*

「鉄旅日記」2009年秋【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】最終日(新庄-東京)その2-女川、渡波、松島海岸、本塩釜、仙台、駒ヶ嶺、原ノ町、桃内、いわき、石岡(石巻線/仙石線/常磐線)

公開日: : 最終更新日:2023/07/05 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年10月11日・・・女川駅、渡波駅、松島海岸駅、本塩釜駅、仙台駅、駒ヶ嶺駅、原ノ町駅、桃内駅、いわき駅、石岡駅(石巻線/仙石線/常磐線)
2009・10・11 11:10 女川(おながわ)駅(石巻線 宮城県)
潮騒と海猫日本一のまち。
じきにSLがやってくる。
沿線の騒ぎはそのためだ。

朝早くからその瞬間を待ちわびた大勢がいる。
そして祭はここ女川で大団円を迎える。

女川港でしばしたたずむ。
海辺の町では、これがしたいのだといつも思う。
愛する人でもいれば、そこでその女性を想いたいと思う。

女川はそんな町だった。
家の前に出ていた毬栗頭の小さな男の子が、とびっきりの笑顔で挨拶してくれた。

素晴らしい終着駅だ。
線路が尽きた先に駅舎がある。
この駅の構造が好きだ。
3年前に寄った時には理由もなくうれしくて、ホームへと上がるあの階段を何度も上り下りしたものだ。

石巻に戻る列車に乗っている。
列車は湾に沿うように走り、牡鹿半島へと渡る橋が見える。

女川湾にて

11:35 渡波(わたのは)駅(石巻線 宮城県)
SLとの行き違い待ちで6分の停車。
幸運だ。

かつて仲間と入った寿司屋はこの駅につながる商店街にある。
オレは特にSLに興味を持たないが、それを見るためにたくさんの人々が集まっている。
村祭りでもここまでの騒ぎにはならないのではないか。
SLというのは、ここまでの人気を誇るものか。

今やってきた。

12:49 松島海岸(まつしまかいがん)駅(仙石線 宮城県)
石巻に戻り、仙石線に乗る。

途中の野蒜は、水路が町を横切り清楚な風情を湛えていた。

奥羽山脈から発した川が海へと到達する様を2つ眺めた。

ここに来るのは10年振りくらいになるだろう。
大勢できたよ。
探せば写真も出てくるだろう。
ここで名物の蒲鉾を購入して鳴子温泉へ向かったんだ。

駅前は9月の津和野のように大変な人波だ。
さすがに天下の観光地、松島。

仕事でお世話になった、お得意先のTさんがご結婚の前に牡蠣を食べに行くと言ってこの町に下りている。
彼女は今シンガポールにいる。
以前はどこかの番組でスポーツキャスターを務めていた彼女は、これまでに出会った誰よりも素敵な女性だった。

ここは、高台にあるホームからの眺めがいい。
そのことに気づいている人はあまりいないようだ。
さっきまで間近で松島を見てきたわけだから、ムリもないか。

13:24 本塩釜(ほんしおがま)駅(仙石線 宮城県)
松島へ、松島へ。
人々の足が向く。

「杜とさかなのまち」塩釜で降りる。
歩き甲斐がありそうな街だったが、駅前を一巡するだけに止める。
今回は時間がない。
美味いものを食べさせる店もあるけれど、オレの興味はそこにもない。

仙台までの立ちっ放しを覚悟していたけれど、東塩釜始発の列車がやってきた。
この偶然はうれしい。

松島海岸~塩釜のドル箱区間を過ぎると、仙石線は高架から地上へと下りた。

14:10 仙台(せんだい)駅(東北・秋田新幹線/東北本線/常磐線/仙山線/仙石線/仙台空港線/仙台市地下鉄東西線/仙台市地下鉄南北線 宮城県)
仙石線は加速して、いくつもの駅に次々に止まって地下へと入り、あっという間に仙台。
そのまま終着駅のあおば通まで乗り過ごして、歩いて仙台駅に戻る。

仙台は夜より昼の方が街が大きく見える。
駅の賑わいは他の東北のどの街よりも圧倒的で、感覚的には東京と変わらない。

昼飯に牛タン弁当を購入する。
乗客数の多い区間で食べるのは気が引けるが、東北本線と分かれる岩沼を過ぎれば空くだろう。

石巻を出てからずっと、文句のない晴天が続いている。

15:12 駒ヶ嶺(こまがみね)駅(常磐線 福島県)
牛タン弁当を食べ終えて、
平板な風景が続いている。

乗る者のない駅で4分停車。

列車はいつの間にか福島県に入っている。

15:43 原ノ町(はらのまち)駅(常磐線 福島県)
隣の車両で、まるで猿のように吊革を使って向かいの座席シートに飛び移る者の姿が目に飛び込んだ。
高校生だ。

いいだろう。
誰にも迷惑はかけていないし、靴は脱いでいる。

3年前、北の町に着いたと記した町。
印象が強かったのだろう。
駅前の風景はしっかり記憶に残っていた。

ここで、いわき行に乗り継ぐ。

16:02 桃内(ももうち)駅(常磐線 福島県)
列車行き違い4分の停車。
ひとつ手前の小高駅では大勢が降りている。

小高い場所から集落を見下ろす位置にいる。

それと分かる鉄道オタクの姿を見かけると、オレはどう見えているのだろうと思う。

あと30分もすれば、海が見えてくるだろう。

17:29 いわき駅(常磐線 福島県)
いわきで日が暮れた。

橋上駅舎に生まれ変わるため工事中だった。
それに伴ってロータリーも柵で囲われ、いろいろなものがなくなった気がする。

3年前は2月だった。
寒い季節だ。

これで、かつて平駅といった頃の記憶は完全に消滅して、友と待ち合わせた場所も姿を変えた。
月日とはそういうもの。
なくしたら、また造ればいい。

そんな新たな足跡をほんの少しだけ残して、この旅最後の寄港地を後にした。

土浦までの長距離列車に乗っている。

19:47 石岡(いしおか)駅(常磐線 茨城県)
4年前のクリスマス・イブ。
この駅に降りている。

当時は健在だった鹿島鉄道に鉾田から乗って、この町に着いた。
駅から坂道を上がって、一回りして駅に戻り、何かの事情で止まっていた列車の到着をコーヒーを飲みながら待った。

その夜、彼女からメールが届いた。
とても重要な事実だ。

今は特急の通過待ちで6分の停車。
これは、あの日のことを思い出させるために仕組まれたことか。

改札を出たら、ここでも駅舎は工事中。
「また工事中か」
深い意味もなくそう呟いて、土浦行に戻った。

跨線橋を渡る風が冷たくて、オレはこの秋最初の寒さを感じた。

関連記事

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その2-上総興津、安房小湊、安房天津、安房鴨川、和田浦、九重、若井、竹岡、上総湊、佐貫町、青堀、稲毛海岸、新習志野(外房線、内房線、京葉線)

鉄旅日記2013年3月9日その2・・・上総興津駅、安房小湊駅、安房天津駅、安房鴨川駅、和田浦駅、九重

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線)

鉄旅日記2016年8月13日・・・大館駅、十和田南駅、荒屋新町駅、前沢駅、一ノ関駅、愛宕駅、国府多賀

記事を読む

「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】2日目(新潟豊栄‐象潟)道の駅豊栄、道の駅神林、瀬波温泉龍泉、道の駅温海、立岩海底温泉、酒田南郊、象潟駅、象潟松籟館

車旅日記2000年5月4日 2000・5・4 8:09 7号国道-豊栄(道の駅) 路上で夜を明か

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】最終日(呉-東京)-呉、広、竹原、安芸幸崎、松永、東尾道、相生、西相生、比叡山坂本、用宗、富士、沼津(呉線/山陽本線/赤穂線/湖西線/東海道本線)

鉄旅日記2014年8月17日・・・呉駅、広駅、竹原駅、安芸幸崎駅、松永駅、東尾道駅、相生駅、西相生駅

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】初日(東京-紀伊勝浦)その1-熱田、尾頭橋、八田、四日市、亀山、一身田、津、高茶屋、松阪(東海道本線、関西本線、紀勢本線)

鉄旅日記2014年3月8日その1・・・熱田駅、尾頭橋駅、八田駅、四日市駅、亀山駅、一身田駅、津駅、高

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】最終日(松本-辰野-天竜峡-岡谷-東京)その3-勝沼ぶどう郷、大月(中央本線)

鉄旅日記2018年10月8日・・・勝沼ぶどう郷駅、大月駅(中央本線) 17:25 勝沼ぶどう郷(か

記事を読む

「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田

車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】4日目(佐賀-松浦)その2-大村、竹松、早岐、佐世保、佐世保中央、中佐世保、左石、佐々、たびら平戸口、松浦(大村線/佐世保線/松浦鉄道)

鉄旅日記2009年9月21日・・・大村駅、竹松駅、早岐駅、佐世保駅、佐世保中央駅、中佐世保駅、左石駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】最終日(一ノ関-東京)その1-一ノ関、陸中門崎、千厩、猊鼻渓、気仙沼(大船渡線)

鉄旅日記2019年1月6日・・・一ノ関駅、陸中門崎駅、千厩駅、猊鼻渓駅、気仙沼駅(大船渡線) 20

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】初日(東京-五所川原)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯、新白河(常磐線/東北本線)

鉄旅日記2019年11月2日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅、新白河駅(常磐線/東北

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

2019年師走~2020年弥生【SNSへの投稿より】大晦日、正月、誕生日、菜の花の頃。

【Facebookへの投稿より2019年12月31日】 【今年も暮れ

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その4‐水上、高崎、籠原(上越線/高崎線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・水上駅、高崎駅、籠原駅(上越線/高崎

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その3‐押切、帯織、長岡(信越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・押切駅、帯織駅、長岡駅(信越本線)

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その2‐小波渡、五十川、府屋、あつみ温泉(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・小波渡駅、五十川駅、府屋駅、あつみ温

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑