「鉄旅日記」2009年秋 最終日(新庄-東京)その2-女川、渡波、松島海岸、本塩釜、仙台、駒ヶ嶺、原ノ町、桃内、いわき、石岡(石巻線/仙石線/常磐線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】
鉄旅日記2009年10月11日・・・女川駅、渡波駅、松島海岸駅、本塩釜駅、仙台駅、駒ヶ嶺駅、原ノ町駅、桃内駅、いわき駅、石岡駅(石巻線/仙石線/常磐線)
2009・10・11 11:10 女川(おながわ)駅(石巻線 宮城県)
潮騒と海猫日本一のまち。
じきにSLがやってくる。
沿線の騒ぎはそのためだ。
朝早くからその瞬間を待ちわびた大勢がいる。
そして祭はここ女川で大団円を迎える。
女川港でしばしたたずむ。
海辺の町では、これがしたいのだといつも思う。
愛する人でもいれば、そこでその女性を想いたいと思う。
女川はそんな町だった。
家の前に出ていた毬栗頭の小さな男の子が、とびっきりの笑顔で挨拶してくれた。
素晴らしい終着駅だ。
線路が尽きた先に駅舎がある。
この駅の構造が好きだ。
3年前に寄った時には理由もなくうれしくて、ホームへと上がるあの階段を何度も上り下りしたものだ。
石巻に戻る列車に乗っている。
列車は湾に沿うように走り、牡鹿半島へと渡る橋が見える。


女川湾にて


11:35 渡波(わたのは)駅(石巻線 宮城県)
SLとの行き違い待ちで6分の停車。
幸運だ。
かつて仲間と入った寿司屋はこの駅につながる商店街にある。
オレは特にSLに興味を持たないが、それを見るためにたくさんの人々が集まっている。
村祭りでもここまでの騒ぎにはならないのではないか。
SLというのは、ここまでの人気を誇るものか。
今やってきた。

12:49 松島海岸(まつしまかいがん)駅(仙石線 宮城県)
石巻に戻り、仙石線に乗る。
途中の野蒜は、水路が町を横切り清楚な風情を湛えていた。
奥羽山脈から発した川が海へと到達する様を2つ眺めた。
ここに来るのは10年振りくらいになるだろう。
大勢できたよ。
探せば写真も出てくるだろう。
ここで名物の蒲鉾を購入して鳴子温泉へ向かったんだ。
駅前は9月の津和野のように大変な人波だ。
さすがに天下の観光地、松島。
仕事でお世話になった、お得意先のTさんがご結婚の前に牡蠣を食べに行くと言ってこの町に下りている。
彼女は今シンガポールにいる。
以前はどこかの番組でスポーツキャスターを務めていた彼女は、これまでに出会った誰よりも素敵な女性だった。
ここは、高台にあるホームからの眺めがいい。
そのことに気づいている人はあまりいないようだ。
さっきまで間近で松島を見てきたわけだから、ムリもないか。


13:24 本塩釜(ほんしおがま)駅(仙石線 宮城県)
松島へ、松島へ。
人々の足が向く。
「杜とさかなのまち」塩釜で降りる。
歩き甲斐がありそうな街だったが、駅前を一巡するだけに止める。
今回は時間がない。
美味いものを食べさせる店もあるけれど、オレの興味はそこにもない。
仙台までの立ちっ放しを覚悟していたけれど、東塩釜始発の列車がやってきた。
この偶然はうれしい。
松島海岸~塩釜のドル箱区間を過ぎると、仙石線は高架から地上へと下りた。


14:10 仙台(せんだい)駅(東北・秋田新幹線/東北本線/常磐線/仙山線/仙石線/仙台空港線/仙台市地下鉄東西線/仙台市地下鉄南北線 宮城県)
仙石線は加速して、いくつもの駅に次々に止まって地下へと入り、あっという間に仙台。
そのまま終着駅のあおば通まで乗り過ごして、歩いて仙台駅に戻る。
仙台は夜より昼の方が街が大きく見える。
駅の賑わいは他の東北のどの街よりも圧倒的で、感覚的には東京と変わらない。
昼飯に牛タン弁当を購入する。
乗客数の多い区間で食べるのは気が引けるが、東北本線と分かれる岩沼を過ぎれば空くだろう。
石巻を出てからずっと、文句のない晴天が続いている。

15:12 駒ヶ嶺(こまがみね)駅(常磐線 福島県)
牛タン弁当を食べ終えて、
平板な風景が続いている。
乗る者のない駅で4分停車。
列車はいつの間にか福島県に入っている。

15:43 原ノ町(はらのまち)駅(常磐線 福島県)
隣の車両で、まるで猿のように吊革を使って向かいの座席シートに飛び移る者の姿が目に飛び込んだ。
高校生だ。
いいだろう。
誰にも迷惑はかけていないし、靴は脱いでいる。
3年前、北の町に着いたと記した町。
印象が強かったのだろう。
駅前の風景はしっかり記憶に残っていた。
ここで、いわき行に乗り継ぐ。

16:02 桃内(ももうち)駅(常磐線 福島県)
列車行き違い4分の停車。
ひとつ手前の小高駅では大勢が降りている。
小高い場所から集落を見下ろす位置にいる。
それと分かる鉄道オタクの姿を見かけると、オレはどう見えているのだろうと思う。
あと30分もすれば、海が見えてくるだろう。

17:29 いわき駅(常磐線 福島県)
いわきで日が暮れた。
橋上駅舎に生まれ変わるため工事中だった。
それに伴ってロータリーも柵で囲われ、いろいろなものがなくなった気がする。
3年前は2月だった。
寒い季節だ。
これで、かつて平駅といった頃の記憶は完全に消滅して、友と待ち合わせた場所も姿を変えた。
月日とはそういうもの。
なくしたら、また造ればいい。
そんな新たな足跡をほんの少しだけ残して、この旅最後の寄港地を後にした。
土浦までの長距離列車に乗っている。

19:47 石岡(いしおか)駅(常磐線 茨城県)
4年前のクリスマス・イブ。
この駅に降りている。
当時は健在だった鹿島鉄道に鉾田から乗って、この町に着いた。
駅から坂道を上がって、一回りして駅に戻り、何かの事情で止まっていた列車の到着をコーヒーを飲みながら待った。
その夜、彼女からメールが届いた。
とても重要な事実だ。
今は特急の通過待ちで6分の停車。
これは、あの日のことを思い出させるために仕組まれたことか。
改札を出たら、ここでも駅舎は工事中。
「また工事中か」
深い意味もなくそう呟いて、土浦行に戻った。
跨線橋を渡る風が冷たくて、オレはこの秋最初の寒さを感じた。

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