「鉄旅日記」2006年如月 その2-勿来、いわき(常磐線) 【房総半島から1週間。常磐線に乗って、下っていったのでございます。】
鉄旅日記2006年2月11日・・・勿来駅、いわき駅(常磐線)
2006・2・11 いわき東急イン618号室
次の勿来で降りる。
福島県に入った。
灯につられたが、古関の町の灯はわずかだった。
駅前に酒を飲ませる店がいくつか。
男はすでにマイクを握っている。
「勿来の関」の石碑と、関所のオブジェ。
脇には八幡太郎義家の歌碑。
奥羽じゃ源氏は敵でもあるが、この町じゃ英雄らしい。
銅像も立っている。
駅舎は旅情に満ちている。
関所を象った門の上に「勿来駅」と大書された木札。
跨線橋では月を見る。
「古関の町の月明かりか。」
詩は作れないが、そうつぶやき、いわき行に乗った。
駅にいた外国人は、どういった経緯で奥州の古関の町にいたのか。
いわきにいる。
いわきの方言が聞こえてくる。
茨城訛は日立で聞いた。
かつて路面電車が走っていたことを想像させる街路にバスの停留所があり、6号国道を越えると右手にテレビ塔が見える。
繁華街は整っている。
品のいい店もたくさんある。

2020年4月4日撮影
選んだのは駅正面の2階にある居酒屋。
酒にはそこそこの値がついていたが、食べ物は安い。
これが地方都市の実力。
ひとりにしちゃ贅沢な寄せ鍋と串物を注文して、ビール2杯に熱燗2合。
新幹線からは見放されたが、いわき市は福島、郡山を抑えて、県内では一番の人口を誇っている。
繁華街はその2都市と比較すると小ぶりだが、常磐の首都を思わせる風格があり、水戸とその覇を競っている。
いわきは30万人以上の人口を有し、国内では47番目の人口を持つ。
人通りは多いと言えないが、歴史のあるスナック街を通ると、今時分の艶やかさを想像できる。
たいした街だよ。
明日は友と待ち合わせる。
再会方法はまだ不明。
適当な時間帯に郡山に行く列車があることを知ったから。
飲み屋から出たら小雨に濡れた。
でも古関に上がっていた月は朧ながら姿を隠してはいなかった。
カウンターだけの飲み屋があって、常磐炭鉱華やかなりし頃に、シャベルを担いで山に向かっていたような男たちが並んで酒を飲み、可愛らしい婦警さんが挨拶をくれる街。
あの時オレは上ばかり見て歩いていた。
この部屋からは駅のホームが見える。
煙草は吸えないが、願ったりの部屋だ。
ロビーに下りたら外国人の一行が下りてきて、ひとり残った女性と目が合い笑顔を交わす。
彼女は今もPC画面の前にいるだろう。
いわき駅はほんの10年くらい前までは平駅と言ったはずなんだ。
子供の頃に特急列車の終着駅として記憶した駅が、かつて友と通りかかった際にそこにあった駅が、消えてなくなるわけがない。
街も駅も変わる。
操車場が見えるこの部屋は本当に素晴らしい。
2006・2・12 8:30 いわき東急イン618号室
浜通りに高い山はない。
少なくともここからじゃ見えない。
だから雪も見ない。
穏やかな日差しの中で眠り、夜明けの空は美しかった。
久し振りに美味い朝飯をたらふく食べる。
これから大切な友と会う。
遠くの町へ出かける理由なら、こうしていつの時も見つかるものだ。
21:10 東京葛飾金町
大切な友人との再会の日だった。
場所は、かつて10年以上も前に彼の運転する車で通り過ぎた平駅。
現在のいわき駅。
その前にいわき駅周辺を歩く。
競輪場までは行けなかったけど、満足できる時間だった。
あんなに歩いたのは、京都、大阪、神戸、名古屋、象潟、札幌、松山・・・。
筑波山を望み、大甕駅では日立電鉄の廃線跡を見て、水戸の「駅そば」では、おかみさんに向けて「死にたい」と延々と身の上話を聞かせる青年の横で、そばをすすった。
彼の他にも様々なおかしなヤツが生きていることをその道中で知った。
今日の風は冷たく、強風は列車の進行を妨げる。
松戸金町間、江戸川を渡る風のおかげでダイヤは乱れた。
おとなしく苛立ち、やがて帰り着く。
髪を切りに行って、「雪の女王」の最終話に感動した。
再会した友人が、オレを大切に思ってくれていることを知ってうれしかった。
固い握手を交わせる友人がいることがうれしかった。
それにしても、オレのすぐ脇でいわき市内の地図を眺めていたオッサンが彼だと気づくのに時間がかかった。
それだけの歳月が二人の間には流れていたことをあらためて知った。
そして3月に父親になる彼を、心から祝福した。
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