*

「鉄旅日記」2009年秋 最終日(新庄-東京)その2-女川、渡波、松島海岸、本塩釜、仙台、駒ヶ嶺、原ノ町、桃内、いわき、石岡(石巻線/仙石線/常磐線) 【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2009年

鉄旅日記2009年10月11日・・・女川駅、渡波駅、松島海岸駅、本塩釜駅、仙台駅、駒ヶ嶺駅、原ノ町駅、桃内駅、いわき駅、石岡駅(石巻線/仙石線/常磐線)

2009・10・11 11:10 女川(おながわ)駅(石巻線 宮城県)
潮騒と海猫日本一のまち。
じきにSLがやってくる。
沿線の騒ぎはそのためだ。

朝早くからその瞬間を待ちわびた大勢がいる。
そして祭はここ女川で大団円を迎える。

女川港でしばしたたずむ。
海辺の町では、これがしたいのだといつも思う。
愛する人でもいれば、そこでその女性を想いたいと思う。

女川はそんな町だった。
家の前に出ていた毬栗頭の小さな男の子が、とびっきりの笑顔で挨拶してくれた。

素晴らしい終着駅だ。
線路が尽きた先に駅舎がある。
この駅の構造が好きだ。
3年前に寄った時には理由もなくうれしくて、ホームへと上がるあの階段を何度も上り下りしたものだ。

石巻に戻る列車に乗っている。
列車は湾に沿うように走り、牡鹿半島へと渡る橋が見える。

女川湾にて

11:35 渡波(わたのは)駅(石巻線 宮城県)
SLとの行き違い待ちで6分の停車。
幸運だ。

かつて仲間と入った寿司屋はこの駅につながる商店街にある。
オレは特にSLに興味を持たないが、それを見るためにたくさんの人々が集まっている。
村祭りでもここまでの騒ぎにはならないのではないか。
SLというのは、ここまでの人気を誇るものか。

今やってきた。

12:49 松島海岸(まつしまかいがん)駅(仙石線 宮城県)
石巻に戻り、仙石線に乗る。

途中の野蒜は、水路が町を横切り清楚な風情を湛えていた。

奥羽山脈から発した川が海へと到達する様を2つ眺めた。

ここに来るのは10年振りくらいになるだろう。
大勢できたよ。
探せば写真も出てくるだろう。
ここで名物の蒲鉾を購入して鳴子温泉へ向かったんだ。

駅前は9月の津和野のように大変な人波だ。
さすがに天下の観光地、松島。

仕事でお世話になった、お得意先のTさんがご結婚の前に牡蠣を食べに行くと言ってこの町に下りている。
彼女は今シンガポールにいる。
以前はどこかの番組でスポーツキャスターを務めていた彼女は、これまでに出会った誰よりも素敵な女性だった。

ここは、高台にあるホームからの眺めがいい。
そのことに気づいている人はあまりいないようだ。
さっきまで間近で松島を見てきたわけだから、ムリもないか。

13:24 本塩釜(ほんしおがま)駅(仙石線 宮城県)
松島へ、松島へ。
人々の足が向く。

「杜とさかなのまち」塩釜で降りる。
歩き甲斐がありそうな街だったが、駅前を一巡するだけに止める。
今回は時間がない。
美味いものを食べさせる店もあるけれど、オレの興味はそこにもない。

仙台までの立ちっ放しを覚悟していたけれど、東塩釜始発の列車がやってきた。
この偶然はうれしい。

松島海岸~塩釜のドル箱区間を過ぎると、仙石線は高架から地上へと下りた。

14:10 仙台(せんだい)駅(東北・秋田新幹線/東北本線/常磐線/仙山線/仙石線/仙台空港線/仙台市地下鉄東西線/仙台市地下鉄南北線 宮城県)
仙石線は加速して、いくつもの駅に次々に止まって地下へと入り、あっという間に仙台。
そのまま終着駅のあおば通まで乗り過ごして、歩いて仙台駅に戻る。

仙台は夜より昼の方が街が大きく見える。
駅の賑わいは他の東北のどの街よりも圧倒的で、感覚的には東京と変わらない。

昼飯に牛タン弁当を購入する。
乗客数の多い区間で食べるのは気が引けるが、東北本線と分かれる岩沼を過ぎれば空くだろう。

石巻を出てからずっと、文句のない晴天が続いている。

15:12 駒ヶ嶺(こまがみね)駅(常磐線 福島県)
牛タン弁当を食べ終えて、
平板な風景が続いている。

乗る者のない駅で4分停車。

列車はいつの間にか福島県に入っている。

15:43 原ノ町(はらのまち)駅(常磐線 福島県)
隣の車両で、まるで猿のように吊革を使って向かいの座席シートに飛び移る者の姿が目に飛び込んだ。
高校生だ。

いいだろう。
誰にも迷惑はかけていないし、靴は脱いでいる。

3年前、北の町に着いたと記した町。
印象が強かったのだろう。
駅前の風景はしっかり記憶に残っていた。

ここで、いわき行に乗り継ぐ。

16:02 桃内(ももうち)駅(常磐線 福島県)
列車行き違い4分の停車。
ひとつ手前の小高駅では大勢が降りている。

小高い場所から集落を見下ろす位置にいる。

それと分かる鉄道オタクの姿を見かけると、オレはどう見えているのだろうと思う。

あと30分もすれば、海が見えてくるだろう。

17:29 いわき駅(常磐線 福島県)
いわきで日が暮れた。

橋上駅舎に生まれ変わるため工事中だった。
それに伴ってロータリーも柵で囲われ、いろいろなものがなくなった気がする。

3年前は2月だった。
寒い季節だ。

これで、かつて平駅といった頃の記憶は完全に消滅して、友と待ち合わせた場所も姿を変えた。
月日とはそういうもの。
なくしたら、また造ればいい。

そんな新たな足跡をほんの少しだけ残して、この旅最後の寄港地を後にした。

土浦までの長距離列車に乗っている。

19:47 石岡(いしおか)駅(常磐線 茨城県)
4年前のクリスマス・イブ。
この駅に降りている。

当時は健在だった鹿島鉄道に鉾田から乗って、この町に着いた。
駅から坂道を上がって、一回りして駅に戻り、何かの事情で止まっていた列車の到着をコーヒーを飲みながら待った。

その夜、彼女からメールが届いた。
とても重要な事実だ。

今は特急の通過待ちで6分の停車。
これは、あの日のことを思い出させるために仕組まれたことか。

改札を出たら、ここでも駅舎は工事中。
「また工事中か」
深い意味もなくそう呟いて、土浦行に戻った。

跨線橋を渡る風が冷たくて、オレはこの秋最初の寒さを感じた。

関連記事

「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その1-盛岡、仙北町、花巻、遠野、足ヶ瀬(東北本線/釜石線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月22日・・・盛岡駅、仙北町駅、花巻駅、遠野駅、足ヶ瀬駅(東北本線/釜石線)

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その2-中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢湾フェリー) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月24日・・・中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その2-川原湯温泉、岩島、群馬藤岡、高麗川、拝島、昭島、中神、武蔵溝ノ口、武蔵中原、鹿島田、尻手(吾妻線、八高線、青梅線、南武線) 【青春18きっぷで、ダム湖に水没する鉄路へ】

鉄旅日記2012年4月1日その2・・・川原湯温泉駅、岩島駅、群馬藤岡駅、高麗川駅、拝島駅、昭島駅、中

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その1 ‐金町、桜木町、関内、新杉田(常磐線/京浜東北・根岸線) 【金沢シーサイドライン、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・金町駅、桜木町駅、関内駅、新杉田駅(常磐線/京浜東北・根岸線)

記事を読む

「車旅日記」2000年春 初日(東京‐足利‐鬼怒川‐会津若松‐新潟豊栄)その2‐足利郊外ポテチーノ、下今市駅、鬼怒川ホテルニュー岡部、上三依塩原駅、会津若松駅、津川町、道の駅豊栄 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月3日 15:12 293号国道‐足利郊外ポテチーノ 108㎞ 繁華街を抜ける

記事を読む

「車旅日記」2004年秋 番外編(京都で過ごす日)-四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅、京都駅 【瀬戸内から山陰へ。そんな旅がしたかったのでございます。】

車旅日記番外編2004年11月23日・・・四条大宮駅、嵯峨駅前駅、嵯峨嵐山駅、京福嵐山駅、阪急嵐山駅

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏 初日(東京-富山)-大垣、田村、近江塩津、敦賀、越前花堂、美山、九頭竜湖、越前大野、福井、美川、金沢、津幡(東海道本線、北陸本線、越美北線) 【青春18きっぷで、福井・石川途中下車旅】

鉄旅日記2012年8月25日・・・大垣駅、田村駅、近江塩津駅、敦賀駅、越前花堂駅、美山駅、九頭竜湖駅

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 初日(佐賀空港-別府)走行距離254㎞その1-葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月11日・・・葛飾金町、羽田空港、佐賀空港、佐賀駅、神埼駅、鳥栖駅、筑前内野駅

記事を読む

「鉄旅日記」2021年夏 初日(東京-上田)その2 ‐湯檜曽、水上、越後湯沢、六日町(上越線/北越急行ほくほく線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

鉄旅日記2021年7月10日・・・湯檜曽駅、水上駅、越後湯沢駅、六日町駅(上越線/北越急行ほくほく

記事を読む

「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田

車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気です

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その3 ‐尾盛、千頭、金谷、静岡(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/くれたけインプレミアム静岡駅前 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・尾盛駅、千頭駅、金谷駅、静岡駅(大井川鐡道

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その2 ‐奥大井湖上、接岨峡温泉(大井川鐡道井川線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・奥大井湖上駅、接岨峡温泉駅(大井川鐡道井川

→もっと見る

    PAGE TOP ↑