「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、名古屋往復】その1-新宿、塩崎、韮崎、日野春、富士見、青柳、奈良井、木曽福島、須原、中津川(中央本線)
鉄旅日記2012年3月25日その1・・・新宿駅、塩崎駅、韮崎駅、日野春駅、富士見駅、青柳駅、奈良井駅、木曽福島駅、須原駅、中津川駅(中央本線)
2012・3・25 5:14 新宿(しんじゅく)駅(山手線/中央線/総武線/埼京線/小田急線/京王線/東京メトロ/都営地下鉄 東京都)
朝イチ、まだそう表現しても構わない時間だ。
やっぱり狂ってるな、この街は。
こんな時間にとんでもない人ごみだ。
そいつが駅のホームに整然と並んでいる。
呆れるより笑っちゃうよ。
笑ったといえば、地下通路に下りた時は本当に笑ったな。
微笑む程度だが。
こんな時間帯の新宿が何だか懐かしくなっちゃって。
学生の頃はよく酔っ払って歩いていた。
あの頃が最高だと思ってあれからしばらく生きていたけど、
でもさ、今の方が全然いいんじゃないか。
そう思える人生になってよかったと思っているよ。
8:09 塩崎(しおさき)駅(中央本線 山梨県)
甲斐市双葉町。
南アルプスの麓に戻ってきた。
コンビニみたいな駅舎だったよ。
近くに庁舎があって、2、3軒の居酒屋、スナック、タクシー会社。
地方の町の駅前風景だ。
高尾を過ぎてからの中央本線の車窓風景が好きだ。
桂川に沿って上りにかかる甲州街道の風情、笹子峠から眺める甲府盆地。
見飽きることはない。
8:27 韮崎(にらさき)駅(中央本線 山梨県)
駅前中央通りはとても静かだった。
あのたたずまい、好きだな。
初めて韮崎駅を通った時にその存在に驚いた大観音を知らせる表示は駅前案内板にはなかった。
ぜひ正式な名を知りたかったけれど。
奥の雪をかぶったのが八ヶ岳だから、あの姿のいいのが金峰山か。
かつてTさんとあの山に登った思い出は今も燦然としている。
ここ韮崎からバスで麓まで行ったんだ。
サッカーと、怪物ジャンボ鶴田がアブドーラ・ザ・ブッチャーからUN王座を奪還した町。
鶴田は故郷に錦を飾ったんだ。
31年前のことだ。
8:47 日野春(ひのはる)駅(中央本線 山梨県)
春風。
冷たい朝風に吹かれた小さな町で特急通過待ち下車。
理髪店しかない駅前風景。
甲斐駒ケ岳の山頂付近は煙って見えない。
9:51 富士見(ふじみ)駅(中央本線 長野県)
晴天に小雪が舞う。
たまらない風情に打たれ、大切な人にメールを打つ。
手がかじかんでいる。
本物の名残雪を見て、旅の素晴らしさを感じている。
生涯初の大雪被害に遭ったのがこの街だった。
富士見パノラマスキー場に向かったが、大雪でスキー場も中央自動車道が閉鎖され、呑気に構えているわけにもいかず、甲州街道を引き返したわけだが、どうにか自宅に帰り着けたのは24時間後のことだった。
車を運転しながら最悪の予測を立てるが、その予測がことごとく外れて最悪を更新していく。
耐え難い雪中行軍だった。
缶コーヒーを購入すべくコインを入れたら、自販機が「あったかくなってきましたね」と、明るい声で言い放つ。
そりゃ驚いたよ。
素敵な駅に降りた。
10:05 青柳(あおやぎ)駅(中央本線 長野県)
昨夜は雪だったのか。
ホームの日陰に未踏の残雪がある。
ドアは自動から手動になり、鉄道員の姿はなくなった。
二人の山ガールはどの峰を恋人にするのか。
11:17 奈良井(ならい)駅(中央本線 長野県)
塩尻駅で乗り換え。
中山道奈良井宿。
この国の春はかくも美しい。
童謡に謳われるような風情が残る街道筋。
木曽の大橋という名勝があるようだが、小雪舞う中山道はそこにいること、ただそれだけで何事かを完結させられる空気を身にまとっている。
横に流れる川は天竜川の支流か。
あとでオレは天竜川が海に流れこむ様を見に行くんだ。
東京じゃ春を味わえない。
だからここにいる。
雪の残る古街道には古人の足跡が今も残っている。
難解で結局途中で諦めてしまったが、島崎藤村の「夜明け前」で描かれた、破滅へと向かう水戸天狗党が粛々と木曽宿を通り過ぎていった様を思い浮かべている。
「男はつらいよ」の車寅次郎もここ奈良井の駅前旅館で弟分と一緒にいたことを覚えている。
11:47 木曽福島(きそふくしま)駅(中央本線 長野県)
景色から雪が消え、春めいた青空に時折雪が舞う。
きれいな町並みが見えると木曽福島。
街道で、かつて僅かながら天下を握った信州の精鋭が静かにそして今も形勢を窺っているようにも見える。
諏訪に祖を置く我がご先祖様は、京都まで一気呵成に突き進んだ木曽義仲率いる軍団の中にいたのだろうかなどと思う。
一度駅周辺を歩いたことがあるが、また時間を作ってそうしてみたいと心から思う一帯だ。
いつだったか土産に買った木曽の酒は辛くて美味かったよ。
12:11 須原(すはら)駅(中央本線 長野県)
福島あたりでは木曽駒ケ岳は見えていたのだろうか。
中津川に沿って進む中央本線。
ここらあたりじゃ朝雪の気配もなく、古くからの家並みが峡谷の間で、同じく古からの流れとともに生きている。
オレは流れ者に属しているが、ああいうのいいなって思うよ。
名残雪がまた舞った。
古い駅舎によく似合う。
13:01 中津川(なかつがわ)駅(中央本線 岐阜県)
電車旅に目覚めた頃、この駅に来たんだ。
あれは11月か。
今日と同じような冷たい風が吹いていた。
駅を降りて、思い出したよ。
ああ確かにこんな感じだったって。
あの日はわさわさと人がたくさんいたような気がしたけど、名古屋に向かう列車は思いのほか空いている。
あの日のことをもうひとつ。
従兄弟の結婚式が中軽井沢であって、雨の日だった。
同じく久しぶりに会う従姉妹がとてもきれいになっていたことに驚いた。
昔の話だ。
だいぶ昔の話だな。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】初日(東京-大垣)その1-保谷、品川、三島、静岡、浜松、鷲津、豊橋、岐阜、蘇原、美濃太田(東海道本線/高山本線)
鉄旅日記2017年8月11日・・・保谷駅、品川駅、三島駅、静岡駅、浜松駅、鷲津駅、豊橋駅、岐阜駅、蘇
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・柏原駅、道明寺駅、河内長野駅、古市駅、畝傍御陵前駅、田原本駅、西田
-
-
「車旅日記」2004年秋【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】2日目(宇野-下津井-新見-津山-城崎)走行距離377㎞ その1-宇野駅、児島駅、下津井港、倉敷駅、総社駅、備中高梁駅、新見駅
車旅日記2004年11月21日・・・宇野駅、児島駅、下津井港、倉敷駅、総社駅、備中高梁駅、新見駅
-
-
「鉄旅日記」2021年春【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】最終日(松本-東京)その1 ‐松本、一日市場、信濃大町、信濃木崎(大糸線)
鉄旅日記2020年4月25日・・・松本駅、一日市場駅、信濃大町駅、信濃木崎駅(大糸線) 20
-
-
「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その2‐小山田、土沢、花巻、石鳥谷(釜石線/東北本線)
鉄旅日記2020年2月24日・・・小山田駅、土沢駅、花巻駅、石鳥谷駅(釜石線/東北本線) 7:40
-
-
「鉄旅日記」2015年春【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】最終日その3(岩倉-東京)-津島、須ヶ口、神宮前、豊明、岡崎公園前、中岡崎、東岡崎、国府、豊川稲荷、豊川(名鉄津島線/名鉄本線/名鉄豊川線)
鉄旅日記2015年3月8日その3・・・津島駅、須ヶ口駅、神宮前駅、豊明駅、岡崎公園前駅、中岡崎駅、東
-
-
「車旅日記」1997年夏【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】最終日(鳴子-米沢-東京)-鳴子サンハイツ、瀬見駅、羽前中山駅、萬世大路記念碑公園、栗子トンネル、松川駅、里白石駅、常陸大子駅、我孫子、東京町田
車旅日記1997年8月16日 1997・8・16 8:18 鳴子サンハイツ 拝啓 残暑お見舞い
-
-
「鉄旅日記」2018年エイプリルフール【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】その1-金町、上野、鹿沼、日光、東武日光、宇都宮、野崎(常磐線/東北本線/日光線)
鉄旅日記2018年4月1日・・・金町駅、上野駅、鹿沼駅、日光駅、東武日光駅、宇都宮駅、野崎駅(常磐線
-
-
「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】初日(東京-大船渡)その4‐前谷地、志津川、南気仙沼、気仙沼(気仙沼線)
鉄旅日記2020年2月22日・・・前谷地駅、志津川駅、南気仙沼駅、気仙沼駅(気仙沼線) 14:21
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】3日目(大分-佐賀)その1-大分、中判田、豊後竹田、宮地、肥後大津、水前寺、辛島町、熊電上熊本、上熊本(豊肥本線/熊本市電)
鉄旅日記2009年9月20日・・・大分駅、中判田駅、豊後竹田駅、宮地駅、肥後大津駅、水前寺駅、辛島町