼んでいるようだ。
真っ暗な中を外に出てみると、飲み屋の灯が点々と続き、その先には酒を売る店がある。
子どもを連れた父親が凍った道を覚束なげに歩む。
微笑ましく幸せな風景だが、痛みがある。
何の因果かと思うが、そうした因果が確かにあるのだろう。
そもそも無傷じゃない身の上だ。
あの酒屋には悪いが、酒はもういいよ。
上越へ行く。
21:33 米山ハートホテル303号
妙高高原の手前でスマホが警告音を発した。
電池切れ。
妙高高原駅の実直な駅員には、待合室内のコンセントの提供を断られた。
なかなかそうはいかないのだろう。
前例のないものは断る。
まあ、仕事じゃオレにもそうしたケースは少なくない。
打ち破れるものなら、打ち破りはするが。
大勢の外国人が降りて、迎えの車に乗っていった。
彼らは一様に陽気で、はしゃいでいた。
スキーをやらなくなってから、どれほど経つのか。
ウインタースポーツという文化が、オレの中ですっかり欠落していることを思い知った。
海水浴に行かなくなってから、夏がただ暑いだけの季節になったように、スキー場が遠い存在になってからは、冬もまたただ寒いだけの季節になってしまった。
そうした歴史と現在に一石を投じるために、あるいはこの旅は計画されたのかもしれない。
黒姫、二本木、新井、上越妙高、高田、春日山。
チェ・ゲバラの革命日記に身が入らず、長く退屈な時を過ごした。
スマホが使えなくなる不便さは、大切な旅をも、ある側面では無意味なものにすることも知った。
昔はこんなものなくてもよかったのに、何かがおかしくなってきている。
妙高高原は雪深く、天からは雨。
ここ直江津もいくぶんあたたかい雨。
歩道を通行できなくするほどの雪を降らした寒波は和らぎ、2月の上越にあたたかい雨が降る。
庇のついた家並に飲み屋やBARの灯が点っていた。
曇りガラスに顔を寄せると、かすかに楽しげな声が聞こえる。
この夜の町並を画像に残せないことに後悔がある。
関連記事
-
「車旅日記」2004年秋【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】番外編(京都で過ごす日)-四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅、京都駅
車旅日記番外編2004年11月23日・・・四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅
-
「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】初日(東京-酒田)その3‐新潟、村上、羽後本荘(信越本線/白新線/羽越本線)
鉄旅日記2019年12月7日・・・新潟駅、村上駅、羽後本荘駅(信越本線/白新線/羽越本線) 11:4
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、名古屋往復】その1-新宿、塩崎、韮崎、日野春、富士見、青柳、奈良井、木曽福島、須原、中津川(中央本線)
鉄旅日記2012年3月25日その1・・・新宿駅、塩崎駅、韮崎駅、日野春駅、富士見駅、青柳駅、奈良井駅
-
「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その4‐周防高森、徳山、下松、光(岩徳線/山陽本線)
鉄旅日記2020年8月16日・・・周防高森駅、徳山駅、下松駅、光駅(岩徳線/山陽本線) 12
-
「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】初日(東京-安中)その3-高麗川、丹荘、児玉、高崎、安中(八高線/信越本線)
鉄旅日記2019年2月9日・・・高麗川駅、丹荘駅、児玉駅、高崎駅、安中駅(八高線/信越本線) 18:
-
「鉄旅日記」2008年皐月【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】4日目(徳島-善通寺)その2-海部、桑野、阿南、穴吹、佃、琴平、善通寺(牟岐線/徳島本線/土讃本線)
鉄旅日記2008年5月5日・・・海部駅、桑野駅、阿南駅、穴吹駅、佃駅、琴平駅、善通寺駅(牟岐線/徳島
-
「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その1‐高山、打保、猪谷、富山、電鉄富山(高山本線)
鉄旅日記2020年3月21日・・・高山駅、打保駅、猪谷駅、富山駅、電鉄富山駅(高山本線) 2020
-
「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その6‐博多南、博多、鳥栖、佐賀、肥前鹿島(博多南線/鹿児島本線/長崎本線)
鉄旅日記2020年8月14日・・・博多南駅、博多駅、鳥栖駅、佐賀駅、肥前鹿島駅(博多南線/鹿児島本
-
「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】2日目(別府-阿蘇-宮崎)走行距離337㎞その2-高森駅、高千穂駅、延岡駅、日向市駅、佐土原駅、アーバンキット宮崎
車旅日記2004年8月12日・・・高森駅、高千穂駅、延岡駅、日向市駅、佐土原駅、アーバンキット宮崎
-
「鉄旅日記」2015年春【朝に宇治を出て、近江鉄道に乗る一日】最終日その1(宇治-東京)-宇治、山城多賀、玉水、上狛、木津、加茂、貴生川(奈良線/関西本線/草津線)
鉄旅日記2015年3月22日その1・・・宇治駅、山城多賀駅、玉水駅、上狛駅、木津駅、加茂駅、貴生川駅