「鉄旅日記」2021年春【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】最終日(松本-東京)その2 ‐神城、千国、南小谷、小滝(大糸線)
鉄旅日記2021年4月25日・・・神城駅、千国駅、南小谷駅、小滝駅(大糸線)
7:53 神城(かみしろ)駅(大糸線 長野県)
簗場駅前には仁科三湖2つ目の中綱湖。さらに3つ目の青木湖と続く。やがて谷は狭まりグレーの雲の下に入る。
また谷が開けるとロッジ風の駅舎が遠望できる。

ここで列車行き違い3分の停車。

白馬五竜の文字が見える駅舎内に、過ぎ去った時や、過ぎ去ったまま戻ることのない時代や世相が見えた。
「私をスキーに連れてって」が流行ったバブル期に大学生だったかつて。冬になれば誰もが雪山を目指すものと何度も夜行バスに乗ったけど、今じゃそんな気は失せている。当時一緒にいた連中で現在もスキーとの縁を保っている者は確か一名。
8:15 千国(ちくに)駅(大糸線 長野県)にて



8:53 南小谷(みなみおたり)駅(大糸線 長野県)
千国駅に着いたのは8:14。道は濡れていた。

あの雲が落としていったのか。神城に着く手前で雨雲を見ている。
険しさを増してきた風景を見て気合いを入れた。千国駅からひと駅を歩き、今ここにいる。
国道までの距離は近く、姫川と線路に添う。ゆったりとした歩道があり、車を脅威に感じる必要もない。



なんと南小谷駅へは20分ほどで着いてしまった。あっけないやらうれしいやら。駅前の酒屋のご主人が挨拶をくれる。
とても失礼だが、こちらの酒屋さんがご健在なのを意外に思った。そうした夢の跡を見てきた傷はまるで戦争後遺症のように想像に壁を作るが、ここでうれしい現実に遭遇した。
南小谷駅には12年振りの再訪。この酒屋さんに寄ったことも当時の手記にあるはずだ。駅前を流れる姫川の川音が激しい。


駅舎はとてもきれいに建て変わり、居心地がいい。先の酒屋さんに寄り、酒やつまみを買い込み、とても丁寧な物腰のご主人から地図をいただき、案内を受ける。

次の糸魚川行が出るのは1時間後。小滝駅まで行って引き返したあとでまた白馬大池駅から歩く。体力はそこにとっておく。酒屋のご主人もそれはいいと太鼓判。
こうした朝酒も旅先ならでは。駅員さんは暇を持て余し、待ち人はただひとり。つまりオレだけ。
南小谷はJR東日本、西日本の境目の駅で、これから踏み入れるJR西日本管内は非電化区間。特急あずさはこれ以上先へは行けない。


とても静かで清潔なこの空間を気に入っている。
10:51 小滝(こたき)駅(大糸線 新潟県)
この場所に来たかった。いつも思っていたわけじゃないが、そう思っていた。



鉄道橋に何事かを感じて松本に向かったかつての5月。やはり縁は松本につながっていたことを思う。
鉄道橋の風景はこの駅から糸魚川方面に展開される。発電所建設が行われている駅周辺。線路に下りて、オレをこの地に呼び戻した正体を見に行く。



だけど目標物は見当たらなかった。あの日に見た何か巨大なものは幻ではないが、様々な経験を積んで少しだけ大きくなってここに戻ってきたのだと感じている。
何も持たずにいた三十路当時。あれから欲しかったものを手にはしたが、そのほとんどを手放してしまった五十路現在。ひとりで暮らしている事情は当時と変わらない。そう言えば住む町も。
もういいよな。そろそろ南小谷に戻る列車が着く。
列車は行きの時のように次の平岩駅まで最徐行しながら近づいていってる。そして姫川沿いの沿線に宿屋や温泉施設といった夢の跡を見る。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】最終日(直江津-六日町-大前-東京)その2-八色、浦佐、五日町、水上、後閑、上牧、八木原(上越線)
鉄旅日記2018年2月11日・・・八色駅、浦佐駅、五日町駅、水上駅、後閑駅、上牧駅、八木原駅(上越線
-
-
「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)
鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄
-
-
「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】初日(東京-盛岡)その1-金町、水戸、上菅谷、常陸大子(常磐線/水郡線)
鉄旅日記2019年9月21日・・・金町駅、水戸駅、上菅谷駅、常陸大子駅(常磐線/水郡線) 2019・
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その2‐諫早、古部、島原港、島原船津、島原(島原鉄道)
鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、古部駅、島原港駅、島原船津駅、島原駅(島原鉄道)
-
-
「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】4日目(米子-呉)その1-米子、安来、来待、西出雲、弘南、温泉津、波子、浜田、石見川本(山陰本線/三江線)
鉄旅日記2014年8月16日その1・・・米子駅、安来駅、来待駅、西出雲駅、弘南駅、温泉津駅、波子駅、
-
-
「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】最終日(紀伊勝浦-東京)その1-紀伊勝浦、太地、湯川、那智、三輪崎、新宮、丹鶴城公園、鵜殿(紀勢本線)
鉄旅日記2014年3月9日その1・・・紀伊勝浦駅、太地駅、湯川駅、那智駅、三輪崎駅、新宮駅、鵜殿駅(
-
-
「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】初日(東京-盛岡)その3-盛岡、上米内、区界(東北本線/山田線)
鉄旅日記2019年9月21日・・・盛岡駅、上米内駅、区界駅(東北本線/山田線) 17:39 盛岡(も
-
-
「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】最終日(長崎-島原-唐津-福岡空港)走行距離291㎞その1-長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村駅、千綿駅、高橋駅
車旅日記2004年8月15日・・・長崎ニューポート、島原駅、沖田畷古戦場(龍造寺隆信戦死の地)、大村
-
-
「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】最終日(十三-東京)その1-十三、大阪梅田、大阪、東淀川、茨木、島本、桜井の繹跡、桂川、京都(阪急電鉄宝塚本線/東海道本線)
鉄旅日記2017年8月14日・・・十三駅、大阪梅田駅、大阪駅、東淀川駅、茨木駅、島本駅/桜井の繹跡、
-
-
「鉄旅日記」2012年夏 【青春18きっぷで、北海道途中下車旅】4日目(岩見沢-羽後本荘)-岩見沢、札幌、銭函、小樽、倶知安、蘭越、長万部、中ノ沢、五稜郭、上磯、釜谷(函館本線、江差線)
鉄旅日記2012年8月14日・・・岩見沢駅、札幌駅、銭函駅、小樽駅、倶知安駅、蘭越駅、長万部駅、中ノ