*

「鉄旅日記」2017年夏 最終日(十三-東京)その2-野洲、米原、神領、定光寺、中津川、塩尻、岡谷、日野(東海道本線/中央本線)【私鉄王国で過ごす夏】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2017年

鉄旅日記2017年8月14日・・・野洲駅、米原駅、神領駅、定光寺駅、中津川駅、塩尻駅、岡谷駅、日野駅(東海道本線/中央本線)

9:44 野洲(やす)駅(東海道本線 滋賀)
車窓から好きな景色を撮ろうと試みる。
でも鴨川も瀬田川も、思うように撮れなかった。
修行が足りない。

京都から乗った新快速は野洲止まり。

高校サッカー全国制覇の町に降りるのは2度目になる。

富士山形の三上山は全山緑に覆われている。

琵琶湖は遠く、比叡の山並はここからじゃ見えない。

いま角ハイボールを手にして、車窓に広がる田園風景を眺めている。

あの山並みの先に近江鉄道が走り、中山道がある。

安土を過ぎて、琵琶湖との距離が最も遠くなる。

野洲駅前風景

車窓から眺める鴨川

車窓から眺める瀬田川

車窓から湖西を望む

10:23 米原(まいばら)駅(東海道新幹線/東海道本線/北陸本線/近江鉄道本線 滋賀県)
琵琶湖線区間を新快速に乗らなかったのは、かなり稀なことだ。

田園を眺め、一昨日の能登川を偲び、さらに石田三成の居城佐和山城跡を通る際には、関ヶ原合戦の翌日から始まった佐和山攻め、そして落城の様を想った。

関ヶ原で、史上最大とも言える裏切りを行った小早川秀秋が先鋒となって押し寄せた佐和山攻め。

天下分け目の合戦には、ひとつの小説ではとても描きれないほど、数多くの人生を賭けた戦いがある。

赤ん坊の泣き声が聞こえる。

沖縄戦では居場所が知られるのを恐れた兵隊が、そんな赤ん坊から息をする機会を永遠に奪ったことがあったという。

耐えがたい話しだ。

未来には希望と不安が同居している。
その不安に押し潰されないように心を強くしたい。

オレが旅を始めた理由の中には、そんな思いも含まれる。

様々思う夏の旅。

車窓から眺める近江路

12:32 神領(じんりょう)駅(中央本線 愛知県)
大垣で乗り継ぎ、名古屋で中央本線に乗り換え、中津川ライナーで高蔵寺。

ひと駅戻り、ここ神領駅へ。

神領には普通列車しか停車しないため、ややこしいことをしているが、オレの駅旅では珍しいことじゃない。

低い家並みは疎らで、ロータリーを囲むのはコンビニと居酒屋が1軒ずつ。

名古屋郊外の風景とはこのようなものか。

13:05 定光寺(じょうこうじ)駅(中央本線 愛知県)
初めて名古屋から中央本線に乗って、この駅周辺の車窓風景を見た時には驚いたものだ。

そしていつか降りてみたいと思った。
それから10数年。

思いは叶う。
それなら、いっそのこともっと大きくでよう。

玉野川渓谷が轟々と川音を響かせている。

ここで降りたのはオレを含め4人の男たち。

ホームから長く湿った階段を下りていく。

ひとりは、オレと同じようにリュックを背負った初老の紳士。
道端の草花に触れて歩いている。

残り2名は知らずのうちに姿を消している。

渓谷に沿って、みすぼらしく見える軒先がいくつか連なる。
生活者の気配はあまり感じられない。

次の列車の到着まで20分。
所を得ず、ホームに戻ってウィスキーハイボールを開ける。

名古屋方面のホームに別の男が二人。

こんな駅で見掛けるのは、たいていひとりで行動する男。

男とは、そういう生き物か。




14:21 中津川(なかつがわ)駅(中央本線 岐阜県)
西へ行ったら、帰りは木曽路をとる。

行楽シーズンはこうして全席が埋まる。
だからと言ってJRは増結などしない。
折り込み済みさ。

それでこうして整理券箱をカウンターにして飲む。

おにぎりやサンドイッチを頬張る美人と、角度的にちょくちょく目が合うことになった。

足が痛むが、悪くはない。

中津川駅前風景

16:45 塩尻(しおじり)駅(中央本線/中央本線辰野支線/篠ノ井線 長野県)
木曽路で、気に入った駅に降りるつもりが、列車の遅れや降雨により断念。

信州限定野沢菜漬けと、ついでにビールを購入。

取り敢えず飯田行き快速に乗ったが、次の行動を決めかねている。

計画より1時間早い。

17:08 岡谷(おかや)駅(中央本線/中央本線辰野支線/飯田線 長野県)
中央本線に遅れが発生している。
行楽シーズンになると、こうなる。
普段の感覚じゃさばききれないのだろうな。

最近は外国人観光客も多い。
さっきは無茶を言ってるオバサンがいた。
後ろには列ができていた。

なぜか岡谷は、駅旅を重ねるオレを寄せ付けない時刻表設定がされた駅で、なかなか降りる機会を持てずにいた駅だった。

駅は新しくなっていた。
駅前風景は記憶と大差ない。

35年前に岡谷東が長野県代表として甲子園に行き、1回戦を勝ち抜き、2回戦は確か延長の末に破れた。

4番を打っていたのが有賀選手。
そう、オレの姓は諏訪あたりを発祥としている。

残念ながら、大会を通じて彼のバットが火を吹くことはなかった。

21:04 日野(ひの)駅(中央本線 東京都)
列車の遅れに苦しんだ今回の旅。

ここ日野が最後になる。

武蔵野線に乗り換える西国分寺には、さっきまで乗っていた中央特快は止まらない。
乗り換えの必要があり、降りたことのない日野駅を選んだ。

車で旅してた頃には、何度かこの駅が登場する。

甲州街道を走ってきて、ここには比較的車を止めやすいロータリーがあるから。

小さな和風駅舎は、甲州街道の旅情そのままの姿をしていた。

関連記事

「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その3-笹川、外川、犬吠、犬吠埼、銚子、椎柴、松岸(成田線/銚子電鉄)【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月22日・・・笹川駅、外川駅、犬吠駅、銚子駅、椎柴駅、松岸駅(成田線/銚子電鉄)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その5‐筑豊直方、直方、筑前大分、城戸南蔵院前、柚須(筑豊電気鉄道/筑豊本線/篠栗線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月14日・・・筑豊直方駅、直方駅、筑前大分駅、城戸南蔵院前駅、柚須駅(筑豊電気

記事を読む

「車旅日記」1998年春 最終日(鳴子温泉-郡山-東京)-鳴子サンハイツ、川渡温泉駅、槻木駅、道の駅安達、郡山文化センター前、那須公営パーキング、黒磯PA、佐野SA、大井PA、東京町田 【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】

車旅日記1998年5月4日 1998・5・4 8:47 鳴子サンハイツ 連休中初めての日差しだ。

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 初日(東京-倉敷)その1-東京、円町、園部、安栖里、山家、市島、柏原、谷川、西脇市、粟生(東海道新幹線/山陰本線/福知山線/加古川線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月21日・・・東京駅、円町駅、園部駅、安栖里駅、山家駅、市島駅、柏原駅、谷川駅

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 3日目(鹿児島中央-西鉄柳川)その1-指宿、枕崎、入野、開聞、山川、喜入、瀬々串、慈眼寺、南鹿児島、郡元(指宿枕崎線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月14日その1・・・指宿駅、枕崎駅、入野駅、開聞駅、山川駅、喜入駅、瀬々串駅、慈

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 2日目(黒磯-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月3日・・・末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイー

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初秋 2日目(羽咋-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】

鉄旅日記2008年9月14日・・・松任駅、小松駅、あわら湯のまち駅、三国港駅、福大前西福井駅、田原町

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春 最終日(水沢-東京)その1-水沢、花巻、遠野、陸中大橋、小佐野、釜石、恋し浜、盛(東北本線、釜石線、三陸鉄道南リアス線) 【東日本大震災被災地へ】

鉄旅日記2016年3月6日その1・・・水沢駅、花巻駅、遠野駅、陸中大橋駅、小佐野駅、釜石駅、恋し浜駅

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 4日目(西鉄柳川-広島)その2-田川後藤寺、糸田、糒、金田、門司港、厚狭、湯ノ峠、四郎ヶ原、南大嶺、美祢(平成筑豊鉄道糸田線、平成筑豊鉄道伊田線、鹿児島本線、美祢線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月15日その2・・・田川後藤寺駅、糸田駅、糒駅、金田駅、門司港駅、厚狭駅、湯ノ峠

記事を読む

「車旅日記」1998年夏 初日(東京-伊那-木曽)-東京町田、相模湖駅、鳥沢駅、道の駅甲斐大和、勝沼、長坂、伊那市駅、道の駅日義 木曽駒高原 【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】

車旅日記1998年7月18日 1998・7・18 12:48 東京町田 久しぶりに空がよく晴れてい

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その2 ‐文挟、鹿沼、鶴田、宇都宮(日光線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・文挟駅、鹿沼駅、鶴田駅、宇都宮駅(日

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑