「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)
鉄旅日記2008年9月14日・・・松任駅、小松駅、あわら湯のまち駅、三国港駅、福大前西福井駅、田原町駅、福井駅(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)
13:03 松任(まっとう)駅(北陸本線 石川県)
金沢から3駅。
駅前に食堂はない。
同じ北陸の中では例えば黒部のように、繁華街は別な場所にあるようだ。
戦国時代までここには城があり、上杉軍、織田軍のはざまで、両軍からの攻撃にさらされたという。
千代さんという偉い尼さんがいたらしい。
街は今も彼女を大切にしている。
14:22 小松(こまつ)駅(北陸本線 石川県)
勧進帳の名場面、「安宅関」は小松市らしい。
他にも名乗り出ている町があるだろう。
北陸は義経伝説に満ちている。
市内地図に小松空港は見えない。
石川県では金沢に次ぐ街だろうが、その差は大きい。
古いアーケード街が駅前をかこっているが、人通りはなく、車通りも少ない。
夜にイベントがあるのか少し騒がしい。
繁華街の反対側には小松製作所の立派な小松工場がある。
昼食はここで。
高架駅のホームからはお寺の屋根が覗く。
なぜかその姿が印象的で、やってきた特急雷鳥はがら空きだった。
16:38 あわら湯のまち(あわらゆのまち)駅(えちぜん鉄道三国芦原線 福井県)
福井駅で降りて、えちぜん鉄道へ。
三国へ向かう列車に乗った。
観光案内所では繰り返し「あわら音頭」を流している。
かつて友人の運転する車で着いて、この温泉街に泊まったことがある。
ここではその思い出に尽きる。
たいして古いものじゃない。
あの当時、えちぜん鉄道の前身京福電鉄は営業をしておらず、駅は閉鎖されていた。
温泉街は閑散としている。
それは当時も変わらない。
17:25 三国港(みくにみなと)駅(えちぜん鉄道三国芦原線 福井県)
駅舎は当時のままだ。
駅員の姿はない。
海水浴の季節は終わったが、サンセットビーチには人が出ている。
九頭竜川が日本海に流れ込む場所で糸を垂れている釣り師は、ラジオで相撲中継を流している。
あの日、久しぶりに会ったオレたちは、あの海辺で何を語り合ったのか。
まるで覚えていない。
病気がちの彼は酒も煙草も寄せつけなくなっていた。
元気でいるだろうか。
今日はこんなに近くまで来たけれど、まだ大野にいるのだろうか。
出会った頃に二人で飲みに行って、ただの一言も交わさずに1時間以上を過ごしたことがある。
そんな過去も20年近く前のものになった。
今日はひとりで歩いた海辺。
そこではそんなことは考えず、ただただ素晴らしい景色を堪能していた。
父親に連れられた幼い女の子と手を振り合って別れ、福井に戻る列車がやってきた。
福大前西福井(ふくだいまえにしふくい)駅(えちぜん鉄道三国芦原線 福井県)にて
18:36 田原町(たわらまち)駅(えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線 福井県)
三国神社では北陸高生が乗り込んできた。
微笑ましい存在じゃなかったが、運動している若者たちだ。
力が有り余っている。
オレも、サッカーで福井県選抜に選ばれた友人も、あの頃はあんなものだ。
降りる駅をひと駅間違えて、福大前西福井から昭和の匂いが濃厚な福井鉄道終着駅までを歩く。
このあたりが福井の西のはずれになる。
えちぜん鉄道でもう一方の終着駅、勝山まで行くつもりでいたが、もう暗い。
ここから発車する路面電車で福井に戻る。
えちぜん鉄道も福井鉄道も奮闘している。
一日フリー切符はお得だった。
最近知り合った女性からのメールに、今日は中秋の名月と知らされて、見上げれば見事な月。
今夜はずっと一緒だ。
22:07 東横イン福井駅前905号
裁判所前、市役所前、そして福井駅前。
路面電車から眺める街は素敵だった。
柴田勝家とお市の方の夢の跡、福井。
彼等によって事実上、この街は始まったという。
秀吉軍が包囲する中、爆薬を炸裂させて滅んだ北の庄と、越前松平家が幕末まで守った福井城は別な場所にあり、後者には県庁をはじめ諸官庁が置かれ、初代結城秀康の銅像が立っていた。
大坂夏の陣で真田幸村を討ち取った越前兵は勇猛だった。
どの時代の戦場でもそうなのだろう。
二代目松平忠直はほとんど狂人に近く、妻の密告によって破滅を迎えるまで、そんな男に対しても越前兵は忠実だった。
福井駅は工事中で、JRは仕上がり、えちぜん鉄道はまだ完成を見ていない。
再開発用地は柵に囲まれ、未来の設計図を示すには至っていない。
繁華街の人通りはまばらで、特に若い世代を見ない。
たまたま入った店は繁盛店だったらしい。
美味い酒と肴を出してくれる店で、主人からすれば対応に窮するほどの入りだったようだ。
福井県は幸せ基準じゃ最高ランクにあるという統計が出ている。
数年前の台風で寸断された越美北線もどうやら全通したようだ。
中秋の名月を福井で見た。
その記憶が残るといい。
残っていたら、来年の今頃はひとりじゃないかもしれない。
去年から、旅先ではそんな思いにふけるようになった。
このままでいるはずがない。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2013年夏【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】4日目(隼人-岩国)その2-熊本、久留米、鳥栖、吉塚、長者原、古賀、東郷、赤間、幡生(鹿児島本線、山陽本線)
鉄旅日記2013年8月13日その2・・・熊本駅、久留米駅、鳥栖駅、吉塚駅、長者原駅、古賀駅、東郷駅、
-
-
「鉄旅日記」2018年卯月【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】その2-阿字ヶ浦、那珂湊、勝田、大津港、日立、常陸多賀(ひたちなか海浜鉄道湊線/常磐線)
鉄旅日記2018年4月25日・・・阿字ヶ浦駅、那珂湊駅、勝田駅、大津港駅、日立駅、常陸多賀駅(ひたち
-
-
「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】初日(東京-大垣)その1-保谷、品川、三島、静岡、浜松、鷲津、豊橋、岐阜、蘇原、美濃太田(東海道本線/高山本線)
鉄旅日記2017年8月11日・・・保谷駅、品川駅、三島駅、静岡駅、浜松駅、鷲津駅、豊橋駅、岐阜駅、蘇
-
-
「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】最終日(宮古-東京)その3‐白石、郡山、黒磯、宇都宮(東北本線)
鉄旅日記2019年9月23日・・・白石駅、郡山駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線) 15:49 白石(
-
-
「車旅日記」1998年夏【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】初日(東京-伊那-木曽)-東京町田、相模湖駅、鳥沢駅、道の駅甲斐大和、勝沼、長坂、伊那市駅、道の駅日義 木曽駒高原
車旅日記1998年7月18日 1998・7・18 12:48 東京町田 久しぶりに空がよく晴れて
-
-
「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】最終日(長岡-東京)-長岡、東三条、吉田、新潟、新津、会津若松、郡山、磐城石川、磐城塙、玉川村、常陸大宮、金町(信越本線/弥彦線/越後線/磐越西線/水郡線/常磐線)
鉄旅日記2009年7月20日・・・長岡駅、東三条駅、吉田駅、新潟駅、新津駅、会津若松駅、郡山駅、磐城
-
-
「鉄旅日記」2012年夏 【青春18きっぷで、北海道途中下車旅】4日目(岩見沢-羽後本荘)-岩見沢、札幌、銭函、小樽、倶知安、蘭越、長万部、中ノ沢、五稜郭、上磯、釜谷(函館本線、江差線)
鉄旅日記2012年8月14日・・・岩見沢駅、札幌駅、銭函駅、小樽駅、倶知安駅、蘭越駅、長万部駅、中ノ
-
-
「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田
車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・柏原駅、道明寺駅、河内長野駅、古市駅、畝傍御陵前駅、田原本駅、西田
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.2【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】その1-天王台、植田、泉、いわき、富岡(常磐線)
鉄旅日記2019年3月10日・・・天王台駅、植田駅、泉駅、いわき駅、富岡駅(常磐線) 2019・3