*

「鉄旅日記」2013年春【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】最終日(和歌山-東京)その1-打田、妙寺、高野口、橋本、五条、吉野口、法隆寺、平城山、木津、京田辺、四條畷、住道(和歌山線、関西本線、学研都市線)

公開日: : 最終更新日:2024/06/03 旅話, 旅話 2013年

鉄旅日記2013年4月7日その1・・・打田駅、妙寺駅、高野口駅、橋本駅、五条駅、吉野口駅、法隆寺駅、平城山駅、木津駅、京田辺駅、四條畷駅、住道駅(和歌山線、関西本線、学研都市線)

早朝、和歌山(わかやま)駅(紀勢本線/阪和線/和歌山線/和歌山電鐵 和歌山県)にて

2013・4・7 6:04 打田(うちた)駅(和歌山線 和歌山県)
2分の停車。
紀ノ川を渡り数駅。
小ぶりの石庭が置かれた駅だった。
木造の駅前と田舎の空。
不意に山塊が起ち現れ、雨の上がった朝の空気に霞んでいる。

そして粉河でまたひと降り。

張り出した低気圧は世界に安定を許さない。

6:32  妙寺(みょうじ)駅(和歌山線 和歌山県) 
3分の停車。
世界遺産丹生都比売神社参詣駅とある。

まだ営業前の朝の村で、急いで列車に戻り、不覚だが駅前風景を覚えていない。
車窓風景に変化は見られない。

空は明るいが、雨は降り止まない。

6:42 高野口(こうやぐち)駅(和歌山線 和歌山県)
3分の停車。

高野山と聞いて、かつて寄ったあの堂塔伽藍を思い出す。
世界の高野山。
ある者は流され、あの者は自ら上がり歴史から消えた遥かなる聖域。

麓の玄関口に古く格調高い駅があった。

和歌山から乗ってきた野球少年たちは降り、オレは元旅館と思われる駅前の古い建物を見上げる。

初老の駅員にも威厳があり、旅情は最高点に達した。

7:02 橋本(はしもと)駅(和歌山線/南海高野線 和歌山県)
10数分の停車。

南海高野線との接続駅。
前回寄った時は、確か駅前のあの石段で少女たちが遊んでいたっけな。

和歌山以来の街で、紀ノ川へとつながる駅前通りから路地へと曲がり歩く。
そこには古くからの生活と商売があった。
豆腐屋の姿を記憶している。
またひとつ想い出の街に戻った。

南海乗場からは少しイカれた男の怒鳴り声が聞こえていた。


7:25 五条(ごじょう)駅(和歌山線 奈良県)
数分の停車。

柿の葉寿司は土産としてどうだろう。
雅な売店の前でしばしたたずんだ。

古い旅館に料理屋。
歴史を感じさせる街並みに5年前に寄った時とは違う感慨を持った。

朝に降る静かな雨。
そう、歴史の雨。
幕末騒動はここ五条の代官所を襲撃した天誅組の挙兵から始まり、紀ノ川の渡しには廃線跡の表示と島原の乱の原因を作った松倉重政の墓があった。

8:44 吉野口(よしのぐち)駅(和歌山線/近鉄吉野線 奈良県)
数分の停車。

吉野の山から近鉄線が下りてくる。
ここ吉野でもまた歴史の雨が降った。
そぼ降る雨の中を、木材の町にかつて車寅次郎がいた痕跡を探した。

地元民にとっては田舎の風景だろうが、オレには里山の風景だ。
癒やされるという言葉はあまり好きじゃないが、今オレはそんな状態でいる。

8:35 法隆寺(ほうりゅうじ)駅(関西本線 奈良県)
王寺で関西本線に乗り換える。

古の里に降りた優しい雨が、斑鳩の里で冷たい雨に変わった。
聖徳太子ゆかりの日本最古の木造建築物はここから約1.5キロの地点にあり、駅前にはチープな商店街がある。

大学時代にしばし思いを寄せた女性に似た素敵な人を見かけ、かつてそんな女性をデートに誘っていた時代があったことを思い出した。
今じゃそう思い返すこともないが、大切な記憶だ。
何だか信じられないような気持ちになる。

このあたりの景色はあまり記憶に残りそうにない。

9:10 平城山(ならやま)駅(関西本線/奈良線 奈良県)
丘の電車区の先に新興住宅地があった。

野球少年に休日はなく、昨日今日とよく見かける。

奈良駅でまたさっきの女性と乗り合わせる。彼女は京都へ向かう。

車もあまり通らない駅前に商店街はなく、そぼ降る冷たい雨に震えている。

いや、さっきとは違う女性だった。
彼女はミニスカートをとてもチャーミングに着こなしていたんだ。

9:20 木津(きづ)駅(関西本線/奈良線/学研都市線 京都府)
学研都市線に乗り換える。

初めて通った時には古戦場を思わせた野原に家が建ち、変貌を続けていた木津駅は完成し、現代アートを思わせる新駅舎に生まれ変わっていた。

商店の少ない寂しい駅前通りには変化がなかった。

9:41 京田辺(きょうたなべ)駅(学研都市線 京都府)
数分の停車。
同志社大の街だ。

平和堂が迎える駅前広場に街を見る。
近鉄駅に向かう道筋が透き通って見えた。

近鉄線とはこの街で袂を分かち、河内平野へ向かう。

都会が近づくと人恋しくなる。

10:15 四条畷(しじょうなわて)駅(学研都市線 大阪府)
数分の停車。

楠木正行最期の地。
圧倒的なまでに劣勢な戦場に、彼はとても華やかな姿で現れたという。

かつての古戦場の面影はどこにもなく、学園街として人々のざわめきにあふれている。

どうでもいいことだが、この路線にはオールタイム女性専用車両が導入されている。

小楠公はここから約200メートルの所に眠っている。

10:30 住道(すみのどう)駅(学研都市線 大阪府)
数分の停車。

大東市とは東京じゃなかなか聞かない地名だ。
駅前を流れる水路に「大阪ビッグリバーブルース」や「悲しい色やね」を重ねる。

川を渡ると街並みが続いていた。
オレの未来には、尽きることなく未知の街が存在している。

関連記事

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】初日(東京-多治見)その4-古虎渓、釜戸、美乃坂本、多治見(中央本線)

鉄旅日記2019年3月23日・・・古虎渓駅、釜戸駅、美乃坂本駅、多治見駅(中央本線) 18:23 古

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】4日目(佐賀-松浦)その2-大村、竹松、早岐、佐世保、佐世保中央、中佐世保、左石、佐々、たびら平戸口、松浦(大村線/佐世保線/松浦鉄道)

鉄旅日記2009年9月21日・・・大村駅、竹松駅、早岐駅、佐世保駅、佐世保中央駅、中佐世保駅、左石駅

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その2-雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖、さるふつ公園、宗谷岬、稚内駅

車旅日記2004年5月4日・・・雄武町日の出岬、マリーンアイランド岡島、千畳岩、神威岬、クッチャロ湖

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】初日(東京-高山)その2‐甲府、日野春、長坂、青柳(中央本線)

鉄旅日記2020年3月20日・・・甲府駅、日野春駅、長坂駅、青柳駅(中央本線) 8:15 甲府(こう

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】最終日(鷹ノ巣-東京)その1‐鷹ノ巣、二ツ井、鷹巣、阿仁合(奥羽本線/秋田内陸縦貫鉄道)

鉄旅日記2023年1月13日・・・鷹ノ巣駅、二ツ井駅、鷹巣駅、阿仁合駅(奥羽本線/秋田内陸縦貫鉄道)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その4‐周防高森、徳山、下松、光(岩徳線/山陽本線)

鉄旅日記2020年8月16日・・・周防高森駅、徳山駅、下松駅、光駅(岩徳線/山陽本線) 12

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その3(R20)諏訪湖、韮崎、道の駅甲斐大和

車旅日記1996年5月6日 16:28 諏訪湖 松本市内を通過して塩尻峠を下りていく。 塩

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】最終日(直江津-六日町-大前-東京)その3-金島、中之条、川原湯温泉、大前、羽根尾、高崎問屋町(吾妻線)

鉄旅日記2018年2月11日・・・金島駅、中之条駅、川原湯温泉駅、大前駅、羽根尾駅、高崎問屋町駅(吾

記事を読む

「鉄旅日記」2003年冬【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】最終日(博多-小倉-門司港-宇部)その2-門司港にて

鉄旅日記2003年2月16日 2003・2・16日の記憶 門司港行の鹿児島本線に乗る。 門司港レトロ

記事を読む

「鉄旅日記」2018年神無月【北陸へ。信州へ。友を訪ねての巡礼旅でございます】2日目(越前大野-福井-米原-名古屋-松本)その2-平田、松本、食蔵BASARA(篠ノ井線)

鉄旅日記2018年10月7日・・・平田駅、松本駅(篠ノ井線) 16:43 平田(ひらた)駅(篠ノ井

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その4‐周防高森、徳山、下松、光(岩徳線/山陽本線)

鉄旅日記2020年8月16日・・・周防高森駅、徳山駅、下松駅、光駅(

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その3‐宇部、富海、福川、戸田(山陽本線)

鉄旅日記2020年8月16日・・・宇部駅、富海駅、福川駅、戸田駅(山

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その2‐若松渡場、戸畑渡場、戸畑、下関(若戸渡船/鹿児島本線)

鉄旅日記2020年8月16日・・・若松渡場、戸畑渡場、戸畑駅、下関駅

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その1‐門司港、小森江、折尾、若松(鹿児島本線/筑豊本線)

鉄旅日記2020年8月16日・・・門司港駅、小森江駅、折尾駅、若松駅

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】3日目(肥前鹿島-門司港)その5‐肥前山口、久保田、西唐津、博多、門司港(佐世保線/唐津線/筑肥線/福岡市地下鉄空港線/鹿児島本線)

鉄旅日記2020年8月15日・・・肥前山口駅、久保田駅、西唐津駅、博

→もっと見る

    PAGE TOP ↑