「鉄旅日記」2012年春 その2-富士宮、身延、鰍沢口、市川大門、南甲府、石和温泉、山梨市、塩山、甲斐大和、四方津、梁川、上野原、国分寺、武蔵境(身延線、中央本線) 【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】
鉄旅日記2012年3月20日その2・・・富士宮駅、身延駅、鰍沢口駅、市川大門駅、南甲府駅、石和温泉駅、山梨市駅、塩山駅、甲斐大和駅、四方津駅、梁川駅、上野原駅、国分寺駅、武蔵境駅(身延線、中央本線)
12:59 富士宮(ふじのみや)駅(身延線 静岡県)
富士駅で乗り換え。
肝心の富士山は雲に隠れている。
仕方がない。
ジャック・ブリスコ×ザ・デストロイヤーのNWA世界戦が行われた町は今、どこからか焼きそばの匂いが漂う街として名を馳せている。
本町のアーケードを歩いてきたよ。
じきに列車が来るんで行くが、ここじゃ、麓じゃ、いつも富士山とは縁がない。
14:14 身延(みのぶ)駅(身延線 山梨県)
去年の台風被害で止まっていた身延線が開通したのは3日前のことだという。
知らなかったな。
前回が何年前だったか覚えていないが、2両の座席は埋まっている。
釜無川に沿い、身延山久遠寺の麓で静かな時をしばし過ごした。
行き交う車の量もすくない静謐な場所だ。
14:55 鰍沢口(かじかざわ)駅(身延線 山梨県)
沿線風景に変化は見られない。
無人駅で甲州の山並みに目をやる。
あれは南アルプスになるのか。
煙った山々を望む。
15:02 市川大門(いちかわだいもん)駅(身延線 山梨県)
武田信玄の弟、一条信龍が甲斐に侵攻した織田軍に捕らわれ斬られた町。
それからしばらくして甲斐の国は滅びた。
山梨県が最強軍団を擁する地域として一番輝いた時代が430年ほど前にあった。
駅名を聞いて、そんなことを思っていたよ。
南アルプスがいよいよ近い。
竜宮城のようなこの駅舎は何に由来するものだろう。
15:33 南甲府(みなみこうふ)駅(身延線 山梨県)
数多くの駅を辿ってきた身延線の旅もそろそろお開き。
甲府が近づき乗客が増え、気づけば風景が家並みに埋め尽くされている。
大きくカーブを切ると座席正面に富士山が頭を出した。
富士宮じゃ悪かったなってところか。
おかしみのある姿だったよ。
南甲府駅は威容だった。
16:27 石和温泉(いさわおんせん)駅(中央本線 山梨県)
甲府駅で乗り換え。
海から山へ。
日本は美しい。
今日が春初日。
南アルプスに囲まれた駅前の温泉街をぶらぶらと歩く。
「週末は山梨で」という色褪せたポスターに惹かれ、ああそれもワルくないなと思う。
まるでかくれんぼのように時折富士山が頭を出す。
中央本線を辿る経験はそう多くない。
ひとりじゃ初めてだ。
16:44 山梨市(やまなしし)駅(中央本線 山梨県)
盆地の街が高原のような爽やかさに満ちた春初日。
甲斐の山々から雪の覆いがとれるまであとどれくらいの日数が必要だろう。
夕日に赤く染まる峰々が生命力に満ちている。
17:13 塩山(えんざん)駅(中央本線 山梨県)
予定に齟齬が生じ、ここで30分の停車。
前回ここに下りたのとは反対側、つまり富士山側の生活に分け入った。
空気からだろうが、山間の国々を歩くと清潔という言葉を思い出す。
東京が近いことは知っているが、しばし忘れたい。
早く家に帰りたいとも思うが、それ以外のことはしばし忘れたい。
17:51 甲斐大和(かいやまと)駅(中央本線 山梨県)
こうしてまたこんな時間が訪れる。
人が集まる駅という空間にいるが、ここにはオレ以外誰もいない。
そして穏やかに日が暮れていこうとしている。
この武田家終焉の地で。
ナントかの日が暮れて。。
大好きなメロディーが流れる中を駅に下りて、ヤマザキのお店で酒をあっためてもらい、さっきからこうしてる。
たまらなく好きだ。
そして帰る場所を想う。
ようやく人生が素晴らしくなってきた。
18:44 四方津(しおつ)駅(中央本線 山梨県)
甲州街道沿いの小さな駅で特急の通過待ちによる途中下車。
ほんのりとした灯に包まれたいい駅だった。
思い返す。
かつてのオレが車で甲州街道を上下していた。
18:59 上野原(うえのはら)駅(中央本線 山梨県)
かつて富士見パノラマスキー場に行って大雪に降られ、中央道は通行止めとなり、遅々として進まない甲州街道を夜を継いで帰ってきたことがある。
最悪これくらいにはどこそこに着くだろうという最悪の予想をことごとく塗り替えていく悪夢のような帰り道だった。
翌日の昼頃に渋滞も解消し、食事を摂れる店を探してこの穴倉のような駅に寄ったんだ。
穴倉、、そう思わせる面白い構造の駅だ。
山梨は景色に変化があって素晴らしい。
故あって甲府行に乗る。
まだ旅を終わらせる時間じゃない。
19:13 梁川(やながわ)駅(中央本線 山梨県)
2駅戻る。
甲州街道を走る車の音だけが聞こえる駅。
駅員の姿はなく、単独での入山に注意を呼び掛ける表示の他に目を引くものはない。
20:19 国分寺(こぶんじ)駅(中央本線 東京都)
昔香る街は丸井の街。
そして今じゃオレの馴染みとなった地域に向けて、西武線がここ国分寺から線路を伸ばしている。
駅を出ると様々な客引きがコンサート会場でのダフ屋のように陣取りをしている。
正真正銘初めて訪れた東京の街。
オレにはやることがまだまだたくさんある。
20:37 武蔵境(むさしさかい)駅(中央本線 東京都)
高架化完成まであと一息。
そんな状態の駅。
当然暗いが、武蔵野の風情というものがあの美術館らしきあたりにはあった。
街の奥行きはたいしてなく、平日祝日ということもあって人波はおとなしいものだった。
ここからも是政に向けて西武線が走っている。
街がきれいになるのはいいが、中央本線が地べたを走ってる頃にこの駅に降りてみたかった。
ここ武蔵境から西武線が分岐していく様を見るのがオレは好きだった。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その4-古虎渓、釜戸、美乃坂本、多治見(中央本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月23日・・・古虎渓駅、釜戸駅、美乃坂本駅、多治見駅(中央本線) 18:23
-
-
「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、北海道途中下車旅】3日目(室蘭-岩見沢)-室蘭、苫小牧、鵡川、静内、様似、追分、夕張、新夕張、清水沢(室蘭支線、室蘭本線、日高本線、石勝線、夕張支線)
鉄旅日記2012年8月13日・・・室蘭駅、苫小牧駅、鵡川駅、静内駅、様似駅、追分駅、夕張駅、新夕張駅
-
-
「車旅日記」2006年初夏 2日目(岐阜-近江八幡)その2-津駅、伊勢奥津駅、名張駅、伊賀上野駅、信楽駅、紫香楽宮跡駅、ホテルはちまん【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】
車旅日記2006年7月16日・・・津駅、伊勢奥津駅、名張駅、伊賀上野駅、信楽駅、紫香楽宮跡駅、ホテル
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄
-
-
「鉄旅日記」2012年春 その1-上尾、桶川、鴻巣、行田、岡部、神保原、新町、群馬総社、中之条、郷原、長野原草津口、万座・鹿沢口(高崎線、吾妻線)【青春18きっぷで、ダム湖に水没する鉄路へ】
鉄旅日記2012年4月1日その1・・・上尾駅、桶川駅、鴻巣駅、行田駅、岡部駅、神保原駅、新町駅、群馬
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜
-
-
「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その2-西藤原、あすなろう四日市、内部、日永、西日野、泊、南四日市(三岐鉄道三岐線/四日市あすなろう鉄道内部線/四日市あすなろう鉄道八王子線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】
鉄旅日記2018年12月22日・・・西藤原駅、あすなろう四日市駅、内部駅、日永駅、西日野駅、泊駅、南
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 初日(東京-新山口)その2-廿日市、広電廿日市、宮島口、広電宮島口、大竹、岩国、徳山、新山口(山陽本線/岩徳線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月18日・・・廿日市駅、広電廿日市駅、宮島口駅、広電宮島口駅、大竹駅、岩国駅、徳
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その1‐松戸、土浦、友部(常磐線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月4日・・・松戸駅、土浦駅、友部駅(常磐線) 2020・4・4 5:29 松戸
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 初日(東京-大船渡)その4‐前谷地、志津川、南気仙沼、気仙沼(気仙沼線)/南三陸さんさん商店街 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月22日・・・前谷地駅、志津川駅、南気仙沼駅、気仙沼駅(気仙沼線)/南三陸さんさ