*

「鉄旅日記」2018年如月 初日(東京-直江津)その3-梓橋、姨捨、北長野、三才、直江津(大糸線/篠ノ井線/しなの鉄道/えちごトキめき鉄道)【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/13 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年2月10日・・・梓橋駅、姨捨駅、北長野駅、三才駅、直江津駅(大糸線/篠ノ井線/しなの鉄道/えちごトキめき鉄道)

16:14 梓橋(あずさばし)駅(大糸線 長野県)
乗り継いでいく時刻の関係上、ほんの少しだけ時間が余った。
松本から大糸線に乗る。

梓川は新島々の脇を流れていた。
その川に架かる橋が駅名の由来なのだろう。

厳寒の北信も今日はあたたかく、上州に吹くような空っ風を身に受けている。
この風はとても冷たい。

道祖神をはじめ、古い歴史遺跡へと誘う地図の他に駅前には何もなく、10分そこらの滞在で松本に戻る。
松本からは篠ノ井線で長野へ向かう。

乗り込んだ大糸線の乗車率はそこそこ。
北アルプスは、部外者のオレが誇りに思いたいほどの偉容を見せてくれている。

17:19 姨捨(おばすて)駅(篠ノ井線 長野県)
様々な人間関係に疲れた身に、雪の善光寺平はひたすらに美しかった。


かつて日本三大車窓風景のひとつと謳われたスイッチバック駅。
駅名にあるとおり、悲しい伝説を持つ地。

できることであるならば、もうつまらないことを思うのはやめにしよう。

長野行き篠ノ井線が混んでいる。
長野、松本の仲は良くないと聞いて育ってきたが、交流は活発のようだ。

数分の停車の後、姨捨から長野盆地に下ってきたけど、変わらず景色は美しい。

18:07 北長野(きたながの)駅(しなの鉄道 長野県)
長野から一駅。
2分の行き違い停車で改札の外へ。

新幹線高架下の駅で、改札の自動化はここにはまだ及んでいない。

すっかり暮れた信濃路。
家路に着く人々に逆らうように再び改札の中へ。

駅前の人の流れは多かった。

18:20 三才(さんさい)駅(しなの鉄道 長野県)
「三才おめでとう」とある。

その駅名から、3才の子どもを呼んでいるようだ。

真っ暗な中を外に出てみると、飲み屋の灯が点々と続き、その先には酒を売る店がある。

子どもを連れた父親が凍った道を覚束なげに歩む。
微笑ましく幸せな風景だが、痛みがある。

何の因果かと思うが、そうした因果が確かにあるのだろう。
そもそも無傷じゃない身の上だ。

あの酒屋には悪いが、酒はもういいよ。
上越へ行く。

21:33 米山ハートホテル303号
妙高高原の手前でスマホが警告音を発した。
電池切れ。

妙高高原駅の実直な駅員には、待合室内のコンセントの提供を断られた。
なかなかそうはいかないのだろう。

前例のないものは断る。
まあ、仕事じゃオレにもそうしたケースは少なくない。
打ち破れるものなら、打ち破りはするが。

大勢の外国人が降りて、迎えの車に乗っていった。
彼らは一様に陽気で、はしゃいでいた。

スキーをやらなくなってから、どれほど経つのか。
ウインタースポーツという文化が、オレの中ですっかり欠落していることを思い知った。

海水浴に行かなくなってから、夏がただ暑いだけの季節になったように、スキー場が遠い存在になってからは、冬もまたただ寒いだけの季節になってしまった。

そうした歴史と現在に一石を投じるために、あるいはこの旅は計画されたのかもしれない。

黒姫、二本木、新井、上越妙高、高田、春日山。

チェ・ゲバラの革命日記に身が入らず、長く退屈な時を過ごした。
スマホが使えなくなる不便さは、大切な旅をも、ある側面では無意味なものにすることも知った。

昔はこんなものなくてもよかったのに、何かがおかしくなってきている。

妙高高原は雪深く、天からは雨。

ここ直江津もいくぶんあたたかい雨。
歩道を通行できなくするほどの雪を降らした寒波は和らぎ、2月の上越にあたたかい雨が降る。

庇のついた家並に飲み屋やBARの灯が点っていた。
曇りガラスに顔を寄せると、かすかに楽しげな声が聞こえる。

この夜の町並を画像に残せないことに後悔がある。

関連記事

「車旅日記」2006年皐月 5日目(青森-安達)その2-宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅、道の駅あだち 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月6日・・・宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月 4日目(徳島-善通寺)その2-海部、桑野、阿南、穴吹、佃、琴平、善通寺(牟岐線/徳島本線/土讃本線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】

鉄旅日記2008年5月5日・・・海部駅、桑野駅、阿南駅、穴吹駅、佃駅、琴平駅、善通寺駅(牟岐線/徳島

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 最終日(長崎-福岡空港)走行距離291㎞その1-長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村駅、千綿駅、高橋駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月15日・・・長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋 最終日(新庄-東京)その2-女川、渡波、松島海岸、本塩釜、仙台、駒ヶ嶺、原ノ町、桃内、いわき、石岡(石巻線/仙石線/常磐線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】

鉄旅日記2009年10月11日・・・女川駅、渡波駅、松島海岸駅、本塩釜駅、仙台駅、駒ヶ嶺駅、原ノ町駅

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その1-鹿児島東急イン、城山公園、鹿児島中央駅、出水駅、八代駅、熊本駅 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月14日・・・鹿児島東急イン、城山公園、鹿児島中央駅、出水駅、八代駅、熊本駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その4‐富山大学前、丸ノ内、南富山駅前、南富山、電鉄富山駅前、富山(富山地方鉄道市内線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月21日・・・富山大学前電停、丸ノ内電停、南富山駅前電停、南富山駅、電鉄富山駅前

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その1-倉敷、足立、生山、上菅、伯耆溝口、伯耆大山、赤碕、浦安、松崎、浜村、末恒、湖山、鳥取(伯備線/山陰本線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月22日・・・倉敷駅、足立駅、生山駅、上菅駅、伯耆溝口駅、伯耆大山駅、赤碕駅、

記事を読む

「車旅日記」1997年梅雨明け【疲れきっていた若き日々。またしても向かうのは北でございました。】(東京-鳴子温泉-東京)2日目~最終日-いわき久ノ浜パーキング、亘理、名取、松山町、鳴子サンハイツ、町田

車旅日記1997年7月20日 7:03 6号国道‐いわき久ノ浜パーキング 太陽光線で目が覚める。

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その3‐小野新町、要田、いわき(磐越東線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月5日・・・小野新町駅、要田駅、いわき駅(磐越東線) 12:33 小野新町(お

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】最終日(観音寺-東京)-観音寺、宇多津、岡山、瀬戸、高槻、山崎、名古屋、豊橋、掛川、熱海、金町(予讃本線/瀬戸大橋線/山陽本線/東海道本線)

鉄旅日記2009年5月6日・・・観音寺駅、宇多津駅、岡山駅、瀬戸駅、高槻駅、山崎駅、名古屋駅、豊橋駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわ

2021年神無月~2022年如月【SNSへの投稿より】写真をお楽しみいただけますと幸いでございます。ー下高井戸商店街、辻清人先生、紅葉の頃、金町夕景、今年も暮れゆく東京、金町睦月如月、柴又

2021年10月30日 母校を訪ねるのは卒業以来30年振りでご

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その4 ‐立小路、赤倉温泉、村山、さくらんぼ東根(陸羽東線/奥羽本線/山形新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・立小路駅、赤倉温泉駅、村山駅、さく

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その3 ‐瀬見温泉(陸羽東線)/湯前神社/山神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月6日・・・瀬見温泉駅(陸羽東線)/湯前神社/

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その2 ‐川渡温泉、鳴子御殿湯、鳴子温泉(陸羽東線)/東鳴子温泉神社 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・川渡温泉駅、鳴子御殿湯駅、鳴子温泉

→もっと見る

    PAGE TOP ↑