*

「鉄旅日記」2013年春 最終日(和歌山-東京)その2-海老江、野田、吹田、摂津富田、向日町、西大路・・・(東西線、大阪環状線、東海道本線) 【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】

公開日: : 最終更新日:2025/06/16 旅話, 旅話 2013年

鉄旅日記2013年4月7日その2・・・海老江駅、野田駅、吹田駅、摂津富田駅、向日町駅、西大路駅(東西線、大阪環状線、東海道本線)

海老江(えびえ)駅(東西線 大阪府)にて

新橋筋入口にて

11:31 野田(のだ)駅(大阪環状線 大阪府)
京橋から地下を往く東西線で、北新地で降りて大阪駅まで歩くつもりでいたけど、予定を変更。尼崎へ。

爆弾低気圧は今日も東海道本線で騒ぎを巻き起こし、慌てて乗ったのは折り返しの京橋行。

海老江で降りて阪神駅を横目に新橋筋を抜けて野田駅まで歩く。
今回は味わうつもりのなかった大阪中心街と思いがけず再会した。

大阪の賑やかなあたりはたいてい上野浅草を想起させる。
銀座や丸の内をオレはまだ大阪の中に見たことはない。

大阪環状線を走る客車が懐かしい。
かつて都内を走っていた山手線や中央線と同型と思われるものだったりする。

そしてこのあとの計画がまたもや白紙になった。

12:00 吹田(すいた)駅(東海道本線 大阪府)
大阪駅で東海道本線に乗り換える。

「鉄道の街」に選ばれた街の駅は、格式ある駅舎の代表格のような代物だ。
歩道橋を下りると旭町商店街が続いている。

もう13年前。
当時恋人だった京都の女性を深夜の四条烏丸交差点で拾い、祇園でカラオケをやった後に埃っぽい朝の京都郊外に見放され、大阪大に勤めにいく彼女を送ったのがここ吹田駅だった。
車からしばらく眺めていたよ。
彼女の後ろ姿と駅を。

特別な時代だった。
でも、と思う。
今の生活こそオレの人生史上もっとも特別なものじゃないかと思う。

どんな時代を思い出しても、かつてどんなに愛した女性を思い出しても、そうなる。
そういう結論になる。

切なさと胸苦しさは残るし、特に新橋での事は最近のことだから尚更で、あれは確かに実際起こったことなんだと最近じゃ懐かしく思ったりもする。

でもこうして、オレの特別な時代はつづいていく。
なんて素晴らしいことなのろう。

12:20 摂津富田(せっつとんだ)駅(東海道本線 大阪府)
織田信長が「足利最後の将軍」15代義昭や、石山本願寺と事を構えた軍記物にこの地名が何度か登場したことを思い出している。

改札からの階段を下りると、たこ焼きぺちゃ焼きの「あほや」から阪急駅に向かって商店街が伸びている。
飾りのない庶民の町だった。

列車に乗り込むと、長大な貨物列車がまるで競争をするかのように横を走っている。
その競争は、この列車の高槻駅到着とともに勝負がついた。

12:42 向日町(むこうまち)駅(東海道本線 京都府)
平安京の外れに位置する町。
阪急駅とつかず離れずの距離をとり、駅前にはほぼ商店は見当たらない。

かつて世話になったエルメのマスターはこの町から祇園に通っていた。
今もお元気でいらっしゃるだろうか?
五山の送り火の日。
あの祇園の狭い路地を出たところから北を眺めていたお姿を思い出す。

恋人だった京都の女性ともあの日が最後だったか。
輝かしかった記憶も、今じゃすっかり曖昧なものになった。

12:51 西大路(にしおおじ)駅(東海道本線 京都府)
京都の街外れ。

オレのイメージの上での話だが、駅という存在がその周囲に持ち合わせているべき商店街などはここにはほぼ見当たらない。

ただ、オレの中で京都という街は広がりを見せ、この場所に京都という街が持つ寂しさを見た。
それはどの街にも分け隔てなく存在するもので、京都を貶める発言をしたとは思っていない。

何年もの歳月を愛し続けた女性がかつてこの街で暮らし、オレもまたこの街を愛した。
あれから、甲子園で行われる高校野球では春も夏も京都代表を真っ先に応援している。

彼女は今月15日で37歳になる筈だ。
幸せであってほしいと願っている。

東海道本線で米原、大垣で乗り継ぎ、豊橋まで進んだところで、爆弾低気圧の影響で上り下りとも在来線はストップ。
新幹線は動いているとのアナウンスを聞いて東海道新幹線へ乗り換え。
静岡から先は在来線も動いているとのことなので、静岡までの特急券を購入。

17:39 豊橋(とよはし)駅(東海道新幹線/東海道本線/飯田線/名鉄本線 愛知県)より新幹線内
強風によって澄み渡った空と景色を眺めている。
富士山は浜松の手前から見えて、浜名湖あたりはことのほか美しかった。
旅の最中もさまざまなことが起こる。
それが人生。

18:26 静岡(しずおか)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
無風の中での狂騒曲。
ホームは人であふれ、希望は見えない。
人々は押し黙って表情に疲労を漂わせながら、整然と並んでいる。

新幹線での豊橋掛川間の眺めは素晴らしいものだった。
思えば新幹線であんなにも悠然と腰掛けて景色を眺めたことはなかった。
それこそ京都に通っていた時代には何度も利用したが、印象に残っていた景色が熱海の夜景だけだなんて、まるで笑い話だ。

新幹線は平時運行なのに、なぜ在来線利用者はこんな目に遭わなければならないのか。
乗り換えるまでは満足していたが、この状況下では一言必要だ。
動く動くと言うが、一体いつまで待てばいいのか。
なぜ新幹線車内で現在の在来線の運行状況を知らせてくれなかったのか。

こんなに晴れ渡った今、それほどまでに先行きの見通しとは立たないものなのか。。

21:11 平塚茅ヶ崎間
熱海で乗り継ぎ、平塚で池袋を通る湘南新宿ラインに乗り換える。

平塚まで乗っていた東京行が踏切に侵入した車と衝突、脱線。この列車もこの中途半端な地点でストップ。

一日の内にこうまでどうしようもない事態が東海道本線を襲ったことはかつてあったのだろうか。
ぶつけようのない怒りに震えて、読書をしようにも身が入らず、まったく何をする気にもなれない。
せっかく湘南新宿ラインに乗り換えてすべてがうまくいきかけていたのに。
予定よりほんの少しだけ早く帰り着いて一杯やるという、ささやかすぎる望みさえ失われた夜。
この憤りはしばらく収まりそうにない。

この列車はこれから平塚に戻るという。

平塚からJRが手配したバスで茅ヶ崎に移動して相模線で八王子へ。
八王子から中央線に乗り換えて三鷹で降りる。

三鷹では日付が変わっていた。

2013・4・8 1:41 自宅
三鷹から走って練馬の自宅に帰る。
約30分。
通行人も警官も振り向く中を脇目もふらず走る。

一向に動かない車中では、まだまだ心の修行が足りないことを思い知ったが、最後にこうして走って帰ったことで、誇れるようなものじゃないけど、物語にはなった。

爆弾低気圧の中を出かけた様はこのとおり。
明日は普通に仕事に出かける。

関連記事

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その1 ‐金町、桜木町、関内、新杉田(常磐線/京浜東北・根岸線) 【金沢シーサイドライン、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・金町駅、桜木町駅、関内駅、新杉田駅(常磐線/京浜東北・根岸線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯(常磐線/東北本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅(常磐線/東北本線)

記事を読む

「車旅日記」1996年秋 2日目(新潟‐鳴子温泉) 道の駅豊栄、道の駅朝日、道の駅温海、象潟駅-茶房くにまつ、蚶満寺、九十九島、矢島、鳴子サンハイツ 【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】

車旅日記1996年11月2日 1996・11・2 8:17 7号国道‐豊栄(道の駅) よく眠れたよ

記事を読む

「鉄旅日記」2007年新春 最終日(金沢-東京)-金沢城址、金沢、倶利伽羅、黒部、直江津、長野、東京(北陸本線/信越本線/長野新幹線) 【本格的に鉄旅が始まりまして、まずは冬の北陸を目指したのでございます。】

鉄旅日記2007年1月8日・・・金沢駅、倶利伽羅駅、黒部駅、直江津駅、長野駅、東京駅(北陸本線/信越

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】最終日(観音寺-東京)-観音寺、宇多津、岡山、瀬戸、高槻、山崎、名古屋、豊橋、掛川、熱海、金町(予讃本線/瀬戸大橋線/山陽本線/東海道本線)

鉄旅日記2009年5月6日・・・観音寺駅、宇多津駅、岡山駅、瀬戸駅、高槻駅、山崎駅、名古屋駅、豊橋駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月 最終日(釜石-東京)その4‐安積永盛、鏡石、須賀川、新白河、黒磯、宇都宮(東北本線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月24日・・・安積永盛駅、鏡石駅、須賀川駅、新白河駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初夏 2日目(和歌山-松阪)その1-和歌山市、和歌山、海南、西御坊、御坊、紀伊田辺、白浜(紀勢本線/紀州鉄道) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】

鉄旅日記2008年7月20日・・・和歌山市駅、和歌山駅、海南駅、西御坊駅、御坊駅、紀伊田辺駅、白浜駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その4‐南風崎、ハウステンボス、早岐(大村線)/小佐々弾正・甚五郎塚 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・南風崎駅、ハウステンボス駅、早岐駅(大村線)/小佐々弾正・甚五郎

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その4‐太秦、撮影所前、帷子ノ辻、保津峡、千代川(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月23日・・・太秦駅、撮影所前駅、帷子ノ辻駅、保津峡駅、千代川駅(山陰本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 最終日-安房勝山、君津、木更津、上総亀山、蘇我(内房線/久留里線/京葉線) 【鉄道旅に目覚め、1泊2日で房総半島にまいりました。】

鉄旅日記2006年2月5日・・・安房勝山駅、君津駅、木更津駅、上総亀山駅、蘇我駅(内房線/久留里線/

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その5 ‐東浦和、東川口、吉川、吉川美南、南流山(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】/江戸川堤菜の花絶景

2022年3月21日・・・東浦和駅、東川口駅、吉川駅、吉川美南駅、南

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

→もっと見る

    PAGE TOP ↑