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「鉄旅日記」2021年春 最終日(松本-東京)その2 ‐神城、千国、南小谷、小滝(大糸線)【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/03 旅話, 旅話 2021年

鉄旅日記2021年4月25日・・・神城駅、千国駅、南小谷駅、小滝駅(大糸線)

7:53 神城(かみしろ)駅(大糸線 長野県)

簗場駅前には仁科三湖2つ目の中綱湖。さらに3つ目の青木湖と続く。やがて谷は狭まりグレーの雲の下に入る。

また谷が開けるとロッジ風の駅舎が遠望できる。

ここで列車行き違い3分の停車。

白馬五竜の文字が見える駅舎内に、過ぎ去った時や、過ぎ去ったまま戻ることのない時代や世相が見えた。

「私をスキーに連れてって」が流行ったバブル期に大学生だったかつて。冬になれば誰もが雪山を目指すものと何度も夜行バスに乗ったけど、今じゃそんな気は失せている。当時一緒にいた連中で現在もスキーとの縁を保っている者は確か一名。

8:15 千国(ちくに)駅(大糸線 長野県)にて

8:53 南小谷(みなみおたり)駅(大糸線 長野県)

千国駅に着いたのは8:14。道は濡れていた。

あの雲が落としていったのか。神城に着く手前で雨雲を見ている。

険しさを増してきた風景を見て気合いを入れた。千国駅からひと駅を歩き、今ここにいる。

国道までの距離は近く、姫川と線路に添う。ゆったりとした歩道があり、車を脅威に感じる必要もない。

なんと南小谷駅へは20分ほどで着いてしまった。あっけないやらうれしいやら。駅前の酒屋のご主人が挨拶をくれる。

とても失礼だが、こちらの酒屋さんがご健在なのを意外に思った。そうした夢の跡を見てきた傷はまるで戦争後遺症のように想像に壁を作るが、ここでうれしい現実に遭遇した。

南小谷駅には12年振りの再訪。この酒屋さんに寄ったことも当時の手記にあるはずだ。駅前を流れる姫川の川音が激しい。

駅舎はとてもきれいに建て変わり、居心地がいい。先の酒屋さんに寄り、酒やつまみを買い込み、とても丁寧な物腰のご主人から地図をいただき、案内を受ける。

次の糸魚川行が出るのは1時間後。小滝駅まで行って引き返したあとでまた白馬大池駅から歩く。体力はそこにとっておく。酒屋のご主人もそれはいいと太鼓判。

こうした朝酒も旅先ならでは。駅員さんは暇を持て余し、待ち人はただひとり。つまりオレだけ。

南小谷はJR東日本、西日本の境目の駅で、これから踏み入れるJR西日本管内は非電化区間。特急あずさはこれ以上先へは行けない。

とても静かで清潔なこの空間を気に入っている。

10:51 小滝(こたき)駅(大糸線 新潟県)

この場所に来たかった。いつも思っていたわけじゃないが、そう思っていた。

鉄道橋に何事かを感じて松本に向かったかつての5月。やはり縁は松本につながっていたことを思う。

鉄道橋の風景はこの駅から糸魚川方面に展開される。発電所建設が行われている駅周辺。線路に下りて、オレをこの地に呼び戻した正体を見に行く。

だけど目標物は見当たらなかった。あの日に見た何か巨大なものは幻ではないが、様々な経験を積んで少しだけ大きくなってここに戻ってきたのだと感じている。

何も持たずにいた三十路当時。あれから欲しかったものを手にはしたが、そのほとんどを手放してしまった五十路現在。ひとりで暮らしている事情は当時と変わらない。そう言えば住む町も。

もういいよな。そろそろ南小谷に戻る列車が着く。

列車は行きの時のように次の平岩駅まで最徐行しながら近づいていってる。そして姫川沿いの沿線に宿屋や温泉施設といった夢の跡を見る。

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