*

「車旅日記」2005年初夏 初日(長岡-山形)走行距離388㎞ その1-長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2005年

車旅日記2005年7月16日・・・長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅

2005・7・16 9:38 長岡駅
MAXトキ307号で北越の街へ。

東京で散々やっていた「人体の不思議展」がこの街にも回ってくるらしい。
駅にポスターが貼られていたよ。

朝には視界を危うくするほどの大雨が降ったという。

寂しい駅頭に古い道。

長岡人は優しかったよ。
タクシー運転手もトヨタレンタカーの店員も。

2009年7月20日撮影

11:08 小出駅(7月16日の長岡駅より40㎞)
最初の目的地、小出郷へ。
この町で、不沈艦スタン・ハンセンと喧嘩番長ディック・スレーターが強力タッグ・チームを結成して、天龍源一郎、阿修羅原の龍原砲に挑んだのは随分前のことになる。

雪国を実感させる古いアーケード街に時代が映り、古ぼけた廃屋の前で老人がバスを待っている。

駅舎は雪国でよく見かける横に長い平屋造り。
崖と川に挟まれた狭い地点に立つ。
きっと雪下ろしに適した構造なのだろう。

駅前には川喜旅館という素敵な旅館と、HOTEL OKABE。
旅館では腹の出たオッサンが裸のまま外を眺めていた。
一風呂浴びてきたところだろう。

町の中心は川向うにある。

長岡でも日は差したが、今差している日差しは夏を予感させる。
オレの神様は北越の地でも健在だ。

今年初めて夏の虫の声を聞いた。
東京でも鳴き始めているのだろうか。
オレが暮らすあたりじゃ、ほとんど聞こえてこない。

この町から会津へと線路が延びる。

2018年3月3日撮影

12:22 田子倉駅(7月16日の長岡駅より87㎞)
日が差してきた。
風が心地いい。
川のせせらぎが聞こえている。

ここは鉄道ファンの間では有名な駅らしい。
国道沿いに壊れかけたようなプレハブが建ち、そこに駅名が記されている。

「工事関係者以外立ち入り禁止」とでも書かれていそうな入口をくぐり、心細い階段を下りたところにホームがある。
駅員の姿はなく、雑記帳が置かれている。
スノーシェッドに覆われ、まるでトンネルの中のようだ。

田子倉湖では一年中溶けない雪を見た。
道は険しく、何度もスノーシェッドを潜る。

幕末の長岡。
武装中立の方針をたてた長岡藩家老、河井継之助。
彼の願いは容れられず、新政府軍は長岡へと乱入。

長岡城を奪われたが、奪い返す。
奪回へと押し寄せる新政府軍を大手門で迎え撃った長岡武士。
新兵器ガトリング砲が火を噴く。
河井継之助は自らこの兵器を操作したという。

やがて落城。
傷ついた彼はこの道を会津に向かい、途中で果てる。

12:47 只見駅(7月16日の長岡駅より99㎞)
機械音のような蝉の声がまとわりつく駅。

人々が集まっている。
広い駐車場があり、古くて大きな旅館がある。

山間の寂しい駅だが、集った人々は次の汽車の到着を待っている。
SLを走らせる駅であり、周囲には登山者を喜ばせる山がある。
ただ、ここじゃメシにも煙草にもありつけない。

険しい山路はひとまず終わったようだが、会津まではまだ遠く、人の姿は稀だ。

2018年3月3日撮影

13:35 会津水沼駅(7月16日の長岡駅より135㎞)
梅雨明けはまだだが、夏はすでに来ている。
蜩はささやかに奏で、油蝉はどこでも元気だ。

草が香る。
只見線は会津に入ってもなお好みの風景を保ち、名所になりそうな鉄橋や石橋を架けて線路を渡している。

蝶が舞い、気づくと日が差している。
太陽が気にかけてくれているみたいで、気分がいい。

あたりに集落はなく、会津の中心若松は遠いけど、古くから敷かれている線路にオレは未来を感じている。
不思議な気持ちだし、この感覚は感動に近い。

とても利用者が多いとは思えないこの小さな駅も禁煙とある。

14:30 会津坂下駅(7月16日の長岡駅より170㎞)
七夕飾りがいくつか下がり、風鈴が揺れている。

品揃えの少ない食料品店で昼食を調達したらライターをくれたよ。
新潟も福島も人情がいい。

広い駅前と駅前通りだが、閑散としていて、けだるい午後の空気が流れている。
只見線に沿って走ってきたが、それもここで終わり。

春日八郎の銅像が立っている。
彼の故郷だという。

会津には思い入れがあるが、また今度だ。
次に来る頃には会津ナンバーの車が行き交っていることだろう。
かつて辛酸を舐めた会津人の誇りは、それである程度埋められるかもしれない。
賊軍としての歴史はとうに終わっている。

それにしても会津盆地が懐かしい。
今日もあの風景に海を感じた。
そこに海なんかないのに。

あれから。
初めてひとりで旅に出てから、ちょうど10年になる。

15:20 猪苗代駅(7月16日の長岡駅より202㎞)
猪苗代湖の姿は僅かに覗き見ることができた。
金の橋、銀の橋は寂れていた。

10年前の黄金週間の賑わいはなく、49号国道は郡山へとスムースに流れている。
懐かしいという感覚が訪れることはなく、初めてオレは磐梯山を確認した。

観光街の玄関口も閑散としている。
駅前の明かりは乏しく、通りに面した壁の剥がれた旅館は、もしかしたら営業を諦めていたのかもしれない。

郵便のバイクがまるで夕刊配りの新聞配達のような音を残して去った。
夕方を感じさせる音だった。

ジーという蝉の声はここでも空を覆うように聞こえ、鳥は囀る。

豪雪に耐えられる構造の古い駅舎。
開業は明治の頃で、かつて野口英世を世界に送り出した。

2018年4月1日撮影

関連記事

「鉄旅日記」2017年夏 2日目(大垣-姫路)その1-大垣、能登川、栗東、草津、石部、三雲、甲南、油日、甲賀、柘植(東海道本線/草津線)【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月12日・・・大垣駅、能登川駅、栗東駅、草津駅、石部駅、三雲駅、甲南駅、油日駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2022年師走 最終日(会津宮下-東京)その4 ‐大宮、尾久、三河島(高崎線/常磐線)【11年ぶりに全線運転再開を果たした只見線に乗りにいきました。】

鉄旅日記2022年12月11日・・・大宮駅、尾久駅、三河島駅(高崎線/常磐線) 17:45

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その4‐五所川原、川部、弘前、大館、鷹ノ巣(五能線/奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)

鉄旅日記2020年1月12日・・・五所川原駅、川部駅、弘前駅、大館駅、鷹ノ巣駅(五能線/奥羽本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その1 ‐焼津、金谷、千頭、井川(東海道本線/大井川鐡道本線/大井川鐡道井川線)/焼津温泉やいづマリンパレス 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月20日・・・焼津駅、金谷駅、千頭駅、井川駅(東海道本線/大井川鐡道本線/大井

記事を読む

「鉄旅日記」2017年秋 その3-腰越、江ノ島、湘南江の島、片瀬江ノ島、新宿(江ノ島電鉄/小田急電鉄江ノ島線)/龍ノ口寺 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】

鉄旅日記2017年11月12日・・・腰越駅、江ノ島駅、湘南江の島駅、片瀬江ノ島駅、新宿駅(江ノ島電鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その1‐金町、東京、広島(常磐線/京浜東北線/東海道・山陽新幹線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・金町駅、東京駅、広島駅(常磐線/京浜東北線/東海道・山陽新幹線)

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その3 ‐盛岡、渋民、八幡平、湯瀬温泉(IGRいわて銀河鉄道/花輪線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日 盛岡駅、渋民駅、八幡平駅、湯瀬温泉駅(IGRいわて銀河鉄道/花輪線)

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】5日目(宇和島-観音寺)-宇和島、卯之町、八幡浜、千丈、伊予大洲、伊予市、松山、伊予北条、今治、伊予小松、伊予西条、新居浜、関川、伊予土居、箕浦、観音寺(予讃本線)

鉄旅日記2009年5月5日・・・宇和島駅、卯之町駅、八幡浜駅、千丈駅、伊予大洲駅、伊予市駅、松山駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その3 ‐千徳、宮古、盛岡、古川(山田線/東北新幹線)/蛇の目寿司 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・千徳駅、宮古駅、盛岡駅、古川駅(山田線/東北新幹線)/蛇の目寿司

記事を読む

「車旅日記」2005年春 初日(松本-富山)走行距離317㎞ その1-新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島駅、飯山駅 【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】

車旅日記2005年4月29日・・・新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「車旅日記」2001年黄金週間 2日目その1(京都-志賀-京都)-祇園まで彼女をさらいに行ったのでございますが・・・【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月4日 彼女は右手を投げ出してオレの体に置

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その4(東京-京都)-四条烏丸~祇園~桂川PAラブストーリー。【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・四条烏丸~祇園~桂川PA 26

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その3(東京-京都)-桂川PAから四条烏丸へ。恋焦がれた女性に会いにいく男の話でございます。【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・桂川PA 24:58 名神自動

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その2(東京-京都)-初狩PA、諏訪湖SA、恵那峡SA、養老SA、多賀SA【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・初狩PA、諏訪湖SA、恵那峡SA、養

「車旅日記」2001年黄金週間 初日その1(東京-京都)-金町、高円寺駅、調布駅、日野駅、弁天島温泉天下茶屋 【目指したのは彼女が暮らす京都。この時からしばらく、向かう先は劇的なまでに西になったのでございます。】

車旅日記2001年5月3日・・・金町、高円寺駅、調布駅、日野駅、弁天

→もっと見る

    PAGE TOP ↑