*

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、名古屋往復】その1-新宿、塩崎、韮崎、日野春、富士見、青柳、奈良井、木曽福島、須原、中津川(中央本線)

公開日: : 最終更新日:2024/06/04 旅話, 旅話 2012年

鉄旅日記2012年3月25日その1・・・新宿駅、塩崎駅、韮崎駅、日野春駅、富士見駅、青柳駅、奈良井駅、木曽福島駅、須原駅、中津川駅(中央本線)

2012・3・25 5:14 新宿(しんじゅく)駅(山手線/中央線/総武線/埼京線/小田急線/京王線/東京メトロ/都営地下鉄 東京都)
朝イチ、まだそう表現しても構わない時間だ。

やっぱり狂ってるな、この街は。

こんな時間にとんでもない人ごみだ。
そいつが駅のホームに整然と並んでいる。
呆れるより笑っちゃうよ。

笑ったといえば、地下通路に下りた時は本当に笑ったな。
微笑む程度だが。

こんな時間帯の新宿が何だか懐かしくなっちゃって。

学生の頃はよく酔っ払って歩いていた。
あの頃が最高だと思ってあれからしばらく生きていたけど、
でもさ、今の方が全然いいんじゃないか。

そう思える人生になってよかったと思っているよ。

8:09 塩崎(しおさき)駅(中央本線 山梨県)
甲斐市双葉町。

南アルプスの麓に戻ってきた。

コンビニみたいな駅舎だったよ。

近くに庁舎があって、2、3軒の居酒屋、スナック、タクシー会社。
地方の町の駅前風景だ。

高尾を過ぎてからの中央本線の車窓風景が好きだ。
桂川に沿って上りにかかる甲州街道の風情、笹子峠から眺める甲府盆地。
見飽きることはない。

8:27 韮崎(にらさき)駅(中央本線 山梨県)
駅前中央通りはとても静かだった。
あのたたずまい、好きだな。

初めて韮崎駅を通った時にその存在に驚いた大観音を知らせる表示は駅前案内板にはなかった。
ぜひ正式な名を知りたかったけれど。

奥の雪をかぶったのが八ヶ岳だから、あの姿のいいのが金峰山か。
かつてTさんとあの山に登った思い出は今も燦然としている。
ここ韮崎からバスで麓まで行ったんだ。

サッカーと、怪物ジャンボ鶴田がアブドーラ・ザ・ブッチャーからUN王座を奪還した町。
鶴田は故郷に錦を飾ったんだ。
31年前のことだ。


8:47 日野春(ひのはる)駅(中央本線 山梨県)
春風。

冷たい朝風に吹かれた小さな町で特急通過待ち下車。

理髪店しかない駅前風景。

甲斐駒ケ岳の山頂付近は煙って見えない。

9:51 富士見(ふじみ)駅(中央本線 長野県)
晴天に小雪が舞う。

たまらない風情に打たれ、大切な人にメールを打つ。

手がかじかんでいる。
本物の名残雪を見て、旅の素晴らしさを感じている。

生涯初の大雪被害に遭ったのがこの街だった。
富士見パノラマスキー場に向かったが、大雪でスキー場も中央自動車道が閉鎖され、呑気に構えているわけにもいかず、甲州街道を引き返したわけだが、どうにか自宅に帰り着けたのは24時間後のことだった。

車を運転しながら最悪の予測を立てるが、その予測がことごとく外れて最悪を更新していく。
耐え難い雪中行軍だった。

缶コーヒーを購入すべくコインを入れたら、自販機が「あったかくなってきましたね」と、明るい声で言い放つ。
そりゃ驚いたよ。

素敵な駅に降りた。

10:05 青柳(あおやぎ)駅(中央本線 長野県)
昨夜は雪だったのか。
ホームの日陰に未踏の残雪がある。

ドアは自動から手動になり、鉄道員の姿はなくなった。

二人の山ガールはどの峰を恋人にするのか。

11:17 奈良井(ならい)駅(中央本線 長野県)
塩尻駅で乗り換え。

中山道奈良井宿。

この国の春はかくも美しい。

童謡に謳われるような風情が残る街道筋。
木曽の大橋という名勝があるようだが、小雪舞う中山道はそこにいること、ただそれだけで何事かを完結させられる空気を身にまとっている。

横に流れる川は天竜川の支流か。
あとでオレは天竜川が海に流れこむ様を見に行くんだ。

東京じゃ春を味わえない。
だからここにいる。
雪の残る古街道には古人の足跡が今も残っている。

難解で結局途中で諦めてしまったが、島崎藤村の「夜明け前」で描かれた、破滅へと向かう水戸天狗党が粛々と木曽宿を通り過ぎていった様を思い浮かべている。

「男はつらいよ」の車寅次郎もここ奈良井の駅前旅館で弟分と一緒にいたことを覚えている。

11:47 木曽福島(きそふくしま)駅(中央本線 長野県)
景色から雪が消え、春めいた青空に時折雪が舞う。

きれいな町並みが見えると木曽福島。

街道で、かつて僅かながら天下を握った信州の精鋭が静かにそして今も形勢を窺っているようにも見える。

諏訪に祖を置く我がご先祖様は、京都まで一気呵成に突き進んだ木曽義仲率いる軍団の中にいたのだろうかなどと思う。

一度駅周辺を歩いたことがあるが、また時間を作ってそうしてみたいと心から思う一帯だ。

いつだったか土産に買った木曽の酒は辛くて美味かったよ。

12:11 須原(すはら)駅(中央本線 長野県)
福島あたりでは木曽駒ケ岳は見えていたのだろうか。

中津川に沿って進む中央本線。

ここらあたりじゃ朝雪の気配もなく、古くからの家並みが峡谷の間で、同じく古からの流れとともに生きている。

オレは流れ者に属しているが、ああいうのいいなって思うよ。

名残雪がまた舞った。
古い駅舎によく似合う。

13:01 中津川(なかつがわ)駅(中央本線 岐阜県)
電車旅に目覚めた頃、この駅に来たんだ。

あれは11月か。
今日と同じような冷たい風が吹いていた。

駅を降りて、思い出したよ。
ああ確かにこんな感じだったって。

あの日はわさわさと人がたくさんいたような気がしたけど、名古屋に向かう列車は思いのほか空いている。

あの日のことをもうひとつ。
従兄弟の結婚式が中軽井沢であって、雨の日だった。
同じく久しぶりに会う従姉妹がとてもきれいになっていたことに驚いた。

昔の話だ。
だいぶ昔の話だな。

関連記事

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】2日目(山形-左沢-新庄-鶴岡-新潟)走行距離313㎞ その2-高屋駅、鶴岡駅、鼠ヶ関駅、村上駅、坂町駅、新潟駅、新潟東急イン

車旅日記2005年7月17日・・・高屋駅、鶴岡駅、鼠ヶ関駅、村上駅、坂町駅、新潟駅、新潟東急イン

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】5日目(青森-八戸-気仙沼-女川-安達)その2-宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅、道の駅あだち

車旅日記2006年5月6日・・・宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線) 2019・12・8 5:34

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】3日目(釧路-旭川)走行距離533㎞-釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清水駅、樹海ロード日高、夕張駅、熊追橋付近、藤田観光ワシントンホテル旭川

車旅日記2004年5月3日・・・釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】2日目(山形-左沢-新庄-鶴岡-新潟)走行距離313㎞ その1-アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童駅、村山駅、新庄駅、羽前前波駅

車旅日記2005年7月17日・・・アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】最終日(会津若松-新潟-吉田-三条-東京)その2-新潟、白山、内野、巻、吉田、燕(越後線/弥彦線)

鉄旅日記2018年3月4日・・・新潟駅、白山駅、内野駅、巻駅、吉田駅、燕駅(越後線/弥彦線) 11:

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】最終日-安房勝山、君津、木更津、上総亀山、蘇我(内房線/久留里線/京葉線)

鉄旅日記2006年2月5日・・・安房勝山駅、君津駅、木更津駅、上総亀山駅、蘇我駅(内房線/久留里線/

記事を読む

「鉄旅日記」2007年皐月【夜汽車に乗って東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】3日目(福山-岡山)-福山、三原、呉、広島、三次、備後落合、東城、岡山(山陽本線/呉線/芸備線/伯備線)

鉄旅日記2007年5月5日・・・福山駅、三原駅、呉駅、広島駅、三次駅、備後落合駅、東城駅、岡山駅(山

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】3日目(仙台-山形-大曲)その1-ホテルイーストワン仙台、陸前落合駅、愛子駅、作並駅、山寺駅、高瀬駅、蔵王駅、北大石田駅、舟形駅

車旅日記2006年5月4日・・・ホテルイーストワン仙台、陸前落合駅、愛子駅、作並駅、山寺駅、高瀬駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、富山・岐阜途中下車旅】最終日(富山-東京)その1-富山、水橋、速星、千里、越中八尾、笹津、猪谷、飛騨古川、高山、久々野、下呂、白川口、上麻生、下麻生(北陸本線、高山本線)

鉄旅日記2012年8月26日その1・・・富山駅、水橋駅、速星駅、千里駅、越中八尾駅、笹津駅、猪谷駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】最終日(三次-東京)その1‐三次、上下、府中(福塩線)

鉄旅日記2020年7月26日・・・三次駅、上下駅、府中駅(福塩線)

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その5‐備後落合、備後庄原、三次(芸備線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・備後落合駅、備後庄原駅、三次駅(芸

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その3‐黒松、仁万、出雲市、荘原(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・黒松駅、仁万駅、出雲市駅、荘原駅(

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その2‐益田、三保三隅、浜田、波子(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・益田駅、三保三隅駅、浜田駅、波子駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑